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平成21年7月9日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
平成19年(ワ)第13494号著作権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日平成21年4月13日
判決
津市<中略>
原告有限会社日本エンジニアリング
訴訟代理人弁護士清宮國義
青本悦男
大阪市東淀川区<中略>
被告株式会社キーエンス
訴訟代理人弁護士吉羽真一郎
宮谷隆
飯塚卓也
山岸良太
主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告は,別紙被告CD−ROM目録記載のCD−ROM(以下「被告CD−
ROM」という)を製作し,頒布してはならない。。
2被告は,その所有する被告CD−ROM並びに別紙被告CAD図面目録1及
び同目録2記載のCAD図面(被告DXFファイル名「被告MICRO「」,
CADAMファイル名」及び「名称」欄の記載によって特定されるCAD図面。
以下,同目録1,2記載のすべてのCAD図面を併せて「被告CAD図面」と
いう)を廃棄せよ。。
3被告は,被告CAD図面を別紙被告ウェブページ目録記載のウェブページ
(以下「被告ウェブページ」という)に掲載してはならない。。
4被告は,原告に対し,1億2138万0907円及びこれに対する平成19
年11月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,被告から委託を受けて1が作成した光電スイッチ,光ファイバP
ーセンサー等の製品のCAD図面(後記の「本件CAD図面)の著作権を承」
継したとする原告が,被告において,本件CAD図面を複製又は翻案して被告
CAD図面を作成し,①被告CAD図面を収録した被告CD−ROMを顧客に
頒布し,②被告ウェブページに被告CAD図面を掲載して顧客がダウンロード
できるシステムを提供しているとし,このような被告の行為は原告の著作権
(複製権,翻案権,公衆送信権)を侵害するとして,被告に対し,著作権法1
12条に基づき,被告CD−ROMの製作,頒布及び被告ウェブページへの被
告CAD図面の掲載の差止め並びに被告CD−ROM及び被告CAD図面の廃
棄を求めるとともに,著作権侵害の不法行為(民法709条)に基づき,損害
賠償金1億2138万0907円及びこれに対する不法行為の後の日(訴状送
達の日の翌日)である平成19年11月6日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
1前提事実(末尾に証拠等の掲記のない事実は当事者間に争いがない)
()当事者等1
ア原告は,オフィスコンピューターのソフトウェアーの開発・販売,メカ
トロニクスのメンテナンス・販売・設計・製作等を業とする会社である
(弁論の全趣旨。)
イ1は,日本エンジニアリングの商号で原告と同種の事業を営んでいたP
者であり,平成10年11月26日,原告を設立してその取締役に就任し
た(弁論の全趣旨。)
ウ被告は,センサーの開発・設計・製造・販売,自動制御機器等の電子応
用機器の製造・販売等を業とする会社である。
()1による本件CAD図面の作成等2P
ア1は,平成9年1月10日,被告から委託を受け,被告が販売する光P
電スイッチ,光ファイバーセンサー等(以下,被告が販売するこれらの製
。,品を「被告製品」と総称する)のCAD図面を作成し,同年3月19日
これを収録した「CAD図面ライブラリ」と題するCD−ROM1Ver1.0
000枚を被告に納入し,CAD図面及びCD−ROMの作成費として合
計152万8888円の支払を受けた(甲8の1ないし3。)
イ1は,同年4月ころ,被告から追加委託を受けて被告製品のCAD図P
面を作成し,同年5月8日,これを収録した「CAD図面ライブラリ
」と題するCD−ROM5000枚を被告に納入し,CAD図面及Ver1.1
びCD−ROMの作成費として合計105万円の支払を受けた(甲9の1
ないし5。)
「CAD図面ライブラリ」には,1が作成した別紙原告CADVer1.1P
図面目録に記載の合計349枚のCAD図面が収録されていた(以下,同
目録記載の349枚のCAD図面を併せて「本件CAD図面」といい,個
別のCAD図面を同目録の型式と番号に対応させて「本件CAD図面A−
1」などという(甲2の1∼349。。))
ウ1は,平成10年3月から5月にかけて,被告から注文を受けて「CP
AD図面ライブラリ」のCD−ROM2000枚を被告に納入したVer1.1
が,その後は被告からの注文はなくなった。
()1が本件CAD図面を作成した際に依拠した資料等3P
1は,本件CAD図面を作成するに際し,被告から交付された被告製品P
のカタログ(甲7,以下「本件カタログ」という)に依拠するとともに,。
本件CAD図面のうち下記の図面については,被告から交付された被告製品
の現物にも依拠した(弁論の全趣旨。)
A−18,A−20,C−2,E−21,E−29,E−32,E−37,
E−56,F−6,F−10,F−12,F−17,F−18,F−24,
F−69,F−77,F−85,F−86,K−12,K−19,K−27,
K−30,L−2,M−2,M−5,P−2,P−4ないしP−8,P−1
1,P−16,P−23ないしP−25,P−39,P−42,P−63,
R−3,R−7,R−10,T−1,T−2,T−5,T−10,T−27,
T−38及びT−40
()本件CAD図面の作成目的4
本件CAD図面は,主として,CAD(コンピューター支援設計)によっ
て設計業務を行う際にCAD化された被告製品の設計図への取込みを可能に
することを目的として作成された(弁論の全趣旨。)
()原告の設立等5
1は,平成10年11月26日,原告を設立し,それまで日本エンジニP
アリングの商号で営んでいた事業上の権利を原告に譲渡した(弁論の全趣
旨。)
()被告の行為6
アCD−ROMの頒布
被告は,平成10年7月以降「CAD図面ライブラリ」に被告,Ver1.1
製品の新製品のCAD図面を追加収録した「CAD図面ライブラリ
」と題するCD−ROMを製作して顧客に頒布し,その後も新製品Ver2.0
のCAD図面を追加収録したCD−ROMを顧客に頒布している。
被告は,現在,被告CAD図面を収録した被告CD−ROMを顧客に頒
布している。
イウェブページへの掲載
被告は,被告ウェブページに被告CAD図面を掲載し,顧客がダウンロ
ードして利用できるようにしている。
2争点
()本件CAD図面の著作物性(争点1)1
()被告CAD図面は本件CAD図面を複製し又は翻案したものであるか2
(争点2)
()被告の故意又は過失の有無(争点3)3
()損害額(争点4)4
第3争点に関する当事者の主張
1争点1(本件CAD図面の著作物性)について
【原告の主張】
()本件CAD図面は「CAD図面に対する作者の技術思想やあるべき姿1,
」,の期待と憧れ(思想又は感情)を「寸法・数値・形状を,原点,一筆書き
寸法記載など作者固有の個性を交えてCAD図面化したもの(創作的に表」
現したもの)で学術的な範囲に属するものである。
本件CAD図面が有する創作性は,以下の創作1ないし創作11eに分類
することができる。
個別の本件CAD図面が有する創作性は,別紙創作性一覧表のとおりであ
る(創作1ないし創作10については該当するものに「○」を,創作11に
ついては「a」ないし「e」のうち該当するものをそれぞれ記載してい
る。。)
創作1:立体物を数値を有する図形として平面上に表現した。
創作2:製品の機能や形状を作者の意図で取捨選択し図形形成した。
創作3:平面表現では不可能な製品の質感・光沢・製品価値を表現した。
創作4:設計図内のその他の構成部品との調和と整合性を有する図形として
略図化し,完成度合いを調整した。
創作5:独自に創作した寸法値を採用することにより設計情報の漏洩を防止
した形状を表現した。
創作6:作図過程で線数を減らす表現として,CAD上で一筆書きが可能な
形状に整えた。
創作7:CAD図では試みない図形への寸法記入やテキストによる部品説明
で表現できない内容を補助した。
創作8:作図内に絶対的原点を設けて表現をした。
創作9:作図過程においてコンピューターとの対話により,グローバル環境
で表現するための作図コマンドで図形を表現した。
創作10:中心線や補助線の長さや比率を統一することにより,図形の美観
を整えた。
創作11a:遠近法や2.5次元などで作成することにより製品イメージの
リアル化を試みた。
創作11b:図形を平面・正面・側面・詳細図等の一つの画面(1ファイ
ル)で構成した。
創作11c:製品と取り付け金具とのアセンブリ図を図形内にブロック化し
描いた。
創作11d:対称図形を考慮した作図過程を試みた。
創作11e:パラメトリック表現可能な配列とした。
()創作1ないし創作11eの補足説明2
ア創作1について
(ア)本件CAD図面では,図形を構成する線が数値を有している。
(イ)本件CAD図面は,3次元の被告製品を2次元の平面に表現し直し
たものであるが,平面への表現はP1の思想や技術を形に表した結果で
あり,描かれた被告製品の形状はP1の個性の現れである。
被告製品のどの方向を正面として投影するかという点についても,P1
の個性が発揮されている。
(ウ)本件CAD図面は,CADソフト同様にオブジェクトコードとして
表現することができるところ,P1は,オブジェクトコードによる言語
又は図面の表現に当たって,設計情報の漏洩防止を念頭に置き,データ
容量を低減して作図するという固有の感情に基づき,コンピューターと
対話して本件CAD図面を完成させたものである。
本件CAD図面の作成経緯やコマンド(命令語)の違いはオブジェク
トコードに現れており,P1の思いは表現されている。
イ創作2について
CAD図面を作成する者は,図面の使用目的,作者の思想等に基づき,
外形などを除く製品の形状をどの程度詳細に描くかを決定している。
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,被告製品の機能や形状を
取捨選択して図形形成したものである。
ウ創作3について
被告製品が持つ質量や材料のイメージが欠落することは製品価値の減少
につながるので,P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,実際には
存在しない凹凸などを描いて製品が持つイメージを強化している。
エ創作4について
P1は,下位バージョンへの対応を可能とするため,本件CAD図面を
詳細に表現している。
オ創作5について
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,設計CAD図面もしくは
設計図に依拠することなく,被告製品の必要部分の寸法値を独自に創作し
ている。
カ創作6について
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,データ容量を低減させる
ため,図形を構成する線の数を減らす独自の作図方法(一筆書き)を用い
ている。
キ創作7について
CAD図面に寸法線やテキストを記載することは一般に不要とされるが,
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,品質や性能を寸法やテキス
トで表現している。
ク創作8について
コンピューター画面やプリント印刷したCAD図面は,作図されている
領域だけを表示するが,原点付近に作図した場合と原点から離れた位置に
作図した場合とでは,表示時間をはじめ利用方法に格段の差が生じる。
P1は,本件CAD図面を原点付近に作図しており,独自性を表現して
いる。
ケ創作9について
1は,本件CAD図面を下位バージョンのCAD画面でも表示できるP
ようにするため,あえて最高位のCADを用いながら簡易CADのコマン
ドで作図している。
コ創作10について
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,図形からの中心線のはみ
出し長さを規定することにより,図形の繊細さや配列の美的感覚を表現し
ている。
サ創作11aについて
被告製品は,筐体(直面体)ばかりではなく曲面や傾斜を持つ部分も存
在するが,このような製品については,断面や特定方向から(立体表現を
必要としない方向から)投影することにより,立体表現を回避するのが一
般的である。
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,設計図面のような三角法
に則った投影で遠近を明確にして2.5次元的な表現を試みている。
シ創作11bについて
1は,本件CAD図面を作成するに当たり,1枚の図面に三方からのP
投影図を表現し,どのような図形に呼び込まれても対応できるようにして
いる。
ス創作11cについて
製品CAD図面は,製品だけの図形作図に止まり,付属金具やレール等
を組み付けた図形は作図しないのが一般的である。
しかし,P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,製品と金具を組
み付けて作図することにより,作図の手間を省くばかりでなく,組み立て
作業の説明としての効果を示している。
セ創作11dについて
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,半断面での表示や部分省
略を行うことを考え,正面図の中心線を境に図形をブロック化し,2分割
の表現方法を採用している。
ソ創作11eについて
多くのCADは,CAD自身が図形の延び縮みを容易に行うことができ
る機能(パラメトリック機能)を有している。
P1は,本件CAD図面を作成するに当たり,パラメトリックを行って
も他の図形形状に変形が起こらないような配列表現を行っている。
()本件カタログと本件CAD図面との関係3
1は,本件カタログに依拠して本件CAD図面を作成したが,創作性をP
要しないで被告製品のCAD図面を描くためには,形状化するための全ての
線に対して数値と方向が判明している設計図が必要であり,本件カタログだ
けでは被告製品の全ての寸法値を把握することはできない。1は,寸法値P
の不明部分を創作して本件CAD図面を作成したのであるから(創作1,
5,本件カタログに依拠したからといって本件CAD図面の創作性は否定)
されない。また,本件CAD図面は,プリント出力される以前にコンピュー
ター内で完成しているコンピューター創作物であり,本件カタログとは表現
形式が全く異なるから,本件カタログは本件CAD図面の著作物性の有無を
判断する対象とはならない。
【被告の主張】
(1)本件CAD図面の著作物性の判断方法
CADとは「製品の形状,その他の属性データからなるモデルを,コンピ
ューターの内部に作成し解析・処理することによって進める設計」をいい,
この用語の定義はJIS規格において定められている。そして,CADによ
る作図も,同じくJIS規格においてその方法が詳細に規定されており,C
AD図面は基本的にJIS規格に準じて作成されている。
本件CAD図面が作成された平成10年当時のCAD図面作成に関するJ
IS規格である「JISB3402」によれば,線の種類(実線,波線及
び波線のパターン,波線や点線のそれぞれの要素の長さ(実線部分,隙間)
のそれぞれの長さ,断続線が交差する場合の表現,図形の投影方法,さら)
には図面内に記載する文字のフォントまでもが定められているのであるから,
CAD図面はそもそも規格化された表現方法により作成されるべきものであ
って,個性的な表現方法を採用することがむしろ禁じられているものである
といえる。
かかる観点に照らせば,少なくとも本件CAD図面のそれぞれについて具
体的かつ明確に創作的表現部分の存在が主張立証されない限り,本件CAD
図面の著作物性が肯定される余地はない。
(2)原告が主張する個別の創作性について
ア創作1について
(ア)「線が数値を有している」という原告の主張は「CADで描画さ,
れる図形においては,図形を構成する個々の線が,それぞれ長さ,方向,
位置といった数値データと関連づけられている」という意味であると推
測されるところ,CAD図形の「線」がそのような性質を有していると
しても,それは単にCAD図形の図面が有する属性データにすぎず,表
現とはなっていない。
また,例えばある線の長さとして5mmという数値を入力したとして
も,それは数値以上のものではなく,そこに作者の個性などが入り込む
余地はない。
(イ)3次元の被告製品を2次元の平面に表現したという点についても,
製品の寸法を測定してその形状を正確に平面上に表現することは極めて
ありふれた作図手法にすぎないから,3次元のものを2次元の図面に投
影すること自体に作者の個性が現れる余地はない。
製品のどの面を正面とみなすかという点も,極めて限られた選択肢の
中からいずれかを正面とみなすという作業にすぎず,そこに創作性が生
じる余地はない。
(ウ)オブジェクトコードに作者の図形に対する思いが込められていると
いう点についても,本件CAD図面はCAD作図用ソフトウェアを用い
て作図されたものであって,そのオブジェクトコードは作図の結果をソ
フトウェアが機械的にコード化したにすぎないものであるから,オブジ
ェクトコードを作成することが創作性の根拠となる余地はない。
イ創作2について
原告は,P1が製品の機能を取捨選択して図形形成したと主張するが,
それが本件CAD図面のどこに表現されているか明らかでない。
製品の形状の取捨選択という点についても,およそCAD図面というも
のは可能な限り正確に製品の形状を図面に投影することを目的として作成
されるものであるから,図面に表現すべき部分を取捨選択しようとしても,
その選択の幅は極めて限られており,その選択には何ら創作性はなく,極
めてありふれた表現にすぎない。
ウ創作3について
本件CAD図面における被告製品の表現方法は,極めて一般的でありふ
れたものであるから,創作性を認めることはできない。
エ創作4について
原告の主張は,本件CAD図面を詳細に描いたから著作物性があるとい
うものにすぎず,CAD図面の作成に当たって図面を詳細に記載すること
はむしろ当然のことであるから,そこに作者の個性が現れる余地はない。
オ創作5について
原告の主張は,本件カタログに記載のない被告製品の寸法をP1が独自
に採寸・算定したというものであるが,被告製品の長さを採寸しあるいは
算定するという行為は何ら表現ではない。
カ創作6について
原告が主張する一筆書きは,アイデアにすぎず表現には当たらないし,
データ容量の低減という点についても,技術的思想に該当することがある
としても,表現には該当しない。
キ創作7について
CAD図面に寸法やテキストを記入するということや,寸法やテキスト
が図形と一体となって表現を補完するということ自体は,アイデアにすぎ
ず,何ら創作性を根拠づけるものではない。
ク創作8について
本件CAD図面には原点が表示されていないし,仮に原点を表示したと
しても,それは,CAD図面の作成に用いるソフトウェア固有の表現であ
って,P1が表現したものではない。
また,原告は「原点を配置する」という行為自体に創作性があるかの,
ような主張をしていると思われるが,原点をどこに配置するかということ
は単なるアイデアにすぎない。
ケ創作9について
創作9は,本件CAD図面の作成方法というアイデアにすぎず,創作性
の根拠とはならない。
コ創作10について
創作10は,原告自身が簡単に表現できると認めているとおり,ありふ
れた表現にすぎない。本件カタログにおいても同様の表現がなされており,
極めてありふれた表現であることが裏付けられる。
サ創作11aについて
創作11aは,要するにCAD図面に設計図面の表現方法を取り入れた
というアイデアにすぎないし,その表現方法も,設計図面において通常用
いられている表現であり,極めてありふれたものにすぎない。
シ創作11bについて
創作11bは要するに,複数の図面を複数のファイルにそれぞれ収める
か,1ファイルに収めるかということであって,何ら表現ではなく,著作
権による保護とは無関係のアイデアである。
そして,このアイデア自体,本件CAD図面を作成した当時からいずれ
の方式も存在しており,アイデアとしてもありふれたものにすぎない。
ス創作11cについて
創作11cは,要するに,通常は製品だけのCAD図面を作成するとこ
ろを,付属金具やレール等に組み付けたアセンブリ図も作成したという主
張と解されるが,アセンブリ図を作成することはアイデアにすぎない。
作成されたアセンブリ図も,製品と付属金具等を単純に重ね合わせただ
けであり,このような図面は本件カタログにも多数掲載されており,あり
ふれた表現であってP1独自のものではない。
セ創作11dについて
創作11dは,プリント印刷した際には判明しないものであり,何ら表
現ではない。
対称図形を対称線で切って別々に作図することに技術的意義は認められ
ないことからすると,原告は,対称構造を有するCAD図形の作成方法と
して,まず片側だけを作成してコピーし,反転して貼り付けるという工程
をもって「対称図形を考慮した作図過程を試みた」などと述べているにす
ぎないものと思われる。
ソ創作11eについて
原告が主張する「パラメトリック表現」なるものが判然としないが,要
するに,線分の重複を防ぐために部品間に隙間を空ける作図方法のことで
ある思われる。
しかし,このような作図方法はアイデアにすぎず,何ら表現ではないし,
同一レイヤー上でのCAD図面の作図にあたって,線分の重複を防止する
ために部品間に距離を持たせるという手法は一般的なものである。
()以上のとおり,原告が主張する創作1ないし11eはいずれも本件CA3
D図面の表現上の創作性を根拠づけるものではないから,本件CAD図面は
著作物ではない。
2争点2(被告CAD図面は本件CAD図面を複製又は翻案したものである
か)について
【原告の主張】
被告は,本件CAD図面を無断で複製又は翻案して被告CAD図面を作成し
た。
被告CAD図面のうち本件CAD図面を複製したものは別紙被告CAD図面
目録1に記載のものであり,被告が依拠した本件CAD図面は同目録の「本件
CAD図面」欄に記載のものである。
被告CAD図面のうち本件CAD図面を翻案したものは別紙被告CAD図面
目録2に記載のものであり,被告が依拠した本件CAD図面は同目録の「本件
CAD図面」欄に記載のものである。翻案の態様としては,①本件CAD図面
を増設して別のCAD図面を作成する態様,②本件CAD図面を複数合わせて
別のCAD図面を作成する態様,③本件CAD図面と被告作成のCAD図面を
合わせて別のCAD図面を作成する態様の3パターンがあり,個別の被告CA
D図面の翻案態様は別紙被告CAD図面目録2の「翻案態様」欄に記載のとお
りである。
【被告の主張】
本件CAD図面は著作物ではないから,著作権法上の複製又は翻案は問題と
はならない。
被告CAD図面と本件CAD図面の類似性についての認否は,別紙被告CA
D図面目録1の「認否」欄に記載のとおりである(類似するものは「○」を,
類似しないものは「×」を記入している。。)
原告が主張する被告CAD図面の翻案態様についての認否は,別紙被告CA
D図面目録2の「認否」欄に記載のとおりである(原告が主張する翻案態様と
実質的に一致するものには「○」を,一致しないものには「×」を記入してい
る。。)
3争点3(被告の故意又は過失の有無)について
【原告の主張】
被告は,1に対し,プレス原価程度に押さえたCD−ROMの作成料を支P
払っただけで,CAD図面の使用許諾料については今後取り決めていくと説明
していた。
しかるに,被告は,1に無断で本件CAD図面を複製又は翻案した被告CP
AD図面を収録した被告CD−ROMを顧客に頒布し,被告ウェブページに被
告CAD図面を掲載して顧客がダウンロードして利用できるようにしたもので
ある。
【被告の主張】
被告は,原告に対し,CD−ROMの作成料に加えてCAD図面の作成料も
支払っている。
原告と被告の間でCAD図面の使用許諾料に関する話題は出ていない。
4争点4(損害額)について
【原告の主張】
()CD−ROMの頒布による損害1
一般的にCD−ROMにおけるCAD図面の使用許諾料は,本体価格の2
0%が相場であるところ,本件におけるCD−ROMの作成原価は1枚15
28円であったので,これを本体価格として使用許諾料を算出すると1枚当
たり305円となる。
被告のCD−ROMの使用枚数は,1年間で7000枚である。
したがって,平成11年1月1日から平成19年9月30日までの被告の
CD−ROMの頒布に対する本件CAD図面の使用許諾料相当損害金は18
68万1250円となる(著作権法114条3項。)
()被告ウェブページへの掲載による損害2
本件におけるCAD図面1枚当たり作成単価は2546円であるから,C
AD図面1枚当たりの使用許諾料はその20%の509円が相当である。
そして,少なくとも1日平均145枚の被告CAD図面がダウンロードさ
れると考えられるので,これに製造業の年間平均出勤日数242日を乗ずる
と年間ダウンロード回数は3万5090回を下らないことになる。
被告は,遅くとも平成14年1月以降,被告ウェブページに被告CAD面
面を掲載し,顧客がダウンロードして利用できるようにしているのであるか
ら,平成14年1月1日から同19年9月30日までの被告ウェブページへ
の掲載による本件CAD図面の使用許諾料相当損害金は1億0269万96
57円を下らない(著作権法114条3項。)
()合計3
以上のとおり,被告による本件CAD図面の著作権の侵害により原告が受
けた損害は,上記(),()合計の1億2138万0907円を下らない。12
【被告の主張】
争う。
第4当裁判所の判断
1争点1(本件CAD図面の著作物性)について
()はじめに1
著作権法は「著作物」を「思想又は感情を創作的に表現したものであっ,
て,文芸,学術,美術又は音楽の範囲に属するものをいう」と定めており。
),(2条1項1号,思想又は感情の創作的な表現を保護するものであるから
思想,感情若しくはアイデアなど表現それ自体でないもの又は表現上の創作
性がないものについては,著作権法によって保護することはできず,これを
著作物ということはできない。
原告は,創作1ないし11eを具備することを根拠として本件CAD図面
が著作権法上保護される著作物であると主張しているので,まず,上記観点
に照らして創作1ないし11eが本件CAD図面の著作物性を根拠づけるも
のといえるかについて総括的に検討し,続いて,個別の本件CAD図面につ
いて,その著作物性を判断するために必要な検討を加えることとする。
()創作1ないし11eは本件CAD図面の創作性を基礎づけるものか2
ア創作1について
原告は,創作1について,①本件CAD図面では図形を構成する線が数
値を有している,②3次元の被告製品を2次元の平面に表現し直した点及
び製品のどの方向を正面として投影するかという点に1の個性が現れP
ている,③本件CAD図面の作成経緯やコマンド(命令語)の違いがオブ
ジェクトコードに現れていると主張し,以上の点を著作物性を基礎づける
事実として主張する。
しかし,①については,本件CAD図面において「図形を構成する線が
数値を有する」という原告の主張の趣旨は必ずしも明らかではないが,図
形を構成する個々の線が,それぞれ長さ,方向,位置といった数値データ
と関連づけられているという意味であるとすれば,このことはCAD図面
の属性そのものであって,そのような意味で「図形を構成する線が数値を
有する」としても,このことは,紙などに直接図を描くことを超えて,C
AD図面の創作性を基礎づけるものではなく,何ら1の個性を現すもP
のとはいえない。
②についても,3次元の物体を2次元の平面に表現すること自体は,C
AD図面に限らず通常のありふれた作図方法であるし,そもそも1がP
本件CAD図面を作成する際に依拠した本件カタログも,3次元の被告製
品が2次元で表現されていたものであるから,1が被告製品を2次元にP
表現して本件CAD図面を作成したこと自体に創作性を認めることはでき
ない。
③についても,1は,本件CAD図面を作成するに当たり,オブジェP
クトコードを直接記述したのではなく,作図画面を見ながら本件CAD図
面を作図したことが明らかであり,オブジェクトコードはその作図の結果
をソフトウェアが機械的にコード化したにすぎないのであるから,作図さ
れた本件CAD図面とは別にオブジェクトコードそのものをP1の表現と
見ることはできない。
以上のとおり,創作1は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるもの
とは認められない。
イ創作2について
原告は,創作2について,1が被告製品の機能や形状を取捨選択してP
本件CAD図面を作成したと主張する。
しかし,被告製品の「機能」を取捨選択したということが,本件CAD
図面の表現の創作性との関係でいかなる意味を持つか明らかではない。し
かも,本件CAD図面には被告製品の形状,寸法等が記載されているだけ
で,機能が記載されているとは認められないから,P1が被告製品の機能
を取捨選択して本件CAD図面を作成したとは認められず,この点を本件
CAD図面の創作性を基礎づけるものとすることはできない。
他方,被告製品の形状を取捨選択したという点については,カタログな
いし製品自体に依拠するとしても,商品形状のどの部分を省略又は簡略化
し,どの部分を省略せずに描き又はより詳細に描くかは,CAD図面を作
成する者にとって選択の幅があると考えられるところであり,被告製品を
CAD図面で表現するに当たっても,その表現いかんによっては創作性を
認めるべき余地があるものと考えられる。そこで,この点は,本件CAD
図面それぞれの創作性に関する原告の個別的主張を踏まえて検討し,表現
上の創作性の有無を判断することとする。
ウ創作3について
原告は,創作3について,実際には存在しない凹凸などを描き,製品の
質感・光沢・製品価値を表現したと主張する。
この点については,カタログないし商品の現物に依拠するとしても,実
際には存在しない凹凸を描くなどして,製品の質感・光沢等のイメージを
強調する表現をする場合,CAD図面を作成する者にとって表現方法の選
択の幅があると考えられるところであり,その表現内容いかんによっては
創作性を認める余地があるものと考えられる。そこで,この点は,本件C
AD図面それぞれの創作性に関する原告の個別的主張を踏まえて検討し,
表現上の創作性の有無を判断することとする。
エ創作4について
原告は,創作4について,下位バージョンへの対応を可能とするため,
本件CAD図面を詳細に表現していると主張する。
この点については,CAD図面のどの部分をどの程度詳細に描くかにつ
いて,CAD図面を作成する者にとって選択の幅があると考えられるとこ
ろであり,その表現内容いかんによっては創作性を認める余地があるもの
と考えられる。そこで,この点は,本件CAD図面それぞれの創作性に関
する原告の個別的主張を踏まえて検討し,表現上の創作性の有無を判断す
ることとする。
オ創作5について
原告は,創作5について,被告製品の必要部分の寸法値を独自に創作し
たと主張する。
しかし,1は,被告から被告製品のCAD図面の作成を請け負ったのP
であるから,1が被告から交付された本件カタログや被告製品に基づかP
ずに寸法値を独自に「創作」することはにわかに考えられず,本件カタロ
グに記載されていない被告製品の寸法値を,被告製品の現物を確認して採
寸したり,本件カタログから判明する部分の寸法値や図面から算定したも
のと推認することができるが,そのような採寸・算定行為及びこれによる
数値に基づいてCAD図面を作成することに表現上の工夫を認める余地は
ないから,原告が創作5として主張する事情をもって創作性を認める根拠
とすることはできない。
カ創作6について
原告は,創作6について,データ容量を低減させるため,図形を構成す
る線の数を減らすために一筆書きで作図したと主張する。
しかし,CAD図面において線を一筆書きで作図することそれ自体は,
アイデアの範疇に属するものであり,表現に当たらない。もっとも,それ
が具体的に表現され,かつ,通常の線の作図とは異なることが具体的表現
の上で感知され,そこに創作性が認められれば,著作物性を認める余地が
ないではないと解される。しかし,本件CAD図面を見ても一筆書きで作
図されたか否か自体を感知することが困難であり,一筆書きによって描か
れる製品形状に差異が出てくるとも認められないから,そこに表現上の創
作性を認めることはできない。
したがって,創作6は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるものと
は認められない。
キ創作7について
