弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

主文
1被告は,原告に対し,2383万1496円及びこれに対する平成14
年8月11日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払
え。
2原告のそのほかの請求を棄却する。
3訴訟費用は,その6分の5を原告,6分の1を被告の負担とする。
4この判決は,第1項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
被告は,原告に対し,1億4915万0505円及びこれに対する平成
14年8月11日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支
払え。
第2事案の概要
1本件は,じん芥収集車にごみを積み込んでいるときに,回転板に右腕を
巻き込まれる事故に遭った原告が,この事故に遭ったのは,被告の従業員
の過失によるとして,被告に対し,民法715条,709条に基づいて,
この事故で被った損害の賠償を求めた事案である。
2前提事実(認定に用いた証拠〔枝番を含む〕などは末尾に掲げる)。。
(1)当事者など(甲2,3,8,乙9,14∼16)
原告は,後記の本件事故に遭った者であり,この事故に遭った当時,
A株式会社の専務取締役を務めていた。Bは,原告の父であり,後記の
本件事故の当時,A株式会社の代表取締役を務めていた。
被告は,廃棄物の収集などを業とする中小企業団体の組織に関する法
律で定める中小企業団体である。C,Dは被告の従業員,Eは株式会社
Fからの派遣従業員であり,いずれも,後記の本件事故の当時,後記の
本件事故現場で,ごみの収集業務(G市卸売市場早期待機収集業務)に
従事していた。
(2)本件事故の発生
ア概要(甲8,乙6,9,12∼16,原告本人)
原告は,平成14年8月10日午前5時50分ころ,G市卸売市場
内のごみ処理場(以下「本件事故現場」という)で,A株式会社が。
保有する保冷車(以下「別件車両1」という)に積んで,かごに入。
れていた貝殻を被告が保有しCが運転するじん芥収集車以下本,,(「
件車両」という)のホッパー(ごみ投入口)に投入していたとき,。
作動していた回転板に,右前腕部を巻き込まれて,右前腕挫滅開放骨
折などの傷害を負う事故(以下「本件事故」という)に遭った(詳。
しい態様には争いがある。。)
別件車両1は,本件事故当時,その前部をG市卸売市場の立体駐車
場,後部を本件車両に向けて,停車していた。また,本件事故現場で
は,いずれもその後部をこの立体駐車場に向けて,北側から順に,本
件車両,被告が保有し,Eが運転するじん芥収集車(宮城88そ・2
91,以下「別件車両2」という,被告が保有し,Dが運転するじ。)
ん芥収集車(宮城800さ5628,以下「別件車両3」という)。
も停車していた。
イ本件車両の仕様,積込作業の方法(乙6,8,11,12,34)
本件車両は,テールゲート(積込装置)のホッパーに投入されたご
みを,テールゲート底部にある回転板でかき上げるとともに,上部に
ある積込板で押し込む動作をすることで,ボデー(荷箱)に積み込む
方式のじん芥収集車(パッカー車)である。
,「」回転板はテールゲートの左側にあるテールゲート操作盤の積込
ボタンを1,2秒押し続けると回転が始まる。この操作盤の「積込」
以外の「緊急停止「回転板逆転「押込板押込「押込板戻り」の」,」,」,
各ボタン,テールゲートの右側にある「緊急停止」ボタンを押すか,
ホッパーの下部に取り付けられた機械式緊急停止装置(停止バー)を
押すと回転が停止する。
本件車両のホッパーの幅,地上高は,それぞれ1600ミリメート
ル,785ミリメートルである。また,回転板が1回転する時間,ホ
ッパーの手前にあるガイドテーブル(ステップ)に置いたかご(縦4
3センチメートル,横62センチメートル,高さ31センチメートル
のもの)の上に到達する時間,一番下に到達する時間は,それぞれ約
11.40秒,2.92秒,約3.71秒である。
(3)原告の治療経過
ア(ア)H病院(乙18)
入院平成14年8月10日から同月12日までの3日間
(イ)I病院(乙19,20)
入院平成14年8月13日から同年10月12日までの61
日間
(ウ)J病院(乙21∼28)
入院平成15年1月9日から同月11日まで3日間
平成15年3月17日から同年5月2日まで47日間
