弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

            主          文
   原決定を取り消す。
     福岡地方裁判所平成17年(行ウ)第16号異議申立に対する決定
取消請求事件の被告を高田町選挙管理委員会から高田町に変更することを許可す
る。
        理          由
第1 抗告の趣旨及び理由
   別紙「即時抗告申立書」の写しに記載のとおりである。
第2 当裁判所の判断
 1 一件記録によれば,以下の事実が認められる。
  (1) 平成17年2月24日,訴外Aは,請求者代表者として,地方自治法76
条4項,74条の2第1項に基づき,請求者の署名簿を高田町選挙管理委員会に提
出して,高田町議会の解散請求を行い,上記管理委員会は上記名簿上の署名の効力
を決定したうえ,同年3月17日から7日間上記署名簿を縦覧に供した。
  (2) 同月23日,高田町議会議員である抗告人らが上記選挙管理委員会に対し
て上記署名に関する異議の申出をしたところ,同年4月5日,同選挙管理委員会
は,署名簿のうち14冊については上記異議を認めて無効とし,その他の署名簿に
関する異議の申出を棄却する旨決定したが(以下「本件決定」という。),同決定
書には,同決定に不服のある者は地方自治法76条4項,74条の2第8項の規定
により,同決定のあった日から14日以内に高田町選挙管理委員会を被告として地
方裁判所に出訴をすることができる旨記載されていた。
  (3) 抗告人らは,平成17年4月19日,高田町選挙管理委員会を被告とし
て,本件決定のうちの抗告人らの異議申出を棄却した部分の取消しを求めて基本事
件にかかる訴え(以下「本訴」という。)を提起したが,同年5月17日,本訴の
被告を高田町とすべきところ,本件決定による誤った教示により,これを高田町選
挙管理委員会としていたとして,行政事件訴訟法15条に基づく被告の変更許可を
求める本件申立てをした。
    しかるに,原審は,高田町選挙管理委員会は高田町が設置する選挙管理委
員会であって,同町に所属しているのであるから,同町を被告として上記異議の申
出に対する決定の取消しの訴えを提起しなければならないことは明らかであり,ま
た,抗告人らは行政事件訴訟法の改正に関する平成16年法律第84号の施行期日
を誤解していたと主張するが,抗告人らは弁護士である訴訟代理人に委任して本訴
を提起したのであり,調査をしさえすれば,上記改正法の施行期日は容易に知り得
たものであるから,被告を誤った抗告人らには,行政事件訴訟法15条1項の「重
大な過失」が認められると判断し,抗告人らの前記申立てをいずれも却下する旨の
原決定をしたため,抗告人らがこれを不服として抗告を申し立てた。
 2 そこで検討するに,行政事件訴訟法46条は,取消訴訟等の提起に関する適
切な情報を提供し,権利ないし利益の救済を図る機会を十分に確保すべく,行政庁
が取消訴訟等を提起することができる処分又は裁決をする場合には,当該処分又は
裁決の相手方に対し,取消訴訟の被告とすべき者を教示すべきものと規定している
ところ,高田町選挙管理委員会は本件決定において,高田町を取消訴訟の被告とす
べき旨を教示すべきであったにもかかわらず,同選挙管理委員会を被告とすべき旨
の誤った教示をしていたものであり,かかる教示を受けた抗告人らがこれを信頼
し,同選挙管理委員会を被告として本訴を提起したことには,誠にやむを得ない面
があり,ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態をいうものと解すべき行政事件
訴訟法15条1項の「
重大な過失」には到底当たらないものというべきである。
   そして,本件決定をした高田町選挙管理委員会自身の教示に上記のような重
大な誤りがある以上,抗告人らに弁護士たる代理人らが付いていたからといって,
上記判断が左右されるものではなく,そのほか,抗告人らの代理人らが行政事件訴
訟法に関する改正法の施行期日を誤解していたこと等を考慮しても,抗告人らに重
大な過失があるものということはできない。
3 以上によれば,抗告人らの本件被告変更許可の申立ては許可するのが相当で
あり,これをいずれも却下した原決定は不当であって取消しを免れない。
   よって,主文のとおり決定する。
      平成17年5月27日
      福岡高等裁判所第2民事部
           裁判長裁判官   石   井   宏   治
裁判官   永   留   克   記
裁判官   高   宮   健   二

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