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裁判例


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主文
1原告らの請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第1請求
1被告a,同b,同静岡県元県議会議員会は,連帯して静岡県に対し,金46
9万0992円及びこれに対する平成12年1月18日から支払済みまで年5
分の割合による金員を支払え。
2被告a,同c,同静岡県元県議会議員会は,連帯して静岡県に対し,金24
4万0146円及びこれに対する平成13年3月30日から支払済みまで年5
分の割合による金員を支払え。
第2事案の概要
本件は,被告a,同b及び同cが,静岡県をして,公益性のない被告静岡県
元県議会議員会(以下「被告元議員会」という)に対して補助金を不法に支。
出させ,また,任意団体である被告元議員会の県内外視察に県職員を随行させ
その随行中の給与を不法に支払わせたとして,静岡県の住民である原告らが,
静岡県に代位して,被告元議員会に対しては地方自治法(平成14年法律第4
号による改正前のもの。以下同じ)242条の2第1項4号後段に基づき,。
被告a,同b,同cに対しては,同法242条の2第1項4号前段に基づき,
上記補助金及び給与相当額(前記請求1は平成11年度分,同請求2は平成1
2年度分である)の損害賠償の連帯支払請求と附帯請求をした事件(県の補。
助金支出等をめぐる住民訴訟)である。
1前提事実
()当事者1
ア原告らは,静岡県の住民であり「d」の幹事である(弁論の全趣旨。,)
イ被告aは,平成5年8月から現在に至るまで静岡県知事の地位にあり,
予算執行の本来的権限を有しているものである。また,被告aは被告元議
員会の顧問をしている(丙1。)
ウ被告bは,平成10年4月1日から平成12年3月31日まで静岡県議
(「」。),会事務局以下議会事務局というの次長兼総務課長の地位にあり
議会事務局職員の給与,補助金(1000万円未満)の支出命令の専決権
限を有していたものである。
エ被告cは,平成12年4月1日から現在に至るまで議会事務局次長兼総
,,()務課長の地位にあり議会事務局職員の給与補助金1000万円未満
の支出命令の専決権限を有しているものである。
オ被告元議員会(旧・元議員クラブ)は,静岡県議会議員として在職した
ことがある者のうち,会則の趣旨に賛同する者で組織する昭和54年に設
立された権利能力なき社団である。
被告元議員会の目的は,平成13年1月31日の会則改正前においては
「,,」会員の親睦をはかり意見の交換等を通じ県政の発展に寄与すること
,「」とされていたが同改正後は県政の発展及び県民の福祉増進を図ること
とされている。
被告元議員会は,平成11年度及び平成12年度の会員数が93名から
102名であり,その会員から,1人毎年1万円ずつの会費を徴収してい
る(以上につき丙1,2,11ないし13)。
()補助金(以下では平成11年度の補助金と平成12年度の補助金を併せ2
て「本件各補助金」という)の支出。
ア本件各補助金交付・変更承認決定
被告aは,被告元議員会に対し,平成11年6月10日に同年度分とし
て450万円,平成12年4月26日に同年度分として405万円のそれ
ぞれ補助金交付決定をなした(丙2ないし6。)
また,被告aは,被告元議員会に対し,平成13年2月22日,被告元
議員会に対する平成12年度分の補助金額を405万円から270万円に
変更する旨の補助金交付変更承認決定をなした(丙7,8。)
イ支出命令と支出
被告aは,専決権限者被告bをして,平成11年度分の被告元議員会に
対する補助金の支払命令を発令させ,平成11年6月23日,同年10月
14日,平成12年1月18日の3回に分けて各150万円ずつ,合計4
50万円を静岡県の公金から支出させた。そして,平成11年度の被告元
議員会の補助金所要額は,450万円であった(丙3,4。)
また,被告aは,専決権限者被告cをして,平成12年度分の元県議委
員会に対する補助金の支払命令を発令させ,平成12年6月19日及び平
成13年2月28日の2回に分けて各135万円ずつ,合計270万円を
静岡県の公金から支出させた。そして,平成12年度の被告元議員会の補
助金所要額は,241万1026円であった(丙6ないし9。)
本件各補助金支出は「静岡県元県議会議員会運営費補助金交付要綱」,
(以下「交付要綱」という)に基づいてなされている。。
()県の条例,規則,規程,要綱,要領3
ア県では,県の補助金交付について「静岡県補助金等交付規則(以下「交
付規則」という)が定められており(乙3,これに基づき実施の細目。)
について交付要綱が定められている(交付規則22条。この交付要綱に)
は,趣旨につき「知事は,県政貢献者の功労に報いるため,県政の研究,
意見交換等を通じ県政発展に寄与する静岡県元県議会議員会に対し,予算
の範囲内において,補助金を交付するものとし,その交付に関しては,静
岡県補助金等交付規則(昭和31年静岡県規則第47号)及びこの要綱に
定めるところによる」との規定が,また,補助の対象として「元議員会。
の運営事業に要する経費」とする旨の規定があった(以下「改正前交付要
綱」という。甲1。。)
イ改正前交付要綱は,平成12年度第1回補助金支出ののち,趣旨につき
「知事は,静岡県議会議員の職にあった者の礼遇に関する規程(昭和54
年3月8日制定)に基づき,静岡県元県議会議員会に対し,予算の範囲内
において,補助金を交付するものとし,その交付に関しては,静岡県補助
金等交付規則及びこの要綱に定めるところによる」と改正され,また,。
補助の対象につき「ア県勢の発展に貢献する調査及び研修の実施並(ママ)
びに講演会及び県政懇談会の開催,イ総会,幹事会及びその他必要な会
議の開催,ウ会報及び参考資料の刊行及び配布,エその他県勢発(ママ)
展のための必要な事業」と改正され「この改正は,平成12年度分の補,
。」(「」。。)。助金から適用するとされた以下改正後交付要綱という甲5
ウところで,県は,県の公務員として県政に功労のあった者に対し,その
功績に酬いるため「静岡県政功労者に関する条例(以下「功労者条例」,」
という。甲11の75頁)を定めており,功労者条例の施行について必。
要な事項は別に知事が定めるとしている(同条例第4条)ところ,昭和5
4年3月8日知事が決裁した「静岡県議会議員の職にあった者の礼遇に関
する規程(以下「礼遇規程」という。乙1)には,目的につき「この」。
規程は,静岡県議会議員として在職したことがあり,引き続き県政に貢献
している者の功労に報いるための礼遇について必要な事項を定めることを
目的とする」との規定があり,この礼遇規定の施行について「静岡県議。
」()。会議員の職にあった者の礼遇要領乙2という内規が定められている
しかして,功労者条例は,平成9年3月28日に廃止された(甲12。)
エなお,議会事務局職員の服務,出張,給与については「職員の給与に,
関する条例(甲41「職員の給与に関する条例等の一部を改正する条」),
例(静岡県条例第58号。甲43「職員の勤務時間,休日,休暇等」。),
」(),「,,」に関する条例甲42職員の勤務時間休日休暇等に関する規則
(甲42「静岡県職員の旅費に関する条例(甲42「調整手当に関),」),