通院平成14年10月15日から平成18年6月16日まで
に189回
イ原告は,平成16年8月13日,J病院のK医師から,同日に右前
腕挫滅開放骨折などの傷害による症状が固定し,身体障害者福祉法別
表で定める障害等級4級に相当する左上肢機能障害が残ったと診断さ
れた。
原告は,同月26日,仙台市から,障害名を弛緩性麻痺による右上
肢機能障害,身体障害者等級表による級別を4級とする身体障害者手
帳の交付を受けた。
(甲4,12,13)
(4)原告と被告とのやり取り
ア原告と被告は,平成15年1月30日,本件事故での過失割合につ
いて,原告が9割,被告が1割とする同日付けの示談書(以下「本件
示談書」という)を作成した。(乙1)。
イ被告は,平成17年5月20日までに,原告に対し,本件事故によ
り生じた損害のてん補として,合計304万0005円(H病院,I
,)。()病院J病院での治療費相当額を支払った乙2
3争点及び主張
(1)本件事故の態様
(原告の主張)
ア被告の従業員には,積込作業をするに当たっては,従業員以外の者
がホッパーにごみを投入するのを制止するとともに「積込」ボタン,
を押して,回転板を作動させる前には,周囲の安全を確認する義務が
あった。
ところが,C,E,Dは,この義務に違反して,原告がホッパーに
ごみを投入するのを制止しなかった。さらに,Eは,周囲の安全の確
認を怠って,原告がごみを投入しているのに気づかないで「積込」,
ボタンを押して,回転板を作動させた。
原告は,かごに入れていた貝殻を,本件車両のホッパーに投入しよ
うとしていると,自分の右後ろから「痛い」との叫び声を聞こえた,。
ので,投入しながら,右側に振り向いたとき,右前腕部を,作動して
いた回転板に巻き込まれる事故(本件事故)に遭った。
以上のとおり,原告は,被告の従業員の過失により,本件事故に遭
い,損害を被ったのであるから,被告には民法709条,715条1
項に基づいてその損害を賠償する義務がある。
イ本件事故の態様は,前記のとおりであり,原告は「積込」ボタンを
押していない。
原告がこれまで「積込」ボタンを押したことはなかった「積込」。
ボタンを押すのと,ごみの投入の前後にかかわらず「積込」ボタン,
,。を押した本人が回転板に巻き込まれるとの事故態様は想定できない
自分で「積込」ボタンを押したのであれば,作動しているのに気がつ
かないはずがない。Eは,原告が本件事故に遭ったときには,まだ,
別件車両2で,段ボールの積込作業をしていなかった。
これらの事情からすると「積込」ボタンを押したのが原告ではな,
,。,くEであることは明らかである原告が本件示談書を作成したのは
原告が本件事故で負った傷害の治療について,健康保険から療養の給
付を受けられるようにするとともに,社会保険事務所から被告に対す
る求償の額を最小限にするためだけにすぎず「積込」ボタンを押し,
たのが原告であることを認めていたとか,本件事故で被った損害の額
の90パーセントを控除するとの示談をしたためではない。
(被告の主張)
ア原告は,本件車両のガイドテーブルに,貝殻を入れていたかごを置
いて「積込」ボタンを押した後に,ホッパーにごみを投入しようとし
たかごみを投入した後にかごをガイドテーブルにおいたまま積,,,「
」,,,,込ボタンを押して回転板を作動させたとき誤って右前腕部を
作動していた回転板に巻き込まれる事故(本件事故)に遭った。
イ本件事故の態様は,前記のとおりであり,Eは「積込」ボタンを押
していない。
原告が,かごに入れていた貝殻を,本件車両のホッパーに投入しよ
うとしたときには,本件車両のホッパーは既に一杯になっていた。原
告は,本件事故に遭った位置からでも「積込」ボタンを押すことは,
できた。原告が,投入しながら,右側に振り向いたときに,本件事故
に遭ったのであれば,右腕だけが巻き込まれるはずはない。Eは,原
告が本件事故に遭ったときには,別件車両2で,段ボールの積込作業
をしていた。Eが「積込」ボタンを押した後も,そのままテールゲ,
ートの左側に立っていたとは考えにくいし,本件事故に気づいたとき
,,,に押したのはテールゲートの左側にある操作盤のボタンではなく
テールゲートの右側にある「緊急停止」ボタンである。原告は,本件
事故での自分の過失割合を9割とする本件示談書を作成している。
,「」,これらの事情からすると積込ボタンを押したのがEではなく
原告であることは明らかである。
(2)原告が被った損害の額
