弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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(主文)
被告人を懲役3年に処する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
(犯行に至る経緯)
被告人は,鉄筋工の夫,長女A及び長男Bと共に4人で暮らしていたが,夫の収
,,入が不安定であったことから平成15年6月ころからパート従業員として稼働し
何とか家計をやりくりしていたものの,被告人自身体調を崩し,働くことができな
くなったため,平成17年7月20日には退職し,同年12月には失業保険の支給
もなくなった。
被告人は,退職後も自己の体調が回復せず,再び働く見込みも立たず,夫の収入
だけでは家族4人が生活することは難しい上,今後,長女及び長男の教育費等も更
にかかることから,将来を悲観して自殺を考えるようになり,残される夫に迷惑が
かかることなどを考え,平成18年1月11日早朝,自殺する道連れに長女及び長
男を殺害することを決意した。
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1平成18年1月11日,青森県上北郡甲a丁目b番地c被告人方車庫兼物置
,()小屋の西側車庫入り口付近及び被告人方1階8畳間においてA当時12歳
に対し,殺意をもって,同人の頭部等を金槌で,多数回殴打したが,同人に加
療約6週間を要する頭部外傷,右中指中節骨骨折,左環指中節骨骨折の傷害を
負わせたにとどまり,殺害の目的を遂げなかった
第2前記犯行直後ころ,前記被告人方1階8畳間において,B(当時8歳)に対
し,殺意をもって,同人の頭部等を前記金槌で,多数回殴打したが,同人に加
療約2週間を要する頭部多発裂傷,両手挫傷の傷害を負わせたにとどまり,殺
害の目的を遂げなかった
ものである。
(量刑の理由)
本件は,生活苦等から将来を悲観した被告人が,自殺する道連れに長女及び長男
を殺害しようとして,長女及び長男の頭部等を金槌で多数回殴打したが,長女に対
しては頭部外傷等の,長男に対しては頭部多発裂傷等の傷害をそれぞれ負わせたに
とどまり,殺害の目的を遂げなかった事案であるが,我が子を道連れにしようとし
たその動機は安易かつ身勝手と言わざるを得ない。その犯行態様も,約652グラ
ムの鉄製の金槌で,車庫入り口付近または自宅1階8畳間において,長女及び長男
に対し,多数回にわたりその頭部を狙って殴打したもので,長女からは2回金槌を
奪われながら,嘘を言って金槌を取り返すなど,執ようであり,被害者らの血痕が
上記8畳間の床全体に広がり,天井から下がっている電灯にも血痕が飛び散ってい
るほか,被害者らが当時着用していた衣服にはその背部のほぼ全面に血痕が広がっ
ていることからすれば,凄惨と言える。被害者らは,それぞれ約6週間及び約2週
間の傷害を負わされ,長男については外傷性斜頸も生じているなど傷害の程度も重
い上,信頼していた実母から突然理不尽な暴行を受けたことに対する精神的苦痛は
察するに余りある。また,被告人の健康状態及び夫の収入が本件犯行後好転した様
子も見られないことからすれば,再犯の可能性も否定できない。
以上からすれば,被告人の刑事責任は重く,被告人を実刑に処することも考えら
れないではない。
しかしながら,被害者らは一命をとりとめ,本件は幸いにも未遂に終わっている
こと,被告人が不安定な夫の収入で被告人なりに何とか家計をやりくりしていたも
のの,自身の病気もあって精神的に追い詰められたことが本件犯行の背景にあり,
,,その点について同情の余地があること被告人は本件犯行について反省の情を示し
今後は夫や実家に相談したり,援助を求める旨述べていること,被害者らは被告人
の厳重処罰を希望しているわけではなく,長女は被告人に帰ってきて欲しい旨述べ
ていること,被告人の夫も被告人に帰ってきて欲しい旨述べていること,被告人に
はこれまで前科前歴がないことなど被告人に有利な事情も認められる。
そこで,これらの事情を総合考慮して主文の刑を量定した上,被告人の社会内で
の更生を期待して,今回は,その刑の執行を猶予することとした。
(求刑懲役5年)
青森地方裁判所刑事部
裁判長裁判官髙原章
裁判官室橋雅仁
裁判官香川礼子

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