弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人中元勇の上告理由第一点について。
 民法六六〇条は「寄託物ニ付キ権利ヲ主張スル第三者カ受寄者ニ対シテ訴ヲ提起
シ又ハ差押ヲ為シタルトキハ受寄者ハ遅滞ナク其事実ヲ寄託者ニ通知スルコトヲ要
ス」と規定する。そこに訴提起・差押と記されているのは例示的であつて仮差押・
仮処分も含まれるというべきであるが、ひとたび訴提起のあつたことを通知すれば、
寄託者は、それに対処する措置をとることができるのであるから、受寄者はその後
の経過(判決言渡、上訴の提起等)まで逐一通知する義務はないというべきである。
それと同様に、受寄者はひとたび仮処分のあつたことを寄託者に通知し、もしくは
寄託者が仮処分のあつたことを了知した後においては、その後の経過(点検、保管
換え等)まで逐一報告する義務はないと解するのが相当である。したがつて、被上
告会社が本件寄託物につき保管換えのあつたことを上告人に通知しなかつたことを
もつて通知義務の履行を怠つたものとはいえない旨の原判決の判断は結局正当であ
つて、所論法条の解釈を誤つた違法は認められない。また「被上告会社は上告人に
対し仮処分の執行はうけてもその営業所外に搬出させるようなことはしない旨言明
していた」との事実は、上告人の単なる主張であつて、原判決の認定していない事
実であるから、該事実の存在を前提とする論旨もまた排斥を免れない。
 同第二点について。
 原判示に一一日とあるのは一二日の誤であること、所論のとおりであるが、原判
示の事情の下においては、一二日に上告人に到達した通知をもつて「遅滞ナク」さ
れたものといえないこともないから、右誤は結局判決に影響なく、論旨は採用する
ことができない。
 同第三点について。
 原判決は、被上告会社に通知義務の懈怠はないと判断しているのであるから、所
論判示は判決の結論に影響のない無用の説示というべきである。したがつて、右無
用の説示を論難するに過ぎない論旨は、採用の限りでない。
 同第四点について。
 所論の事実は、いずれも原判決の結論を左右するに足るものとは認められないか
ら、論旨は排斥を免れない。
 同第五点について。
 原判決は、ひつきよう、最初の仮処分執行の際も保管換えの際も被上告会社の被
用人の拒否にもかかわらず執行吏が公権力に基づきあえて執行した事実を認定し、
被上告会社は、倉荷証券と引き換えずに任意に執行吏に引き渡し又は処分したもの
ということはできない旨判断しているのであるから、論旨は理由なく、採用するこ
とができない。
 同第六点について。
 第五点についての判断において述べたとおり、原判決は、執行吏において、被上
告会社被用人の倉荷証券と引換えでなければ本件商品を引き渡すことはできない旨
の拒否にもかかわらず執行したものであつて、被上告会社が任意に引き渡し又は処
分したものとはいえず、従つて保管義務違反はないと判断しているのであつて、商
法上の保管義務違反の有無についても審理を尽していることが明らかである。論旨
は排斥を免れない。
 同第七点について。
 所論D証言が、所論の事実についての積極的証拠にならず、むしろ右事実を否定
するものであること、論旨指摘のとおりである。しかし、原判決挙示の証拠のうち
D証言を除いたその余の証拠によつて所論の事実を認定することができるから、論
旨指摘の瑕疵は、判決に影響を及ぼすこと明らかな法令違背にあたらないものとい
うべく(昭和三三年三月六日第一小法廷判決。民集一二巻三号四三六頁、昭和三八
年五月三一日第二小法廷判決・裁判集民事六六号二八七頁各参照)、結局論旨は採
用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文の
とおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

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