ア入院雑費,入院付添費,付添人交通費
(原告の主張)
原告は,本件事故により,ガス壊疽を発症し,その切断の可能性が
あったほどの重篤な,右前腕挫滅開放骨折などの傷害を負い,その治
療のため,H病院,I病院,J病院で合計114日間の入院と,J病
院に189回の通院を余儀なくされ,入院期間のうち111日は近親
者に付き添ってもらう必要があった。
原告は,この入院のため,入院1日当たり1500円の割合での入
院雑費17万1000円,付添い1日当たり6500円の割合での入
院付添費72万1500円,付添いに来るための交通費19万630
0円を負担した。
(被告の主張)
争う。
イ休業損害
(原告の主張)
原告は,本件事故当時,A株式会社の専務取締役を務め,1年当た
り1294万4384円の収入を得ることができていたのに,本件事
故に遭った平成14年8月10日から症状が固定した平成16年8月
13日までの735日間,100パーセントの割合で,その営業を休
まざるを得ず,2606万6088円(1294万4384円÷36
5日×735日)の損害を被った。
A株式会社は,本件事故当時,従業員が24ないし25名程度の小
。,,,規模な会社であった原告はリーダーの立場で従業員たち以上に
仕入れと営業の各業務に従事していた。このような事情のほか,その
報酬の額が,原告の年齢,従事していた業務と比べて,さほど高額で
はないことからすると,A株式会社から受け取っていた役員報酬は,
その全額が労働の対価であり,休業損害を算出するに当たっての収入
とするのが相当である。
(被告の主張)
原告がA株式会社から受け取っていた役員報酬の額は,平成8年か
ら平成13年までに限ってみても,600万円から960万円とばら
つきがあるし,平成14年には8月10日までの期間だけで,前年よ
りも高額になっているし,この年だけ賞与の支給を受けている。この
ような事情からすると,原告が,実際に,A株式会社で,第一線の戦
力であったことを考慮しても,この報酬には,労働の対価の部分だけ
ではなく,利益配当などの実質をもつ部分も含まれているとみるのが
相当である。したがって,休業損害を算出するに当たっての収入の額
は,A株式会社から受け取っていた役員報酬から,利益配当などの実
質をもつ部分を控除した額とするのが相当である。
仮に,利益配当などの実質をもつ部分が明らかにならないのであれ
ば,賃金センサス記載の平均賃金の額とするのが相当である。
ウ逸失利益
(原告の主張)
原告は,本件事故に遭わなければ,就労が可能な67歳まで,前記
イで主張したとおり,1年当たり1294万4384円の収入を得る
機会があった。
ところが,原告には,平成16年8月26日,本件事故で負った傷
害による症状が固定し,左上肢機能障害障害が残った。その障害は自
動車損害賠償保障法施行令別表第2(以下「自賠責等級」という)。
7級9号に該当する「1上肢に仮関節を残し,著しい運動障害を残す
もの」か,併合すると自賠責等級7級に定めるものに相当する,①平
成16年政令第315号による改正前の自動車損害賠償保障法施行令
別表第2(以下「旧自賠責等級」という)8級4号に該当する「1。
手のおや指及びひとさし指の用を廃したもの」と,自賠責等級12級
5号に該当する「骨盤骨に著しい奇形を残すもの」に当たるから,少
なくともその労働能力の56パーセントが失われている。
したがって,原告は,本件事故により,前記の後遺障害が残ったこ
とで,以下の計算式のとおり,症状が固定したときから就労が可能な
67歳までの28年間にわたって,1億0799万5617円の収入
を得る機会を失った。
〔計算式〕
1294万4384円(基礎収入の額)×0.56(労働能力喪失
割合)×14.8983(労働能力喪失期間28年に対応するライ
プニッツ係数)=1億0799万5617円(1円未満四捨五入)
(被告の主張)
原告が,症状が固定したときから就労が可能な67歳までの28年
間にわたって,得る機会があった収入の額は,前記イで主張したとお
り,A株式会社から受け取っていた役員報酬から,利益配当などの実
質をもつ部分を控除した額に限られるし,利益配当などの実質をもつ
部分が明らかにならないのであれば,賃金センサス記載の平均賃金の
額にとどまる。
また,原告に残った障害は,併合すると自賠責等級8級に定めるも
のに相当する,①自賠責等級9級13号に該当する「1手のおや指を
含み2の手指の用を廃したもの」と,自賠責等級12級5号に該当す