」(),「」()。する規則甲40静岡県議会事務局規程乙5等の定めがある
()被告元議員会の活動4
被告元議員会は,本件各補助金等により,以下の()ないし()の活動を510
した。
()総会5
ア被告元議員会の平成11年度総会は,平成11年6月9日及び平成12
年1月26日の2回,いずれもホテルeで行われ,それぞれ会員41名と
32名が参加,費用は2回で145万2374円であった。平成11年6
月9日に行われた平成11年度総会の議題等は,平成10年度事業報告及
び歳入歳出決算,平成11年度事業計画及び歳入歳出予算,役員の選任,
新会員の紹介,懇親会であり,平成12年1月26日に行われた平成11
年度総会の議題等は,平成11年度事業中間報告,役員の選任,懇親会で
あった(以上につき丙11,12)。
イまた,被告元議員会の平成12年度総会は,平成12年5月30日及び
平成13年1月31日の2回,ホテルeとfで行われ,それぞれ会員32
名と31名が参加,費用は2回で89万5255円であった。平成12年
5月30日に行われた平成12年度総会の議題等は,平成11年度事業報
告及び歳入歳出決算,平成12年度事業計画及び歳入歳出予算,役員選任
であり,平成13年1月31日に行われた平成12年度総会の議題等は,
,,,役員の選任平成12年度事業報告と今後の計画平成12年度補正予算
会則の改正であった(以上につき丙9,13)。
()県外視察6
被告元議員会の平成11年度の県外視察は,会員18名参加のもと,平成
11年10月19日から同月22日まで3泊4日の日程で行われ,αセンタ
,,,,,,,ーβ記念館博物館γδ館ε資料館ζ工芸館・η美術館θ史料館
北海道開発庁,小樽市博物館,ιを訪問した。そして,この県外視察の際に
は,各会員から1人5万5000円ずつの参加費が徴収された(丙12。)
()県内視察7
ア被告元議員会の平成11年度の県内視察は,会員26名参加のもと,平
成11年6月24日から同月25日まで1泊2日の日程で行われ,κ文学
館,λ記念館,μ博物館,g株式会社湖西工場を訪問した(丙11。そ)
して,この県内視察の際には,各会員から1人1万5000円ずつの参加
費が徴収された(丙12。)
イまた,被告元議員会の平成12年度の県内視察は,会員15名の参加の
,,もと平成12年7月26日から同月27日まで1泊2日の日程で行われ
ν観音院,ξ養鱒場,π扇状地,σを訪問した。ただし,この平成12年
度の県内視察は,補助対象事業から除外されており,被告元議員会は,自
己財源のみで実施した(丙9,13。)
()講演会8
ア被告元議員会は,平成12年1月26日,会員32名参加のもと,元在
日外国特派員協会会長h氏を講師に迎え「外国人記者からみた日本の政,
治」との演題で,平成11年度の講演会を開催した(丙12。)
イまた,被告元議員会は,平成12年10月25日には,会員29名参加
のもと,ij・取締役研究開発部長を講師に迎え「IT革命が生活・仕,
事を変える」との演題で,また,平成13年1月31日には,会員31名
参加のもと,kl解説委員を講師に迎え「プーチン大統領と今後の日ロ,
関係」との演題で,それぞれ平成12年度の講演会を開催した(丙9。)
()県政懇談会9
ア被告元議員会は,平成11年9月17日,会員27名参加のもと,m副
知事を迎え「快適空間しずおかの創造について」とのテーマで県政懇談,
会を実施した(丙11,12。)
イまた,被告元議員会は,平成13年1月29日に,会員19名参加のも
と,n県企画部空港建設局長を迎え「空港建設の現状について」との議,
題で県政懇談会を実施した(丙9。)
()会報10
被告元議員会の会報は,平成11年度は第40号(平成11年12月28
日発行,第41号(平成12年3月27日発行,臨時号(県政懇談会及))
び講演会の記録)の3回にわたって発行され(丙12,平成12年度は臨)
時号(平成12年8月12日発行)に加えてもう1回の合わせて2回発行さ
れた(丙13。)
()職員の県内外視察の随行と職員給与11
被告aは,専決権限者被告b及び同cをして,被告元議員会が実施した平
成11年度及び同12年度の県内視察,そして平成11年度の県外視察に随
行した議会事務局職員に対し,平成11年度県内視察随行中の給与として推
計6万3664円を,同年度県外視察随行中の給与として推計12万732
8円を,平成12年度県内視察随行中の給与として推計2万9120円を,
それぞれ支出させた。
()原告らは,平成12年9月12日,静岡県監査委員に対し,本件各補助12
金の支出及び県議会職員の随行分給与の支出につき違法であるとして地方自
治法242条1項に基づく監査請求を行ったところ,同年11月22日,同
監査委員は,原告らに対し,同監査請求を却下ないし棄却する旨の通知を行
った。
2争点
()本件各補助金支出の違法性1
ア本件各補助金の支出は,根拠規定を欠き違法か。
(原告らの主張)
本件各補助金の支出は交付要綱に基づいてなされているが,この交付
要綱は,礼遇規程に準拠するものであり,さらにこの礼遇規程が準拠す
るものは,功労者条例である。
このことは,功労者条例が廃止後も「静岡県議会関係規程集(甲1」
1,以下「規程集」という)に登載されていること,この規程集にお。
ける登載の順序が功労者条例,礼遇規程「静岡県議会議員の職にあっ,
た者の礼遇要領」という準拠する順序になっていること,議会事務局職
員は,功労者条例が礼遇規程の準拠条例と主張していたこと,功労者条
例と礼遇規程では主要な部分で同一の規定がされていることから明らか
である。
,,そして功労者条例が平成9年3月28日に廃止されたのであるから
これに準拠する礼遇規程,更にはこの礼遇規程に準拠する交付要綱も同
日以降無効になった。したがって,この無効な交付要綱に基づく本件各
補助金の支出は,根拠規定を欠き違法である。
(被告らの反論)
本件各補助金支出の根拠規定は地方自治法232条の2であって,交
付規則及び交付要綱は手続上の準則に過ぎない。そして,本件各補助金
の支出は,地方自治法232条の2に基づいてなされているのであるか
ら,適法である。
また,本件各補助金の支出は,一般会計予算に組み込まれて,県議会
の議決を経て,交付規則及び交付要綱に従いなされているから,手続上
も適法である。
イ本件各補助金は,その対象事務・事業が不特定か。
(原告らの主張)
交付規則3条及び4条によれば,県の補助金はその対象事業を特定し
目的と内容を明記しなければ申請できず,かつ,申請を受理し交付決定
をすることもできないにもかかわらず,本件各補助金は「元議員会の,
運営事業に要する経費」などという抽象的な名目で支出されていたもの
であって,補助金の対象となる事務・事業が特定されておらず,本件各
補助金の支出は交付規則に反し違法である。
(被告らの反論)
被告元議員会に対する補助金も他の補助金と同様に,交付申請時に,
,,交付申請書とともに事業計画収支予算書の提出を義務付けられており
具体的な事業のために補助されているといえ,何ら交付規則に反せず,
適法である。
ウ公益目的に欠ける補助金支出を定める交付要綱が違法で,それに基づく
本件各補助金の支出も違法か。
(原告らの主張)
被告元議員会の活動は地方自治法232条の2にいう「公益上必要が
ある場合」の事務又は事業に該当しない。また,改正前交付要綱の趣旨
の項には「県政貢献者の功労に報いるため」静岡県元県議会議員会に,