原告は,創作7について,本件CAD図面においては,1がCAD図P
では試みない図形への寸法記入やテキストによる部品説明を行っているこ
とを,創作性が認められる根拠として主張する。
しかし,CAD図面に製品の寸法やテキストによる部品説明を行うこと
自体は,アイデアにすぎない。そして,製品の寸法やテキストの内容は,
本件カタログにも記載されていて,その表現内容もありふれたものにすぎ
ないから,これをもってP1による創作的な表現ということはできない。
したがって,創作7は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるものと
は認められない。
ク創作8について
原告は,創作8について,1が本件CAD図面を原点付近に作図したP
と主張する。
しかし,CAD図面における作図場所を原点に近いところとするか,遠
いところとするかは,アイデアの範疇に属するものであり,これをもって
表現ということはできない。また,本件CAD図面には原告が主張する原
点は表示されていないし,原点付近に作図されることにより製品形状に差
異が出てくるとも認められないから,この点に表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
したがって,創作8は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるものと
は認められない。
ケ創作9について
原告は,創作9について,1が,本件CAD図面を下位バージョンのP
CAD画面でも表示できるようにするため,あえて最高位のCADを用い
ながら簡易CADのコマンドで作図したと主張する。
しかし,どのようなCAD画面でも表現することができるように簡易C
ADのコマンドで作図するということ自体はアイデアの範疇に属するもの
であり,また,本件CAD図面上ではその違いを表現上の違いとして確認
することはできないから,表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,創作9は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるものと
は認められない。
コ創作10について
原告は,創作10について,本件CAD図面は,図形からの中心線のは
み出し長さを規定することにより,図形の繊細さや配列の美的感覚を表現
したと主張する。
しかし,図形からの中心線や補助線の長さを揃えて見栄えよく描くこと
は,製図の訓練を受けた者なら普通に行うありふれた表現と考えられるし,
P1が本件CAD図面を作成した際に依拠した本件カタログにおいても,
これらの線の長さは揃えられているから,この点にP1の表現上の工夫を
認めることはできず,表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,創作10は,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるもの
ではない。
サ創作11aについて
原告は,創作11aについて,設計図面のような三角法に則った投影で
遠近を明確にして2.5次元的な表現を試みたと主張する。
この点については,三角法に則った投影で遠近を明確にして2.5次元
的に表現することは,設計図を作図する際に通常用いられる作図法という
べきであるが,その表現いかんによっては創作性を認める余地があるとも
考えられる。したがって,この点は,本件CAD図面それぞれの原告の個
別的主張を踏まえて検討し,表現上の創作性の有無を判断することとする。
シ創作11bについて
原告は,創作11bについて,1が,本件CAD図面を作成するに当P
たり,図形を平面図・正面図・側面図・詳細図等のひとつの画面(1ファ
イル)で構成したと主張する。
しかし,上記各図をまとめて1ファイルに収めるか,それぞれ別ファイ
ルに収めるかは,アイデアの範疇に属するものであって,表現ではないこ
とが明らかである。また,本件カタログにおいても被告製品の平面図,正
面図,側面図等がまとめて掲載されており,本件CAD図面において同一
製品の複数の図面を1ファイルで構成したこともこれと同種のありふれた
アイデアであって,それ自体にP1の個性は現れておらず,表現上の創作
性を認めることはできない。
したがって,創作11bは,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるも
のではない。
ス創作11cについて
原告は,創作11cについて,P1が,本件CAD図面を作成するに当
たり,製品と金具を組み付けて作図することにより,作図の手間を省くば
かりでなく,組み立て作業の説明としての効果を示していると主張する。
しかし,製品と金具を組み付けた図面(アセンブリ図)を作成すること
自体は,アイデアの範疇に属するものであるし,本件カタログにおいても
製品と金具を組み付けた図面は多数掲載されていることから明らかなよう
に,図面としてもありふれたものというべきであるから,製品と金具を組
み付けて作図したこと自体にP1の個性が現れているとはいえず,表現上
の創作性を認めることはできない。
したがって,創作11cは,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるも
のではない。
セ創作11dについて
原告は,創作11dについて,1が,本件CAD図面を作成するに当P
たり,半断面での表示や部分省略を行うことを考え,正面図の中心線を境
に図形をブロック化し,2分割の表現方法を採用していると主張する。原
告の上記主張の趣旨は明確ではないが,原告が「対称図形を考慮した作図
過程を試みた」とも主張していることや,対称図面を単に対称線で切って
別々に作図することは技術的に無意味であることにかんがみると,原告の
いう「正面図の中心線を境に図形をブロック化し,2分割の表現方法を採
用している」というのは,要するに,対称構造を有する物体のCAD図面
を作成するに当たり,その物体を対称線で区切り,その片側を作成した上,
これをコピーして反転させて貼り付けるという作図工程をとっているとい
う趣旨であると解される。
しかし,本件CAD図面を見ても原告が主張するような2分割の表現方
法を感知することはできないから,このような作図工程をとっていること
をもって創作的な表現ということはできない。
したがって,創作11dは,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるも
のとは認められない。
ソ創作11eについて
原告は,創作11eについて,本件CAD図面では,図形の延び縮みを
容易に行うことができる機能(パラメトリック機能)を使用しても,図形
形状に変形が起こらないような配列表現を行っていると主張する。
しかし,本件CAD図面がパラメトリック機能を有していることは画面
上で図形操作することにより確認することができるが,パラメトリック機
能を適切に使用することができるように図形を描くことが創作的な表現に
該当するものとはいえず,通常の作図方法による表現というべきであるか
ら,これについても表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,創作11eは,本件CAD図面の著作物性を根拠づけるも
のとは認められない。
()本件CAD図面の著作物性の検討方法3
ア以上に検討したとおり,原告が主張する創作1,5ないし10,11b,
11c,11d,11eは,いずれもアイデアそのものであって表現に当
たらないものであるか,表現であっても極めてありふれたものにすぎず,
それ自体として創作性のある表現であることを基礎づけるものとはなり得
ないものである。しかし,創作2ないし4及び11aに関しては,その表
現内容いかんによっては,創作性を認める余地がある。そこで,以下,個
別の本件CAD図面を確認して表現上の創作性の有無を判断することとす
る。
イところで,前記前提事実のとおり,1は,被告から交付された本件カP
タログ及び一部被告製品の現物に依拠して本件CAD図面を作成したもの
である。そうすると,本件カタログに描かれている被告製品の図面が図形
の著作物に当たるか否かはともかく,本件CAD図面のうち上記図面を通
常の作図方法に従って再現した部分には創作性を認める余地がなく,これ
に新たに付与された創作的部分のみについて著作権が生ずるものと解され
る。したがって,本件CAD図面が本件カタログに描かれている被告製品
の図面の内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製したものにすぎな
いものであるか,又は何ら創作的な部分を付与したものでなければ,本件
CAD図面が著作権による保護の対象とはならない。また,1は,一部P
被告製品にも依拠して本件CAD図面を作成したものである。したがって,
本件CAD図面のうち被告製品の現物を通常の作図法に従って再現した部
分にも創作性が認められず,これに新たに付与された創作的部分のみにつ
いて著作権が生じることは,上記同様である。
この点,原告は,本件CAD図面は,プリント出力される以前にコンピ
ューター内で完成しているコンピューター創作物であり,本件カタログと
は表現形式が全く異なるから,本件カタログは本件CAD図面の著作物性
の有無を判断する対象とはならないと主張する。
しかし,本件において創作性を認める余地のある創作2ないし4及び1
1aは,いずれもCAD図面に係るデータ構成上の創意工夫ではなく作図
上の創意工夫であることが明らかであり,1は本件カタログの被告製品P
の図面に依拠して本件CAD図面を作成したのであるから,本件CAD図
面と本件カタログの図面を対比するのは当然というべきである。
ウまた,本件CAD図面は,主として,CADによって設計業務を行う際
にCAD化された被告製品の設計図への取込みを可能にすることを目的と
して作成されたものであるから,被告製品の形状,寸法等を把握できるよ
う,通常の作図法に従い正確に描かれている必要があるから,具体的な表
現に当たって1が個性を発揮することができる範囲は広くないといえP
る。
そうすると,本件CAD図面と本件カタログの図面に相違部分があった
り,本件CAD図面に本件カタログにはない図が追加されていたとしても,
当該相違部分や追加された図が通常の作図法とは異なる方法で表現されて
いるなど,1の個性の現れを基礎付ける具体的な事実が立証されない限P
り,その部分に表現上の創作性を認めることはできないというべきである。
エ以下,個別の本件CAD図面について,上記イ,ウの観点に照らして創
作2ないし4及び11aに関する原告の主張を検討し,著作物性を判断す
ることとする。
()個別の本件CAD図面の検討4
ア本件CAD図面A
①本件CAD図面A−1
本件CAD図面A−1は,本件カタログ133頁の「A−1(製品」
形状は138頁に記載)に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面A−1の製品側面図(左から2番目,4番目,
6番目の図面)について,1が固有の形状を創作した(創作2,3)P
と主張する。
確かに,本件カタログには本件CAD図面A−1の製品側面図に対応
する図はない。しかし,このような製品側面図を追加すること自体はア
イデアの範疇に属するものであって,それ自体を著作権法で保護するこ
とはできない。
そして,その具体的な表現方法を見ても,上記製品側面図はスリット
の側面を横幅の広い略台形の形状で描いたというものにすぎず,その表
現方法はありふれたものであるし,これが通常の製図法とは異なる方法
で表現されているなどの具体的な立証もされていないのであるから,こ
の点に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件C
AD図面A−1が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張
立証はされていない。
したがって,本件CAD図面A−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面A−2
本件CAD図面A−2は,本件カタログ133頁の「A−2(製品」
形状は138頁に記載)に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−2左側の図について,レンズをイメ
ージして表現した(創作2,3,<イ>同右側の図について,製品の厚)
みを形状化して表現した(創作11a)と主張する。
<ア>については,確かに,本件CAD図面A−2左側の図には製品表
面の一部に格子線が描かれており,レンズをイメージして表現されてい
るものと認められる。しかし,このような表現方法は,財団法人日本規
格協会発行の「JISハンドブック製図(乙1)の図77に「ガラ」
ス」の表現方法として記載されている通常の製図法によるものというべ
きであるから,その点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面A−2右側の図は,本件CAD図面
A−1の製品側面図と同じ形状で描かれており,同図面と同様ありふれ
た表現であるから,表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−2が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はされていない。
したがって,本件CAD図面A−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面A−3
本件CAD図面A−3は,本件CAD図面A−1と同じ内容の図面で
あるから,同図面と同様,著作権法上保護される著作物と認めることは
できない。
④本件CAD図面A−4
本件CAD図面A−4は,本件カタログ233頁の「AG−410」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面A−4について,必要のないコード長さを省
略した(創作2,4)と主張する。
しかし,本件CAD図面A−4のコード部分は,本件カタログ233
頁の図に描かれているコードの一部を省略しているだけであり,その点
について新たな創作的表現を付加したものとはいえず,表現上の創作性
を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面A−4が表現
上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−4を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑤本件CAD図面A−5
本件CAD図面A−5は,本件カタログ233頁の「A−411」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−5上段左側の図について,投影図を
表現することにより製品の精密さを強化した(創作3,4,<イ>同上)
段右側の図について,検出面のローラーを詳細に描き,クレビス形状を
創作した(創作2,3,<ウ>同下段の図について,正面図と同じ形状)
の部分を省略し,データ容量を減らした(創作2,4)と主張する。
<ア>については,本件CAD図面A−5上段左側の図は,本件カタロ
グには描かれていない投影図であるが,このような投影図を描くこと自
体はアイデアにすぎないし,これが通常の製図法とは異なる方法で表現
されているなどの具体的な立証もされていないから,その点に表現上の
創作性を認めることはできない。
<イ>については,本件CAD図面A−5上段右側の図は,本件カタロ
グ233頁の図と比べると,検出面のローラーの軸部分がやや細く描か
れているなどの違いがあるが,その違いは軽微であり,全体として本件
カタログ233頁の図の内容及び形式を覚知させるに足りるものを再製
したものにすぎないというべきであり,新たな創作的部分を付加したも
のということはできない。
<ウ>についても,本件CAD図面A−5下段の図では本件カタログ2
33頁の図に描かれている胴部左側が省略して描かれているが,図面の
一部を省略しただけであり,新たな創作的部分を付加したものとはいえ
ない。
そして,他に,本件CAD図面A−5が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−5を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面A−6
本件CAD図面A−6は,本件カタログ233頁の「AG−412」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−6左側の図について,投影図を表現
することにより製品の形状を強化した(創作4,<イ>同右側の図につ)
いて,ヘッドのストローク動作を考えた形状で表現した(創作2,<)
ウ>同右側の図について,必要のないコードを省略した(創作4)と主
張する。
<ア>については,本件CAD図面A−5上段左側の図と同様の理由に
より,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面A−5上段右側の図と同様の理由に
より,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>についても,本件CAD図面A−4と同様の理由により,この点
に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−6が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑦本件CAD図面A−7
本件CAD図面A−7は,本件カタログの233頁の「AG−41
3」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−7左側の図について,投影図を表現
することにより製品の形状を強化した(創作4,<イ>同右側の図につ)
いて,ヘッド径を実寸値で表現した(創作2,3,<ウ>同右側の図に)
ついて,必要のないコード長さを省略した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面A−5上段左側の図と同様
の理由により,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,ヘッド径を実寸値で表現すること自体はアイデアの
範疇に属するものであり,その点に創作性を認めることはできないし,
同部分が通常の製図法とは異なる方法で表現されているなどの具体的な
立証もされていないから,その点に表現上の創作性を認めることもでき
ない。
<ウ>についても,本件CAD図面A−4と同様の理由により,この点
に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−7が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−7を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑧本件CAD図面A−8
本件CAD図面A−8は,本件カタログ233頁の「AG−80」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−8上段及び下段左側の図について,
投影図を表現することにより製品の形状をリアル化した(創作4,<)
イ>同下段右側の図について,傾斜ポイントを表記することにより製品
の形状をリアル化した(創作2,<ウ>同右側の図について,レース爪)
形状を創作して表現した(創作3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ233頁にも本件CAD図面
A−8上段の図と同形状の図が描かれているから,1による創作的なP
表現とは認められない。本件CAD図面A−8下段の図は,本件カタロ
グ233頁に描かれていないが,同製品の投影図を付加することはアイ
デアの範疇に属することでありし,その表現方法も通常の製図法に従っ
たありふれたものにすぎないことが明らかである。
<イ>については,本件CAD図面A−8下段右側の図と本件カタログ
233頁に描かれている図を比べても,製品の傾斜部の形状に違いがあ
るとは認められず,この点に表現上の創作性を認めることはできないこ
とが明らかである。
<ウ>についても,本件CAD図面A−8と本件カタログ233頁に描
かれている製品形状を比べても,原告が主張するレース爪部分の表現に
は軽微な違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは到底認め
られず,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−8が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−8を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑨本件CAD図面A−9
本件CAD図面A−9は,本件カタログ245頁の「AP−11」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面A−9右側の図について,<ア>ねじ部分につ
いて独自の形状を表現し,リアル化した(創作2,11a,<イ>コー)
ドの取付部分のゴムブッシュをフレキシブルに表現した(創作3,4)
と主張する。
しかし,本件CAD図面A−9右側の図と本件カタログ245頁に描
かれている図を比べても,原告が主張するねじ部分及びコード取付部分
の形状には軽微な違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは
認められず,これらの点に表現上の創作性を認めることはできない。そ
して,他に,本件CAD図面A−9が表現上の創作性を有することにつ
いて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−9を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑩本件CAD図面A−10
本件CAD図面A−10は,本件CAD図面A−9と同じ内容の図面
であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑪本件CAD図面A−11
本件CAD図面A−11は,本件カタログ245頁の「AP−13」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面A−11右側の図について,<ア>ねじ部分に
ついて独自の形状を表現した(創作2,<イ>Rの表現により,金属性)
(冷間加工)管のイメージを強化した(創作3,4,11a)と主張す
る。
しかし,本件CAD図面A−11右側の図と本件カタログ245頁に
描かれている図を比べても,原告が主張するねじ部分やRを表現したと
いう部分の形状には軽微な違いしかなく,新たな創作的表現を付加した
ものとは認められず,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−11が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−11を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面A−12ないしA−14
本件CAD図面A−12ないしA−14は,本件カタログ245頁の
「AP−14,15,16」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面A−12ないしA−14について,本件CA
D図面A−11と同様に創作2ないし4及び11aを具備すると主張す
る。
しかし,本件CAD図面A−12ないしA−14は,本件CAD図面
A−11と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認
めることはできない。そして,他に,本件CAD図面A−12ないしA
−14が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はな
されていない。
したがって,本件CAD図面A−12ないしA−14を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
⑬本件CAD図面A−15
弁論の全趣旨によれば,1は,本件CAD図面A−15に係る製品P
(圧力センサ)が本件カタログに掲載されていなかったので,本件カタ
ログ241頁の「AP−20A」シリーズ(LED式デジタル圧力セン
サ)に依拠して本件CAD図面A−15を作成したことが認められる。
原告は,<ア>本件CAD図面A−15上段,下段左側及び下段中央の
図について,圧力コネクタを部品として挿入した(創作4,<イ>同下)
段左側の図について,操作盤面図を表現した(創作2,3,<ウ>同下)
段中央の図について,コードを曲げた状態で表現した(創作2)と主張
する。
しかし,<ア>については,本件カタログには本件CAD図面A−15
に描かれているような圧力コネクタの図はないが,圧力コネクタの図を
付加すること自体はアイデアにすぎないし,これが通常の製図法とは異
なる方法で表現されているなどの具体的な立証もされていないから,表
現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,本件カタログ241頁にも本件CAD図面A−15
下段左側の図と同様の形状の操作盤が描かれており,これに新たな創作
的表現を付加したものとは認められないから,この点は1による創P
作的な表現とは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面A−15下段中央の図は,本件カタ
ログ241頁の製品図と比べるとコードが90度折れ曲がった状態で描
かれているという違いがあるが,このような表現はありふれたものであ
り,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面A−15が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−15を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑭本件CAD図面A−16及びA−17
本件CAD図面A−16及びA−17は,いずれも本件CAD図面A
−15と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作
権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑮本件CAD図面A−18
本件CAD図面A−18は,本件カタログ245頁の「AP−80
A」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面A−18下段左側の図について操作盤面
図をイメージ化して表現した(創作2,<イ>同上段の図について電線)
接続を表現し(創作2,端子台を表現することにより製品価値を上げ)
た(創作3,4,<ウ>同上段及び下段右側の図について,取手ボタン)
を創作した(創作3,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ245頁にも本件CAD図面
A−18下段左側の図と同様の形状の操作盤面図が描かれており,これ
に新たな創作的表現を付加したものとは認められないから,この点をも
って1による創作的な表現とは認められない。P
<イ>については,電線接続及び端子台を追加すること自体はアイデア
にすぎないし,これが通常の製図法とは異なる方法で表現されているな
どの具体的な立証もされていないから,この点に表現上の創作性を認め
ることはできない。
<ウ>についても,本件カタログ245頁にも本件CAD図面A−18
上段及び下段の図と同様の形状の取手ボタンが描かれており,これに新
たな創作的表現を付加したものとは認められないから,1による創作P
的な表現とは認められない。
そして,他に,本件CAD図面A−18が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面A−18を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑯本件CAD図面A−19
本件CAD図面A−19は,本件CAD図面A−18と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
イ本件CAD図面E
①本件CAD図面E−1
本件CAD図面E−1は,本件カタログ205頁の「ED−118
M」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面E−1上段の図について,コードの取付
),部分のゴムブッシュをフレキシブルに表現した(創作3,4,11a
<イ>同下段右側の図について,歯付き座金形状を独自に表現し,隠線処
理をしていない(創作2)と主張する。
<ア>については,本件CAD図面E−1上段の図と本件カタログ20
5頁に描かれている図を比べても,原告が主張するコードの取付部分の
表現には軽微な違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは認
められないから,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,確かに,本件CAD図面E−1下段右側の図と本件
カタログ205頁の図を比べると,本件CAD図面E−1下段右側の図
では歯付き座金が,縦長の長方形に斜めに傾いた四角形が長方形の中心
部分を中心として点対称に配置され,その四角形同士が斜めの直線で結
ばれているという形状で描かれているのに対し,本件カタログ205頁
では,同部分は単に縦長の長方形だけで描かれているという違いがあり,
この点について表現上の創作性を認める余地がある。しかし,証拠(乙
5ないし8,枝番を含む)及び弁論の全趣旨によれば,日本規格協会。
発行のJIS(昭和52年10月1日改正版)には,歯付き座金が本件
CAD図面E−1下段右側の図とほぼ同様の形状で描かれていること,
株式会社サイコーインダストリー,実川製作株式会社及び株式会社コノ
エの製品図面においても,歯付き座金が本件CAD図面E−1下段右側
の図とほぼ同様の形状で描かれていることが認められ,これに照らせば,
本件CAD図面E−1下段右側の図の歯付き座金の形状は,歯付き座金
の形状を表現するものとしてありふれた表現であると認められるから,
この点をもって,表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,本件CAD図面E−1下段右側の図の歯付き座金の形状
をもって,表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本
件CAD図面E−1が表現上の創作性を有することについて,具体的な
主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面E−2ないしE−4
本件CAD図面E−2ないしE−4は,順に本件カタログ205頁の
「ED−118U「ED−130M「ED−130U」に対応す」,」,
る図面である。
原告は,本件CAD図面E−2ないしE−4について,本件CAD図
面E−1と同様に創作2ないし4及び11aを具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−2ないしE−4の原告が創作2ないし4
及び11aを具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−1と同一
の形状であるから,同図面と同様の理由により,これらの点について表
現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面
E−2ないしE−4が表現上の創作性を有することについて,具体的な
主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−2ないしE−4を著作権法上保護さ
れる著作物と認めることはできない。
③本件CAD図面E−5
本件CAD図面E−5は,本件カタログ220頁の「EH−108」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−5について,独自の六角ナットの形状を