る「骨盤骨に著しい奇形を残すもの」に当たるから,原告が失った労
働能力は45パーセントにとどまる。
エ傷害慰謝料
(原告の主張)
原告は,本件事故により傷害を負い,前記のとおりの入院,通院を
余儀なくされたことで,精神的苦痛を被った。その苦痛を慰謝するた
めの慰謝料は400万円を下回らない。
(被告の主張)
争う。
オ後遺障害慰謝料
(原告の主張)
,,,,前記ウで主張したとおり原告には本件事故により少なくとも
自賠責等級7級9号に相当する障害が残った。原告は,このことで精
神的苦痛を被った。その苦痛を慰謝するための慰謝料は1000万円
を下回らない。
(被告の主張)
前記ウで主張したとおり,原告に残った障害の程度は自賠責等級併
合8級に相当する程度にとどまる。
(3)過失相殺の有無,程度
(被告の主張)
本件事故は,前記(1)で主張したとおり,原告が「積込」ボタンを押
して,回転板を作動させたことにより生じた自損事故である。このよう
な事故態様や,本件示談書が作成されていることを考慮すると,損害賠
償の額を決めるときには,その損害額の90パーセント程度を控除すべ
きである。
(原告の主張)
本件事故の態様,本件示談書を作成した趣旨は,前記(1)で主張した
とおりであり,被告の主張は前提が違っている。
第3裁判所の判断
1認定事実
前提事実,関係証拠(甲2,3,5,8,乙1,4∼6,9,10,1
3∼17,証人B,証人C,証人E,証人D,証人L,原告本人〔枝番を
含む。認定と異なる部分を除く,弁論の全趣旨によると,以下の事実。〕)
が認められる。
(1)本件事故の状況
アG市卸売市場早期待機収集業務では,①被告の従業員が,別件車両
1のような持込車両を,後退で,ホッパーの手前まで誘導する,②持
込者は,自分で,持込車両から,ごみを搬出し,ホッパーの前で待機
している被告の従業員に渡す,③被告の従業員は,渡されたごみをホ
ッパーに投入し,積込作業をする,との手順が定められていた。
イC,E,Dは,平成14年8月10日午前5時ころ,いずれもその
,,,後部をG市卸売市場の立体駐車場に向けて北側から順に本件車両
別件車両2,別件車両3を停車させた。
これら車両のうち,本件車両と別件車両3が燃えるごみ,生ごみ,
別件車両2が段ボールの収集を担当することになっていた。
ウ原告は,Eの誘導で,その後部を本件車両に向けて,別件車両1を
停車させた。このとき,別件車両2の後部には持込車両がまだ停車し
ていなかった。
エ原告は,自分で,別件車両1の荷台から,ごみが入ったかごを搬出
し,別件車両1と本件車両の間で待機していたEに渡した。
Eは,渡されたごみをホッパーに投入したが,別件車両2の後部に
持込車両が近づいてきたので,本件車両での積込作業を止めて,別件
車両2に向かった。
このとき,Cは,別件車両1の後部で,原告からごみを搬出するの
を待っていた。
オ原告は,Eが別件車両2に向かった後は,別件車両1の荷台から,
別件車両1と本件車両の間で待機していたCに,2,3回,ごみが入
ったかごを渡した。
Cは,その都度,渡されたごみをホッパーに投入していた。ホッパ
ーに投入されたごみは,あと1,2回で,回転板を作動させ,ボデー
に積み込まなければ,もう投入できないほどの量であった。
このとき,Eは,別件車両2で,段ボールの積込作業をしていた。
,,,カ原告はごみが入ったかごを持って別件車両1の荷台から降りて
本件車両のホッパーに向かった。
Cは,このとき,原告が,自分で,ホッパーに投入するのだろうと
思ったが,制止しなかった。そして,原告に代わって,ごみを搬出す
るために,別件車両1の荷台に乗り込んだ。
キEは,原告の叫び声を聞いて,本件車両のホッパーを見ると,原告
の右前腕部が回転板に巻き込まれているのに気づいた。急いで本件車
両に駆け寄って「緊急停止」ボタンを押すとともに,これ以上巻き,
込まれないように,原告の体に抱きついた。さらに,別件車両3で積
込作業をしていたDを呼んで,テールゲート操作盤の「回転板逆転」
ボタンを押させて,右腕を引き抜いた。
原告は,ホッパーの中心よりやや右寄りのところで,本件事故に遭
った。
また,C,E,Dは,原告が回転板に巻き込まれてからの様子しか
見ておらず,どのようなかごを,どのように持って,回転板に巻き込
まれたのかは見ていない。
(2)原告の勤務状況
ア原告は,高校卒業後の昭和58年4月から,A株式会社に勤めてい
た。本件事故当時は,専務取締役を務め,リーダーの立場で,仕入れ