対し補助金を交付する旨の文言が存在したのであり,この文言からすれ
ば,本件における被告元議員会に対する補助金交付の目的は,かつて議
員であったということを県政貢献者の功労とするものである。そして,
このように,県政貢献者の功労に報いるためとして,被告元議員会とい
う元県議会議員であった者達の集まりに対して公費による補助金を交付
することは,その会員である元議員各個人の私益を実現することにはな
っても,公益目的を実現することにはならない。よって,交付要綱は,
公益目的に欠ける補助金の支出を定めたものであり,違法である。この
ことは,その後改正前交付要綱が改正され「県政貢献者の功労に報い,
るため」との文言が削除されたことからも明らかである。
(被告らの反論)
改正前交付要綱が「県政の研究,意見交換等を通じ県政発展に寄与,
する静岡県元県議会議員会に対し(中略)補助金を交付する」と規定,
し「県政発展に寄与する」という公益目的を前提に,被告元議員会に,
補助金を交付するものであることは明らかであり,本件各補助金の支出
目的に何ら公益目的に欠けるところはなく,適法である。改正前交付要
綱の改正は,適正な手続を経ているうえ,内容も改正前に行われていた
事業,経理区分を明確にしたものに過ぎない。
エ被告元議員会の補助金支出対象事業が公益性を欠き,そのため本件各補
助金の支出は違法か。
(ア)総会について
(原告らの主張)
被告元議員会の総会は,会員の3分の1程度しか参加せず,短時間
で議題を消化することを迫られている形式的な儀式であり,公益性は
ない。県は,県職員の職務上必要な食糧費について,社会通念上許さ
れる必要最小限の範囲に限定する旨通達しており(甲35,36,)
運営の大部分を県の補助金でまかなう被告元議員会がこの通達の趣旨
に拘束されるのは当然であるが,被告元議員会の総会の後に行われる
懇親会の費用は,この社会通念の範囲をはるかに上回っており,この
ような懇親会も含む総会に対する補助金の支出は,公益上必要な補助
金の支出とはいえない。平成11年度及び同12年度の会員一人あた
りの懇親会費は,試算すると,平成11年度については推計1万64
71円,平成12年度については推計1万0242円となる。静岡県
職員倫理条例及び同倫理規則によれば,県職員が接待を含む贈与等を
受けた場合の報告義務金額は,5000円を超える場合と定められて
いる(同倫理規則15条)ので,県における公務員関係の職務に随伴
する飲食代金の社会通念上の限度額は,一人あたり5000円程度が
限度と考えられるところ,被告元議員会の総会の後に行われる懇親会
の費用は,上記のとおりこの限度金額を超えるものである。したがっ
て,総会及び総会後の懇親会には公益性がない。
(被告らの反論)
総会において,被告元議員会会員らは,議員在職中の豊富な経験を
活かして,知事や現職議員との意見交換を行うなどして,県政の発展
に寄与している。また,総会後の懇親会は,情報交換や意見交換を兼
ねて昼食時に行われたものである。加えて,懇親のための経費につい
ては,県の場合,総務部長通知により,社会通念上許される額の範囲
内にとどめ可能な限り圧縮することとされていることを踏まえ,被告
元議員会においても当該経費を補助対象外経費として会費の中で賄っ
。,,,ている以上からすれば被告元議員会の総会は公益性を有しまた
総会後の懇親会も社会通念上相当なものといえ,公益性を有し違法・
不当なものではない。
(イ)役員会について
(原告らの主張)
被告元議員会の規約で定められた役員会は総会と幹事会があり丙,(
1,平成13年2月1日からは4役会議が創設されたが,平成11)
年度,同12年度に開催された総会及び幹事会において,県政の発展
に寄与するための具体的な提言,県政への批判についての検討はなさ
,,,れておらず全て被告元議員会の行事や運営に関する内部調整連絡
役員人事にかかる議題,協議に終始している。このような役員会に公
益性はない。
(被告らの認否)
争う。
(ウ)県内外視察について
(原告らの主張)
県内外視察の実態は,私的な慰楽を目的とする観光旅行である。被
告元議員会は,視察先には,事前に視察依頼書又は視察項目を送付す
るなど,アポイントメントをとって訪問したのではなく,一般観光客
。,,と同じ観光をしたに過ぎない被告元議員会の訪問の際に視察先が
調査事項について応対,説明した事実はない。被告元議員会の視察先
のうち,県内外視察を通して唯一の行政機関である北海道開発庁の訪
問も,計画にはなかった予定外の訪問であった。被告元議員会のo前
会長も,県外視察が公益性のない単なる観光旅行であったことを認め
ていた。したがって,被告元議員会の県内視察旅行への随行は県議会
事務局職員の従事すべき職務に該当しない。
(被告らの反論)
県内外視察においては,県内及び県外各地の観光施設や農業関係施
設等の視察を行い,県内視察においては,県内の文化,福祉,観光,
地域産業等の主要施設の整備,運営状況について,また,県外視察に
おいては,静岡県の主要産業である地場産業と観光行政の振興を視点
に,先進地における各施設の整備,運営状況について,それぞれ実情
把握に努めてきた。その成果は,伊豆新世紀創造祭,国際園芸博覧会
への協力,茶業振興等の地域振興などに活かされている。県内視察研
修においては,県の出先機関を視察することがあり,その際には,そ
の機関の所長をはじめ出先機関幹部との意見交換や提言を行ってい
る。視察に参加した会員からは,県内視察については1人1万500
0円,県外視察については1人5万5000円の参加費を徴収してい
た。o前会長が,県外視察が観光旅行であったことを認める旨の発言
をしたことはなく,新聞記者の世相を反映すべきとの問いかけに対し
うなずいただけである。
(エ)講演会について
(原告らの主張)
被告元議員会が開催した講演会は,総会の開催日に,総会と懇親会
の場つなぎと被告元議員会の活動の公益性を装うために開催されたも
のに過ぎない。被告元議員会は,この講演会に一般県民の参加は呼び
かけていない。以上からすれば,当該講演会には公益性はない。
(被告らの反論)
被告元議員会が開催している講演会は,各分野の専門家に講演を依
,,頼し国内外の最新情報や幅広い知識の習得に努めているものであり
,,。また当該講演会の講演録を作成し会員及び関係者に配布している
このように,当該講演会には公益性がある。
(オ)県政懇談会について
(原告らの主張)
この県政懇談会においては,県と被告元議員会との間に,県幹部が
勤務時間中に県が補助する団体で県の施策を話すことで謝礼を受け,
任意団体である被告元議員会が県の施設を使用するのに「行政財産の
使用料条例」と同規則に定められた使用料減免手続を経ることなく無
料で使用し県がこれを黙認するという癒着の関係がある。このような
関係が存在する県政懇談会に公益性を認めることはできない。また,
被告元議員会会員らは,県政懇談会で得た知識を活用して県政発展の
ために提言や意見具申を行わないのであるから,県政懇談会には公益
性はない。
(被告らの反論)
毎年1回,県幹部から県政の重要課題についての説明を受けた後意
見交換等を行っており,元議員が県の重要又は新規の施策に関する生
きた情報を得る機会として重要な事業であり,また,県としても重要
又は新規の施策の普及,宣伝活動を行う場として活用している。この
ような県政懇談会には公益性がある。
(カ)会報発行について
(原告らの主張)
