弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴を棄却する。
         理    由
 本件控訴の趣意は、本判決書末尾添附弁護人加藤龍雄作成の控訴趣意書と題する
書面記載のとおりである。
 控訴趣意第一、四点について。
 刑法第九十五条にいわゆる暴行とは、職務を執行する公務員に対し直接又は間接
に不法の実力を行使することを言うのである。従つて暴行が直接公務員の身体に対
して加えられる場合に限らず、右の暴行が直接には物に対して行われる場合におい
てもその結果として公務員に対して加えられるものと認め得られるときは、ひと<要
旨>しく同条にいわゆる暴行と言うを妨げない。原判示事実は論旨摘録のとおりであ
つて、要するに、被告人は湯浅税務署関税課長収税官吏A及び同課勤務収税
官吏B同C等が酒税法違反被疑事件について裁判官の為した令状により捜索の結果
被告人方裹物置から一升びん入焼酎四本、一斗つぼ入焼酎一個ほか空つぼ四個等を
発見密造酒及び密造用のものと認めこれを差し押えて三輪自動平に積載するや、右
の自動車に強いて乗りこみ(援用の証拠によると被告人は収税官吏が止めるのを無
理やりに上つたもの)差押物件中の焼酎入一升びん一本を取つてこれを車内に投げ
つけて破碎流失させ、その場でこれを目撃した前記税務署員B及びCほか一名が制
止しようとして被告人の身体を取り押えるや、他の焼酎入一升びん三本を足蹴にし
てこれを破碎流失させた、というのであるから、判文上、右の暴行は公務員たる税
務署員の身体に対し直接に加えちれたものとは言い難いけれども、被告人が、税務
署員の捜索差押の現場において、同署員等の制止を排除し、密造酒入りのびんその
他の押収物を積載した三輪自動車に乗りこみ現に同署員等の所持内にある押収物を
奪取して車内に投げつけ又は足でけつて破碎流失させた点において、被告人の行為
は職務執行中の公務員に対し間接に暴行を加えたものと言い得るから、公務執行妨
害罪における暴わの判示として欠くるところはない。原判決には所論のような理由
不備の違法はないから論旨は理由がない。
 同第二点について。
 原判決は、器物毀棄の点について、刑法第二百六十二条、第二百六十一条を適用
処断しながら、毀棄の目的の物については単に「被告人方裏物置から一升瓶入焼酎
四本、一斗壼入焼酎一個外空壼四個等を発見し密造酒及び密造用のものと認め云
々」又は「被告人方より差押えて積載されていた物件中云々」と記載してあるに過
ぎ々いから、右毀棄の目的物が被告人の所有物であるかどうかという点に関する事
実摘示としては明確を欠くと言わなければならない。しかし、原判示の挙示する証
拠によつて認め得られる。差押の際における税務署員と被告人との間の問答内容、
押収の場所被告人及びその妻が押収物を破砕した事実等から考えて、右の物件は被
告人の所有物であつて差押を受けたものであると認定し得るところであつて、原判
示事実と右の証拠及び擬律とを対照し原判決もひつきよう前記の趣旨を判示したも
のと解し符られないこともない。のみならず、刑法第二百六十二条にいわゆる「前
三条ノ例ニ依ル」とある趣旨は、自己の所有物といえども差押を受け物権を負担し
又は賃貸したものは、毀棄罪の関係においては、他人の物と同一視し、その目的物
の性質によつて、同法第二百五十九条ないし第二百六十一条の罪として各該当法条
によつて処罰するというにあるから、権利業務に関する文書、建造物及び艦船以外
の物で差押を受けたものを損壊した場合には、それが他人の所有物であつてもまた
自己の所有物であつても、ひとしく同法第二百六十一条の罪が成立する(差押権者
はいずれの場合においても被害者として告訴権を有する、なお大審院昭和十四年二
月七日判決、判例集第十八巻二〇頁以下参照)から、他人が差し押えた物件を損壊
した旨の判示があれば、たとえ判文上その物件の所有者が他人であるか自己である
かの区別を明確に判示していないと解すべきであつても、処断法条の適用上何らの
影響を生ぜず、従つて判決に理由を附さない違法があることにはならない。論旨は
結局理由がない。
 同第三点について。
 法定刑が懲役と禁錮との選択刑である場合において、判文に懲役刑を選択する旨
明示しなくても、判決主文において懲役刑を科しておる以上、懲役刑を選択したこ
とはおのづから明らかであるから、原判決の理由にくいちがいがあるとは言えな
い。論旨は理由がない。
 同第四点について。
 しかし、控訴趣意第一点について述べたように被告人の行為は公務員に対して間
接に加えられた不法の実力行使であつて、刑法第九十五条にいわゆる暴行と解する
に妨げないものであるから、原判決には法令の適用を誤つた違法はない。論旨は理
由がない。
 同第五点について。
 本件記録及び原裁判所において取り調べた証拠を精査し、本件犯行の動機、態様
その他諸般の事情を考慮すると、原審の量刑は不当とは言えないから、論旨は理由
がない。
 よつて、刑事訴訟法第三百九十六条に従い主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 瀬谷信義 判事 山崎薫 判事 西尾貢一)

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