弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人谷正男、同出宮靖二郎の上告理由について
 一 譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内
においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、譲渡担保権者が目
的不動産を確定的に自己の所有に帰させるには、自己の債権額と目的不動産の価額
との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保権者が右の換
価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻し、その完全
な所有権を回復することができる(最高裁昭和三九年(オ)第四四〇号同四一年四
月二八日第一小法廷判決・民集二〇巻四号九〇〇頁、最高裁昭和四二年(オ)第一
二七九号同四六年三月二五日第一小法廷判決・民集二五巻二号二〇八頁、最高裁昭
和五五年(オ)第一五三号同五七年一月二二日第二小法廷判決・民集三六巻一号九
二頁、最高裁昭和五六年(オ)第一二〇九号同五七年九月二八日第三小法廷判決・
裁判集民事一三七号二五五頁)。このような譲渡担保の趣旨及び効力にかんがみる
と、譲渡担保権者及び譲渡担保設定者は、共に、譲渡担保の目的不動産につき保険
事故が発生することによる経済上の損害を受けるべき関係にあり、したがって、右
不動産についていずれも被保険利益を有すると解するのが相当である。本件建物の
譲渡担保設定者である被上告人が、本件建物を目的とし、上告人を保険者として締
結した本件火災保険契約は有効なものであるとした原審の判断は、正当として是認
することができ、その過程に所論の違法はない。
 二 譲渡担保権者と譲渡担保設定者が別個に同一目的不動産につき損害保険契約
を締結し、その保険金額の合計額が保険価額を超過している場合には、その二つの
保険は、被保険者を異にするため、商法所定のいわゆる重複保険に当たるものでは
ないから、商法六三二条、六三三条の規定を適用することはできないといわなけれ
ばならない。したがって、右各法条の特約を定めている火災保険普通保険約款の該
当部分が、この場合に適用されるものでないことも当然である。
  そうすると、この場合において、損害保険金をそれぞれの保険者の間でどのよ
うに分担させるかについては、特段の約定がない限り、公平の見地からこれを決定
するほかはないところ、譲渡担保権者と譲渡担保設定者は同一の被保険者ではない
とはいえ、両者が有する被保険利益はいずれも同じ対象物件に係るものであるから、
同一の目的について重複して保険契約が締結された場合と同様の状態が現出するこ
とは否定することができないのであって、同時重複保険の場合の各保険者の負担額
の算定を保険金額の割合に応じてすべきものとしている商法六三二条の規定の趣旨
にかんがみれば、各損害保険契約の保険金額の割合によって各保険者の負担額を決
定すべきものと解するのが相当である。
 三 原審の適法に確定したところによれば、本件損害保険契約の目的とされた本
件建物の譲渡担保権者であるDがE農業協同組合との間で締結した建物更生共済契
約は、本件建物の譲渡担保設定者である被上告人が上告人との間で締結した本件火
災保険契約と同様に、本件建物を被共済利益としてその損害をてん補する契約であ
るから、右に説示したところに従って、右農業協同組合と、本件火災保険契約の保
険者である上告人がそれぞれ負担すべき支払保険金額(支払共済金額)を決定すべ
きである。本件においては、前記特段の約定はないから、それぞれの保険金額(共
済金額)の割合によって上告人と右農業協同組合が負担すべき額を決定すべきとこ
ろ、上告人が、被保険者である被上告人に支払うべき保険金のうち、損害保険金に
ついては、本件建物の損害額二一〇〇万円を、本件火災保険契約の保険金額である
三〇〇〇万円と前記共済契約の共済金額である二〇〇〇万円との合計額である五〇
〇〇万円で除した結果得られる額に、本件火災保険契約の保険金額三〇〇〇万円を
乗じた額である一二六〇万円になる。原審は、上告人が負担すべき保険金額の算出
を、火災保険普通保険約款に約定されている重複保険の支払保険金額の分担の調整
条項によって算出し、これを一一四一万七一七九円とし、上告人が支払うべき臨時
費用保険金額も同様に右約款の調整条項に従って六〇万円と算出し、上告人は被上
告人に対し、右の一一四一万七一七九円及び六〇万円と、残物費用保険金額一二六
万五九四一円の合計一三二八万三一二〇円を支払うべきものとして、被上告人の本
訴請求のうち右合計金額の請求を認容すべきものとした。しかしながら、上告人が
支払うべき損害保険金額は、前記のとおり一二六〇万円であり、これに残物費用保
険金額一二六万五九四一円を合計しただけで既に一三八六万五九四一円となる(な
お、前記共済契約において残物費用保険金が支払われる旨の約定があったとの認定
は、原判決でされていないから、同保険金について上告人と前記農業協同組合が負
担すべき額を決定する必要はなく、上告人は同保険金の全額を支払うべきである。)。
したがって、原判決は、被上告人の請求の認容額を一三二八万三一二〇円に限定し
た点で違法があるといわなければならない。しかし、右の合計額は原判決の認容額
よりも上告人に不利益であり、当裁判所は原判決の結論を維持して上告を棄却する
にとどめるほかはない。
 四 論旨は、いずれも採用することができない。
  よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    中   島   敏 次 郎
            裁判官    藤   島       昭
            裁判官    木   崎   良   平
            裁判官    大   西   勝   也

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