弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を取り消す。
     本件を大分地方裁判所佐伯支部に差し戻す。
         事    実
 控訴人等代理人は、「原判決を取り消す。被控訴人の請求を棄却する。訴訟費用
は第一・二審共被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は、「本
件各控訴を却下する。控訴費用は控訴人等の負担とする。」との判決を求め、本案
について、「本件各控訴を棄却する。控訴費用は控訴人等の負担とする。」との判
決を求めた。
 事実及び証拠の関係は、
 事実関係につき、被控訴代理人において、本案前の抗弁として、「控訴人等の本
件控訴はいずれもつぎの理由により不適法である。すなわち、かりに、当審におい
て控訴人等の主張するように原判決の送達手続にかしがあつたとしても、控訴人等
は同人等に宛てた原判決正本を昭和三四年六・七月頃被控訴人方から盗み出し、同
年七月二五日山本真平弁護士を代理人として大分地方裁判所佐伯支部に原判決につ
いて再審の訴を提起し(同裁判所昭和三四年(カ)第一号)、その後これを取り下
げていることからして、遅くとも右昭和三四年七月二五日には原判決言渡の事実を
知つていたことは明らかである。しかるに控訴人等の本件控訴の提起は同年九月二
八日でその間二ヶ月の期間を経過している。したがつて、たとい、控訴人等の責に
帰すべからざる事由によつて不変期間たる控訴期間を遵守することができなかつた
ものであるとしても、訴訟行為の追完ができるのは、民事訴訟法第一五九条により
その事由の已んだ後一週間内に限られているから、本件においては、遅くとも右昭
和三四年七月二五日から一週間内に限つてのみ控訴を提起することが許されるとい
うべく、この期間をはるかに経過した同年九月二八日になされた本件各控訴は不適
法であるから却下すべきである。控訴人等の当審における主張事実中、被控訴人と
控訴人等との身分関係が控訴人等主張のとおりであることは認めるが、判決詐取の
事実は否認する。控訴人等は判決送達当時被控訴人方より出稼に行つていたにすぎ
ないし、被控訴人が控訴人等に送達すべき訴状・判決正本等を控訴人等の代人とし
て受け取つたわけは、郵便集配人が被控訴人に対し親子でありながら代人として受
け取りを拒絶することはできないというので、已むなく代人として受け取つたにす
ぎない。被控訴代理人は原審口頭弁論終結後本件記録を調査したところ、控訴人等
宛の訴状を被控訴人が代人として受け取つている旨送達報告書に記載してあつたの
で、控訴人等に対する送達手続に疑問を持ち、原審裁判官に対し、弁論再開につき
職権発動をうながしたけれども同裁判官はこれに応じなかつたいきさつであり、控
訴人等主張のごとき判決詐取の事実のないことは明らかである。」と述べ、控訴人
等代理人において、被控訴人の本案前の抗弁に対し、「控訴人等は原判決書記載の
ごとき判決の言渡のあつたことを昭和三四年七月二五日頃知つたのであるが、つぎ
のようないきさつによつて、その訴状・口頭弁論期日呼出状は勿論、判決の送達は
いまだに受けていない。すなわち、控訴人Bは被控訴人の娘、控訴人AはBの夫で
被控訴人の養子であつて、ともに大分県南海部郡a村大字bc番地に同居していた
のであるが、家庭内の紛議を生じ、昭和三四年一月二日被控訴人等夫婦は右被控訴
人方から宮崎県東臼杵郡d村e番地に転居し現在にいたつているのである。ところ
が、被控訴人は裁判所を欺罔して控訴人等の不動産を騙取しようと企て、控訴人等
が右のとおり転居しているのにかかわらず、本件訴状に控訴人等の住所を被控訴人
の肩書住所と同じ大分県南海部郡a村大字bc番地と表示して、原裁判所に本件訴
訟を提起し、控訴人等に対する訴状・口頭弁論期日呼出状は被控訴人が控訴人等の
代人として自ら受け取つたため、控訴人等に対する期日の呼出が適法になされてい
ないのに原審は第一回口頭弁論期日を開き控訴人等欠席のまま訴訟手続をなし、同
期日に口頭弁論を終結し、原判決書のとおりの判決を言渡し、控訴人等に対する判
決正本の送達も被控訴人が代人として受けていたのである。控訴人等は右訴訟およ
び判決の事実を判決言渡後の昭和三四年七月二五日頃になつてはじめて知つたので
あつて、控訴人等に対してはいまだに判決の送達がないから、本件各控訴は控訴提
起期間を徒過していず、本件各控訴は適法であり、被控訴人の本案前の抗弁は理由
がない。」と述べ、本案につき、「被控訴人主張の本件不動産が現在被控訴人の所
有であることは否認する。」と述べ、
 証拠関係につき、控訴人等代理人において、乙第一号証・第二号証の一・二を提