表現した(創作2,4)と主張するが,本件カタログ220頁に描かれ
ている図と比べてもほとんど違いはなく,新たな創作的表現を付加した
ものとは到底いえず,その点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−5が表現上の創作性を有することに
ついて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−5を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面E−6
本件CAD図面E−6は,本件カタログ220頁の「EH−110」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−6について,本件CAD図面E−5と同
様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−6の原告が創作2及び4を具備すると主
張する部分は,本件CAD図面E−5と同一の形状であるから,同図面
と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面E−6が表現上の創作性を
有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑤本件CAD図面E−7
本件CAD図面E−7は,本件カタログ221頁の「EH−110
S」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−7右側の図について,<ア>六角ナットを
独自の形状で表現し,隠線処理をしていない(創作2,<イ>スパイラ)
ルチューブについて,2.5次元的な線の構成と螺旋形状により金属管
特有のフレキシビリティ感を表現した(創作3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−7右側の図と本件カタ
ログ221頁に描かれている図を比べても,原告が主張する六角ナット
の形状には僅かな違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは
認められないから,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>の点については,確かに,本件CAD図面E−7右側の図と本件
カタログ221頁に描かれている図を比べると,本件CAD図面E−7
右側の図ではスパイラルチューブが大小の平行四辺形を平行かつ等間隔
に配置するという形状で描かれているのに対し,本件カタログ221頁
では横長の長方形の中に長方形に近い形状の楕円をやや斜めにして均等
に配列するという形状で描かれているという違いがある。このような表
現上の相違により,本件CAD図面E−7は本件カタログ221頁に描
かれている図と対比してスパイラルチューブの部分がより立体的に表現
されているということができ,この点に表現上の創作性を認める余地が
ある。しかし,証拠(乙9の1ないし乙10の2)によれば,株式会社
ハギテック及び日本シンテック株式会社の製品図においても,本件CA
D図面E−7右側の図と同様の形状でチューブが描かれていることが認
められる。もっとも,これらは上記各社のウェブサイトに掲載された図
面であり,その作成時期は必ずしも明らかではないが,これらの図面が
本件CAD図面E−7に依拠したものと認めるに足りる証拠はない。こ
れに照らせば,本件CAD図面E−7右側の図のスパイラルチューブの
形状もありふれた表現と考えられるから,この点をもって,表現上の創
作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−7が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−7を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面E−8
本件CAD図面E−8は,本件カタログ221頁の「EH−114」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−8について,本件CAD図面E−5と同
様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−8の原告が創作2及び4を具備すると主
張する部分は,本件CAD図面E−5と同一の形状であるから,同図面
と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面E−8が表現上の創作性を
有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−8を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑦本件CAD図面E−9
本件CAD図面E−9は,本件カタログ221頁の「EH−290」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−9について,CAD図では使用されない
ケーブルを描き,配線工事用に端末処理まで示した(創作2,創作4)
と主張する。
しかし,本件CAD図面E−9は,本件カタログ221頁の図と比べ
ても,ケーブルの格子状の柄を省略したという違いがあるにすぎず,新
たな創作的表現を付加したものとは認められず,この点に表現上の創作
性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−9が表
現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていな
い。
したがって,本件CAD図面E−9を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑧本件CAD図面E−10
本件CAD図面E−10は,本件カタログ220頁の「EH−30
2」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−10について,CAD図では使用されな
いケーブルを描き,配線工事用に端末処理まで示した(創作2ないし
4)と主張する。
しかし,本件CAD図面E−10のケーブル部分は,本件カタログ2
20頁の図のケーブル部分の格子状の柄を省略したものにすぎず,新た
な創作的表現を付加したものとは認められず,この点に表現上の創作性
を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−10が表
現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていな
い。
したがって,本件CAD図面E−10を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑨本件CAD図面E−11及びE−12
本件CAD図面E−11及びE−12は,順に本件カタログ220頁
の「EH−303A「EH−305」に対応する図面である。」,
原告は,本件CAD図面E−11及びE−12について,本件CAD
図面E−10と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−11及びE−12の原告が創作2ないし
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−10と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の
創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−1
1及びE−12が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張
立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−11及びE−12を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
⑩本件CAD図面E−13
本件CAD図面E−13は,本件カタログ220頁の「EH−305
S」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−13について,<ア>CAD図では使用さ
れないケーブルを描き,配線工事用に端末処理まで示した(創作2,
4,<イ>スパイラルチューブについて,2.5次元的な線の構成と螺)
旋形状により金属管特有のフレキシビリティ感を表現し,湯沸器給湯管
をイメージした(創作2,3,11a)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−13のケーブル部分は,
本件カタログ220頁の図のケーブル部分の格子状の柄を省略したもの
にすぎず,新たな創作的表現を付加したものとは認められないから,こ
の点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面E−13のスパイラルチューブの形
状は,本件CAD図面E−7に描かれているスパイラルチューブの形状
と同じものであるから,本件CAD図面E−7と同様の理由により,表
現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−13が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−13を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑪本件CAD図面E−14
本件CAD図面E−14は,本件カタログ220頁の「EH−30
8」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−14について,本件CAD図面E−10
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−14の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面E−10と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−14が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−14を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面E−15
本件CAD図面E−15は,本件カタログ220頁の「EH−308
S」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−15について,本件CAD図面E−13
と同様に創作2ないし4及び11aを具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−15の原告が創作2ないし4及び11a
を具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−13と同一の形状で
あるから,同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創
作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−15
が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされて
いない。
したがって,本件CAD図面E−15を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑬本件CAD図面E−16
本件CAD図面E−16は,本件カタログ221頁の「EH−40
2」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−16について,本件CAD図面E−10
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−16の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面E−10と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−16が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−16を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑭本件CAD図面E−17
本件CAD図面E−17は,本件カタログ221頁の「EH−41
6」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−17について,本件CAD図面E−5と
同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−17の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面E−5と同一の形状であるから,同図
面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面E−17が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−17を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑮本件CAD図面E−18
本件CAD図面E−18は,本件カタログ221頁の「EH−42
2」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−18について,<ア>CAD図では使用さ
れないケーブルを描き,配線工事用に端末処理まで示した(創作2,創
作3,<イ>省略画法によらない六角ナットを表現した(創作4)と主)
張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−18のケーブル部分は,
本件カタログ221頁の図のケーブル部分の格子状の柄を省略したもの
にすぎず,新たな創作的表現を付加したものとは認められないから,こ
の点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面E−18は,本件カタログ221頁
に描かれている図と比べてもほとんど違いはなく,新たな創作的表現を
付加したものとは認められないから,この点に表現上の創作性を認める
ことはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−18が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−18を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑯本件CAD図面E−19及びE−20
本件CAD図面E−19及びE−20は,順に本件カタログ221頁
の「EH−430「EH−440」に対応する図面である。」,
原告は,本件CAD図面E−19及びE−20について,本件CAD
図面E−18と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−19及びE−20の原告が創作2ないし
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−18と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の
創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−1
9及びE−20が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張
立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−19及びE−20を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
⑰本件CAD図面E−21
本件CAD図面E−21は,本件カタログ221頁の「EH−614
A」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−21について,<ア>CAD図では使用さ
れないケーブルを描き,配線工事用に端末処理まで示した(創作2,
3,<イ>感知領域を表示した(創作2,4)と主張する。)
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−21のケーブル部分は,
本件カタログ221頁の図のケーブル部分の格子状の柄を省略したもの
にすぎず,新たな創作的表現を付加したものとは認められず,この点に
表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面E−21の感知領域は,本件カタロ
グ221頁にも同様の形状で描かれており,新たな創作的表現を付加し
たものとは認められないから,この点に表現上の創作性を認めることは
できない。
そして,他に,本件CAD図面E−21が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−21を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑱本件CAD図面E−22
本件CAD図面E−22は,本件カタログ211頁の「EM−00
5」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面E−22上段の図について,CADでは
使用しないケーブルを描き配線工事用に芯数を示した(創作2,3,)
<イ>同上段の図について,省略画法によらない六角ナットを表現した
(創作4,<ウ>同下段の図について,データ容量を低減した必要な投)
影図を表現した(創作3,4)と主張する。
しかし,<ア>,<イ>については,本件CAD図面E−22上段の図の
ケーブル及び六角ナット部分は,本件カタログ211頁の図と比べても
軽微な違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは認められな
いから,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>についても,本件カタログ211頁最下段には本件CAD図面E
−22と同様の投影図が掲載されているのであるから,新たな創作的表
現を付加したものとは認められず,この点をもって表現上の創作性を認
めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−22が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−22を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑲本件CAD図面E−23ないしE−28
本件CAD図面E−23ないしE−28は,順に,本件カタログ21
1頁の「EM−010「EM−014「EM−030「EM−」,」,」,
038「EM−054「EM−080」に対応する図面である。」,」,
原告は,本件CAD図面E−23ないしE−28について,本件CA
D図面E−22と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,原告が創作2ないし4を具備すると主張する本件CAD図面
E−23ないしE−28の部分は,本件CAD図面E−22と同一の形
状であるから(ただし,本件CAD図面E−25ないしE−28には六
角ナットは描かれていない,本件CAD図面E−22と同様の理由。)
により,これらの点について表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−23ないしE−28が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−23ないしE−28を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
⑳本件CAD図面E−29
本件CAD図面E−29は,本件カタログ220頁の「ES−11A
C」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面E−29下段左側の図について,独自の
ねじ形状を表現した(創作2,<イ>同上段の図について,端子台及び)
付属金具ASSYを表現した(創作3,<ウ>同上段の図について,成)
形部品の特徴とした勾配や捨て穴を表記した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−29下段左側の図のネ
ジ部分の表現は,本件カタログ220頁の図に描かれているネジ部分の
円の上に描かれている十字部分の上下左右の長さを変更したというもの
にすぎず,軽微な違いがあるにすぎないから,新たな創作的表現を付加
したものとは認められず,この点に表現上の創作性を認めることはでき
ない。
<イ>については,本件カタログには本件CAD図面E−29上段の図
に対応する図は存在しないが,このような端子台及び付属金具ASSY
の図を付加すること自体はアイデアにすぎないし,これが通常の製図法
と異なる方法で表現されていることの具体的な立証もされていないから,
表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>についても,原告が主張する勾配及び捨て穴がどの部分を指すの
か明らかでなく,結局この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−29が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−29を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3021
本件CAD図面E−30は,本件カタログ220頁の「ES−12A
C」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−30上段の図について,<ア>端子台及び
付属金具ASSYを表現した(創作2,3,<イ>独自のねじ形状を表)
現した(創作2,<ウ>表示灯とトリマを表現した(創作2,<エ>成))
形部品の特徴とした勾配や捨て穴を表現した(創作4)と主張する。
<ア>については,本件カタログには本件CAD図面E−30上段の図
に対応する図は存在しないが,端子台及び付属金具ASSYの図を付加
すること自体はアイデアにすぎず,これが通常の製図法と異なる方法で
表現されていることの具体的な立証もされていないから,表現上の創作
性を認めることはできない。
<イ>については,本件CAD図面E−30上段の図ではネジの上端部
分の側面が半円状で描かれているだけであり,通常のありふれた表現で
あるから,表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>,<エ>についても,原告が主張する表示灯,トリマ,勾配及び捨
て穴がどの部分を指すのか明らかでなく,結局この点に表現上の創作性
を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−30が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−30を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3122
本件CAD図面E−31は,本件CAD図面E−29と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3223
本件CAD図面E−32は,本件CAD図面E−30と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3324
本件CAD図面E−33は,本件カタログ220頁の「ES−X3
8」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−33について,<ア>カバーの構成とヒン
ジを表現した(創作2,3,<イ>成形部品の特徴とした勾配や捨て穴)
を表現した(創作4,<ウ>同下段右側の図について,レール形状にあ)
った爪を表現した(創作2)と主張する。
<ア>については,本件カタログ220頁の図にも本件CAD図面E−
33と同様の形状のカバー及びヒンジが描かれているから,新たな創作
的表現を付加したものとは認められず,この点に表現上の創作性を認め
ることはできない。
<イ>についても,原告が主張する勾配及び捨て穴がどの部分を指すの
か明らかでなく,結局この点に表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>についても,本件CAD図面E−33下段右側の図の爪部分の表
現は,本件カタログ220頁の図に描かれている製品の爪部分の形状と
比較しても僅かな違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは
認められず,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−33が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−33を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3425
本件CAD図面E−34は,本件カタログ225頁の「ET−11
0」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−34について,本件CAD図面E−5と
同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−34の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面E−5と同一の形状であるから,同図
面と同様の理由により,この点について表現上の創作性を認めることは
できない。そして,他に,本件CAD図面E−34が表現上の創作性を
有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−34を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−35及びE−3626
本件CAD図面E−35及びE−36は,順に本件カタログ225頁
の「ET−305「ET−308」に対応する図面である。」,
原告は,本件CAD図面E−35及びE−36について,本件CAD
図面E−10と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−35及びE−36の原告が創作2及び4
を具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−10と同一の形状で
あるから,同図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性
を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−35及び
E−36が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証は
なされていない。
したがって,本件CAD図面E−35及びE−36を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−3727
本件CAD図面E−37は,本件カタログ225頁の「ET−90」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面E−37上段の図について,カバーの構
成とRを削除して金属感を表現した(創作2,3,<イ>同上段の図に)
ついて,成形部品を略図化した(創作4,<ウ>同下段右側の図につい)
て,レール形状にあった爪を記載した(創作2)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面E−37上段の図は,本件
カタログ225頁の図と比べるとカバー部分が省略して描かれてはいる
が,それだけでは新たな創作的表現を付加したものとは認められず,こ
の点に表現上の創作性を認めることはできない。Rを削除したという点
についても,本件カタログ225頁の図と比較してもどの点に変更が加
えられたのか明らかではなく,これも新たな創作的表現を付加したもの
とは認められないから,この点に表現上の創作性を認めることはできな
い。
<イ>については,本件CAD図面E−37上段の図は,本件カタログ
225頁の図と比べると,点線で成形部品の形状が付加されていること
が認められるが,成形部品を付加すること自体はアイデアにすぎないし,
具体的な表現方法も点線で長方形を描くというありふれたものであるか
ら,表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>については,本件CAD図面右側の図の爪部分の表現は,本件カ
タログ225頁の図に描かれている製品の爪部分の形状と比較しても僅
かな違いしかなく,新たな創作的表現を付加したものとは認められない
から,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面E−37が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−37を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−38ないしE−5528
本件CAD図面E−38ないしE−55は,順に本件カタログ195
頁「EV−108M,同頁「EV−108U,同頁「EV−112」」
F,同頁「EV−112M,同頁「EV−112U,同頁「EV−」」」
118F,同頁「EV−118M,同頁「EV−118U,同頁」」」
「EV−12M,同頁「EV−130F,同頁「EV−130M,」」」
同頁「EV−130U,同頁「EV−18M,同頁「EV−30」」
M,201頁「EZ−12M,同頁「EZ−18M,同頁「EZ−」」」
8M,同頁「EZ−30M」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面E−38ないしE−55について,本件CA
D図面E−10と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面E−38ないしE−55の原告が創作2及び
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面E−10と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,この点について表現上の創作
性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面E−38な
いしE−55が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立
証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−38ないしE−55を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面E−5629
本件CAD図面E−56は,本件カタログ201頁「EZ−18T」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面E−56について,センサー感知部を表示し,
動作表示を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面E−56の感知部及び動作表示部は,本件カ
タログ201頁の図に描かれている製品の形状と比較しても相違部分は
なく,新たな創作的表現を付加したものとは認められないから,この点
に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD
図面E−56が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立
証はなされていない。
したがって,本件CAD図面E−56を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
ウ本件CAD図面F
①本件CAD図面F−1
本件CAD図面F−1は,本件カタログ89頁の「F−1」に対応す
る図面である。
原告は,本件CAD図面F−1について,レンズをシンボルで表現し
(創作3,加工品のイメージを強化するための面取り表現を採用した)
(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−1は,本件カタログ89頁の図と比較し
てもほとんど違いはなく,新たな創作的表現を付加したものとは認めら
れないから,この点に表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,本件CAD図面F−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面F−2
本件CAD図面F−2は,本件カタログ89頁の「F−2」に対応す
る図面である。
原告は,本件CAD図面F−2について,本件CAD図面F−1と同
様に創作3及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−2は,本件カタログ89頁の図と比較し
てもほとんど違いはなく,新たな創作的表現を付加したものとは認めら
れないから,表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,本件CAD図面F−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面F−3
本件CAD図面F−3は,本件カタログ145頁の「F−20」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−3について,加工品のイメージ強化のた
めの面取表現を採用した(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−3は,本件カタログ145頁の図と比較
しても僅かな違いしかなく,その違いについて新たな創作的表現を付加
したものとは認められないから,その点に表現上の創作性を認めること
はできない。
したがって,本件CAD図面F−3を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面F−4及びF−5
本件CAD図面F−4及びF−5は,順に本件カタログ89頁「F−
2FA,同頁「F−3HA」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面F−4及びF−5について,本件CAD図面
F−1と同様に創作3及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−4及びF−5は,本件カタログ89頁の
図と比較してもほとんど違いはなく,いずれも新たな創作的表現を付加
したものとは認められないから,この点に表現上の創作性を認めること
はできない。
したがって,本件CAD図面F−4及びF−5を著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
⑤本件CAD図面F−6
本件CAD図面F−6は,本件カタログ99頁の「アンプユニット
FS2−60」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面F−6上段左側の図について,表示関係
を作図した(創作3,<イ>同上段右側の図について,カバーの構成と)
Rの削除により金属感を表現した(創作2,3,<ウ>同上段右側の図)
について,成形部品を略図化した(創作4,<エ>同下段左側の図につ)
いて,レール形状にあった爪を記載した(創作2)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−6の上段左側の図で表
示関係を作図したと原告が主張する部分は,本件カタログ99頁の「表
示灯」と記載されている部分の形状とほとんど違いは認められず,新た
な創作的表現を付加したものとは認められない。
<イ>については,カバーの構成を削除したという点は,本件カタログ
99頁の製品に点線で描かれているファイバーユニットを省略したこと
を指すものと解されるが,そのような一部分を省略しただけでは表現上
の創作性を認めることはできない。また,Rを削除したという点につい
ては,本件カタログ99頁に描かれている製品形状と比較してもどの点
に変更が加えられたのか判然とせず,新たな創作的表現を付加したもの
とは認められない。
<ウ>については,製品形状を略図化したという点は,本件カタログ9
9頁の製品に描かれている被告の名称を示すロゴを省略したことを指す
と解されるが,そのような一部分を省略しただけでは創作的な表現が加
えられたとは認められない。
<エ>については,本件CAD図面右側の図の爪部分の表現は,本件カ
タログ99頁に描かれている製品の爪部分の形状と比較しても,僅かな
違いしかなく,その違いについて新たな創作的表現を付加したものとは
認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−6が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面F−7ないしF−9
本件CAD図面F−7ないしF−9は,いずれも本件CAD図面F−
6と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法
上保護される著作物と認めることはできない。
⑦本件CAD図面F−10
本件CAD図面F−10は,本件カタログ145頁の「ファイバユニ
ットFS−L40」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面F−10上段右側及び中段の図について,
コネクタ部を創作して形状化し(創作2,3,成形部品を略図化した)
(創作4,<イ>同下段右側の図について,CAD図では一般的に表現)
しない補強材を作図した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−10の中段の図のコネ
クタ部の側面図は,本件カタログ145頁にはないが,このような側面
図を付加すること自体はアイデアにすぎないし,これが通常とは異なる
製図法で描かれているとの立証もない。また,成形部品を略図化したと
いう点についても,本件CAD図面F−10では本件カタログ145頁
の図に比べてコネクタ部が簡略化して描かれているが,これをもって新
たな創作的表現を付加したものとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面F−10下段の右側の図の補強材は,
本件カタログ145頁の図にも同様に描かれているものであるから,新
たな創作的表現を付加したものとは認められず,表現上の創作性を認め
ることはできない。
そして,他に,本件CAD図面F−10が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−10を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑧本件CAD図面F−11
本件CAD図面F−11は,本件カタログ145頁「FS−L50」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−11について,本件CAD図面F−10
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−11は,原告が創作2ないし4を具備す
ると主張する部分が本件CAD図面F−10と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−11が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−11を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑨本件CAD図面F−12
本件CAD図面F−12は,本件カタログ145頁の「アンプユニッ
トFS−L70」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面F−12上段左側の図について,コネク
タ部を創作して形状化し(創作2,3,成形部品を略図化した(創作)
4,<イ>同下段左側の図について,ゴムブッシュのフレキシブル感を)
描いた(創作2,3,<ウ>同下段左側の図では,取り付けレールの形)
状にあったアタッチメントを表現した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,原告が本件CAD図面F−12上段左側の
図のコネクタ部と主張する部分は,本件カタログ145頁にも「ファイ
バユニット部」として同様の形状で描かれているから,新たな創作的表
現を付加したものとは認められず,この点に表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
<イ>については,本件CAD図面F−12と本件カタログ145頁と
では,ゴムブッシュの形状には軽微な違いしか認められず,その違いに
ついて新たな創作的表現を付加したものとは認められない。
<ウ>については,原告が主張するアタッチメントは,本件カタログ1
45頁にも同様の形状で描かれているものであり,本件CAD図面F−
12に新たな創作的な表現を付加したとものは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−12が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−12を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑩本件CAD図面F−13
本件CAD図面F−13は,本件カタログ83頁の「アンプユニット
FS−M0」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−13下段右側の図について,<ア>カバー
の開放時の状態を示した(創作2ないし4,<イ>センサー感知部を形)
状化した(創作2,<ウ>レール形状に一致した爪を記載し,銘板及び)
表示部を図形化した(創作2)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−13のカバー開放時の
状態については,本件カタログ同頁の「アンプユニットFS−T1/
M1/TIG/MIG(本件CAD図面F−13に係る製品と同形状」
の製品)の箇所に記載されているものであり,1はこれを参考にしたP
ものと推認されるから,本件CAD図面F−13に新たな創作的な表現
が加えられたとは認められない。
<イ>,<ウ>については,本件CAD図面F−13の爪部分に関する表
現は,本件カタログ83頁の図の表現と軽微な違いしかないし,原告が
主張するセンサー感知部,銘板及び銘板表示部がどの部分を指すのか判
然とせず,本件CAD図面F−13と本件カタログ83頁の図を比較し
ても,本件CAD図面F−13に新たな創作的な表現が加えられたとは
認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−13が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−13を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑪本件CAD図面F−14
本件CAD図面F−14は,本件カタログ83頁の「アンプユニット
FS/M1」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−14について,<ア>カバーの開放時の状
態を示した(創作2,3,<イ>レール形状に一致したアタッチメント)
を表現し,銘板,表示部,センサー感知部を図形化ないし形状化した
(創作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ83頁にそもそもカバー開放
時の形状が記載されているのであるから,本件CAD図面F−14に新
たな創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>については,原告が主張するアタッチメント,銘板,表示部,セ
ンサー感知部がどの部分を指すのか判然としない上,本件CAD図面F
−14と本件カタログ83頁の図を比較しても,本件CAD図面F−1
4に新たな創作的な表現が加えられた部分があるとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−14が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−14を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面F−15
本件CAD図面F−15は,本件CAD図面F−14と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
⑬本件CAD図面F−16
本件CAD図面F−16は,本件カタログ83頁「FS−M2」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−16について,本件CAD図面F−13
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−16は,原告が創作2ないし4を具備す
ると主張する部分が本件CAD図面F−13と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。
そして,他に,本件CAD図面F−16が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−16を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑭本件CAD図面F−17
本件CAD図面F−17は,本件カタログ84頁の「アンプユニット
FS−R0」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−17について,<ア>コネクタキャッチを
創作してリアルに表現し,コネクタピンについてもリアルに表現した
(創作2,3,<イ>レール形状に一致した爪を記載した(創作2,)
4,<ウ>銘板及び表示関係を図形化した(創作2,4,<エ>配線用))
ケーブルを形状化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−17と本件カタログ8
4頁の図を比べても,原告がコネクタキャッチと主張する部分について
の表現方法には軽微な違いしかなく,本件CAD図面F−17に新たな
創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面F−17の爪部分に関する表現は,
本件カタログ84頁の図の表現と軽微な違いしかなく,その違いについ
て新たに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<ウ>については,原告が主張する銘板,表示関係がどの部分を指すの
か明らかでない上,本件CAD図面F−17と本件カタログ84頁の図
を比較しても,本件CAD図面F−17に創作的な表現が加えられた部
分があるとは認められない。
<エ>についても,配線用ケーブルは本件カタログ84頁にも記載され
ているから,新たな創作的表現を付加したものとは認められず,この点
をもって創作的な表現を認めることもできない。
そして,他に,本件CAD図面F−17が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−17を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑮本件CAD図面F−18
本件CAD図面F−18は,本件カタログ84頁の「アンプユニット
FS−R3」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面F−18上段の図について,端子台及び
付属金具ASSYを作図し,コネクタをリアルに表現した(創作2,
3,<イ>同下段左側の図について,カバー内部を創作した(創作2,)
3,<ウ>レール形状に一致した爪を記載した(創作2,4,<エ>表))
示警報関係を図形化した(創作2,<オ>銘板及び表示関係を図形化し)
た(創作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−18と本件カタログ8
4頁の図を比べても,原告が端子台及び付属金具ASSYと主張する部
分についての表現方法には軽微な違いしかなく,その違いについて本件
CAD図面F−18に新たな創作的な表現が加えられたとは認められな
い。
<イ>については,本件カタログ84頁にも製品のカバー内部の図面は
描かれているから,本件CAD図面F−18に新たな創作的な表現が加
えられたということはできない。
<ウ>については,本件CAD図面F−18の爪部分に関する表現は,
本件カタログ84頁の表現と軽微な違いしかなく,その違いについて新
たな創作的な表現が加えられたとは認められない。
<エ>,<オ>については,原告が主張する表示警報関係,銘板及び表示
関係がどの部分を指すのか明らかでない上,本件CAD図面F−18と
本件カタログ84頁の図を比較しても,本件CAD図面F−18に新た
な創作的な表現が加えられた部分があるとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−18が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−18を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑯本件CAD図面F−19
本件CAD図面F−19は,本件CAD図面F−13と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
⑰本件CAD図面F−20及びF−21
本件CAD図面F−20及びF−21は,いずれも本件CAD図面F
−14と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作
物と認めることはできない。
⑱本件CAD図面F−22
本件CAD図面F−22は,本件CAD図面F−16と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
⑲本件CAD図面F−23
本件CAD図面F−23は,本件カタログ91頁の「アンプユニット
FS−T20」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−23について,<ア>カバーを別部品とし
た(創作2,3,<イ>取り付け形状にあったアタッチメントを表現し)
た(創作2,4,<ウ>銘板及び表示関係を図形化し,センサー感知部)
を形状化した(創作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−23のカバー部分の表
現方法は,本件カタログ91頁の図のカバー部分の表現とほとんど違い
がなく,本件CAD図面F−23に新たな創作的な表現が加えられてい
るとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面F−23のアタッチメント部分の表
現は,本件カタログ91頁の図のアタッチメントの表現とほとんど違い
がなく,本件CAD図面F−23に新たな創作的な表現が加えられてい
るとは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面F−23のセンサー感知部の形状は,
本件カタログ91頁のセンサー感知部の形状とほとんど違いはなく,そ
の違いについて新たな創作的な表現が加えられているとは認められない。
また,原告が主張する銘板及び表示関係がどの部分を指すのか明らかで
ない上,本件CAD図面F−23と本件カタログ91頁の図を比較して
も,本件CAD図面F−23に創作的な表現が加えられた部分があると
は認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−23が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−23を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑳本件CAD図面F−24
本件CAD図面F−24は,本件カタログ83頁の「FS−V1」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−24について,本件CAD図面F−14
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−24の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−14と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−24が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−24を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−2521
本件CAD図面F−25は,本件カタログ85頁の「透過型FU−
12」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−25の上段の図について,製品形状をリ
アル化し,光源エリアを表現した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−25と本件カタログ85頁の図を比較し
ても,その形状にはほとんど違いがなく,本件CAD図面F−25に新
たな創作的な表現が加えられているとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−25が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−25を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−2622
本件CAD図面F−26は,本件カタログ86頁の「反射型FU−
21X」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−26について,<ア>プラグコンセントを
創作して図形を形成し(創作2ないし創作4,<イ>省略画法によらな)
い六角ナットの図形を形成して隠線処理をした(創作4)と主張する。
<ア>については,確かに,本件カタログ86頁の「反射型FU−2
1X」の図ではプラグコンセントが長方形で描かれているのに対し,本
件CAD図面F−26では釣鐘型で描かれているという違いがあるが,
本件カタログ同頁の「反射型FU−22X」ではプラグコンセントが
釣鐘型で描かれており,これと本件CAD図面F−26のプラグコンセ
ントの形状はほとんど違いがない。そうすると,1が「反射型FUP
−22X」のプラグコンセントの形状を参考にして本件CAD図面F−
26を描いたものと推認されるから,本件CAD図面F−26に新たな
創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面F−26のナット部の形状は,本件
カタログ86頁のナット部の形状とほとんど違いがないから,創作的な
表現が加えられているとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−26が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−26を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−2723
本件CAD図面F−27は,本件カタログ86頁の「FU−22X」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−27について,プラグコンセントを創作
して図形を形成した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−27のプラグコンセントの形状は,本件
カタログ86頁のプラグコンセントの形状とほとんど違いがないから,
新たな創作的な表現が加えられているとは認められない。そして,他に,
本件CAD図面F−27が表現上の創作性を有することについて,具体
的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−27を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−2824
本件CAD図面F−28は,本件カタログ86頁の「FU−23X」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−28について,本件CAD図面F−27
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−28の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−27と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−28が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−28を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−2925
本件CAD図面F−29は,本件カタログ87頁の「FU−25」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−29について,省略画法によらない六角
ナットの図形を形成し,リアル化をした(創作2,4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−29のナット部の形状は,本件カタログ
87頁に描かれているナット部の形状とほとんど違いがなく,新たな創
作的な表現が加えられているとは認められない。そして,他に,本件C
AD図面F−29が表現上の創作性を有することについて,具体的な主
張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−29を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3026
本件CAD図面F−30は,本件カタログ87頁の「FU−31」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−30について,本件CAD図面F−27
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−30の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−27と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−30が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−30を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3127
本件CAD図面F−31は,本件カタログ85頁の「FU−32」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−31について,省略画法によらない六角
ナットの図形を形成し,製品をリアル化した(創作2,4)と主張する。
しかし,本件CAD図面F−31と本件カタログ85頁の図を比べて
も,原告が六角ナットと主張する部分の形状にはほとんど違いがなく,
新たな表現上の創作性が付加されたと認めることはできない。そして,
他に,本件CAD図面F−31が表現上の創作性を有することについて,
具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−31を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3228
本件CAD図面F−32は,本件カタログ87頁の「FU−33」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−32について,本件CAD図面F−27
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−32の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−27と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−32が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−32を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3329
本件CAD図面F−33は,本件カタログ85頁の「FU−34」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−33について,本件CAD図面F−31
と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−33の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面F−31と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面F−33が表現上の創作性
を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−33を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−34及びF−3530
本件CAD図面F−34及びF−35は,順に本件カタログ87頁の
「FU−35FA,同頁「FU−35FZ」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面F−34及びF−35について,本件CAD
図面F−29と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−34及びF−35の原告が創作2及び4
を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状で
あるから,同図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性
を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−34及び
F−35が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証は
なされていない。
したがって,本件CAD図面F−34及びF−35を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3631
本件CAD図面F−36は,本件カタログ87頁の「FU−37」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面F−36下段の図について,省略画法に
よらない六角ナットの図形を形成し,製品をリアル化した(創作2,
4,<イ>同下段の図について,センサー動作領域を図形化した(創作)
2,4,<ウ>同上段の図について,2.5次元により傾斜部を忠実に)
