弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人A、同Bの各上告趣意(各上告趣意補充を含む)及び同Cの上告趣意は、
違憲をいう点もあるが、その実質は事実誤認、単なる訴訟法違反の主張であつてい
ずれも刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人佐藤義弥の上告趣意(同上告趣意補充第一、第二を含む)第一点について。
 所論中判例違反をいう点について。記録に徴するに、被告人Cが「一丁もんでや
るぞ」とどなつたりしたことが所謂洗濯デモの一つのきつかけになつた旨の原判示
は、所論のD証言やE調書にあらわれている供述全体の趣旨と異る意味においてそ
の一部を証拠として事実を認定したものとは認められず、むしろその供述全体の趣
旨にそうものというべきであり、従つてまた原判決の右認定には、所論の如き経験
則違背、審理不尽の違法は認められないから、原判決が所論引用の当裁判所の各判
例に違反するという主張は、前提を欠き適法な上告理由とならない。また所論中違
憲をいう点は、その実質は第一審判決が右E調書を証拠に採用したのを是認したこ
とを非難するに過ぎないものであつて、単なる訴訟法違反の主張に帰し刑訴四〇五
条の上告理由に当らない。
 同第二点について。
 所論中憲法二七条、二八条違反の主張について。記録に徴するに、被告人等の本
件行為はそれが所謂洗濯デモの前に行われたか後に行われたかを問わず、被告人等
を含む団体の団体行動の一環としてなされたことは明らかであつて、団体と無関係
の第三者が偶々その威力を利用した場合とは異るから、原判決が被告人等の所為を
暴力行為等処罰ニ関スル法律にいわゆる多衆の威力を示したものと判断したことは
正当である。そして本件において被告人等が賃金未払問題に関しD課長に説明を求
めたことは、その限りにおいては勤労者の団体行動として正当であつても、その手
段としてなされた原判示の如き被告人等の所為は、社会通念上許容される限度を超
えたものというべきであるから、その行為は団体行動権の正当な行使として刑法三
五条の適用を受け得るものではない(昭和二四年(れ)第一六二二号同二八年六月
一七日大法廷判決、刑集七巻六号一二八九頁参照)。されば、被告人等の行為が正
当な団体行動であることを前提とする所論違憲の主張は、前提を欠き適法な上告理
由とならない。また所論中判例違反をいう点は、原判決は何ら所論引用の判例(当
裁判所第一小法廷昭和二六年八月九日判決)と相反する判断を示していないから、
前提を欠き適法な上告理由とならない。その余の所論は、違憲をいう点もあるがそ
の実質は単なる法令違反、事実誤認の主張であつて刑訴四〇五条の上告理由に当ら
ない。
 同第三点は、単なる訴訟法違反の主張であり、同第四点は、事実誤認の主張であ
つていずれも同四〇五条の上告理由に当らない。
 弁護人根本孔衛の上告趣意(同上告趣意補充を含む)第一点は、判例違反をいう
けれども、その引用する判例は事案の内容を異にし本件に適切でないから前提を欠
き適法な上告理由とならない。
 同第二点は、違憲をいうけれどもその実質は単なる訴訟法違反の主張であつて刑
訴四〇五条の上告理由に当らない。
 同第三点は、原判決が第一審判決の不合理な証拠の取捨選択に基づく事実の誤認
を看過したということを前提として遠憲をいうのであるが、記録に徴するも、第一
審判決に所論の如き違法があるものとは認められないから、所論は前提を欠き適法
な上告理由とならない。
 同第四点は、事事誤認、単なる訴訟法違反の主張であつて刑訴四〇五条の上告理
由に当らない(なお、所論の原審における弁護人の主張は、結局被告人Cは第一審
判示のような暴行を行つていないこと及び本件において所謂洗濯デモなる行動は存
在しなかつたことの主張に帰するのであつて、これらの点については原判決は詳細
判断を示しているのであるから、原判決に所論の如き判断遺脱の違法があるものと
は認められない)。
 同第五点は、原判決が勤労者の生存権、団体行動権を不当に軽視したことを前提
として違憲をいうのであるが、原判決はD課長個人の身体的自由に関する基本的人
権が勤労者の団体行動権と対等に尊重されるべきである旨判示しているのであつて、
勤労者の権利を不当に軽視したものとは認められないから(昭和二三年(れ)第一
〇四九号同二五年一一月一五日大法廷判決、刑集四巻一一号二二五七頁参照)、所
論は前提を欠き適法な上告理由とならない。
 同第六点及び同第七点は、いずれも事実誤認、単なる法令違反の主張であつて刑
訴四〇五条の上告理由に当らない。
 また記録を調べても同四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四一四条、三八六条一項三号により裁判官全員一致の意見で主文のとお
り決定する。
  昭和四〇年一月二二日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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