弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     一、被上告人B1に対する本件上告を棄却する。
     同被上告人に対する上告費用は上告人の負担とする。
     二、原判決中被上告人B2の勝訴の部分を破棄し、第一審判決主文第二、
五項以外の部分中同被上告人の勝訴の部分を取り消し、同被上告人の請求を棄却す
る。
     同被上告人と上告人との間に生じた訴訟の総費用は同被上告人の負担と
する。
         理    由
 上告人の上告理由について。
 一、原判決は、判示甲の板垣の存するa番bの土地の東の部分約一五坪は被上告
人B2が所有者Dから賃借し耕作占有しているのであるが、この賃借については、
農地関係法令所定の許可を得ていないから無効であるけれども、占有権がある以上
民法一九八条により妨害排除を求める権利があり上告人の設置した右板垣の撤去を
求めることができると判示する。しかし被上告人B2は終始賃借権に基き右板垣の
撤去を求めていることは記録上明白であり、本訴は占有の訴ではないことも明らか
であるにかかわらず、同被上告人主張の賃借権を否定しながら、同被上告人の主張
していない占有権を理由として上告人に右板垣の撤去を命じたことは当事者の申立
てざる事項につき判決をした違法があるものといわねばならない。
 二、原判決は、判示a番bの農地は被上告人B1の先代が明治年間から賃借して
耕作し来り、被上告人B1においてこれを承継し、現に賃借権を有するものである
が、a番c、b、dはいずれもD所有の同番eの土地から分筆されたもので、上告
人が右a番d、cの土地の所有権を取得した結果、B1が賃借権を有する右a番b
は袋地となり右a番d及びcの土地を通行しなければ他に公道に出ずることができ
なくなつたものであるから、被上告人B1は民法二一三条により上告人所有のa番
cの土地につき通行権があり、かつ、これを妨害する判示乙の板垣の撤去を求める
権利があると判示する。原判決の挙示する証拠によれば右認定は首肯することがで
き、この点に関する上告人の所論は結局原審の適法にした事実認定を非難するか、
独自の見解に立脚して原判決を非難するものであつて採用し得ない。
 しかし、原判決が右の如く賃借土地の引渡を受けて現に賃借権を有する被上告人
B1のために民法二一三条を準用してその隣接する乙板垣の存する土地につき通行
権を認めたことは是認できるけれども、単なる占有者に対して右法条を準用するこ
とは許されないものと解するを相当とするから、a番bの東の部分の土地の単なる
占有者に過ぎない被上告人B2に対しても、乙板垣の存する土地につき通行権を認
め、かつ右板垣の撤去を求める権利があると判断したことは違法であるといわなけ
ればならない。
 三、次に判示丙の板垣の存する(A)(B)線の部分は上告人がDから買受けた
部分ではなく、右の部分については被上告人B1が賃借権を有するのであるから上
告人は右丙の板垣を撤去すべきものであるとした原判示は挙示の証拠に照し首肯で
きるところであり、論旨は原判決の適法にした事実認定を非難するものであつて採
るを得ない。
 四、なお、被上告人B2の本件訴訟代理の委任につき、所論の違法ありと認むべ
き証拠がないから所論は採るを得ない。また、上告人及び被上告人B1間の訴訟費
用の負担については同被上告人に対する上告の理由のない以上独立して不服申立を
なし得ないものであるからこの点に干する所論も採るを得ない。
 五、以上の如く被上告人B1に対する本件上告は理由がなく棄却すべきものであ
るが、被上告人B2に対する本件上告は理由があり、原判決及び第一審判決中被上
告人B2勝訴の部分を破棄、取消しのうえ、同被上告人の請求を棄却すべきものと
認め、被上告人B1に対する上告については民訴三九六条、三八四条、八九条、九
五条に則り、被上告人B2に対する上告については民訴四〇八条、八九条、九六条
に則り、全裁判官一致の意見により主文の如く判決する。
     最高裁判所第二小法廷
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
 裁判長裁判官小谷勝重は退官につき署名押印できない。
            裁判官    藤   田   八   郎

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