弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人池留三の上告理由第一点について。
 所論は、民法七一一条の法意は生命を害された者の近親者以外の者に慰籍料の請
求を認めないことにあると主張し、身体傷害を受けたにとゞまる被上告人B1の母
被上告人B2の慰籍料請求を認容した原判決の違法をいうのである。
 しかし、原審の認定するところによれば、被上告人B1は、上告人の本件不法行
為により顔面に傷害を受けた結果、判示のような外傷後遺症の症状となり果ては医
療によつて除去しえない著明な瘢痕を遺すにいたり、ために同女の容貌は著しい影
響を受け、他面その母親である被上告人B2は、夫を戦争で失い、爾来自らの内職
のみによつて右B1外一児を養育しているのであり、右不法行為により精神上多大
の苦痛を受けたというのである。ところで、民法七〇九条、七一〇条の各規定と対
比してみると、所論民法七一一条が生命を害された者の近親者の慰籍料請求につき
明文をもつて規定しているとの一事をもつて、直ちに生命侵害以外の場合はいかな
る事情があつてもその近親者の慰籍料請求権がすべて否定されていると解しなけれ
ばならないものではなく、むしろ、前記のような原審認定の事実関係によれば、被
上告人B2はその子の死亡したときにも比肩しうべき精神上の苦痛を受けたと認め
られるのであつて、かゝる民法七一一条所定の場合に類する本件においては、同被
上告人は、同法七〇九条、七一〇条に基いて、自己の権利として慰籍料を請求しう
るものと解するのが相当である。されば、結局において右と趣旨を同じうする原審
の判断は正当であり、所論は採用することができない。
 同第二点および第三点について。
 原審は、本件事故発生当時の情況に関する認定事実と挙示の証拠とを綜合し、被
害者である被上告人B1の当時の年令をも斟酌して、同女の過失を認めなかつたの
であり、同女が責任能力を欠いていることを理由にその過失を否定したものではな
いから、その責任能力の有無につき判示する必要はないものというべきである。右
原審の判示に経験則違背の違法は認められないし、また、右の判示により、同女の
監督義務者である被上告人B2の過失を肯定する余地のないことも明らかであるか
ら、原審が被害者の過失を斟酌しなかつたのはもとより当然であり、所論はすべて
採用することができない。
 同第四点について。
 所論は、上告人に対する原判決を攻撃するものではなく、上告適法の理由とはな
し得ないから、採用に値しない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己

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