と営業の各業務に従事していた。
原告が,A株式会社から,受け取っていた給与所得の額は,平成8
年分が810万円,平成9年から平成12年分が960万円,平成1
3年分が600万円,平成14年分(平成14年1月1日から本件事
故の日までの分)が787万3023円であった。これらの期間のう
ち賞与が支給されたのは平成14年だけである。また,平成13年分
の所得が減ったのは,A株式会社の経営成績が悪く,役員報酬に見合
う分を減額したことによる。
A株式会社は,本件事故当時,従業員が23ないし24名程度の会
社であり,仕入れた海産物,魚介類を調理したり,さばいてホテル,
旅館,飲食店に小売りすることを業としていた。
イ原告は,平成16年ころから,A株式会社の代表取締役を務めてい
る。本件事故で負った傷害により残った障害のため,それまでできて
いた鮮魚のさばきができなくなった,右手で箸を持てないといった不
自由を蒙っている。
(3)被告での対応
アC,E,Dは,前記認定のとおり,原告が回転板に巻き込まれてか
らの様子しか見ておらず,どのようなかごを,どのように持って,回
転板に巻き込まれたのかは見ていなかったが,本件事故の当日,L一
般廃棄物事業部長(当時)に対し「原告が,長いひもの付いたかご,
を,そのひもを右手に絡めて持って,ごみを投入した後に『積込』,
,,,ボタンを押して回転板を作動させたときかごが巻き込まれたので
それを取り出そうとしたが,右腕まで巻き込まれた」との報告をし。
た。
L部長は,その報告をもとに,平成14年9月30日ころまでに,
被告の理事長,仙台市環境局に対し,本件事故の態様はこの報告のと
おりであるとの報告書を提出した。この報告書を作成するに当たって
は,この当時の原告の容態が重篤であったこともあり,原告から本件
事故の態様を聴き取っていない。
イ被告は,平成15年1月30日,原告が本件事故で負った傷害の治
療について,健康保険から療養の給付を受けられるようにするととも
,,に社会保険事務所から被告に対する求償の額を最小限にするために
本件示談書を作成した。被告のM総務部長(当時,L部長は,この)
示談書を作成するに当たって,原告,Bに対し,追って最終的な示談
をしたいと述べるだけで「積込」ボタンを押したのが原告であると,
か,本件事故はC,E,Dが報告したとおりの態様であるとの確認を
していない。
ウ被告では「安全作業マニュアル」を作成し,積込作業をするとき,
には,従業員以外の者を作業範囲に入れない,ほかの従業員及び周囲
の安全を確認してから「積込」ボタンを押すなどのテールゲートの,
操作をするとの手順を定めていた。また,G市卸売市場早期待機収集
業務でも,前記認定のとおりの手順が定められていた。
ところが,被告では,本件事故前には,従業員から,従業員以外の
者がホッパーにごみを投入しているとの報告を受けていた。また,G
市卸売市場でも,従業員以外の者がホッパーにごみを投入することが
あった。
被告は,本件事故の後は「G市卸売市場早期待機収集手順書」を,
作成し,従業員に対し,積込作業をするときには,テールゲートの周
囲に,ポールとコーンで囲いをするとともに,コーンに「持込・一般
の方は中に入らないで下さい」との標識を付けて,従業員以外の者が
ホッパーにごみを投入するのを制止する措置を講じさせている。この
措置を講じた後には,従業員から,従業員以外の者がホッパーにごみ
を投入しているとの報告は受けていない。
2争点(1)についての検討
(1)原告は「被告の従業員には,積込作業をするに当たっては,従業員,
以外の者がホッパーにごみを投入するのを制止するとともに『積込』,
ボタンを押して,回転板を作動させる前には,周囲の安全を確認する義
務があった。ところが,C,E,Dは,この義務に違反して,原告がホ
ッパーにごみを投入するのを制止しなかったし,Eは,周囲の安全の確
認を怠って,原告がごみを投入しているのに気づかないで『積込』ボ,
タンを押して,回転板を作動させ,本件事故を引き起こした。被告には
民法709条,715条1項に基づいて原告が被った損害を賠償する義
務がある」と主張する。。
,,,,(2)アしかし前記認定のとおり原告が本件事故に遭ったときには
別件車両2の後部には持込車両が停車していた(原告も,尋問で,こ
のことは認めている。Eが,別件車両2の後部に持込車両が停車し。)
ているのに,そのまま本件車両での積込作業を続けていたとは考えに
