弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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            主       文
    被告人を無期懲役に処する。
    未決勾留日数中170日をその刑に算入する。
    押収してある骨透包丁1本(平成16年押第23号の2)を没収する。
            理       由
(罪となるべき事実)
 被告人は,平成11年12月から勤務していた食肉販売会社を平成16年2月15
日に退職し,それ以降就職先を見付けることができず,仕事をしていなかった上,
同年1月2日からいわゆるフィリピンパブで頻繁に飲酒等をするようになり,フィリ
ピン人ホステスらに食事をご馳走したり,衣服を買い与えたりしたほか,しばしば
パチンコをするなどして,多額の遊興費を費消するなどしたため,同年3月3日こ
ろの所持金は2000円くらいとなり,金員に窮することになった。
 被告人は,
第1 元勤務先の同僚であったA(当時26歳)から金員を強取しようと企て,同月
4日午後8時35分ころ,岐阜市ab番地c東側路上において,同女の背後か
らその後頭部を所携の角材(木製,長さ約72センチメートル,重量約560グ
ラム,平成16年押第23号の1)で1回強打する暴行を加え,同女の反抗を
抑圧した上,同女所有の現金約1万9000円及び財布1個ほか87点在中
の手提げバッグ1個(時価合計約1万4405円相当)を強取し,その際,前記
暴行により,同女に全治約1週間を要する頭部打撲・挫創等の傷害を負わ
せた
第2 その後も,フィリピンパブでの飲酒やパチンコをするなどして,前記第1の犯
行で強取した金員や知人等から借りた金員を遊興費等に費消し,同月16日
ころには所持金がほとんどなくなったため,コンビニエンスストアから金員を
強取しようと企て,同日午後2時42分ころ,同市de番地f所在のココストア
g店において,同店店員B(当時24歳)に対し,所携の骨透包丁(刃体の長さ
約15センチメートル,平成16年押第23号の2)を同女の胸部付近に突き付
けるなどして脅迫し,その反抗を抑圧して,同所に設置されたレジスター内
から金員を強取しようとしたが,同女が大声で助けを求めたため,同店内か
ら逃走し,その目的を遂げなかった
第3 業務その他正当な理由による場合でないのに,同日午後2時42分ころ,前
記ココストアg店において,前記骨透包丁1本を携帯した
第4 前記第2の犯行により金員を得ることができなかったことから,タクシー運転
手から売上金等の金品を強取しようと考え,乗車の際などにタクシー運転手
に人相等を覚えられて,犯行後に警察に逮捕されることを防ぎ,かつ,確実
に金品を強取するため,客を装ってタクシーに乗車し,人気のない場所まで
タクシーを走行させた上で,タクシー運転手を殺害して金品を強取しようと企
て,同市内において,C(当時54歳)運転のタクシーに乗車して,同市hi番地
jD方東側路上まで同タクシーを走行させ,同日午後7時50分ころ,同所に
停車中の前記タクシーの車内において,運転席に座っていたCに対し,後部
座席から運転席の方へ身体を乗り出し,殺意をもって,所携の前記骨透包
丁で同人の左胸部を1回突き刺し,よって,そのころ,前記タクシーの車内に
おいて,左胸部刺創により同人を失血死させて殺害した上,同人管理に係
る電卓1個ほか35点在中のセカンドバッグ1個(時価合計約1100円相当)
を強取した
第5 業務その他正当な理由による場合でないのに,同日午後7時50分ころ,前
記D方東側路上に停車中の前記タクシーの車内において,前記骨透包丁1
本を携帯した
ものである。
(証拠)(省略)
(法令の適用)
1 罰条
 ■ 判示第1の行為について
   刑法240条前段
 ■ 判示第2の行為について
   刑法243条,236条1項
 ■ 判示第3及び第5の各行為について
   いずれも銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,22条 
 ■ 判示第4の行為について
   刑法240条後段
2 刑種の選択
 ■ 判示第1の罪について
   有期懲役刑を選択
 ■ 判示第3及び第5の各罪について
   いずれも懲役刑を選択 
 ■ 判示第4の罪について
   無期懲役刑を選択
3 併合罪の処理
  刑法45条前段,46条2項本文(判示第4の罪につき無期懲役刑を選択した
ので他の刑を科さない)
4 未決勾留日数の算入
  刑法21条
5 没収