形状化した(創作3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−36下段の図と本件カ
タログ87頁の図を比べても,原告が六角ナットと主張する部分の形状
にはほとんど違いがなく,その違いについて表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
<イ>についても,本件CAD図面F−36下段の図のセンサー部分の
形状は,本件カタログ87頁の図のセンサー部分の形状とほとんど違い
がなく,その違いについて新たな創作的な表現が加えられているとは認
められない。
<ウ>についても,本件CAD図面F−36の形状と本件カタログ87
頁の図の形状とはほとんど違いはなく,その違いについて新たな創作的
な表現が加えられているとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−36が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−36を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−3732
本件CAD図面F−37は,本件カタログ87頁の「FU−38」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−37について,本件CAD図面F−36
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−37の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−36と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面F−37が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−37を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−39ないしF−4233
本件CAD図面F−39ないしF−42は,順に本件カタログ99頁
「FU−39,98頁「FU−42,88頁「FU−43,同頁」」」
「FU−45X」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−39ないしF−42について,本件CA
D図面F−27と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−39ないしF−42の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−27と同一の形
状であるから,同図面と同様の理由により,この点について表現上の創
作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−39
ないしF−42が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張
立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−39ないしF−42を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−4334
本件CAD図面F−43は,本件カタログ88頁「FU−48」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−43について,本件CAD図面F−31
と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−43の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面F−31と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面F−43が表現上の創作性
を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−43を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−4435
本件CAD図面F−44は,本件カタログ88頁「FU−49X」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−44について,本件CAD図面F−27
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−44の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−27と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,この点について表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面F−44が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−44を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−45ないしF−4936
本件CAD図面F−45ないしF−49は,順に本件カタログ87頁
「FU−4F,同頁「FU−4FZ,85頁「FU−59,同頁」」」
「FU−5F,同頁「FU−5FZ」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面F−45ないしF−49について,本件CA
D図面F−31と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−45ないしF−49の原告が創作2及び
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−31と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の
創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−4
5ないしF−49が表現上の創作性を有することについて,具体的な主
張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−45ないしF−49を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−5037
本件CAD図面F−50は,本件カタログ88頁「FU−63」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−50について,本件CAD図面F−29
と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−50の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認める
ことはできない。そして,他に,本件CAD図面F−50が表現上の創
作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−50を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−5138
本件CAD図面F−51は,本件カタログ88頁の「FU−63T」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−51について,0.5㎜ファイバーを形
状化した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,原告が主張する0.5㎜ファイバーは,本件カタログ88頁
にも記載されているのであって,本件CAD図面F−51に新たに創作
的な表現が加えられたということはできない。そして,他に,本件CA
D図面F−51が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張
立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−51を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−5239
本件CAD図面F−52は,本件カタログ88頁「FU−63Z」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−52について,本件CAD図面F−29
と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−52の原告が創作2及び4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認める
ことはできない。そして,他に,本件CAD図面F−52が表現上の創
作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−52を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−5340
本件CAD図面F−53は,本件カタログ88頁の「FU−65X」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−53について,本件CAD図面F−26
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−53の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−26と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−53が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−53を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−54ないしF−5741
本件CAD図面F−54ないしF−57は,順に本件カタログ88頁
「FU−66,同頁「FU−66Z,同頁「FU−67,同頁「F」」」
U−68」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−54ないしF−57について,本件CA
D図面F−29と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−54ないしF−57の原告が創作2及び
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面F−54ないしF−57が
表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされてい
ない。
したがって,本件CAD図面F−54ないしF−57を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−5842
本件CAD図面F−58は,本件カタログ89頁の「FU−69X」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−58について,本件CAD図面F−26
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−58の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面F−26と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,これらの点について表現上の創作性を認め
ることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−58が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−58を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−59ないしF−6543
本件CAD図面F−59ないしF−65は,順に本件カタログ88頁
「FU−6F,85頁「FU−73,同頁「FU−75F,同頁」」」
「FU−77,86頁「FU−78,同頁「FU−79,85頁」」」
「FU−7F」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−59ないしF−65について,本件CA
D図面F−29と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−59ないしF−65の原告が創作2及び
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面F−59ないしF−65が
表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされてい
ない。
したがって,本件CAD図面F−59ないしF−65を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−6644
本件CAD図面F−66は,本件カタログ89頁「FU−81C」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−66について,<ア>省略画法によらない
六角ナットの図形を形成した(創作2,4,<イ>プラグコンセントの)
).形状を創作した(創作2,3,<ウ>スパイラルチューブについて,2
5次元的な線の構成と螺旋形状により金属管特有のフレキシビリティ感
を表現し,湯沸器給湯管をイメージした(創作2,3,11a)と主張
する。
しかし,<ア>,<イ>については,本件CAD図面F−66のナット及
びプラグコンセントの形状は,本件カタログ89頁に描かれているナッ
トの形状とほとんど違いがないから,この点に表現上の創作性を認める
ことはできない。
<ウ>についても,本件CAD図面F−66のスパイラルチューブは,
本件CAD図面E−7のスパイラルチューブと同じ形状であり,同図面
の箇所で検討したとおり通常のありふれた表現方法であるから,表現上
の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面F−66が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−66を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−67ないしF−6945
本件CAD図面F−67ないしF−69は,順に本件カタログ89頁
「FU−82C,同頁「FU−83C,86頁「FU−84C」に」」
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−67ないしF−69について,本件CA
D図面F−66と同様に創作2ないし4及び11aを具備すると主張す
る。
しかし,本件CAD図面F−67ないしF−69の原告が創作2ない
し4及び11aを具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−66
と同一の形状であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性
を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面F−67ない
しF−69が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証
はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−67ないしF−69を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−70ないしF−7346
本件CAD図面F−70ないしF−73は,順に本件カタログ89頁
「FU−85,86頁「FU−86,89頁「FU−87,86頁」」」
「FU−88」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−70ないしF−73について,本件CA
D図面F−29と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−70ないしF−73の原告が創作2及び
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−29と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面F−70ないしF−73が
表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされてい
ない。
したがって,本件CAD図面F−70ないしF−73を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−74ないしF−7647
本件CAD図面F−74ないしF−76は,本件カタログ89頁「F
U−91,86頁「FU−92,89頁「FU−93」に対応する」」
図面である。
原告は,本件CAD図面F−74ないしF−76について,本件CA
D図面F−31と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−74ないしF−76とこれらに対応する
本件カタログの上記各図を比べても,その形状にはほとんど違いがなく,
新たな表現上の創作性を付加したものとは認められない。
したがって,本件CAD図面F−74ないしF−76を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−7748
本件CAD図面F−77は,本件カタログ89頁の「FU−95」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−77の下段右側の図について,<ア>セン
サー感知部を図形化した(創作2,<イ>隠線処理をした(創作2,<))
ウ>製品形状をリアル化した(創作3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面F−77のセンサー部分の
形状は,本件カタログ89頁の図に描かれているセンサー部分の形状と
ほとんど違いがなく,本件CAD図面F−77に創作的な表現が加えら
れているとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面F−77は,本件カタログ89頁の
図と比べると一部について隠線処理が施されていることが認められるが,
隠線処理は一般的にありふれた作図方法であるから,これをもって創作
的な表現が加えられたと認めることはできない。
<ウ>についても,本件CAD図面F−77と本件カタログ89頁の図
を比較しても,どの部分がどのようにリアル化されたのか明らかではな
く,創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面F−77が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面F−77を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面F−7849
本件CAD図面F−78は,本件カタログ86頁「FU−96」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面F−78について,本件CAD図面F−31
と同様に創作2及び4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面F−78とこれに対応する本件カタログの上
記図とを比べても,その形状にはほとんど違いがなく,その違いについ
て表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,本件CAD図面F−78を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
エ本件CAD図面H
①本件CAD図面H−1
本件CAD図面H−1は,本件カタログ321頁の「HC−50」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面H−1の上段の図について,コネクタキ
),ャッチをリアル形状に描いた(創作2,<イ>同下段左側の図について
空気孔や化粧板を図形化し,コネクタスペースを形状化した(創作2,
創作3,<ウ>同下段右側の図について,レール取り付け部を詳細に描)
いた(創作4)主張する。
しかし,<ア>,<イ>については,原告が主張するコネクタキャッチ,
空気孔,化粧板及びコネクタスペースがどの部分を指すのか明らかでな
いが,本件CAD図面H−1の上段の図と本件カタログ321頁の図と
を比べても,その違いはわずかであり,本件CAD図面H−1に新たに
創作的な表現が加えられた部分があるとは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面H−1のレール取り付け部の形状は,
本件カタログ321頁に描かれている形状とほとんど違いがなく,本件
CAD図面H−1に創作的な表現が加えられているとは認められない。
したがって,本件CAD図面H−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面H−2
本件CAD図面H−2は,本件カタログ321頁「HC−55」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面H−2について,本件CAD図面H−1と同
様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面H−2の原告が創作2ないし4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面H−1と同一の形状であるから,同図
面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そし
て,他に,本件CAD図面H−2が表現上の創作性を有することについ
て,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面H−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
オ本件CAD図面K
①本件CAD図面K−1
本件CAD図面K−1は,本件カタログ315頁の「KZ−10」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−1の上段の図について,コンソール
調整部を図形化した(創作2,3,<イ>同下段左側の図について,成)
形部品を略図化した(創作4,<ウ>同下段右側の図について,製品形)
状をリアル化した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ315頁には本件CAD図面
K−1の上段に対応する図はないが,コンソール調整部の図を追加する
こと自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描かれ
ているとの立証もないから,この点について表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
<イ>については,本件CAD図面K−1の下段左側の図面では,本件
カタログ315頁の図の一部が簡略化して描かれているが,両者にはほ
とんど違いがなく,新たに創作的な表現が加えられているとは認められ
ない。
<ウ>についても,本件CAD図面K−1と本件カタログ315頁の図
を比較しても,どの部分がどのようにリアル化されたのか明らかではな
く,創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面K−1が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面K−2
本件CAD図面K−2は,本件カタログ315頁の「KZ−16」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−2の上段の図について,コンソール
),調整部を図形化した(創作2,創作3,<イ>同下段左側の図について
成形部品を略図化した(創作4,<ウ>同下段右側の図について,製品)
形状をリアル化した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ315頁には本件CAD図面
K−2の上段に対応する図はないが,コンソール調整部の図を追加する
こと自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描かれ
ているとの立証もないから,この点について表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
<イ>については,本件CAD図面K−2の下段左側の図面は,本件カ
タログ315頁の図と比べると一部が簡略化して描かれているが,両者
にはほとんど違いがなく,新たに創作的な表現が加えられているとは認
められない。
<ウ>についても,本件CAD図面K−2と本件カタログ315頁の図
を比較しても,どの部分がどのようにリアル化されたのか明らかではな
く,新たに創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面K−2が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面K−3及びK−4
本件CAD図面K−3及びK−4は,本件CAD図面K−2と同じ内
容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
④本件CAD図面K−5
本件CAD図面K−5は,本件カタログ315頁「KZ−24□」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−5について,本件CAD図面K−2と同
様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−5の原告が創作2ないし4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面K−2と同一の形状であるから,同図
面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そし
て,他に,本件CAD図面K−5が表現上の創作性を有することについ
て,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−5を著作物と認めることはできない。
⑤本件CAD図面K−6
本件CAD図面K−6は,本件カタログ310頁の「KZ−300」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−6上段の図について,コネクタキャ
ッチのリアル図形を描いた(創作2,3,<イ>同下段左側の図につい)
て,コネクタピンを詳細に描いた(創作2,3,<ウ>同下段右側の図)
について,電源分岐部の開閉カバーの軌跡を描いた(創作2,4,<)
,エ>同下段右側の図について,製品形状をリアル化して描いた(創作2
3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ310頁には本件CAD図面
K−6の上段に対応する図はないが,コネクタキャッチ部の図を追加す
ること自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描か
れているとの立証もないから,この点について表現上の創作性を認める
ことはできない。
<イ>については,本件CAD図面K−6下段左側の図のコネクタピン
の形状は,本件カタログ310頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,
本件CAD図面K−6に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<ウ>については,本件CAD図面K−6下段右側の図の電源分岐部の
開閉カバーの軌跡は,本件カタログ310頁の図にも描かれているもの
であり,新たに創作的な表現が加えられたというものではない。
<エ>についても,本件CAD図面K−6下段右側の図と本件カタログ
310頁の図とを比較しても,どの部分がどのようにリアル化されたの
か明らかではなく,創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面K−6が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面K−7ないしK−11
本件CAD図面K−7ないしK−11は,順に本件カタログ315頁
「KZ−40□,同頁「KZ−80□,同頁「KZ−8E□(K−」」」
9ないしK−11)に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−7ないしK−11について,本件CAD
図面K−2と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−7ないしK−11の原告が創作2ないし
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面K−2と同一の形状で
あるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることは
できない。そして,他に,本件CAD図面K−7ないしK−11が表現
上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−7ないしK−11を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
⑦本件CAD図面K−12
本件CAD図面K−12は,本件カタログ298頁「KZ−A50
0」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−12について,本件CAD図面K−6と
同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−12の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面K−6と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そ
して,他に,本件CAD図面K−12が表現上の創作性を有することに
ついて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−12を著作物と認めることはできな
い。
⑧本件CAD図面K−13
本件CAD図面K−13は,本件カタログ298頁の「KZ−AN
6」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−13上段の図について,モジュール
部を形状化して描いた(創作2,3,<イ>同上段の図について,製品)
形状をリアル化して描いた(創作2,4,<ウ>同下段左側の図につい)
て,盤面端子台を省略した(創作2,3,<エ>同下段右側の図につい)
て,レール取り付け部を詳細に描いた(創作4)と主張する。
しかし,<ア>,<イ>については,本件カタログ298頁には本件CA
D図面K−13の上段に対応する図はないが,モジュール部の図を追加
すること自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描
かれているとの立証もなく(どの点がどのようにリアル化して描かれた
のかも明らかでない,この点について表現上の創作性を認めることは)
できない。
<ウ>については,本件カタログ298頁の図から盤面端子台を省略し
て本件CAD図面K−13下段左側の図を描いたというにすぎず,これ
をもって新たに創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
<エ>についても,本件CAD図面K−13下段右側のレール取り付け