くい。また,Eが押したのは,テールゲートの左側にある操作盤のボ
,「」。タンではなくテールゲートの右側にある緊急停止ボタンである
木元卓実は,テールゲートの左側ではなく,右側にいたときに,本件
事故に気づいたとみるのが相当である。このような事情からすると,
「積込」ボタンを押したのがEであるとみることはできない。
イ原告が,かごに入れていた貝殻を,本件車両のホッパーに投入しよ
,,,,うとしたときにはホッパーに投入されたごみはあと12回で
回転板を作動させ,ボデーに積み込まなければ,もう投入できない
ほどの量であった。原告が「積込」ボタンを押して,ホッパーを空,
にしようと考えたとみてもおかしなことではない。また,本件車両
のホッパーの幅は1600ミリメートルであり,ホッパーの中心よ
りやや右寄りのところにいた原告にも「積込」ボタンを押すことは,
できた。さらに,本件車両のホッパーの地上高は785ミリメート
ル,回転板がホッパーの手前にあるガイドテーブルに置いたかごの
上に到達する時間が約2.92秒であり,かごに入っていたごみが
重量のある貝殻であることを含めてみても,かごを置いて「積込」
ボタンを押した後に,ホッパーにごみを投入しようとしたことで,
あるいは,ごみを投入した後に,かごをガイドテーブルにおいたま
ま「積込」ボタンを押すことで,本件事故に遭うことはあり得るこ,
とである(原告は,自分で「積込」ボタンを押したとは述べていな
いが,陳述書で,普段から,急いで,ごみ捨てを終わらせて,ほか
の業務をやりたかったと述べている。別件車両1の荷台には,まだ
ごみが積んであったし,本件事故が起きた日が,週末で,お盆時期
であり,繁忙期であったことも合わせて考えると,早くごみ捨てを
終わらせるために,深く考えずに,あるいは何気に,普段では押す
はずのない「積込」ボタンを押したことは十分に想定できる。そ。)
,,,。,して原告は本件事故で右腕を巻き込まれている原告が尋問
陳述書で述べるとおり,投入しながら,右側に振り向いたときに,
本件事故に遭ったのであれば,体の左側がホッパーに近づくのであ
,。,,って右腕だけが巻き込まれるとは考えにくいかえって原告は
操作盤の「積込」ボタンがある左側に振り向いたときに,本件事故
に遭ったことをうかがわせる。最後に,本件全証拠を検討しても,
Eのほかにも,原告以外の第三者が「積込」ボタンを押したとうか
がわせる事情は見当たらない。
ウこのような事情からすると,本件事故は,本件示談書が作成され
た趣旨にかかわらず,原告が,本件車両のガイドテーブルに,かご
を置いて「積込」ボタンを押した後に,ホッパーにごみを投入しよ
うとしたか,ごみを投入した後に,かごをガイドテーブルにおいた
まま「積込」ボタンを押して,回転板を作動させたとき,誤って,,
右前腕部を,作動していた回転板に巻き込まれたとの自損事故であ
ったとみるのが相当である。本件全証拠を検討しても,この認定を
覆すほどのものは見当たらない。
したがって「Eには,周囲の安全の確認を怠って,原告がごみを,
投入しているのに気づかないで『積込』ボタンを押して,回転板を,
作動させた過失がある」との原告の主張は採用できない。。
(3)他方で,本件事故の前から,G市卸売市場では,持込者がホッパー
にごみを投入することがあったし,被告では「安全作業マニュアル」
が作成され,積込作業をするときには,従業員以外の者を作業範囲に
入れないとの手順が定められていたし,G市卸売市場早期待機収集業
務でも,被告の従業員が,渡されたごみをホッパーに投入し,積込作
業をするとの手順を定められていたのであるから,Cには,持込者が
積込作業をすることで事故に遭うのを防ぐため,積込作業をするとき
には,持込者がホッパーにごみを投入するのを制止する義務があった
とみるのが相当である。
ところが,Cは,前記認定のとおり,原告が,ごみが入ったかごを
持って,本件車両のホッパーに向かったのに気づき,自分で,ホッパ
ーに投入するのだろうと思ったのに,制止しないで,そのまま別件車
両1の荷台に乗り込んで,ごみの搬出を続けた。Cには,原告がホッ
パーにごみを投入するのを制止する義務を怠った過失があるから,そ
の使用者である被告には民法715条1項に基づいて原告が被った損
害を賠償する義務がある。
3争点(2)についての検討
(1)入院雑費,入院付添費,付添人交通費合計108万8800円
前提事実,関係証拠(甲4,5,7,乙18∼28,証人B,原告本