  刑法19条1項2号,2項本文(判示第4の強盗殺人の用に供した物で被告人
以外の者に属しない)
6 訴訟費用の不負担
  刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の理由)
 本件は,被告人が,知人に対し,所携の角材で後頭部を強打する暴行を加え,
その反抗を抑圧した上,金品を強取し,その際,前記知人に傷害を負わせた強盗
傷人1件,コンビニエンスストアの店員に対し,所携の骨透包丁を胸部付近に突
き付けるなどして脅迫し,その反抗を抑圧した上,金員を強取しようとしたが,そ
の目的を遂げなかった強盗未遂1件,タクシー運転手に対し,その左胸部を所携
の前記骨透包丁で突き刺して殺害した上,物品を強取した強盗殺人1件,前記強
盗未遂及び強盗殺人の各犯行の際に,前記骨透包丁を携帯した銃砲刀剣類所
持等取締法違反2件の事案である。
 被告人は,いわゆるフィリピンパブでの飲酒やパチンコ等に多額の遊興費を費
消するなどしたことから金員に窮し,生活費や遊興費等欲しさから,強盗傷人及
び強盗未遂の各犯行に及び,さらに,前記生活費等欲しさに加えて,被告人の人
相等を被害者に覚えられて犯行後に警察に逮捕されることを防ぎ,かつ,確実に
金品を強取するため,強盗殺人の犯行に及んだもので,その自己中心的な動機
に酌量の余地はない。強盗傷人の犯行は,被告人が,知人である被害者方周辺
では夜間は暗く人通りも少ないことから,背後から被害者を殴打し,転倒させてか
ら金品を強取すれば,被害者等に被告人の姿を目撃されることはないなどと考え
て,夜間,同女の帰宅を待ち伏せした上,重量約560グラムの角材を凶器として
用い,同女の背後からその後頭部を強打して,金品を強取したものであり,強盗
未遂の犯行は,被告人が,刃体の長さ約15センチメートルの鋭利な骨透包丁を
準備し,黒色サングラスをかけ帽子を被るなどして人相を隠した上,コンビニエン
スストアの店内に他の客がいなくなるのを見計らって,被害者の胸部付近に前記
骨透包丁を突き付けて,金員を強取しようとしたもので,いずれの犯行態様も,計
画的かつ危険であって,悪質である。強盗傷人の被害者は,頭部に全治約1週
間を要する傷害を負い,強取された被害金品も合計3万円余りに及ぶなど,生じ
た結果も重い。強盗殺人の犯行は,前記骨透包丁を準備し,帽子を被るなどして
人相を隠し,客を装ってタクシーに乗車し,人気のない郊外までタクシーを走行さ
せた上,確定的殺意をもって,後部座席から身体を乗り出して,運転席の被害者
の左胸部を狙い,同所を前記骨透包丁で突き刺して同人を殺害し,物品を強取し
ており,その犯行態様は,計画的かつ凶悪であって,極めて悪質である。当時54
歳の強盗殺人の被害者は,約10年間にわたり,タクシー乗務員として真面目に
稼働し,性格も温厚で人から恨みを買ういわれもなく,何ら殺害されるような落ち
度はなかったところ,乗客を装った被告人により,突如として生命を奪われたもの
で,悲惨というほかなく,その無念さは察するに余りある。被告人は,わずか約2
週間の間に,本件各犯行を連続的に敢行している点も良くない。被告人は,強盗
殺人の被害者の遺族や,強盗傷人及び強盗未遂の各犯行の被害者らに対して,
慰謝の措置を講じておらず,当然のことながら,同人らは被告人の厳重処罰を求
めている。本件各犯行は,岐阜市北部において連続的に敢行されたことや,その
中にタクシー運転手が殺害された強盗殺人という重大犯罪が含まれていたことか
ら,岐阜市内及びその周辺を始めとする地域社会やタクシー業界等に衝撃を与
えたもので,その社会的影響も多大である。以上によれば,被告人の刑事責任
は極めて重大である。
 したがって,強盗未遂の犯行は未遂に終わっていること,被告人は,本件各犯
罪事実をいずれも認めて反省の態度を示し,特に,強盗殺人の被害者に対して
は申し訳ないことをした旨述べていること,昭和55年に執行猶予付きの有罪判
決を受けた前科1犯を除き前科がないことなど,被告人のために斟酌すべき事情
が認められることを考慮しても,被告人に対しては,主文のとおり,無期懲役刑を
科すのが相当である。
 よって,主文のとおり判決する。
(求刑 無期懲役,没収)
  平成16年11月29日
    岐阜地方裁判所刑事部
           裁判長裁判官   土   屋   哲   夫
              裁判官    古   閑   美 津 惠
              裁判官    今   井   輝   幸

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