部の形状は,本件カタログ298頁の図と比較しても軽微な違いしかな
く,本件CAD図面K−13に新たに創作的な表現が加えられたとは認
められない。
そして,他に,本件CAD図面K−13が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−13を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑨本件CAD図面K−14及びK−15
本件CAD図面K−14及びK−15は,いずれも本件CAD図面K
−13と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作
権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑩本件CAD図面K−16
本件CAD図面K−16は,本件カタログ298頁「KZ−C16
X」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−16について,本件CAD図面K−6と
同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−16の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面K−6と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そ
して,他に,本件CAD図面K−16が表現上の創作性を有することに
ついて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−16を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑪本件CAD図面K−17
本件CAD図面K−17は,本件カタログ299頁「KZ−C20」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−17について,<ア>コネクタ部を創作し
て描き(創作2,創作4,<イ>製品外形をリアル化して描いた(創作)
3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面K−17のコネクタ部の形
状は,本件カタログ299頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,本
件CAD図面K−17に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面K−17において,どの部分がどの
ようにリアル化されたのか明らかではなく,新たに創作的な表現が加え
られたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面K−17が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−17を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面K−18ないしK−20
本件CAD図面K−18ないしK−20は,順に本件カタログ298
頁「KZ−C32T,同頁「KZ−C32X,299頁「KZ−H」」
2」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−18ないしK−20について,本件CA
D図面K−6と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−18ないしK−20の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面K−6と同一の形状
であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めること
はできない。そして,他に,本件CAD図面K−18ないしK−20が
表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされてい
ない。
したがって,本件CAD図面K−18ないしK−20を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
⑬本件CAD図面K−21
本件CAD図面K−21は,本件カタログ299頁の「KZ−L1
0」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−21上段の図について,モジュール
部を形状化して描いた(創作2,4,<イ>同上段の図について,コネ)
クタキャッチをリアル化して描いた(創作2,3,<ウ>同下段左側の)
図について,コネクタピンを詳細に描き,コネクタ取り付け部をリアル
化して描いた(創作2,3,<エ>同下段右側の図について,製品形状)
をリアル化して描いた(創作2,3,<オ>同下段右側の図について,)
レール取り付け部を詳細に描いた(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ299頁には本件CAD図面
K−21の上段に対応する図はないが,モジュール部の図を追加するこ
と自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描かれて
いるとの立証もなく,その点に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,本件CAD図面K−21の上段の図面において,コ
ネクタキャッチのどの部分がどのようにリアル化して描かれているのか
明らかでなく,新たに創作的な表現が加えられていると認めることはで
きない。
<ウ>については,本件CAD図面K−21下段左側の図と本件カタロ
グ299頁の図を比較しても,コネクタピン及びコネクタ取り付け部の
形状には軽微な違いしかなく,本件CAD図面K−21に新たに創作的
な表現が加えられたとは認められない。
<エ>については,本件CAD図面K−21下段右側の図と本件カタロ
グ299頁の図とを比較しても,どの部分がどのようにリアル化された
のか明らかではなく,新たに創作的な表現が加えられたとは認められな
い。
<オ>についても,本件CAD図面K−21下段右側のレール取り付け
部の形状は,本件カタログ299頁の図と比較しても軽微な違いしかな
く,本件CAD図面K−21に創作的な表現が加えられたとは認められ
ない。
そして,他に,本件CAD図面K−21が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−21を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑭本件CAD図面K−22
本件CAD図面K−22は,本件CAD図面K−21とサイズが違う
だけで同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作権
法上保護される著作物と認めることはできない。
⑮本件CAD図面K−23
本件CAD図面K−23は,本件カタログ299頁の「KZ−R16
R」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−23下段左側の図について,モジュ
ールニットを作図し,製品形状をリアル化して描いた(創作2,3,)
<イ>同下段右側の図について,ターミナルカバーを図形化し,軌跡を描
いた(創作2,3,<ウ>同下段右側の図について,レール取り付け部)
を詳細に描いた(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面K−23下段左側のモジュ
ールニット部の形状は,本件カタログ299頁の図と比較しても軽微な
違いしかなく,本件CAD図面K−23に新たに創作的な表現が加えら
れたとは認められない。
<イ>についても,本件カタログ299頁の図にも,原告が主張するタ
ーミナルカバーとその軌跡が描かれており,新たな創作的表現を付加し
たものとは認められず,本件CAD図面K−23に創作的な表現が加え
られたとは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面K−23下段右側のレール取り付け
部の形状は,本件カタログ299頁の図と比較しても軽微な違いしかな
く,本件CAD図面K−23に新たな創作的な表現が加えられたとは認
められない。
そして,他に,本件CAD図面K−23が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−23を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑯本件CAD図面K−24及びK−25
本件CAD図面K−24及びK−25は,いずれも本件CAD図面K
−23と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作
権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑰本件CAD図面K−26
本件CAD図面K−26は,本件カタログ298頁「KZ−R1A」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−26について,本件CAD図面K−21
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−26の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面K−21と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面K−26が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−26を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑱本件CAD図面K−27ないしK−29
本件CAD図面K−27ないしK−29は,本件カタログ299頁
「KZ−R8R/R8T/R8X」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面K−27ないしK−29について,本件CA
D図面K−23と同様,創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−27ないしK−29の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面K−23と同一の形
状であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面K−27ないしK−29
が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされて
いない。
したがって,本件CAD図面K−27ないしK−29を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
⑲本件CAD図面K−30
本件CAD図面K−30は,本件カタログ315頁の「KZ−U2」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面K−30上段の図について,製品形状を
リアル化して描き(創作2,3,成形部品を略図化して描いた(創作)
4,<イ>同下段右側の図について,レール取り付け部を詳細に描いた)
(創作4)と主張する。
<ア>については,本件カタログには,本件CAD図面K−30上段の
図に対応する図はないが,他の図と異なる面の形状図を追加すること自
体はアイデアにすぎず,それ自体を著作権法で保護することはできない。
そして,同図面のどの部分がリアル化して描かれているのか,どの部分
が略図化して描かれているのか明らかでなく,同図が通常とは異なる方
法で描かれているとの具体的な立証はなされていないから,この点に表
現上の創作性は認められない。
<イ>についても,本件CAD図面K−30下段右側のレール取り付け
部の形状は,本件カタログ315頁の図と比較しても軽微な違いしかな
く,本件CAD図面K−30に新たに創作的な表現が加えられたとは認
められない。そして,他に,本件CAD図面K−30が表現上の創作性
を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−30を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑳本件CAD図面K−31
弁論の全趣旨によれば,1は,本件カタログ315頁の「KZ−1P
6□」を参考にして本件CAD図面K−31を作成したことが認められ
る。
原告は,本件CAD図面K−31について,本件CAD図面K−2と
同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
本件CAD図面K−31下段左側の図は,本件カタログ315頁の図
とは異なる形状で描かれてはいるが,このような製品形状を考案するこ
と自体はアイデアにすぎないし,同図が通常とは異なる方法で描かれて
いるとの立証もないのであるから,この点について表現上の創作性を認
めることはできない。そして,本件CAD図面K−2が著作物と認めら
れないことは上記のとおりであるし,他に,本件CAD図面K−31が
表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされてい
ない。
したがって,本件CAD図面K−31を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面K−32及びK−3321
本件CAD図面K−32及びK−33は,順に本件カタログ298頁
「KZ−U4,同頁「KZ−U5」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面K−32及びK−33について,本件CAD
図面K−21と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面K−32及びK−33の原告が創作2ないし
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面K−21と同様の形状
であるから(ただし,本件CAD図面K−32及びK−33にはコネク
タピンは描かれていない,本件CAD図面K−21と同様の理由に。)
より,表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件C
AD図面K−32及びK−33が表現上の創作性を有することについて,
具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面K−32及びK−33を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
カ本件CAD図面M
①本件CAD図面M−1
本件CAD図面M−1は,本件カタログ337頁の「MT−150」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面M−1上段左側の図について,取付具部
品を作図した(創作2,3,<イ>同下段左側の図について,液晶範囲)
を作図した(創作2,3,<ウ>同下段左側及び中央の図について,成)
),形部品を略図化した(創作4,<エ>同下段左側及び中央の図について
操作ボタンを表現し,端子カバーを作図した(創作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログには本件CAD図面M−1上
段左側の図に対応する図はないが,同図面は「MT−150」の本件,
カタログ337頁にない側面図を描いたものであり,このような側面図
を追加すること自体はアイデアにすぎず,原告が主張する取付具部品を
含めて同図が通常とは異なる方法で描かれているとの具体的な立証もな
い。
<イ>については,本件CAD図面M−1下段左側の図の液晶面の形状
は,本件カタログ337頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,これ
をもって創作的な表現が加えられたということはできない。
<ウ>については,確かに,本件CAD図面M−1下段の左側及び中央
の図面は,本件カタログ337頁の図と比べると製品形状が簡略化して
描かれている部分があるが,ほとんど違いがなく,新たに創作的な表現
が加えられたとは認められない。
<エ>については,本件CAD図面M−1下段左側及び中央の図の操作
ボタン及び端子カバーは,本件カタログ337頁の図にも描かれている
ものであり,新たに創作的な表現が加えられたというものではない。
そして,他に,本件CAD図面M−1が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面M−2
本件CAD図面M−2は,本件CAD図面M−1と同じ内容の図面で
あるから,同図面と同様の理由により,著作物と認めることはできない。
③本件CAD図面M−3
本件CAD図面M−3は,本件カタログ327頁の「MT−250」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面M−3上段左側の図について,取付ビス
に関連する部品を創作した(創作2,3,<イ>同下段左側の図につい)
),て,液晶範囲を作図した(創作2,3,<ウ>同下段左側の図について
成形部品を略図化した(創作4,<エ>同下段中央の図について,端子)
台を作図した(創作2,4)と主張する。
<ア>については,本件カタログには本件CAD図面M−3上段左側の
図に対応する図はないが,このような側面図を追加すること自体はアイ
デアにすぎず,原告が主張する取付ビス部分を含めて同図が通常とは異
なる方法で描かれているとの具体的な立証はない。
<イ>については,本件CAD図面M−3下段左側の図の液晶面の形状
は,本件カタログ327頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,これ
をもって創作的な表現が加えられたということはできない。
<ウ>については,本件CAD図面M−3下段左側の図面は,本件カタ
ログ327頁の図と比べると若干の違いがあることが認められるが(線
と線の幅など,軽微な違いしかなく,創作的な表現が加えられたとは)
認められない。
<エ>については,本件CAD図面M−3下段中央の図の端子台は,本
件カタログ327頁の図にも描かれているものであり,その形状にも軽
微な違いしかないから,創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面M−3が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−3を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面M−4及びM−5
本件CAD図面M−4及びM−5は,順に本件カタログ327頁「M
T−260,333頁「MT−450」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面M−4及びM−5について,本件CAD図面
M−3と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面M−4及びM−5の原告が創作2ないし4を
具備すると主張する部分は,本件CAD図面M−3と同一の形状である
から(ただし,本件CAD図面M−5には端子台は描かれていない,。)
本件CAD図面M−3と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面M−4及びM−5が表現
上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−4及びM−5を著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
⑤本件CAD図面M−6
本件CAD図面M−6は,本件カタログ333頁の「MT−T1」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面M−6下段左側の図について,コネクタ部を
創作して形状化したと主張する。
しかし,本件CAD図面M−6下段左側の図の端子台は,本件カタロ
グ333頁の図にも描かれているものであり,その形状にも軽微な違い
しかないから,創作的な表現が加えられたとは認められない。そして,
他に,本件CAD図面M−6が表現上の創作性を有することについて,
具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面M−7
本件CAD図面M−7は,本件カタログ333頁の「MT−T2」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面M−7について,製品形状をリアル化し
(創作2,成形部品を略図化した(創作4,<イ>同下段左側の図に))
ついて,接続調整部を図形化した(創作2,3)と主張する。
<ア>については,本件CAD図面M−7上段の図は,本件カタログに
はないが,このような側面図を追加すること自体はアイデアにすぎない
し,これが通常とは異なる方法で描かれているとの具体的な立証はなさ
れていない。そして,本件CAD図面M−7下段の左右の図は,本件カ
タログ333頁の図と比較しても,どの部分がどのようにリアル化して
描かれているのか明らかではないし,線と線の幅や端子部の形状が若干
異なるだけで軽微な違いしかないのであるから,創作的な表現が加えら
れたということはできない。
<イ>については,本件CAD図面M−7下段左側の図の接続調整部は,
本件カタログ333頁の図にも描かれているものであり,その形状につ
いても軽微な違いしかないから,創作的な表現が加えられたとは認めら
れない。
そして,他に,本件CAD図面M−7が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−7を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑦本件CAD図面M−8
本件CAD図面M−8は,本件カタログ327頁「MT−T3」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面M−8について,本件CAD図面M−7と同
様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面M−8の原告が創作2ないし4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面M−7と同一の形状であるから,同図
面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そし
て,他に,本件CAD図面M−8が表現上の創作性を有することについ
て,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面M−8を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
キ本件CAD図面O
①本件CAD図面O−1
本件CAD図面O−1は,本件カタログ111頁の「OP2555」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−1左側の図について,加工品が持つ角部
を忠実に形状化した(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面O−1左側図の製品の角部分の形状は,本件
カタログ111頁の図と比べるとやや丸みをもって描かれていることが
認められるが,軽微な違いであり,丸みをもって角を描くことはありふ
れた表現方法であるから,この点をもって創作的な表現が加えられたと
は認められない。そして,他に,本件CAD図面O−1が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面O−3
本件CAD図面O−3は,本件カタログ153頁の「OP−9112
7」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−3について,加工品が持つ角部を忠実に
形状化した(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面O−3の製品の角部分の形状は,本件カタロ
グ153頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,そこに新たな創作的
な表現が加えられたとは認められない。そして,他に,本件CAD図面
O−3が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はな
されていない。
したがって,本件CAD図面O−3を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面O−4
本件CAD図面O−4は,本件カタログ245頁の「OP9186
7」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面O−4上段左側の図について,端子台の
形状を作成し(創作2,3,アタッチメントを詳細に描いた(創作)
4,<イ>同下段中央の図について,取付レールの説明図を描いた(創)
作2)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面O−4上段左側の図と本件
カタログ245頁の図を比較しても,両者には軽微な違いしかなく,創
作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面O−4下段中央の図の取付レールは,
本件カタログ245頁の図にも描かれており,その形状についても軽微
な違いしかないから,そこに創作的な表現が加えられたとは認められな
い。
そして,他に,本件CAD図面O−4が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−4を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面O−5
本件CAD図面O−5は,本件カタログ122頁の「OP−9643
6」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−5について,加工品がもつ角部を忠実に
形状化し(創作2,取付部分を創作して描いた(創作2,4)と主張)
する。
しかし,本件CAD図面O−5の製品の角部分の形状及び取付部分の
形状は,本件カタログ122頁の図と比較しても軽微な違いしかなく,
そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。そして,他に,本
件CAD図面O−5が表現上の創作性を有することについて,具体的な
主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−5を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑤本件CAD図面O−6
本件CAD図面O−6は,本件カタログ129頁の「OP−9662
9」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−6について,透明感を示すシンボルを描
いた(創作4)と主張する。
しかし,本件CAD図面O−6の製品の中心部分は,本件カタログ1
29頁の図の製品中心部分の格子状の柄を省略したというだけであり,
新たに創作的な表現が加えられたとは認められない。そして,他に,本
件CAD図面O−6が表現上の創作性を有することについて,具体的な
主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−6を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面O−7
本件CAD図面O−7は,本件カタログ129頁の「OP−9722
5」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−7右側の図について,内部構成を創作し
て図形化し,製品形状をリアル化した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,本件CAD図面O−7右側の製品内部を示す図は,本件カタ
ログ129頁にも描かれており,その形状についても軽微な違いしかな
いから,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。そして,
他に,本件CAD図面O−7が表現上の創作性を有することについて,
具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−7を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑦本件CAD図面O−8
本件CAD図面O−8は,本件カタログ251頁の「OP−9767
2」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面O−8下段左側の図について,ブレス加工品
をイメージ化した(創作4)と主張する。
本件カタログには本件CAD図面O−8下段左側の図に対応する図は
ないが,このような側面図を追加すること自体はアイデアにすぎないし,
ブレス加工品をイメージ化したという点についても,同図が通常とは異
なる方法で描かれているとの具体的な立証はなされていないから,創作
的な表現が加えられているとは認められない。そして,他に,本件CA
D図面O−8が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立
証はなされていない。
したがって,本件CAD図面O−8を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
ク本件CAD図面P
①本件CAD図面P−1
本件CAD図面P−1は,本件カタログ179頁の「PG−602」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−1左側の図について,貫通部を化粧
化した(創作3,<イ>同右側の図について,リフレクタのつまみを図)
形化し,側面形状を創作して描いた(創作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−1左側の図と本件カタ
ログ179頁の図の貫通部の形状を比較してもほとんど違いはなく,そ
こに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−1右側図の製品の側面形状及び
リフレクタのつまみは,本件カタログ179頁にも描かれており,その
形状についても軽微な違いしかないから,そこに創作的な表現が加えら
れたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面P−1が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面P−2
本件CAD図面P−2は,本件カタログ179頁の「PG−610」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−2上段左側の図について,表示エリ
アを略図化し(創作2,3,成形部品を略図化した(創作4,<イ>))
同下段左側の図について,カバーを図形化した(創作2,4,<ウ>同)
下段右側の図について,レール取付部を形状化した(創作4)と主張す
る。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−2上段左側の図と本件
カタログ179頁の図の表示エリア部分の形状を比較しても相違点を見
いだすことは困難であり,そこに創作的な表現が加えられたとは認めら
れない。
<イ>については,本件CAD図面P−2下段右側の図のカバー部分は,
本件カタログ179頁にも描かれており,その形状についても軽微な違
いしかないから,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面P−2下段右側の図のレール取付部
