弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人岩沢誠、同岩沢惣一、同小野寺彰、同村部芳太郎の上告理由第一点に
ついて。
 原判決がその理由の冒頭において上告人と被上告人との間に昭和二一年一二月三
一日所論のような契約が締結されたことは当事者間に争がないところであると判示
していることは原判文上明瞭である。しかし、被上告人は、原審で、右所論のよう
な内容の共同経営、配当金支払契約を締結した事実は認めるが右契約は家賃統制令
の適用を脱れる目的を以て当事者相通じてした仮装行為であつてその実質は賃貸借
であると主張しているのであるから契約が真意に出でた契約なりや否やについては
争があるのである。原判決はこの争ある事実につき、事実の争ない部分と証拠と口
頭弁論の全趣旨とを綜合し、右所論のような内容の契約は真意でない仮装行為であ
ることを認定した上、この仮装行為に伴ういわゆる隠匿行為として、当事者双方の
真意でなされた賃貸借契約の存することを認定したものである。従つて原判決は、
所論のような一方においては、本件契約が締結されたことは当事者間に争なしとし
ながら、他方において証拠と弁論の全趣旨によりこれと異る事実を認定した違法や
判例違反があるものではなく論旨は採用するに足りない。
 同第四点について。
 所論は、(1)原判決認定の「家賃統制令の適用を免れる目的」でなされたこと
の訴訟資料は被上告人のその旨の主張だけしかなく、しかも被上告人本人の陳述は
この主張と相反しているから、若し原判決にいわゆる弁論の全趣旨という意味が被
上告人の右主張を指すものとすれば、右主張は上告人の否認するところであるから
原判決は争ある事実について当事者一方の主張のみを資料としてその主張通りに認
定した違法があるものであり、(2)若し、弁論の全趣旨とは右の主張を指さない
とすれば何を指すのか原判決上不明であるから審理不尽、理由不備の違法あるもの
である、(3)又、重要な争点に関する被上告人の右主張とその本人の陳述とが相
反する趣旨のものである場合には寧ろ弁論の全趣旨によりこの本人の陳述を排斥す
べきに拘らずこれを右事実認定の資料としたのは違法である、というに帰する。
 けれども、(1)原判決の判文によれば原判決は右の争ある事実を証拠によらず
被上告人の主張だけによつてそのまま認定したものとは解せられない。(2)原判
決が弁論の全趣旨をも賃貸借契約締結等の事実認定の一資料としているに拘らず弁
論の全趣旨の内容を明示していないことは所論のとおりである。しかし、一般に民
訴法一八五条にいわゆる弁論の全趣旨の内容は頗る微妙に亘りこれによつて裁判所
が事実についての確信を得るに至つた理由を理性常識ある人が首肯できる程度に判
決理由中に説示することは至難ないし不可能の場合が多い(特に当事者の主張陳述
の態度、証拠調の際の証人、本人等の陳述態度等はこれを調書に記載すること、若
しくはこれを裁判官が見て取つたと同様に正確に書記官が調書に記載することが至
難ないし不可能の場合において左様である、)から、裁判所が弁論の全趣旨をも事
実認定の一資料とした場合にその内容を判決理由中に説示することは、それが可能
な限り、裁判所が判決における事実認定の適法正当であることを宣明し上告審にお
ける事後審査を容易ならしめる上において望ましいことに相違ないが、如何なる場
合にも必ずこれが内容を判示すべきものとすることは裁判官に難きを求める場合を
生じ合理的とはいい難い。従つて本件の如く裁判所が弁論の全趣旨をも事実認定の
一資料とした場合にも必しもその内容を判決理由中に説示しなくても理由不備の違
法あるものではないと解するのを妥当とする。次に、(3)被上告人本人の陳述内
容は、記録によると、「契約が家賃統制令の適用を免れる目的でなされた」という
被上告人の右主張と文字通り完全に一致するものでないことは所論のとおりである
が、決して右主張と相反せず却つてこれに添うものであり、これと原判決挙示の証
拠とを綜合すれば次に述べるように右主張通りの原判決認定事実を認定することが
できる。従つて、所論の、被上告人の主張と被上告人本人の陳述とが相反するとき
は寧ろ弁論の全趣旨によりこの本人の陳述を事実認定の資料より排斥すべきである
とする主張も前提を欠くことになる。
 のみならず、原判決が当事者間に争がないと認めた冒頭判示の事実と原判決挙示
の証拠とを綜合しただけでも原判決認定の賃貸借契約の締結その他の事実を認定す
ることができるから、いずれにしてもこの点に関し原判決にはその最終の判断に影
響する違法はなく、所論は理由がない。
 同第六点について。
 所論は、要するに、原判決は賃貸借の事実を認定しながら、上告人の賃料支払請
求の当否について判断しなかつたのは民訴法一八六条に違反し訴において判決を求
める申立をした事項について判断を遺脱し、審理不尽、理由不備の違法あるもので
あるというにある。
 しかしながら原告が訴訟物を特定する事実を主張しながらこれに対する法律的評
価を誤り、もしくはその実体に合致しない法律的名称を使用したような場合には、
裁判所はその法律的見解に拘束されることなく、これと異る法律的見解の下に原告
の請求を認容し得べきこと勿論であるが、本件はかような場合と趣を異にし、上告
人が訴訟物を特定する事実として主張した事実は、原判示の仮装行為たる共同経営、
配当金支払契約であつて、原審認定の隠匿行為としてなされた賃貸借契約の如きは、
そもそもこれとは別個の事実に属し、しかも上告人においてこれを否定した事実で
あるから、原審が、前者の事実によつて上告人の請求を排斥するに止め、後者の事
実によつて上告人の請求の当否につき判示するところのなかつたのは、むしろ正当
であつて、なんら所論の法条に違反するものでなく、論旨は理由がない。
 その他の論旨は「最高裁判所における民事上告事件の審判の特例に関する法律」
(昭和二五年五月四日法律一三八号)一号乃至三号のいずれにも該当せず、又同法
にいわゆる「法令の解釈に関する重要な主張を含む」ものと認められない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三
            裁判官    本   村   善 太 郎

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