,,,会報は会員相互の近況報告会の行事会員の意見発表の場であり
文字通り内部文書として会員外への閲覧を拒否するなど(甲28,)
その閉鎖性は顕著で,公益性はない。
(被告らの反論)
会報の内容は単に会員の近況を報告するだけでなく,県財政の状況
についての資料や講演録を掲載するなど,被告元議員会が会員に対し
て行う情報の提供の手段となっている。そして,そうして情報を得た
被告元議員会会員らが,その情報をもとに地域レベルで県政の発展に
寄与しているのであるから,この会報の発行にも公益性はある。
(キ)被告元議員会の静岡県に対する提言や提案について
(原告らの主張)
被告元議員会は,超党派の組織であるため,そもそも全員一致や多
数決等によって政策を定めて被告元議員会の団体名義で県に対し提案
等を行うことはなし得ない。また,被告元議員会は,同会員であるp
が県に提出した「高齢者向けの大活字出版物の重要性について(乙」
4)や,同会o前会長が助言したというq県会議員の交番の権能強化
に関する議会質問(丙18)などに,被告元議員会が会として寄与し
たかのように主張するが,被告元議員会の各会員が,同会の会として
の意思決定に基づいて,県政発展に寄与すべく,県に対し,提言や提
案などを行った事実はない。よって,被告元議員会が,いかなる事業
,,,,をなしていたとしても結局同会は会としての意思決定に基づき
県に対し,提言や提案などを行っていないのであるから,同会に公益
性がないことは明らかである。
(被告a,同b,同cの反論)
被告元議員会は,超党派の組織であるため,全員一致や多数決等に
よって政策を定めて被告元議員会の団体名義で県に対し提案等をする
,,,方法はとらず県に対する提案等に関しては各会員の自主性に委ね
。,被告元議員会がこれを支援するという運営となっているしたがって
被告元議員会は,各会員の活動を通して県政の発展に寄与していると
いえるから,公益性がある。
(被告元議員会の反論)
被告元議員会は,超党派の組織であるため,全員一致や多数決等に
よって政策を定めて被告元議員会の団体名義で県に対し提案等をする
,,,方法はとらず県に対する提案等に関しては各会員の自主性に委ね
被告元議員会がこれを支援するという運営となっている。そして,こ
のような被告元議員会の支援に基づき,同会員であるpが,県に「高
齢者向けの大活字出版物の重要性について」と題する書面(乙4)を
提出したり,同会o前会長が,q県会議員の交番の権能強化に関する
議会質問(丙18)を助言したりしている。したがって,被告元議員
,,会は各会員の活動を通して県政の発展に寄与しているといえるから
公益性がある。
オ被告元議員会への本件各補助金の支出は平等原則に反した裁量権の逸脱
濫用か。
(原告らの主張)
県内には,被告元議員会の他にも,自ら研鑽を積んで県政や地域の発
展に貢献している団体は存在する。被告元議員会のみが県の補助を受け
ているのは平等原則に反し,本件各補助金の支出は裁量権の範囲を逸脱
している。
(被告らの反論)
県内には,公益目的で種々地域のために貢献中の各種団体が存在し,
,,,,これらに対し県や市町村等様々なルートを通して各種の負担補助
交付をもって,助成,支援が行われているのであって,被告元議員会の
みが優遇されている事実はない。
カ本件において,補助金支出対象事業に対し補助金を支出することに公益
上必要があるとの認定について,裁量権の逸脱濫用があるか。
(原告らの主張)
本件各補助金の支出根拠は,地方自治法232条の2であるが,その
支出要件は「公益上必要がある場合」に限られ,その「公益上必要が,
ある場合」に該当するか否かは,支出権者の自由裁量行為ではなく,客
観的に覊束された行為である。客観的にも「公益上必要がある場合」と
認められるためには,地方公共団体の収入は第一義的には地方自治法2
32条1項記載の経費に支弁させるものであるから,財政の余裕度,補
助対象団体の事業が果たすべき公益目的,同目的が当該地方公共団体の
財政上の余裕度との関連においてどの程度の重要性と緊急性を有する
か,補助金の合目的性,有効性の期待度,公正,公平などの行政目的を
阻害し,行政目的の均衡を損なわないかなど,諸般の事情を考慮すべき
であり,仮に当該地方公共団体において公益上必要と判断しても客観的
に公益上必要な場合に該当する事実がなく,又はその認定が条理を欠く
ときは補助金支出は違法となる。加えて,この裁量権の行使に濫用逸脱
があるときにも,同様に補助金支出は違法となる。
この点,県は,平成12年度,同13年度は,職員給与も減額せざる
を得ないような財政窮迫の状態にあった。また,本件各補助金の対象団
体たる被告元議員会の事業の実態は,公益性に欠けるものであった。更
に,被告元議員会は本件各補助金がなくてもその活動をすることができ
ることからすれば,本件補助金の重要性と緊急性がないことは明らかで
ある。加えて,補助金の合目的性,有効性の期待度に関しては,視察と
称して毎年観光旅行を行ってきた実態からして全くないといえる。そし
て,公正,公平の観点から行政全体の均衡を考慮した場合,他の多くの
自主的政策提言団体等との均衡の観点からも,また,被告元議員会に所
属する元議員と所属しない元議員との均衡の観点からも,公正,公平の
行政目的を阻害するものである。
以上からすれば,本件各補助金に公益上必要がある場合に該当する事
実がないことは明らかであり,本件各補助金の支出は違法である。
(被告らの反論)
普通地方公共団体の長の公益上の必要に関する判断過程に裁量権の逸
脱又は濫用があったか否かについては,当該補助金支出の目的及び趣旨
並びに補助団体の構成員,目的,事業実績等の諸般の事情を総合的に判
断することが相当である。
そして,被告元議員会は「県政の発展に寄与すること」を目的とす,
る会の趣旨に賛同する者をもって構成されている団体であり,その目的
達成のために県政懇談会,講演会,視察研修等の事業を実施している。
この被告元議員会が行う事業には,公益性がある。
また,予算審議の過程における公益性の判断については,県財政当局
は被告元議員会の行う事業の公益性を認め,被告元議員会補助金として
一般会計予算の中で議会の議決を求めており,当該予算は,定例県議会
において審議され,議決されている。更に,最近の県の財政状況が厳し
いなかで,被告元議員会への補助金も公益上の優先度の高いものとして
認められてきたのは,被告元議員会の事業が県から評価されてきたから
である。もっとも,県の厳しい財政状況を考慮し,被告元議員会として
も会費の増額を行うなどしている。
以上からすれば,本件各補助金が公益上必要であることは明らかであ
,。り本件各補助金の支出についての判断に何ら裁量権の逸脱濫用はない
()随行職員に対する給与支出の違法性2
(原告らの主張)
静岡県議会事務局規程乙53条には総務課の所掌事務として元(),,「
議員の礼遇に関すること」との記載があり,具体的礼遇内容を定めた礼遇
規程2条()には「元議員クラブ(現・被告元議員会)へ運営費を補助6,
すること」との記載はあるが,職員が被告元議員会の業務に携わったこと
に対する給与まで負担することは規定していない。また,同条()には,7
「その他特に必要と認める事項」との記載があるが,被告元議員会の県内
外視察そのものが公益上必要がある場合に該当しないのであるから,随行
職員に対する給与の支出に礼遇規程が適用されることはない。
仮に適用され得るとしても,本件で給与支出をすることは,裁量権の逸