は,件カタログ179頁にも描かれており,その形状についても軽微な
違いしかないから,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面P−2が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面P−3
本件CAD図面P−3は,本件カタログ175頁の「PI−G01」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−3左端最上段の図について,ケーブ
ルの曲げ半径を図形化し(創作2,3,製品形状をリアル化した(創)
作4,<イ>同左端中段の図について,センサー範囲を図形化した(創)
作2,4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−3左端最上段の図と本
件カタログ175頁の図とを比較しても,両者にはほとんど違いはなく,
そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−3左端中段の図のセンサー範囲
は,本件カタログ175頁にも描かれており,その表現方法についても
ほとんど違いはないから,そこに創作的な表現が加えられたとは認めら
れない。
そして,他に,本件CAD図面P−3が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−3を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面P−4
本件CAD図面P−4は,本件カタログ175頁の「PI−G70」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−4上段の図について,表示エリアを
略図化し(創作2,3,カバー及びタッチ部を図形化した(創作2,)
4,<イ>同下段左側の図について,ゴムブッシュをフレキシブル形状)
)。で描き(創作2,3,製品形状をリアル化した(創作4)と主張する
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−4上段の図と本件カタ
ログ175頁の図とを比較しても,表示エリア,カバー及びタッチ部の
形状にはほとんど違いはなく,そこに創作的な表現が加えられたとは認
められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−4下段左側の図と本件カタログ
175頁の図のゴムブッシュ部の形状を比較しても,軽微な違いしかな
く,また,本件CAD図面P−4のどの部分がリアル化して表現されて
いるのか明らかではないから,そこに創作的な表現が加えられたとは認
められない。
そして,他に,本件CAD図面P−4が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−4を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑤本件CAD図面P−5
本件CAD図面P−5は,本件カタログ171頁の「PJ−50A」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−5について,レンズ及びカバーを形
状化し(創作2,3,ユニット単位で図形化した(創作4,<イ>同))
左側の図について,表示灯を表記した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−5と本件カタログ17
1頁の図とを比較しても,レンズカバーの形状に軽微な違いがあるだけ
で,レンズの形状,ユニット単位での表現には違いはなく,創作的な表
現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−5左側図の表示灯は,本件カタ
ログ171頁にも描かれており,両者の形状もほとんど違いがないから,
そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面P−5が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−5を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑥本件CAD図面P−6ないしP−8
本件CAD図面P−6ないしP−8は,本件CAD図面P−5とユニ
ットの組合せの数が違うだけで同一内容の図面であるから,本件CAD
図面P−5と同様の理由により,著作物と認めることはできない。
⑦本件CAD図面P−9
本件CAD図面P−9は,本件カタログ171頁の「PJ−55A」
に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−9について,レンズ及びカバーを形
状化し(創作2,3,ユニット単位で図形化した(創作4,<イ>同))
上段の図について,ユニット結合部を図形化した(創作2,3)と主張
する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−9と本件カタログ17
1頁の図とを比較しても,レンズカバーの形状に軽微な違いがあるだけ
で,レンズの形状,ユニット単位での表現には違いはなく,創作的な表
現が加えられたとは認められない。
<イ>については,本件カタログには本件CAD図面P−9上段の図に
対応する図はないが,本件カタログにはない側面図を追加すること自体
はアイデアにすぎず,同図が通常とは異なる方法で描かれているとの具
体的な立証はなされていないから,その点に表現上の創作性は認められ
ない。
そして,他に,本件CAD図面P−9が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−9を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑧本件CAD図面P−10
本件CAD図面P−10は,本件カタログ171頁「PJ−56」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−10について,本件CAD図面P−5と
同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−10の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面P−5と同一の形状であるから(た
だし,本件CAD図面P−10には表示灯は描かれていない,同図。)
面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そし
て,他に,本件CAD図面P−10が表現上の創作性を有することにつ
いて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−10を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑨本件CAD図面P−11
本件CAD図面P−11は,本件カタログ167頁の「PJ−S□
□」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−11について,ユニット接合部を図形化
し,底面の形状を創作して描いた(創作2,3)と主張する。
しかし,本件CAD図面P−11のユニット接合部及び底面は,本件
カタログ167頁にも描かれており,両者の形状についても軽微な違い
しかなく,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。そして,
他に,本件CAD図面P−11が表現上の創作性を有することについて,
具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−11を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑩本件CAD図面P−12ないしP−15
本件CAD図面P−12ないしP−15は,いずれも本件CAD図面
P−11と光軸数が違うだけで同一形状の製品を描いたものであるから,
同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作物と認めること
はできない。
⑪本件CAD図面P−16
本件CAD図面P−16は,本件カタログ153頁の「PQ−01」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−16について,<ア>センサーを分離して
対象に配置した(創作2,<イ>アンプ部の形状を創作して描いた(創)
作2,<ウ>表示灯部を記載した(創作2,3,<エ>成形部品を略図))
化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログ153頁の図でもセンサーを
分離して対象に配置しているのであるから,この点をもって本件CAD
図面P−16に創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
<イ>の点については,本件CAD図面P−16と本件カタログ153
頁の図とを比較しても,アンプ部の形状の違いを見いだすことは困難で
あり,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<ウ>の点については,表示灯は,本件カタログ153頁の図にも描か
れており,本件CAD図面P−16の形状とほとんど違いはないから,
この点をもって創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
<エ>の点についても,本件CAD図面P−16は,本件カタログ15
3頁の図と比べ,コードの一部が省略されて描かれるなどしているが,
この程度の違いでは創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−16が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−16を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面P−17
本件CAD図面P−17は,本件CAD図面P−16と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
⑬本件CAD図面P−18
本件CAD図面P−18は,本件カタログ111頁の「PS−05」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−18について,<ア>表示灯部を記載した
(創作2,3,<イ>製品形状を略図化した(創作4)と主張する。)
しかし,<ア>については,表示灯は,本件カタログ111頁の図にも
描かれており,本件CAD図面P−18の形状とほとんど違いはないか
ら,この点をもって創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面P−18は,本件カタログ111頁
の図と比べると,コードの先端部分を省略するという違いが認められる
が,この程度の違いでは創作的な表現が加えられたと認めることはでき
ない。
そして,他に,本件CAD図面P−18が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−18を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑭本件CAD図面P−19
本件CAD図面P−19は,本件カタログ112頁の「PS−20
1」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−19について,<ア>センサーヘッドの形
状を創作して描いた(創作2,3,<イ>製品形状を略図化した(創作)
4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−19と本件カタログ1
12頁の図を比較しても,センサーヘッドの形状の相違点を見いだすこ
とは困難であり,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−19は,本件カタログ112頁
の図と比較すると,コードの先端部を省略するなどの違いがあるが,こ
の程度の違いでは創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−19が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−19を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑮本件CAD図面P−20
本件CAD図面P−20は,本件CAD図面P−19と同じ内容の図
面であるから,同図面と同様の理由により,著作権法上保護される著作
物と認めることはできない。
⑯本件CAD図面P−21
本件CAD図面P−21は,本件カタログ112頁「PS205」に
対応する図面である。
原告は,<ア>センサー感知部を形状化し(創作2,3,<イ>製品形)
状を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−19と本件カタログ1
12頁の図を比較しても,センサー感知部の形状の相違点を見いだすこ
とは困難であり,本件CAD図面P−19に創作的な表現が加えられた
とは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−19と本件カタログ112頁の
図を比較しても,どの部分がどのように略図化されたのか明らかでなく,
その点に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−21が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−21を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑰本件CAD図面P−22
本件CAD図面P−22は,本件カタログ112頁「PS−206」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−22について,本件CAD図面P−21
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−22の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面P−21と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−22が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−22を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑱本件CAD図面P−23及びP−24
本件CAD図面P−23及びP−24は,順に本件カタログ121頁
「PS−25,同頁「PS−26」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面P−23及びP−24について,本件CAD
図面E−30と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−23については,原告が創作2ないし4
を具備すると主張する本件CAD図面E−30上段の図に対応する図が
描かれていない。
また,本件CAD図面P−24の上段の図は,原告が創作2ないし4
を具備すると主張する本件CAD図面E−30上段の図と比べて,ねじ
の配列に違いがあるにすぎないから,同図面と同様の理由により,表現
上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−23及びP−24が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−23及びP−24を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
⑲本件CAD図面P−25
本件CAD図面P−25は,本件カタログ121頁の「PS2−6
1」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−25について,表示関係を作図した
(創作3,<イ>同下段左端の図について,カバーの構成とRを削除し)
て金属感を表現した(創作2,3,<ウ>同下段左端の図について,成)
形部品を略図化した(創作4,<エ>同下段中央の図について,レール)
形状に合った爪を記載した(創作2)と主張する。
しかし,<ア>については,原告が主張する表示関係が本件CAD図面
P−25のどの部分に作図されているのか明らかでなく,この点をもっ
て創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>については,本件カタログには本件CAD図面P−25下段左端
の図に対応する図は存在しないが,製品の側面図を追加すること自体は
アイデアにすぎない。カバーの構成を削除したという点については,そ
れだけでは創作性を認めることは困難であるし,Rを削除したという点
についても,具体的にどの点を指すのか明らかではなく,この点をもっ
て創作的な表現が加えられたと認めることはできない。
<ウ>については,本件CAD図面P−25において,どの部分がどの
ように略図化されたのか明らかではなく,この点をもって表現上の創作
性を認めることはできない。
<エ>についても,本件CAD図面P−25下段中央の図の爪部分の形
状は,本件カタログ121頁の図の爪部分の形状と比較しても僅かな違
いしかなく,そこに創作的な表現が加えられたとは認められない。
そして,他に,本件CAD図面P−25が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−25を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑳本件CAD図面P−26
本件CAD図面P−26は,本件カタログ112頁の「PS−45」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−26について,<ア>板金製作を図形化し
た(創作2,<イ>センサー感知部を図形化した(創作3,<ウ>成形))
部品を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,原告が主張する板金製作の図形化がどの部
分を指すのか明らかでなく,本件CAD図面P−26に創作的な表現が
加えられたとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面P−26のセンサー感知部は,本件
カタログ112頁の図にも同様の形状で描かれており,1はこれに依P
拠したものと認められるから,本件CAD図面P−26に創作的な表現
が加えられたとは認められない。
<ウ>についても,本件CAD図面P−26と本件カタログ112頁の
図を比較しても,どの部品をどのように略図化したのか明らかでなく,
そこに表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−26が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−26を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−2721
本件CAD図面P−27は,本件カタログ112頁の「PS−46」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−27について,<ア>頭部製品の形状をリ
アル化し(創作2,3,<イ>成形部品を略図化した(創作4)と主張)
する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−27と本件カタログ1
12頁の図の頭部製品の形状を比べても,角部分やコード先端の形状に
僅かな違いがあるだけであり,本件CAD図面P−27に創作的な表現
が加えられたとは認められない。
<イ>についても,本件CAD図面P−27は,本件カタログ112頁
の図と比べると,コード先端部の厚みをもった形状が省略されているこ
とが認められるが,この程度の違いをもって表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−27が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−27を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−2822
本件CAD図面P−28は,本件カタログ112頁の「PS−47」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−28について,<ア>取付方法を考えた配
置にした(創作2,<イ>センサー感知部を図形化した(創作2,3,))
<ウ>成形部品を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面P−28における図の配置
は,本件カタログ112頁の図の配置と同じであり,ありふれた表現で
あって,そこに表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,センサー感知部は,本件カタログ112頁でも本件
CAD図面P−28と同様の形状で描かれており,1はこれに依拠しP
たものと推認されるから,本件CAD図面P−28における創作的な表
現ではない。
<ウ>についても,本件CAD図面P−28のどの部分がどのように略
図化されているのか明らかでなく,そこに表現上の創作性を認めること
はできない。
そして,他に,本件CAD図面P−28が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−28を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−2923
本件CAD図面P−29は,本件カタログ112頁「PS−48」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−29について,本件CAD図面E−10
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
本件CAD図面P−29は,ケーブルの端末部分(原告が本件CAD
図面E−10において創作性2ないし4を具備すると主張する部分)の
形状が本件CAD図面E−10とは異なるから,本件CAD図面E−1
0と同列に論じることはできないが,本件CAD図面P−29と本件カ
タログ112頁の図とを比較しても,本件CAD図面P−29に創作的
な表現が加えられているとは認められない。
したがって,本件CAD図面P−29を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−3024
本件CAD図面P−30は,本件カタログ112頁の「PS−49」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−30について,<ア>センサー動作を略図
化した(創作2,<イ>センサー感知部を図形化した(創作2,3,<))
ウ>成形部品を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>については,原告が主張するセンサー動作は,本件カタ
ログ112頁の図でも本件CAD図面P−30と同様の形状で描かれて
おり,本件CAD図面P−30における創作的な表現ではない。
<イ>については,センサー感知部は,本件カタログ112頁でも本件
CAD図面P−30と同様の形状で描かれており,本件CAD図面P−
30における創作的な表現ではない。
<ウ>についても,本件CAD図面P−30は,本件カタログ112頁
の図と比べると,コード先端部の厚みをもった形状が省略されているこ
とが認められるが,この程度では表現上の創作性を認めることはできな
い。
そして,他に,本件CAD図面P−30が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−30を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−3125
本件CAD図面P−31は,本件カタログ111頁の「PS−52」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−31について,<ア>センサー感知部を図
形化した(創作2,3,<イ>成形部品を略図化した(創作4)と主張)
する。
しかし,<ア>については,原告が主張するセンサー感知部は,本件カ
タログ111頁でも本件CAD図面P−31と同様の形状で描かれてお
り,本件CAD図面P−31に創作的な表現が加えられたとは認められ
ない。
<イ>についても,本件CAD図面P−31では,本件カタログ111
頁の図におけるコード先端部の厚みをもった形状が省略されていること
が認められるが,コード先端部を省略したというものにすぎず,そこに
表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−31が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−31を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−32ないしP−3426
本件CAD図面P−32ないしP−34は,順に本件カタログ111
頁「PS−55,同頁「PS−56(R,同頁「PS−56」)」
(T」に対応する図面である。)
原告は,本件CAD図面P−32ないしP−34について,本件CA
D図面P−31と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
本件CAD図面P−32ないしP−34と本件CAD図面P−31に
描かれている製品形状は同じではないが,本件CAD図面P−32ない
しP−34とこれらに対応する本件カタログの上記各図とを比較しても,
本件CAD図面P−32ないしP−34に新たに創作的な表現が加えら
れているとは認められない。
したがって,本件CAD図面P−32ないしP−34を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−3527
本件CAD図面P−35は,本件カタログ111頁「PS−58」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−35について,本件CAD図面P−29
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−35は,本件CAD図面P−29と比べ
ても僅かな違いしかなく,その違いに表現上の創作性を認めることは困
難であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。
したがって,本件CAD図面P−35を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−36ないしP−3828
本件CAD図面P−36ないしP−38は,順に本件カタログ113
頁「RS−T0,同頁「RS−T1,同頁「RS−T2」に対応す」」
る図面である。
原告は,本件CAD図面P−36ないしP−38について,本件CA
D図面F−14と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−36ないしP−38の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面F−14と同一の形
状であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面P−36ないしP−38
が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされて
いない。
したがって,本件CAD図面P−36ないしP−38を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−3929
本件CAD図面P−39は,本件カタログ121頁「PS−X28」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−39について,本件CAD図面E−33
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−39の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面E−33と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−39が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−39を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−4030
本件CAD図面P−40は,本件カタログ163頁の「PW−41」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−40について,<ア>センサー感知部を図
形化した(創作2,3,<イ>コネクタ部を創作して形状化した(創作)
2,3,<ウ>カバー,銘板及び表示灯を図形化した(創作4,<エ>))
成形部品を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>,<イ>,<ウ>については,原告が主張するセンサー感知
部,コネクタ部,カバー,銘板及び表示灯は,本件カタログ163頁で
も本件CAD図面P−40と同様の形状で描かれており,本件CAD図
面P−40に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<エ>についても,本件CAD図面P−40は,本件カタログ163頁
の図と比べるとナットの形状等が簡略化して描かれていると認められる
が,軽微な違いであり,この点をもって表現上の創作性を認めることは
できない。
そして,他に,本件CAD図面P−40が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−40を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−41ないしP−4531
本件CAD図面P−41ないしP−45は,いずれも本件CAD図面
P−40と同一内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著
作権法上保護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−4632
本件CAD図面P−46は,本件カタログ139頁の「PZ101」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−46について,<ア>センサー感知部を図
形化した(創作2,3,<イ>コネクタ部を創作して形状化した(創作)
2,3,<ウ>カバー及び表示灯を図形化した(創作4,<エ>成形部))
品を略図化した(創作4)と主張する。
しかし,<ア>,<イ>,<ウ>については,原告が主張するセンサー感知
部,コネクタ部,カバー及び表示灯は,本件カタログ139頁でも本件
CAD図面P−46と同様の形状で描かれており,本件CAD図面P−
46に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<エ>についても,本件CAD図面P−46は,本件カタログ139頁
の図と比べると厚みのある形状で描かれているコードの先端を省略する
などの簡略化が認められるが,軽微な違いであり,この点をもって表現