人,弁論の全趣旨によると,原告は,本件事故により,ガス壊疽を発)
症し,その切断の可能性があったほどの重篤な,右前腕挫滅開放骨折な
どの傷害を負い,その治療のため,H病院,I病院,J病院で合計11
4日間の入院と,J病院に189回の通院を余儀なくされ,入院期間の
,,うち111日は近親者に付き添ってもらう必要がありこの入院のため
入院1日当たり1500円の割合での入院雑費17万1000円,付添
い1日当たり6500円の割合での入院付添費72万1500円,付添
いに来るための交通費19万6300円を負担したことが認められる。
(2)休業損害1031万9202円
ア基礎収入
原告は,前記認定のとおり,本件事故の当時,A株式会社の専務取
締役を務め,リーダーの立場で,仕入れと営業の各業務に従事してい
た。
A株式会社は,本件事故当時,従業員が23ないし24名程度の小
規模の会社であった。
原告が,A株式会社から,受け取っていた平成8年分から平成14
年分(平成14年1月1日から本件事故の日までの分)までの給与所
,,,得の額は前記認定のとおりでありA株式会社の経営成績に応じて
役員報酬に見合う分が大きく増減していた。これらの期間のうち賞与
が支給されたのは平成14年分だけであった。
このような勤務状況,収入金額の推移を踏まえると,この給与所得
には,労働の対価の部分だけではなく,利益配当などの実質をもつ部
分も含まれているとみるのが相当である。したがって,休業損害を算
出するに当たっての収入の額は,この給与所得から,利益配当などの
,,実質をもつ部分を控除した額とするのが相当であり前記の勤務状況
収入金額の推移のほか,賃金センサス記載の平均賃金の額(賃金セン
サス平成14年第1巻第1表・産業計・男性労働者・高卒・35∼3
9歳の平均年収の額は514万8800円である)を考慮すると,。
その額は727万1598円(平成9年分から平成14年分までの合
計額6544万4384円〔平成14年分は,実際に受け取った金額
をもとに,平成14年1月1日から同年12月31日までに受け取っ
たと推測される1294万4384円〕の1年分当たりの平均額10
90万7397円〔1円未満切捨て〕の3分の2に相当する金額〔1
円未満切捨て)とみるのが相当である。〕
イ休業割合
原告は,本件事故により負った傷害を治療するため,H病院,I病
院,J病院で合計114日間の入院と,J病院に189回の通院を余
儀なくされている。
この入院期間,通院回数,前記認定のとおり,平成16年になって
からの通院頻度や,同年中にはA株式会社の代表取締役に就任してい
ることからすると,本件事故の日から平成15年12月31日までの
509日間は100パーセントの割合で,平成16年1月1日以降は
通院日18日について1日ごとに50パーセントの割合で,勤務を休
まざるを得なかったとみるのが相当である。
ウまとめ
以上の検討結果をまとめると,原告は,その勤務を休まざるを得な
かったことで,以下の計算式のとおり,1031万9202円の損害
を被ったと認められる。
〔計算式〕
(727万1598円×509日間÷365日)+(727万159
8円×0.5〔休業割合〕×18日間÷366日〔閏年)=10〕
31万9202円(1円未満切捨て〔以下の計算式でも同じ)。〕
(3)逸失利益5416万6497円
ア基礎収入
原告は,本件事故に遭わなければ,就労が可能な67歳まで,前記
(2)で判断したとおり,1年当たり727万1598円の収入を得る
機会があった。
イ労働能力喪失割合
原告には,平成16年8月26日,本件事故で負った傷害による症
状が固定し,左上肢機能障害障害が残った。その障害の中には,①旧
自賠責等級8級4号,自賠責等級9級13号に該当する「1手のおや
指及びひとさし指の用を廃したもの」と,②自賠責等級12級5号に
該当する「骨盤骨に著しい奇形を残すもの(腸骨移植による骨盤骨」
の変形)がある。そのほかにも自賠責等級に該当しない肘関節の回外
運動制限,右前腕の短縮,下肢・腹部の瘢痕・醜形が残っている。関
係証拠(甲4,13,乙32)によると,以上の事実が認められる。
原告は,前記認定のとおり,本件事故の当時,海産物,魚介類を調
理したり,さばいてホテル,旅館,飲食店に小売りすることを業とす
るA株式会社で,仕入れと営業の各業務に従事していたのに,これら
の障害のため,それまでできていた鮮魚のさばきができなくなってい
る。
他方で,原告は,平成16年ころから,A株式会社の代表取締役を