脱濫用であり,違法である。
更に,随行職員が観光,経済及び災害対策等を知る目的で視察研修を行
う必要があるならば,事前に視察目的,調査事項等を視察する側はもちろ
ん視察先にも周知徹底させておくことが必要であるところ,本件の随行職
員及び視察先に対してはそれはなされていない。加えて,随行職員に対し
ては,旅行命令も発令されていない。
以上からすれば,随行職員の本件県内外視察への随行中の行動は,県議
会職員の職務の遂行には該当しないから,随行職員に対する本件県内外視
,,察への随行期間中の給与の支出は職員の給与に関する条例13条に反し
違法であるから許されない。
(被告a,被告b,被告cの反論)
随行職員の派遣は,礼遇規程に規定された業務の一環であり,円滑な視
察の実施のためにも必要であるから,静岡県議会事務局規程に基づき公務
出張を命令していた。したがって,その間の随行職員に対する給与の支出
は,職員の給与に関する条例13条に反せず,違法でない。
(被告元議員会の反論)
被告元議員会の県内外視察への職員の随行は,随行職員にとって,経験
豊富な元議員と交流する機会になり,当該職員の資質の向上のためにも有
益である。また,随行職員の派遣は,礼遇規程に規定された業務の一環で
あり,円滑な視察の実施のためにも必要であるから,静岡県議会事務局規
程に基づき公務出張を命令していた。したがって,その間の随行職員に対
,,。する給与の支出は職員の給与に関する条例13条に反せず違法でない
()被告らの違法行為と責任の成否3
ア主位的請求原因に係る被告らの違法行為と責任
(ア)被告aの違法行為と責任
(原告らの主張)
県知事たる被告aは,予算執行の本来的権限を有し,かつ,支出執
行専決権者を指揮監督する義務を負っている。また,被告aは,被告
元議員会の顧問として,被告元議員会の総会議案や被告元議員会の会
報に記載された同会への補助金の支出や使途の実態について知ってい
たか知り得る立場にあっただけでなく,自ら総会に出席して本件各補
助金の削減の議論に加わるなどして(甲4の2,被告元議員会への)
援助の範囲が過度に拡大しているとの意見を述べるなどしており(甲
10の1,2,本件各補助金の違法性について認識していた。同様)
に,随行職員への給与支出がなされていたことも,知っていたか知り
得る立場にあった。
したがって,被告aには本件各補助金及び随行職員への給与支出に
関して,専決権者に対し専決しないように指揮監督すべき義務があっ
たにもかかわらず,重大な過失ないし過失によりこれを怠った不法行
(),。,為違法な支出命令により県に損害を与えたものであるよって
被告aには,本件各補助金及び給与金相当額の賠償責任がある。
(被告aの反論)
被告aは,本件補助金の支出命令手続について,現実に関与してい
ない。本件各補助金の支出命令手続は,礼遇規程に規定された業務の
一環として昭和54年以来継続して行われてきたものであるから,被
告aに各決裁者に対する指揮監督上の過失はない。
被告aは,本件随行職員給与の支出命令手続について,現実に関与
しておらず,また,本件の県内外視察の随行は,礼遇規程に基づき業
務の一環として行われていたものであり,したがって被告aに各決裁
者に対する指揮監督上の過失はない。
(イ)被告b及び同cの違法行為と責任
(原告らの主張)
被告b及び同cは,被告bは平成11年度の,被告cは平成12年
度のそれぞれ県議会事務局次長兼総務課長として,本件各補助金及び
,,給与支出の支出命令専決権限を有していたところ被告b及び同cは
被告元議員会の本件各補助金対象事業が地方自治法232条の2の
「公益上必要がある場合」に該当しないこと及び随行職員の業務が公
務の執行に該当しないから県の業務に従事しなかったことになること
を知っていたか知り得る立場にありながら,重大な過失により,被告
bについては平成11年度分の,被告cについては平成12年度分の
本件各補助金及び随行職員の給与の支出命令を発した不法行為によ
り,県に損害を与えたものである。したがって,被告bには,平成1
1年度分の本件の補助金及び給与相当額につき賠償責任があり,被告
cには,平成12年度分の本件の補助金及び給与相当額につき賠償責
任がある。
(被告b,同cの反論)
被告b及び同cは,本件各補助金の支出について,補助金支出に係
る事務が昭和54年以来継続して行われてきたこと,補助金交付の根
拠が礼遇規程に明確に規定されていること等から,その専決権限に基
づいて決裁したものであり,本件各補助金の支出当時,それが違法で
あるとの認識をし得るものではなく,本件各補助金の支出命令を決裁
した被告b及び同cには重過失はない。また,被告b及び同cは,静
岡県議会事務局規程において総務課の所掌事務として「元議員の礼遇
に関すること」と明記されているため,職員の随行についても公務と
考え,事務分掌及びその専決権限に基づき本件の給与支出を決裁した
ものであるから,当時公務出張を命令しかつその間の給与についての
本件支出命令を決裁した被告b及び同cにおいて,出張命令及び本件
の給与支出が違法であるとの認識をし得るものではなく,本件の給与
の支出命令を決裁した被告b及び同cには重過失はない。
(ウ)被告元議員会の違法行為と責任
(原告らの主張)
被告元議員会は,本件各補助金対象事業が地方自治法232条の2
の「公益上必要がある場合」に該当しないので,これらに要する費用
を県に申請し本件各補助金を受領する権限がないことを知っていたか
知り得る立場にありながら,本件各補助金を県に支出させ受領した不
法行為により県に損害を与えた。
また,被告元議員会は,随行職員の随行旅費を被告元議員会が負担
して随行を要請したのであるから,随行業務がもっぱら被告元議員会
の必要性からのみ行われたもので,随行中の職員給与を県に支出させ
る権限はないことを知っていたか知り得る立場にあったにもかかわら
ず,随行中の職員の給与を県に支出させた不法行為により県に損害を
与えた。
以上により,被告元議員会には,本件各補助金及び給与相当額の賠
償責任がある。
(被告元議員会の反論)
被告元議員会に対する本件各補助金については,交付手続も正当で
あるうえ,被告元議員会は公益活動としての事業を行っているのであ
るから,被告元議員会の過失など論ずべき余地はない。
イ被告a,被告b,被告cに関する予備的請求の原因に係る同被告らの不
法行為責任
(ア)被告aの違法行為と責任
(原告らの主張)
県知事たる被告aは,交付規則16条1項の補助金等交付決定の取
,,消及び同規則17条1項の返還請求に関する本来的権限を有しかつ
。,,両権限の専決権者を指揮監督する義務を負っているまた被告aは
被告元議員会の顧問として,被告元議員会の総会議案や被告元議員会
の会報に記載された同会への補助金の支出や使途の実態について知っ
ていたか知り得る立場にあっただけでなく,自ら総会に出席して本件
各補助金の削減の議論に加わるなどして,被告元議員会への援助の範
囲が過度に拡大しているとの意見を述べるなどしており,本件各補助
金がその交付目的に違背して不法に消費されていたことを知っていた
か知り得る立場にあった。したがって,被告aには,本件各補助金に
関し,交付規則16条1項に基づく補助金交付決定の取消及び同規則
17条1項に基づく返還請求をすべき義務と補助金交付決定の取消及
び返還請求の専決権者に対し同取消及び返還請求の専決を行うよう指