出し、被控訴代理人において、右乙号各証の成立を認めたほか
 原判決事実摘示のとおりであるから、原判決のそれを引用する。
         理    由
 まず、本件各控訴の適否について判断する。
 職権で調査するに、被控訴人が本件訴状に控訴人等の住所を被控訴人の肩書住所
と同じ大分県南海部郡a村大字bc番地と表示して本件訴訟を提起し、控訴人等に
宛てた訴状・口頭弁論期日呼出状を被控訴人が控訴人等の代人として自ら受け取り
控訴人等に交付しなかつたこと、原審は控訴人等に対し適式に期日の呼出がなされ
ているものとして、控訴人等不出頭のまま、昭和三四年五月一日午前一〇時の第一
回口頭弁論期日を開いて審理し、同日口頭弁論を終結し、同月二二日午前一〇時原
判決を言渡し、控訴人等に対する判決正本の送達も前記訴状記載の住所に宛ててな
し、これまた被控訴人が控訴人等の代人として同年六月七日受け取つたまま控訴人
等に交付しなかつたことが本件記録編綴の訴状と控訴人等に宛てた郵便送達報告書
(記録三七丁、三八丁、四六丁、四七丁)、被控訴人の答弁書によつて明らかであ
る。ところが、成立に争いのない乙第一号証(住民票)によると、右訴訟提起にさ
きだつ八〇日前の同年一月二日控訴人等は右訴状表示の住所地より現住所の宮崎県
東臼杵郡d村e番地に転居していることが認められる。そうすると控訴人等に対す
る右送達はもともと送達場所を誤つているのみならず、被控訴人は控訴人等の同居
者でもなく、また控訴人等の事務員・雇人であることも認められないので、右訴
状・口頭弁論期日呼出状・判決の各代人送達は補充送達としても不適法であつて、
控訴人等に対してはいまだ判決の送達はなされていないといわざるを得ない。もつ
とも、かしある送達でも追認なしい責問権の放棄によつて治癒される場合もあるけ
れども、本件においてこれらの事実を認めるべき形跡は全くない(被控訴人主張の
ごとき控訴人等の送達場所でないところに宛てた判決正本盗み出しの事実があつた
としても、これをもつて判決の送達ないし受領の追認があつたとは到底解されない
し、また被控訴人主張の再審申立の事実があつたとしても、これまた追認ないし責
問権の放棄とは解されない)。
 しかして、判決送達前といえども控訴の提起を許すことは民事訴訟法第三六六条
第一項但書に明示するとおりであるから、本件各控訴は控訴人等主張の判決詐取の
内容について判断するまでもなく適法である。
 被控訴人は判決送達手続にかしがあり、控訴人等において控訴期間を遵守するこ
とができなかつたとしても、控訴人等は遅くとも原裁判所に原判決について再審の
訴を提起した昭和三四年七月二五日には原判決を知つていたのであるから、民事訴
訟法第一五九条により右の日から一週間内に限つて訴訟行為の追完が許される<要
旨>にすぎず、これをはるかに経過してなされた本件各控訴は不適法であると主張す
るので検討する。民事訴訟法第一五九条は不変期間中になすべき訴訟行為を
懈怠した場合の追完を許容する要件を定めたものであり、これを控訴期間の関係で
考察するに、公示送達の不知による控訴期間の懈怠の場合(大審院昭和一六年七月
一八日言渡・民集二〇巻九八八頁の事件参照)、同居の妻に対する離婚の訴状・判
決を使用人をして受け取らせ本人に交付させなかつた場合(大審院大正一三年三月
七旦言渡・民集三巻九九頁の事件参照)のごとく、ともかくも有効な送達があつた
のに対し、当事者の責に帰すべからさる事由によつて不変期間を遵守することがで
きなかつた場合における訴訟行為の解怠についての追完を規定したものであり、本
件のごとく全く送達が無効であるときには不変期間の進行が生ぜず、したがつて同
条による追完の問題にはならず、何時にても控訴を提起することができると解すべ
きであるから、被控訴人の主張は採用できない。
 右のとおり本件各控訴は適法であるが、前認定のごとく本件においては訴状の送
達すらなされてなく、控訴人等に対し期日の呼出もされていないのに第一回の口頭
弁論期日を開いて審理した上弁論を終結したことは、判決手続において法律違背を
おかしたことになり、しかも、その結果第一審における審理が全然ないに等しいわ
けであるから、当審においては実体の審理に立ちいらず、原判決を取り消し、本件
を原審に差し戻すことにする。
 よつて、民事訴訟法第三八七条・第三八九条により主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 桑原国朝 裁判官 渊上寿 裁判官 後藤寛治)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