弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決を破棄し、第一審判決を取り消す。
     本件を神戸地方裁判所に移送する。
         理    由
 上告人の上告理由第二点について
 一 記録によれば、次の事実が認められる。(一) 上告人は、当初、神戸家庭裁
判所尼崎支部のした家事審判の執行力ある正本に基づいて被上告人が執行する具体
的な債権差押命令の執行の不許を求めて、右支部に請求異議の訴え(以下「本件請
求異議の訴え」という。)を提起した。(二) ところが、第一審の第一回口頭弁論
期日以前に、右債権差押命令に基づく被差押債権の取立てがされて、債権執行手続
が既に終了したため、上告人は、第一審において、本件請求異議の訴えを、右取立
てに係る金員と同額の一二一万二一六〇円の支払を求める不法行為に基づく損害賠
償請求の訴え(以下「本件損害賠償請求の訴え」という。)に交換的に変更する旨
の申立て(以下「本件訴えの変更」という。)をした。(三) 被上告人は、第一審
において、本件訴えの変更に同意し、本件損害賠償請求の訴えにつき異議なく応訴
した。
 二 以上の事実関係の下において、第一審は、本件訴えの変更は不適法であると
してこれを許さない旨の決定をした上、前記債権差押命令の執行の不許を求める本
件請求異議の訴えは、家庭裁判所の管轄に属さない不適法な訴えであるとして、右
訴えを却下した。これに対し、原審は、次のとおり判断して第一審判決を取り消し、
第一審と異なる理由により、本件請求異議の訴えを却下した。(一) 本件請求異議
の訴えは、民事執行法三五条、三三条二頃により、第一審裁判所として、前記家事
審判をした神戸家庭裁判所尼崎支部の管轄に属する適法な訴えであるから、これを
不適法な訴えであるとした第一審の判断は相当ではない。(二) 本件訴えの変更に
よって提起された本件損害賠償請求の訴えは神戸地方裁判所尼崎支部の管轄に属す
る事件であるから、家庭裁判所での請求異議の訴えの審理中に、右のような新訴に
訴えの変更をすることは、被上告人の同意の有無にかかわらず不適法として許され
ない。(三) そうすると、本件請求異議の訴えが依然として本訴の審判の対象であ
るところ、債権執行手続は既に終了しているから、本件請求異議の訴えは、訴えの
利益を欠く不適法な訴えとして却下を免れない。
 三 しかしながら、原審の右(一)の判断は正当であるが、(二)及び(三)の判断は
是認することができない。その理由は、次のとおりである。
 家庭裁判所における請求異議の訴えの審理は民事訴訟によってされるのであるか
ら、右請求異議の訴えの審理中に民訴法二三二条により訴えの交換的変更の申立て
がされた場合には、家庭裁判所は受訴裁判所としてその許否を決める権限を有し、
訴えの変更の要件に欠けるところがなければ、これを許した上、新訴が家庭裁判所
の管轄に属さない訴えであるときは、同法三〇条一項により、新訴を管轄裁判所に
移送すべきものと解するのが相当である。
 これを本件についてみるに、前示事実関係によれば、上告人の本件訴えの変更の
申立ては、その要件に欠けるところはないから、これを許すべきであり、原審とし
ては、第一審判決を取り消した上、本件損害賠償請求の訴えを記録上管轄を有する
ことが明らかな神戸地方裁判所に移送すべきであったのである。
 そうすると、これと異なる原審の前記判断には、民訴法二三二条及び三〇条一項
の解釈適用を誤った違法があり、その違法が判決の結論に影響を及ぼすことは明ら
かである。論旨は理由があるから、原判決を破棄し、第一審判決を取り消した上、
当審において本件訴えの変更を許すこととし、本件損害賠償請求の訴えを神戸地方
裁判所に移送することとする。なお、本件請求異議の訴えは、当審における本件訴
えの変更の許可により終了した。
 よって、民訴法四〇八条、三九六条、三八六条、三〇条一項に従い、裁判官全員
一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    橋   元   四 郎 平
            裁判官    大   堀   誠   一
            裁判官    味   村       治
            裁判官    小   野   幹   雄
            裁判官    三   好       達

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