揮監督すべき義務があったにもかかわらず,故意又は過失によりこれ
らを怠った不法行為により,県に損害を与えたものである。よって,
被告aには本件各補助金相当額の賠償責任がある。
(被告aの認否)
争う。
(イ)被告b及び同cの違法行為と責任
(原告らの主張)
被告b及び同cは,被告bは平成11年度の,被告cは平成12年
度のそれぞれ県議会事務局次長兼総務課長として,交付規則16条1
項に基づく補助金交付決定の取消及び同規則17条1項に基づく返還
請求の専決権限を有していたところ,被告bは平成11年度分の,被
告cは平成12年度分の本件の補助金がその交付目的に違背して不法
に費消されていたことを知っていたか知り得る立場にありながら,故
意又は重大な過失により補助金交付決定の取消及び返還請求の専決を
怠った不法行為により,県に対し被告bは平成11年度分の,被告c
。,は平成12年度分の補助金相当額の損害を与えたものであるよって
被告bには平成11年度の,被告cには平成12年度の本件の補助金
相当額の損害を賠償する責任がある。
(被告b及び同cの認否)
争う。
ウ被告元議員会に関する予備的請求の原因について
(原告らの主張)
仮に,被告元議員会が本件各補助金を受領した行為及び本件の随行職
員給与を県に支出させた行為が不法行為に該当しないとしても,被告元
議員会は,法律上の原因なくして,本件各補助金を受領し,本件の随行
職員給与を支出権者に支出させて不当な利益を得たのであるから,不当
利得の返還義務がある。
(被告元議員会の認否)
争う。
第3争点に対する判断
1争点()アについて1
()普通地方公共団体は,その公益上必要がある場合に補助をすることがで1
きると定められている(地方自治法232条の2。)
そして,交付規則は,市町村その他の団体等に交付する県費補助金等の交
付の申請,決定等に関する事項を規定するものであり(第1条参照,交付)
要綱はこれを受けて被告元議員会に対する補助金交付の実施の細目を定めて
いるところ,本件各補助金の支出は,一般会計予算に組み込まれて,県議会
の議決を経て,交付規則及び交付要綱に従いなされていることが認められる
(甲2。)
()ところで,礼遇規程及び礼遇要領は功労者条例の施行についての必要な2
事項を定めていたものであるから,その限りにおいては準拠していた関係に
あるといえるものの,功労者条例の廃止が直ちに礼遇規程及び礼遇要領の効
()。,力の消滅をもたらす無効にする関係にはないものと解されるなぜなら
功労者条例は平成9年3月28日に廃止されたが,平成12年度分の補助金
から適用するとされた改正後交付要綱では「礼遇規程に基づき」と明記し,
ており(第1趣旨」の項,平成12年度においても礼遇規程が効力を「)
有していること(平成9年3月28日には無効にならなかったこと)が認め
られるからである。
()次に,交付規則と功労者条例との間,交付規則と礼遇規程との間,交付3
規則と礼遇要領との間に準拠関係に関する条項は見当たらない。
()なるほど,改正後交付要綱は,礼遇規程に基づくことを明らかにしてい4
る。したがって,改正前交付要綱についても,礼遇規程に準拠する旨の文言
はないものの,この礼遇規程に準拠していたと解し得る。しかし,功労者条
例が平成9年3月28日に廃止されたからといって,これと準拠関係にない
交付要綱がその改正の前後を通じてその効力を失うことはないというべきで
ある。
()また,功労者条例は,県の補助金支出の根拠規定となるものではないか5
ら,功労者条例が廃止されたからといって本件各補助金交付の法的根拠がな
くなる関係にはない。
()以上のとおりであるから,本件各補助金支出の根拠規定は実定法上地方6
自治法232条の2であり(なお,原告らも,訴状7頁,準備書面()9,5
頁においてこの点を是認している,交付規則と交付要綱は同法条を受け。)
た県の補助金給付手続,内部基準ないし内部的な実施細目を定めたものであ
り,交付規則及び交付要綱はいずれも効力を有するから,本件各補助金支出
について,無効な交付要綱に基づくから違法であるとの原告らの主張は理由
がない。
2争点()イについて1
()交付規則(乙3)は,3条において補助金交付の申請につき,また,41
条において補助金交付の決定につき所定の事項を定めている。
()ところで,本件各補助金についての被告元議員会による交付申請は,平2
成11年度においては,交付申請書に対象事業と予算額を具体的に記載した
事業計画書,収支予算書,資金状況調及び平成11年度歳入歳出予算という
書面を添付してなされていること,事業の目的は県政の発展に寄与する諸事
業の推進及び会員の親睦であり,事業内容としては「総会及び役員会の開,
催「県内,県外視察研修「会報の発行「講演会の開催「県政懇談会の」」」」
開催」があげられていること,平成11年度の本件の補助金交付決定は,上
記補助金交付申請の際に示された事業計画に基づく具体的事業を補助する目
的でなされたことが認められる(丙2,3。)
()また,平成12年度も,県政の発展に寄与する諸事業の推進を目的とし3
て平成11年度と同様の事業内容で交付申請及び交付決定並びに変更承認申
請及び変更承認決定がなされていることが認められる(丙5ないし8。)
()以上によれば,本件各補助金は,その対象事業を特定しており,その特4
定された対象事業の補助のためという目的の下で支出されているといえるか
ら,交付規則3条及び同4条に反しないというべきである。したがって,補
助対象事業が不特定であるとの原告らの主張を認めることはできない。
3争点()ウについて1
()普通地方公共団体は,地方自治法等の法律又は条例が当該補助金の趣旨1
・目的・交付条件等について具体的に定めているか否かにかかわらず,現実
の補助金支出に際して,どれだけの額を何人に交付するかについての内部的
基準を設定するのが通常であり,本件における交付要綱は,静岡県における
一般的な補助金交付の手順を定めた交付規則と併せて,静岡県元県議会議員
会運営費の補助金に関する補助金給付の内部基準や給付手続等を定めたもの
である。その性質は,行政機関が行政の指針として内部的に定める行政規則
であるから,それ自体に法規の性質をもたないものである。したがって,交
付要綱は地方自治法232条の2に反していなければ違法とはいえない。
()そこで,以下において,交付要綱が地方自治法232条の2に違反する2
か否かにつき判断する。
地方自治法232条の2は普通地方公共団体が補助をすることができるの
は公益上必要がある場合と定めているところ,県が被告元議員会に対して補
,(),,助金を交付するのは改正前交付要綱甲1によれば同会が県政の研究
意見交換等を通じて県政の発展に寄与しているものと認めているからであ
り,また,県政貢献者の功労に報いる趣旨があると認められる。もっとも,
改正後交付要綱(甲5)においては改正前交付要綱にあった「県政貢献者の
功労に報いるため」との文言並びに「県政の研究,意見交換等を通じ県政発
」。,「」展に寄与するとの文言は削除されたしかし新たに礼遇規程に基づき
との文言が加わっており,この礼遇規程(乙1)には,目的(第1条)とし
て「静岡県議会議員として在職したことがあり,引き続き県政に貢献してい
る者の功労に報いるため」との文言が存在するのであるから,その趣旨には
格別の相違はないというべきである。
原告らは,この「県政貢献者の功労に報いるため」との目的は,公益目的
を欠くと主張する。
