弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人Aを禁こ四月に、
     被告人Bを禁こ弍月に、
     被告人Cを罰金参万円に各処する。
     被告人Cにおいて右罰金を完納することのてきないときは金五百円を壱
日に換算した期間同被告人を労役場に留置する。
     但し被告人A、同Bに対し本裁判確定の日から弍年間右刑の執行を猶予
する。
     被告人Cに対し公職選挙法第二百五十二条第一項に規定する期間を弐年
に短縮する。
         理    由
 本件控訴の趣意は被告人等三名の弁護人大竹武七郎、同白石信明各作成名義の控
訴趣意書のとおりであるからこれらを引用し、次のとおり判断する。
 大竹弁護人論旨(二)
 原判決挙示の関係証拠を綜合すれば、原判決が認定する第一の(二)の事実即ち
被告人Aは被告人Bに対し所謂買収をさせる目的で金三万円を交付しB被告人はこ
れが交付をうけたものである事実はこれを優に認めうるところである。本件記録を
精査しても未だB被告人の為した供与或は交付行為についてA被告人が具体的にこ
れを了承していた事実はこれを認めるに由なく即ち共同加功した事実迄は認め難い
のである。寧ろB被告人の検察官に対する供述中Aとしては金三万円の使途は自分
にまかせてくれたものであると承知していた旨の部分に徴すればB被告人の供与或
は交付行為についてはA被告人は共謀でなかつた事実を認めるに十分であつて、原
判決はA被告人に対する限りにおいては事実を誤認したものとは認められず、論旨
中同被告人に関する部分は理由のないものである。
 <要旨>しかし、所謂買収の為金品の交付を受けた者が更にその金品を選挙運動者
又は選挙人に供与或は交付をしたときはその交付を受けた点は後の供与罪或
は交付罪の一過程行為にすぎないから、供与罪或は交付罪中に当然吸収されて供与
罪或は交付罪のみが成立し、別罪を構成しないものと解すべきものであるところ、
原判決挙示の証拠によれば、被告人Bは原判示第二の(一)において被告人Aから
交付を受けた金三万円を原判示第二の(二)の(3)乃至(13)の如く供与或は
交付をしたものであることを認めるに十分である。しからばB被告人が原判示第二
の(二)の(3)乃至(13)の如く更に供与或は交付した金二万二千五百円の範
囲内においては交付を受けた行為は当然後の供与罪或は交付罪に吸収せられて別罪
(交付を受けたという)を構成しないのであるから、金三万円全額の交付を受けた
ものと認定した原判示第二の(一)は法律の解釈を誤り引いては事実を誤認したも
のと認めざるを得ない。而してこの誤認は判決に影響を及ぼすものと認められるの
で、論旨中被告人Bに関する部分は理由があり、同被告人に対する爾余の論旨につ
いては判断を為すまでもなく、原判決中同被告人に関する部分は此の点において刑
事訴訟法第三九七条に則り破棄すべきものとする。
 大竹弁護人論旨(四)及び白石弁護人論旨第二点(何れも被告人Bに関する部分
は除く)
 本件記録を精査し、被吉人A、同C両名の各本件違反の態様、勧機その他同被告
人等の経歴、性行等諸般の事情を綜合斟酌すれば、原審の量刑は稍々重きにすぎ、
失当たるを免れない。論旨はともに理由があり、原判決中同被告人等に対する部分
はこの点において刑事訴訟法策三九七条に則り破棄すべきものとする。
 本件は当審において更に判決するに適するものと認めるから、刑事訴訟医第四〇
〇条但書に則り次のとおり自から判決する。当審が認める事実及び証拠は原判決中
第二の(一)の現金三万円とあるのを現金七千五百円と訂正する外原判決のとおり
である。
 これを法律に照すと、被告人等の判示所為中各供与の点は公職選挙法第二二一条
第一項第一号に、各交付の点は同条第一項第五号に、饗応の点は同条第一項第一号
に、交付を受けた点は同条第一項第五号に、供与を受けた点は同条第一項第四号
に、なお夫々罰金等臨時措置法第二条第四条に各該当するところ、被告人A、同B
に対しては所定刑中禁こ刑を選択し、被告人Cに対しては罰金刑を選択する。以上
各被告人の当該罪は刑法第四五条前段の併合罪であるから、被告人A、同Bに対し
ては夫々同法第四七条第一〇条に則りA被告人については犯情最も重い判示第一の
(二)の罪につき、B被告人については犯情最も重い判示第二の(一)の罪につき
各併合罪の加重をした刑期範囲内において、被告人Aを禁こ四月に、被告人Bを禁
こ弍月に各処し、被告人Cに対しては刑法第四八条第二項に則り所定罰金の合算額
の範囲内において同被告人を罰金参万円に処すべきものとし、右罰金を完納するこ
とのできないときは同法第一八条により金五百円を一日に換算した期間同被告人を
労役場に留置すべきものとする。
 但し、被告人A、同Bに対しては情状刑の執行を猶予するのを相当と認め同法第
二五条を適用して本裁判確定の日から二年間右刑の執行を猶予すべきものとし、な
お被告人Cに対しては公職選挙法第二五二条第三項を適用して同条第一項の期間を
二年に短縮すべきものとして主文のとおり判決する。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 稲田馨 判事 石井文治 判事 吉田富彦)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