上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−46が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−46を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−4733
本件CAD図面P−47は,本件カタログ128頁の「PZ2−4
1」に対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面P−47最上段左側の図について,操作
・表示部品を図形化した(創作2,3,<イ>同最上段左側の図につい)
て,成形部品を略図化した(創作4,<ウ>同上から2段目の左端の図)
について,センサー感知部を図形化した(創作2,3,<エ>同上から)
2段目の左端の図について,製品形状をリアル化した(創作4)と主張
する。
しかし,<ア>については,操作・表示部品は本件カタログ128頁で
も本件CAD図面P−47と同様の形状で描かれているから,本件CA
D図面P−47に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<イ>については,本件CAD図面P−47最上段左側の図面は,本件
カタログ128頁の図と比べると厚みのある形状で描かれているコード
の先端を省略するなどの簡略化が認められるが,軽微な違いであり,こ
の点をもって表現上の創作性を認めることはできない。
<ウ>については,センサー感知部は本件カタログ128頁でも本件C
AD図面P−47と同様の形状で描かれているから,本件CAD図面P
−47に創作的な表現が加えられたとは認められない。
<エ>についても,製品のどの部分がどのようにリアル化して描かれて
いるのか明らかでなく,この点をもって本件CAD図面P−47に表現
上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面P−47が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−47を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−48ないしP−5134
本件CAD図面P−48ないしP−51は,順に本件カタログ128
頁「PZ2−42,同頁「PZ2−51,同頁「PZ2−61,同」」」
頁「PZ2−62」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面P−48ないしP−51について,いずれも
本件CAD図面P−47と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−48ないしP−51の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面P−47と同一の形
状であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面P−48ないしP−51
が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされて
いない。
したがって,本件CAD図面P−48ないしP−51を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
<>本件CAD図面P−52ないしP−5935
本件CAD図面P−52ないしP−59は,順に本件カタログ139
頁「PZ−41,同頁「PZ−41L,同頁「PZ−42,同頁」」」
「PZ−42L,138頁「PZ−51,同頁「PZ−51L,1」」」
39頁「PZ−61,同頁「PZ−61L」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面P−52ないしP−59について,いずれも
本件CAD図面P−46と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面P−52ないしP−59の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面P−46と同一の形
状で描かれているか,僅かな違いがあるにすぎないから,同図面と同様
の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,
本件CAD図面P−52ないしP−59が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面P−52ないしP−59を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
ケ本件CAD図面R
①本件CAD図面R−1
本件CAD図面R−1は,本件カタログ257頁の「RC−11」に
対応する図面である。
原告は,<ア>本件CAD図面R−1上段の図について,ピンを図形化
した(創作2,3,<イ>同下段左側の図について,表示画面を図形化)
した(創作4,<ウ>同下段右側の図について,切り替えカバー解放時)
を図形化した(創作2,3)と主張する。
しかし,<ア>については,本件カタログには本件CAD図面R−1の
上段に対応する図はないが,このような製品の平面図を追加すること自
体はアイデアにすぎないし,原告が主張するピン部分を含めて同図が通
常とは異なる方法で描かれているとの立証もないから,この点について
表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>,<ウ>については,表示画面及び切り替えカバー解放時の形状は,
本件カタログ257頁においても本件CAD図面R−1と同様の形状で
描かれており,1はこれに依拠したものと推認されるから,本件CAP
D図面R−1に表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面R−1が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面R−2及びR−3
本件CAD図面R−2及びR−3は,順に本件カタログ261頁「R
C−13,同頁「RC−14」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面R−2及びR−3について,いずれも本件C
AD図面A−18と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面R−2及びR−3の原告が創作2ないし4を
具備すると主張する部分は,本件CAD図面A−18と同一の形状で描
かれているか,僅かな違いがあるにすぎないから,同図面と同様の理由
により,この点に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他
に,本件CAD図面R−2及びR−3が表現上の創作性を有することに
ついて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−2及びR−3を著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
③本件CAD図面R−4
本件CAD図面R−4は,本件カタログ257頁「RC−15」に対
応する図面である。
原告は,本件CAD図面R−4について,本件CAD図面R−1と同
様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面R−4の原告が創作2ないし4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面R−1と同一の形状で描かれているか,
僅かな違いがあるにすぎないから,同図面と同様の理由により,この点
に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD
図面R−4が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証
はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−4を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
④本件CAD図面R−5及びR−6
本件CAD図面R−5及びR−6は,順に本件カタログ261頁「R
C−18,同頁「RC−19」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面R−5及びR−6について,いずれも本件C
AD図面A−18と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面R−5及びR−6の原告が創作2ないし4を
具備すると主張する部分は,本件CAD図面A−18と同一の形状で描
かれているか,僅かな違いがあるにすぎないから,同図面と同様の理由
により,この点に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他
に,本件CAD図面R−5及びR−6が表現上の創作性を有することに
ついて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−5及びR−6を著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
⑤本件CAD図面R−7
本件CAD図面R−7は,本件カタログ267頁の「RC2−21」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面R−7について,<ア>製品形状をリアル化し
た(創作2,3,<イ>表示画面を図形化した(創作4)と主張する。)
しかし,<ア>については,本件CAD図面R−7と本件カタログ26
7頁の図を比較しても,どの部分がどのようにリアル化されて描かれて
いるのか明らかではなく,本件CAD図面R−7に新たな表現上の創作
性を加えたと認めることはできない。
<イ>についても,表示画面は,本件カタログ267頁においても本件
CAD図面R−7と同様の形状で描かれているから,本件CAD図面R
−7に表現上の創作性を認めることはできない。
⑥本件CAD図面R−8及びR−9
本件CAD図面R−8及びR−9は,順に本件カタログ183頁「R
C2−21V,267頁「RC2−22」に対応する図面である。」
原告は,本件CAD図面R−8及びR−9について,本件CAD図面
R−7と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面R−8及びR−9の原告が創作2ないし4を
具備すると主張する部分は,本件CAD図面R−7と同一の形状である
から,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはでき
ない。そして,他に,本件CAD図面R−8及びR−9が表現上の創作
性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−8及びR−9を著作権法上保護され
る著作物と認めることはできない。
⑦本件CAD図面R−10
本件CAD図面R−10は,本件カタログ251頁の「RC2−2
3」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面R−10について,<ア>内部構造を創作して
描いた(創作2,3,<イ>製品形状をリアル化した(創作2,3,<))
ウ>表示画面及びカバーを創作して描いた(創作4)と主張する。
しかし,<ア>,<ウ>については,製品の内部構造,表示画面及びカバ
ーは,本件カタログ251頁の図にも本件CAD図面R−10と同様の
形状で描かれているのであるから,この点について本件CAD図面R−
10に表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>についても,本件CAD図面R−10のどの部分がどのようにリ
アル化して描かれているのか明らかでなく,この点に表現上の創作性を
認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面R−10が表現上の創作性を有するこ
とについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−10を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑧本件CAD図面R−11及びR−12
本件CAD図面R−11及びR−12は,本件カタログ273頁「R
T−14(RT−13」に対応する図面である。)
原告は,本件CAD図面R−11及びR−12について,いずれも本
件CAD図面A−18と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面R−11及びR−12の原告が創作2ないし
4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面A−18と同一の形状
で描かれているか,僅かな違いがあるにすぎないから,同図面と同様の
理由により,この点に表現上の創作性を認めることはできない。そして,
他に,本件CAD図面R−11及びR−12が表現上の創作性を有する
ことについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面R−11及びR−12を著作権法上保護
される著作物と認めることはできない。
コ本件CAD図面S
①本件CAD図面S−1
本件CAD図面S−1は,本件カタログ129頁の「S−P01」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面S−1について,サポート製品の機能を形状
化した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,本件CAD図面S−1に原告が主張するサポート製品の機能
がどのように表現されているのか明らかでなく,本件カタログ129頁
の図と比較してもほとんど違いはないから,本件CAD図面S−1に表
現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面
S−1が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はな
されていない。
したがって,本件CAD図面S−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面S−2
本件CAD図面S−2は,本件カタログ139頁の「SP−11」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面S−2について,板金と製品を作図した(創
作2ないし4)と主張する。
しかし,板金及び製品は,本件カタログ139頁の図にも本件CAD
図面S−2と同様の形状で描かれているのであるから,本件CAD図面
S−2に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件
CAD図面S−2が表現上の創作性を有することについて,具体的な主
張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面S−2を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
③本件CAD図面S−3
本件CAD図面S−3は,本件カタログ129頁「S−P12」に対
応する図面である
原告は,本件CAD図面S−3について,本件CAD図面S−2と同
様に創作2,3を具備すると主張する。
本件CAD図面S−3は,本件CAD図面S−2と同一の図面ではな
いが,本件カタログ129頁の図と比較しても,軽微な違いしかないか
ら,表現上の創作性を認めることはできない。
したがって,本件CAD図面S−3を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
サ本件CAD図面T
①本件CAD図面T−1
本件CAD図面T−1は,本件カタログ229頁「TA−340」に
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−1について,本件CAD図面E−29と
同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−1の原告が創作2ないし4を具備すると
主張する部分は,本件CAD図面E−29と同一の形状であるから,同
図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。そ
して,他に,本件CAD図面T−1が表現上の創作性を有することにつ
いて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−1を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
②本件CAD図面T−2ないしT−4
本件CAD図面T−2ないしT−4は,順に本件カタログ349頁
「TF1−10,同頁「TF−11,同頁「TF−15」に対応す」」
る図面である。
原告は,本件CAD図面T−2ないしT−4について,本件CAD図
面R−1と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−2ないしT−4の原告が創作2ないし4
を具備すると主張する部分は,本件CAD図面R−1と同一の形状であ
るから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはで
きない。そして,他に,本件CAD図面T−2ないしT−4が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−2ないしT−4を著作権法上保護さ
れる著作物と認めることはできない。
③本件CAD図面T−5ないしT−8
本件CAD図面T−5ないしT−8は,順に本件カタログ353頁
「TF2−21,同頁「TF2−22,同頁「TF2−31,同頁」」」
「TF2−32」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−5ないしT−8について,本件CAD図
面R−7と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−5ないしT−8の原告が創作2ないし4
を具備すると主張する部分は,本件CAD図面R−7と同一の形状であ
るから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはで
きない。そして,他に,本件CAD図面T−5ないしT−8が表現上の
創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−5ないしT−8を著作権法上保護さ
れる著作物と認めることはできない。
④本件CAD図面T−9
本件CAD図面T−9は,本件カタログ344頁の「TF3−10」
に対応する図面である(TF3シリーズの製品の写真は本件カタログ3
42頁に掲載されている。。)
原告は,<ア>本件CAD図面T−9上段の図について,上面を化粧化
した(創作3,<イ>同下段左側の図について,表示区域を形状化し,)
平面形状を創作して描いた(創作2,4,<ウ>同下段右側の図につい)
て,端子台及び端子金具を図形化した(創作2ないし4,<エ>同下段)
右側の図について,スプリングを2.5次元で描いた(創作2ないし
4,<オ>同下段右側の図について,ねじを固有の形状で描いた(創作)
2ないし4,<カ>同下段右側の図について,製品をリアル化した(創)
作2ないし4)と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面T−9上段の図面は,縦長
の長方形を複数並べて描くことにより上面を化粧化しているものである
が,本件カタログ342頁の写真に写っている製品形状を図面に描こう
すれば通常はこのような表現になるというべきであるから,この点をも
って表現上の創作性を認めることはできない。
<イ>については,原告が主張する表示区域及び平面形状は,本件カタ
ログ344頁においても本件CAD図面T−9と同様の形状で描かれて
いるから,これをもって本件CAD図面T−9に表現上の創作性を認め
ることはできない。
<ウ>については,本件CAD図面T−9では,本件カタログ344頁
の端子台に描かれているねじを1つ削除して同部に端子金具を描いてい
ることが認められるが,このような図の一部を変更すること自体はアイ
デアであるし,その端子金具も細長い長方形で描かれているにすぎない
から,これに表現上の創作性を認めることはできない。
<エ>,<オ>については,スプリング及びねじの形状は,本件カタログ
344頁の図においても,本件CAD図面T−9と同様の形状で描かれ
ており,その違いは軽微なものであるから,本件CAD図面T−9に表
現上の創作性を認めることはできない。
<カ>についても,どの点がどのようにリアル化されているのか明らか
でなく,これに表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面T−9が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−9を著作権法上保護される著作物と
認めることはできない。
⑤本件CAD図面T−10ないしT−16
本件CAD図面T−10ないしT−16は,いずれも本件CAD図面
T−9と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著作
権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑥本件CAD図面T−17
本件CAD図面T−17は,本件カタログ345頁の「TF−A3
1」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−17について,端子をリアル化し,リー
ド線キャップを図形化した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,端子及びリード線キャップは,本件カタログ345頁でも本
件CAD図面T−17と同様の形状で描かれており,その形状にほとん
ど違いはないから,本件CAD図面T−17に表現上の創作性を認める
ことはできない。そして,他に,本件CAD図面T−17が表現上の創
作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−17を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑦本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ないしT−26
本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ないしT−26は,
順に本件カタログ345頁「TF−A42,同頁「TF−A43,」」
同頁「TF−C11,同頁「TF−C12,同頁「TF−C13,」」」
同頁「TF−C31,同頁「TF−C32,同頁「TF−C33」」」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ないしT−
26について,本件CAD図面T−17と同様に創作2ないし4を具備
すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ないしT−
26の原告が創作2ないし4を具備すると主張する部分は,本件CAD
図面T−17と同一の形状であるから,同図面と同様の理由により,表
現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ない
しT−26が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証
はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−18,T−19及びT−21ないし
T−26を著作権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑧本件CAD図面T−28
本件CAD図面T−28は,本件カタログ343頁の「TF−K13
1」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−28について,<ア>製品をリアル化し
(創作2ないし4,<イ>ロゴ及び型式を表記した(創作2ないし4))
と主張する。
しかし,<ア>については,本件CAD図面T−28のどの部分がどの
ようにリアル化して描かれているのか明らかではないし,<イ>について
も,ロゴ及び形式を表記することが通常とは異なる作図方法であるとい
うような立証もないから(本件カタログ343頁にもロゴが描かれた製
品の写真が写っている,このことをもって本件CAD図面T−28。)
に表現上の創作性を認めることはできない。そして,他に,本件CAD
図面T−28が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立
証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−28を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑨本件CAD図面T−29ないしT−31
本件CAD図面T−29ないしT−31は,いずれも本件CAD図面
T−28と同じ内容の図面であるから,同図面と同様の理由により,著
作権法上保護される著作物と認めることはできない。
⑩本件CAD図面T−32
本件CAD図面T−32は,本件カタログ229頁の「TH−10
5」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−32について,鋳物製品を表す隅部を描
き,製品をリアルに表現した(創作2ないし4)と主張する。
しかし,本件CAD図面T−32と本件カタログ229頁の図とを比
較してもその形状にはほとんど違いがなく,この点に表現上の創作性を
認めることはできない。そして,他に,本件CAD図面T−32が表現
上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされていない。
なお,本件カタログには本件CAD図面T−32下段右側の図に対応
する図はないが,このような平面図を付加すること自体はアイデアにす
ぎないし,同図が通常とは異なる製図法で描かれたなどの表現上の創作
性については立証されていない。
したがって,本件CAD図面T−32を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑪本件CAD図面T−33
本件CAD図面T−33は,本件カタログ229頁「TH−110」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−33について,本件CAD図面T−32
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−33の原告が創作2ないし4を具備する
と主張する部分は,本件CAD図面T−32と同一の形状であるから,
同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めることはできない。
そして,他に,本件CAD図面T−33が表現上の創作性を有すること
について,具体的な主張立証はなされていない。
したがって,本件CAD図面T−33を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑫本件CAD図面T−34
本件CAD図面T−34は,本件カタログ229頁の「TH−30
5」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−34について,加工製品を表す鋭角な角
部を描き,製品をリアルに表現したと主張する。
しかし,本件CAD図面T−34と本件カタログ229頁の図とを比
較しても,角部を含めてその形状にはほとんど違いはなく,そこに表現
上の創作性を認めることはできない。
なお,本件カタログには本件CAD図面T−34上段左側の図に対応
する図はないが,このような平面図を付加すること自体はアイデアにす
ぎないし,単に長方形が描かれているだけであるから,表現上の創作性
を認めることもできない。
したがって,本件CAD図面T−34を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑬本件CAD図面T−35ないしT−37
本件CAD図面T−35ないしT−37は,順に本件カタログ229
頁「TH−310,同頁「TH−315,同頁「TH−320」に」」
対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−35ないしT−37について,本件CA
D図面T−34と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−35ないしT−37の原告が創作2ない
し4を具備すると主張する部分は,本件CAD図面T−34と同一の形
状であるから,同図面と同様の理由により,表現上の創作性を認めるこ
とはできない。そして,他に,本件CAD図面T−35ないしT−37
が表現上の創作性を有することについて,具体的な主張立証はなされて
いない。
したがって,本件CAD図面T−35ないしT−37を著作権法上保
護される著作物と認めることはできない。
⑭本件CAD図面T−38
本件CAD図面T−38は,本件カタログ229頁の「TH−51
5」に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−38下段左側の図について,製品をリア
ルに表現した(創作2ないし4)と主張する。
確かに,本件CAD図面T−38下段左側の図面は,本件カタログ2
29頁の図と異なり,製品上部の左右にねじが描かれてはいるが,ねじ
を付加すること自体はアイデアであるし,描かれているねじ部分の形状
はありふれたものであってそこに表現上の創作性を認めることはできな
い。そして,他に,本件CAD図面T−38が表現上の創作性を有する
ことについて,具体的な主張立証はなされていない。
なお,本件カタログには本件CAD図面T−38下段右側の図に対応
する図はないが,このような平面図を付加すること自体はアイデアにす
ぎないし,単に長方形の図形が描かれているだけであるから,その点に
表現上の創作性を認めることもできない。
したがって,本件CAD図面T−38を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
⑮本件CAD図面T−39
本件CAD図面T−39は,本件カタログ229頁「TH−520」
に対応する図面である。
原告は,本件CAD図面T−39について,本件CAD図面T−38
と同様に創作2ないし4を具備すると主張する。
しかし,本件CAD図面T−39には本件CAD図面T−38のよう
なねじ部分は描かれていないし,本件CAD図面T−39と本件カタロ
グ229頁の図を比べても本件CAD図面T−39に創作的な表現が加
えられているとは認められない。
したがって,本件CAD図面T−39を著作権法上保護される著作物
と認めることはできない。
シその余の本件CAD図面
本件CAD図面のうちA−20ないしA−22,C−1,C−2,F−
38,F−79ないしF−90,L−1,L−2,O−2,O−9,P−
60ないしP−66,R−13,T−20,T−27,T−40ないしT
−42及びV−1については,原告が表現上の創作性を具備することを具
体的に主張立証していないから,これらについては著作権法上保護される
著作物と認めることはできない。
()小括5
以上に検討したとおり,本件CAD図面は,いずれも表現上の創作性を具
備しているとはいえないから,著作権法上保護される著作物と認めることは
できない。
2結論
以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の本件請求は
いずれも理由ないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
裁判長裁判官田中俊次
裁判官北岡裕章
裁判官山下隼人

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