しかしながら,県としては,被告元議員会の各会員の多くの者が引き続き
県政に貢献しているものと認識し,更に,各会員が組織する被告元議員会も
また県政の発展に寄与しているものと認識し,その上に立って,県政貢献者
としての被告元議員会及び同会員の功労に報いるために会の運営費として本
件各補助金を交付し,もって社会的政治的な活動を積極的に支援することと
し,これにより更に県政への貢献ないし発展の寄与を高めてもらい,現在及
び将来の県政に役立てることを企図しているものと解されるから,本件各補
助金の交付には公益目的があるといえる。すなわち,被告元議員会の各会員
は多かれ少なかれ有形無形の形で県政に貢献すべく地域レベルでの公益的活
動を行っており,この各会員の活動は,所属する被告元議員会をバックとし
或いは会員数約100名に及ぶ団体組織を直接的間接的に活用してのものと
評価できるのである。そして,被告元議員会ないしその各会員を県政貢献者
として補助金が交付されれば,その功労への報いを受けた被告元議員会ない
しその各会員による公益的活動が更に促進され,その結果,公益に資するこ
とが考えられる。
したがって「県政貢献者の功労に報いるため」に被告元議員会に対し本,
件各補助金を交付し同会の事業を補助することは,ひいてはその各会員によ
る公益的活動を促進し,同会の公益性を増大させるものといえるのであるか
ら改正前交付要綱及び改正後交付要綱は地方自治法232条の2にいう公,「
益上の必要がある場合」を具体化したものとして違法とはいえない。
4争点()エについて1
()補助金支出の公益上の必要性については,当該地方公共団体の補助金支1
出の目的,趣旨,当該団体の目的,構成員,人数,活動状況,過去の実績等
を検討したうえで,当該補助金がその団体の公益的活動にどの程度役立つの
かを総合して判断するのが相当である。
,,,()被告元議員会が会として行っていた事業としては前提事実のとおり2
総会,県内外の視察,講演会,県政懇談会及び会報発行等がある。
ア県内視察は,平成7年度から平成11年度までは各2回,また,県外視
察は平成7年度が東北方面,平成8年度が山陰方面,平成9年度が山陽方
面,平成10年度が南九州方面である(甲46。そして,平成11年度)
の県内視察及び県外視察は後記6で判示するとおり公益性は肯定されると
いうべきである。
イ講演会の演題は,外国人から見た日本の政治,IT革命,今後の日ロ関
係といったいずれも公益的視点の強いものであって,この講演会にも公益
性があるといえる。
ウ県政懇談会においては,その地位からして県政への強い影響力を持つと
考えられる当時のm副知事,県民の重大な関心事である静岡空港建設に関
,,わる当時の企画部空港建設局長との懇談を行っておりこの県政懇談会も
公益的視点の強いものであったといえる。
エ被告元議員会は,以上のような事業を会報の発行を通じて各会員に周知
,,させており各会員はその会報から得た情報を活かして公益的活動を行い
それがひいては被告元議員会の事業の公益性と結びつくのであるから,会
報の発行も公益性を有しているといえる。
オ以上のような事業運営方針を決定するために,被告元議員会は役員会を
行い,更にはほぼ毎年2回の総会を行うのであるから,この役員会や総会
にも公益性は認められる。
カ原告らは,総会は,その後に行われる懇親会において社会通念を逸脱す
る浪費がなされているので,公益上必要なものとはいえない旨主張する。
しかし,本件各補助金で県政貢献者の功労に報いることにより,更に被告
元議員会を活用した公益的活動を促進することができるものと考えてお
り,被告元議員会の会員数,経歴,出席者数,使用会場(甲33)等を考
慮すると,原告らが主張する平成11年度の会員一人あたりの懇親会費推
計1万6471円及び平成12年度の同懇親会費推計1万0242円は,
社会的に指弾される常識はずれの金額といえるかにつき意見の分かれると
ころであると考えられるから,この懇親会費の額の多寡によって総会の公
益性が否定されるものではない。
キなお,被告元議員会は,各会員から毎年1万円ずつの会費(年間約10
0万円)を徴収し,事業費の全額を補助金に頼るわけではなく,その一部
を会費で賄おうとしている姿勢がみられる。
ク以上によれば,被告元議員会の事業活動が公益性が欠くものとは認めら
れない。
ケ原告らは,被告元議員会が会としての決議や意見・提言を行っていない
,。ことなどを掲げて被告元議員会としての活動に公益性がない旨主張する
なるほど,被告元議員会は超党派の組織のため会全体としての決議や提
言を殆ど行っていない(証人r。)
しかし,そのことゆえに被告元議員会の事業の公益性が否定されるもの
。,(,,ではないというべきであるすなわち証拠丙14の117の1・2
19,21,25,28,証人r)によれば,被告元議員会会員のrは,
τ郵便局に駐車場を造らせるための活動や大井川の水辺環境の整備のため
の活動など,地域レベルでの一定の公益的活動に従事し,当時県職員であ
ったsと県政に関する意見交換等をし,現静岡県議であるtと同じく県政
に関する意見交換をしていること,また,被告元議員会会員のpは,静岡
県企画部ユニバーサルデザイン室に対し,高齢者向けの大活字出版物の重
要性について提言したこと,その他被告元議員会の会員らが,その居住す
る各地域で,自治会等の公益的団体の役員や顧問を務めるなど,県政に貢
献すべく一定の公益的活動を行っていることが認められる。
コ以上のとおり,被告元議員会の会員らは,現職議員とは異なった立場や
観点から意見や考えを述べるなど,各人がその知見と経験を生かして,そ
れぞれ地域レベルで,程度の差はあるにせよ,県政に貢献すべく公益的活
動に従事しているというべきである。そして,被告元議員会の会員各人が
このような公益的活動をなし得るのは,会員数約100名の元県議会議員
で組織する被告元議員会の存在が寄与している(例えば,どこの団体組織
にも属しない元県会議員一人が活動する場合と多人数で組織された団体に
属する元県会議員が一人で活動する場合とでは違いが生じ得る)ものと。
解される。このように,会員各人は,被告元議員会の存在自体によって自
ら公益的活動がしやすくなり,被告元議員会における事業活動を通じて他
の会員との情報交換をすることによって,新しい情報を得てこれに基づき
更に地域レベルで公益的活動に取り組んでいるものと考えられる。
そうすると,被告元議員会は,その会員各個人の活動を介するという形
で,県政に貢献する一定の公益活動をなしていると評価できるから,会全
体としての決議や提言を行っていないからといって,同会の事業活動その
ものが公益性を失うことはないというべきである。
5争点()オ,カについて1
()本件各補助金の支出要件は,地方自治法232条の2により「公益上1,
必要のある場合」に限られる。そして「公益上必要のある場合」にどの団,
体等にいくらの補助金を支出するかは,補助金交付が行政目的の達成を目的
とする行政活動であることに鑑みると,財政状況,種々の行政目的等の諸般
の事情を考慮して判断する高度に政策的・行政的な判断を伴うものであるか
ら,第一義的に支出権者の裁量が尊重されるというべきであり,これが違法
となるのはその裁量権に著しい濫用ないし脱退のあった場合と解される。
()本件各補助金支出の目的は,県政の発展に寄与する被告元議員会の功労2
に報い,前記の事業を補助することであり,これにより,被告元議員会の更