務めており,それまでと比べて,仕入れと営業の各業務に従事する割
合は少なくなっていると推測される。また,関係証拠(甲13)によ
ると,腸骨採取部分の感覚障害があることは認められるが,そのこと
が腸骨移植による骨盤骨の変形が原告の勤務にどのような支障を及ぼ
しているかがはっきりしない。
このような事情を考慮すると,原告に残った障害によって失われた
労働能力は50パーセントとみるのが相当である。
ウまとめ
以上の検討結果をまとめると,原告は,本件事故により,前記の障
害が残ったことで,以下の計算式のとおり,症状が固定したときから
就労が可能な67歳までの28年間にわたって,5416万6497
円の収入を得る機会を失ったと認められる。
〔計算式〕
().()727万1598円基礎収入の額×05労働能力喪失割合
×14.8981(労働能力喪失期間28年に対応するライプニッ
ツ係数)=5416万6497円
(4)傷害慰謝料300万0000円
原告は,本件事故により傷害を負い,前記のとおりの入院,通院を
余儀なくされたことで,精神的苦痛を被ったと認められる。その苦痛
を慰謝するための慰謝料は300万円とみるのが相当である。
(5)後遺障害慰謝料900万0000円
原告には,本件事故により,前記のとおりの障害が残った。原告は,
このことで精神的苦痛を被ったと認められる。その苦痛を慰謝するため
の慰謝料は900万円とみるのが相当である。
(6)前記合計額7757万4499円
4争点(3)についての検討
(1)前記認定のとおり,本件事故は,原告が,本件車両のガイドテーブ
ルに,かごを置いて「積込」ボタンを押した後に,ホッパーにごみを投
入しようとしたか,ごみを投入した後に,かごをガイドテーブルにおい
たまま「積込」ボタンを押して,回転板を作動させたとき,誤って,,
右前腕部を,作動していた回転板に巻き込まれたとの自損事故であった
,。とみるのが相当でありこのことが本件事故の大きな原因になっている
このような本件事故の態様のほか,Cは,原告が,ごみが入ったかご
を持って,本件車両のホッパーに向かったのに気づき,自分で,ホッパ
ーに投入するのだろうと思ったのに,制止しないままでいたとの落ち度
の度合いや,本件示談書が社会保険事務所から被告に対する求償の額を
最小限にするために作成したにすぎないことを合わせて検討すると,損
害賠償の額を決めるときには,その損害額の3分の2を控除するのが相
当である。
(2)不法行為に基づく1個の損害賠償請求権のうちの一部が訴訟上請求
されている場合に,過失相殺をするに当たっては,損害の全額から過失
割合による減額をし,その残額が請求額を超えないときはその残額を認
容し,残額が請求額を超えるときは請求の全額を認容することができる
ものと解すべきである(最高裁判所昭和48年4月5日第一小法廷判決
・民集27巻3号419ページ。)
(3)前記3で認められた損害の合計額は7757万4499円である。
関係証拠(乙2,18∼28)によると,原告は,本件事故により負
った傷害を治療するため,H病院,I病院,J病院での治療費合計30
4万0005円を負担したことが認められる。これらの合計額は806
1万4504円である。
前記の合計額8061万4504円から3分の2の控除をすると,そ
の控除後の金額は2687万1501円となる。
5原告が賠償を求めることができる額
原告は,前提事実記載のとおり,被告から,合計304万0005円の
支払を受けている。原告が賠償を求めることができる額は,前記4(3)で
の控除後の金額から,このてん補された額を控除した残額である2383
万1496円である。
第4結論
以上によれば,原告の請求は賠償金2383万1496円及びこれに対
する本件事故の日の翌日である平成14年8月11日から支払済みまで民
法で定める年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める部分は
理由があるから認容し,そのほかの部分は理由がないから棄却することと
し,訴訟費用の負担について民事訴訟法64条本文,61条,仮執行の宣
言について同法259条1項を適用して(相当ではないので,訴訟費用の
負担を求める部分には,この宣言を付さない,主文のとおり判決する。。)
仙台地方裁判所第1民事部
裁判官近藤幸康

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