なる県政貢献を促し,県政発展に寄与してもらうというものである。したが
って,本件各補助金支出の目的,趣旨,効果,補助金対象事業にはいずれも
公益性が認められる。
()確かに,本件各補助金支出当時の静岡県の財政状況は,厳しい状況にあ3
ったが,県の被告元議員会に対する平成12年度の補助金予算額は,全国的
にみると相当な金額であることが認められる(甲13,51。しかし,他)
の都道府県の元議員会の構成員(会員数)や会設立後の期間(会の歴史,)
活動状況等が本件証拠上不明であるから,単純に比較できないばかりか,丙
9によれば,被告元議員会に対する平成12年度の補助金額は,被告元議員
会の変更申請により405万円から270万円に減額されており,その中で
現実に使用した補助金額は,さらに減って241万1026円であったこと
が認められるほか,上記の本件各補助金の公益性に照らせば,被告元議員会
に本件各補助金を支出したことに裁量権の著しい逸脱濫用があったというこ
とはできない。
()また,補助金交付については,それが公金の使用であること,それが重4
要な行政手段の一つであることからして,恣意的な取扱いは許されず,平等
原則が妥当するものと解されるが,本件においては,原告らが指摘するよう
に被告元議員会と他の団体との間に著しい裁量権の逸脱濫用といえる不平等
があったと認めるに足りる証拠はない。
()以上によれば,被告元議員会の事業に対して「公益上必要がある場合」5,
と認定して本件各補助金を支出した県の判断には,平等原則違反を含む裁量
権の著しい逸脱・濫用があるとはいえず,違法とは認められない。
6争点()について2
()前提事実並びに証拠(甲6,丙15,16の1・3,20,証人r)に1
よれば,県外視察の視察先はいずれも観光地・観光施設であるが遊興施設は
含まれていないこと,県外視察の目的は,観光施設を視察することにより静
岡県の観光政策の進展と県内観光地域の振興に寄与することにあること,被
告元議員会は,平成11年度の県外視察において,北海道開発庁をも訪問し
ていること,この北海道開発庁訪問は,被告元議員会会員のuの人脈によっ
て実現したもので,その際には北海道開発局長,次長,各部長などの応対を
受け開発事業の概要や推進状況等についての説明を受けていること,視察の
日程については,観光会社に一任というわけではなく,一応被告元議員会会
長の関与の下で決められていたこと,会員個人名ではあるが,2名の者が県
外視察記を会報に載せていること,県外視察の際には,各会員から1人あた
り5万5000円の参加費を徴収していることが認められる。
()そして,証拠(丙9ないし13,証人r)によれば,被告元議員会の県2
内視察は,視察先が県外と県内という差はあるものの,県外視察とほぼ同態
様でなされていると推認されること,県内視察の際にも,各会員から1人あ
たり1万5000円の参加費が徴収されていることが認められる。
()上記の事実によれば,会員各自の一定の自己負担の下に,静岡県の観光3
政策の進展等に寄与すべく行われたと認められる被告元議員会の県内外視察
には,公益性が肯定されるというべきである。
()原告らは,被告元議員会が,各視察先に対して事前にアポイントメント4
をとらずに訪問していること,視察目的や視察事項について会員に周知させ
ておらず,また,視察先もこれらの点について対応していないこと,参加者
は18名にすぎないこと,視察について予約を取り付けた場所でも「o会」
といういかにも懇親旅行団体かのような団体名で予約していること,視察先
中で唯一の行政機関である北海道開発庁についても予定外の訪問であったこ
,。となどを指摘して被告元議員会の県内外視察には公益性はない旨主張する
確かに,被告元議員会は,各視察先に対し,正式なアポイントメントを取
っておらず(但し,博物館γやε資料館では館内説明を受けている,視。)
察事項についての対応を求めたこともなく,また,予約をとったところにお
いても「o会」という団体名を用いていることや参加会員が18名であった
ことは認められる(甲14∼26の2。)
しかしながら,公益性のある視察であるからといって必ずしも一定の公式
訪問の形態をとらなければならないというものではないし,視察事項等の周
知徹底をはからなければならないというものでもない。また,たとえ予定外
であれ,北海道開発庁への訪問を実現させている点は,被告元議員会の公益
的姿勢の表れとみることもできる。
()そうすると,被告元議員会の県内外視察には公益性が肯定されるから,5
本件各補助金の支出も違法とはいえない。
()しかして,県議会から提出された平成11年及び同12年度の旅行命令6
簿(提出命令)によれば,被告元議員会の平成11年度県内外視察及び同1
2年度県内視察に随行したいずれの県議会職員に対しても,旅行命令が発せ
られていた事実が認められる。そして,前記のとおり被告元議員会の県内外
視察には公益性が肯定される以上,県知事が,この被告元議員会の県内外視
察を,礼遇規程第2条()の「その他特に必要と認める事項」と認めて,被7
告元議員会の礼遇のために業務として県議会職員をその県内外視察に随行さ
せたことに違法な点があるとはいえないというべきである。
()以上によれば,本件随行職員らは,旅行命令を受けて被告元議員会の県7
,,,内外視察に随行したのであるからその随行業務に違法はなくしたがって
本件随行職員らにその随行期間中の給与を支出することにも違法はない。
7争点()について3
()被告aについて1
原告らが主張する被告aの違法行為は,本件各補助金及び随行職員への給
与支出に指揮監督すべき若しくは取り消すべき違法があることが前提となっ
ているところ,既に認定判断したとおり,本件各補助金及び随行職員への給
与支出に違法はない。
したがって,被告aの違法行為を前提とした同被告の不法行為責任も認め
られない。
()被告b及び同cについて2
原告らが主張する被告b及び同cの違法行為は,いずれも本件各補助金及
び随行職員への給与支出に違法があることが前提となっているところ,既に
,。認定判断したとおり本件各補助金及び随行職員への給与支出に違法はない
したがって,被告b及び同cの違法行為を前提とした同被告らの不法行為
責任も認められない。
()被告元議員会について3
ア被告元議員会の違法行為及び責任の成否
原告らが主張する被告元議員会の違法行為は,本件各補助金及び随行職
員への給与支出に違法があることが前提となっているところ,既に認定判
断したとおり,本件各補助金及び随行職員への給与支出に違法はない。
したがって,被告元議員会の違法行為を前提とした同被告の不法行為責
任も認められない。
イ被告元議員会の不当利得の成否
本件各補助金の支出及び受領並びに随行職員への給与支出につき,被告
元議員会において,法律上の原因がなく不当な利得を得たと認めることが
できないことは既に認定判断したとおりである。
8結論
よって,原告らの請求はその余の点を判断するまでもなく,いずれも理由が
ないから,これを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法
,,,。7条民事訴訟法61条65条1項本文を適用して主文のとおり判決する
静岡地方裁判所民事第1部
裁判長裁判官笹村將文
裁判官島田尚登
裁判官石川貴司

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