弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

平成29年3月28日判決言渡同日原本交付裁判所書記官
謝罪広告等請求事件
口頭弁論の終結の日平成28年12月27日
判決
主文
1被告は,原告aに対し,198万円及びこれに対する平成25年10月9
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告は,原告bに対し,165万円及びこれに対する平成25年10月2
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
4訴訟費用は,これを18分し,その1を被告の負担とし,その余を原告
らの負担とする。
5この判決は,第1項及び第2項に限り,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1請求
1被告は,原告aに対し,3300万円及びこれに対する平成25年10月9日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2被告は,原告bに対し,3300万円及びこれに対する平成25年10月2日か
ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
3被告は,別紙1記載の謝罪広告を,別紙2記載の掲載要領により,被告の発行す
る雑誌「週刊文春」,被告のウェブサイト「週刊文春WEB」,朝日新聞,毎日新
聞,読売新聞,日本経済新聞及び産経新聞に掲載せよ。
第2事案の概要
1本件は,⑴原告aが,被告発行の週刊誌「週刊文春」平成25年10月10日号
(以下「本件雑誌1」という。)に掲載された「徳洲会マネー100億円を貪る『わ
るいやつら』」と題する記事(以下「本件記事1」という。)及び同誌同月17日号
(以下「本件雑誌2」という。)に掲載された「徳洲会マネーに群がった政治家の実
名」と題する記事(以下「本件記事2」という。なお,本件記事1及び本件記事2を
併せて,以下「本件各記事」という。)によって,名誉を毀損され,プライバシー権
が侵害されたとして,被告に対し,①不法行為に基づく損害賠償請求権に基づき損
害金合計3300万円(慰謝料3000万円及び弁護士費用300万円)及び最後の
不法行為の日(本件雑誌2の発売日)である同月9日から支払済みまで民法所定の年
5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②民法723条所定の名誉
を回復するのに適当な処分として前記第1の3のとおり謝罪広告を掲載することを求
め,⑵原告bが,本件雑誌1に掲載された本件記事1によって,名誉を毀損され,
プライバシー権が侵害されたとして,被告に対し,①不法行為に基づく損害賠償請
求権に基づき損害金合計3300万円(慰謝料3000万円及び弁護士費用300万
円)及び不法行為の日(本件雑誌1の発売日)である同月2日から支払済みまで民法
所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めるとともに,②民法723条所
定の名誉を回復するのに適当な処分として前記第1の3のとおり謝罪広告を掲載する
ことを求める事案である。
2前提事実(証拠等を掲記しないものは,当事者間に争いがない。)
⑴ア原告aは,昭和54年4月,医療法人徳洲会に就職し,昭和55年に理事長秘
書,平成8年に理事長室長,平成16年に有限責任中間法人徳洲会(平成21年
5月31日に一般社団法人徳洲会に移行した法人。以下,移行の前後を問わず
「一般社団法人徳洲会」という。)の理事兼事務総長,平成20年に一般社団法
人徳洲会の専務理事兼事務総長,医療法人徳洲会の専務理事等にそれぞれ就任
するなどした。また,原告aは,インターナショナル・ホスピタル・サービス株
式会社(以下「IHS」という。)の社長を務めていたことがあり,政治団体な
いし政党である自由連合で会計の責任者も務めていた。しかし,原告aは,平成
24年9月に一般社団法人徳洲会の事務総長を解任され,平成25年2月13
日,同法人の専務理事の職を解任されるとともに懲戒解雇された(ただし,原告
aは,この懲戒解雇が無効であるとして,東京地方裁判所で係争中である。)。
(甲50,原告a)
さらに,原告aは,平成25年12月3日,IHSの資金3000万円を着
服したとして業務上横領の容疑で逮捕され,同月24日に起訴された。そし
て,東京地方裁判所は,平成28年10月12日,原告aにつき,平成19
年9月及び平成20年1月にIHSの預金口座から合計3000万円を仮払
金名目で引き出して着服したとして,業務上横領罪で有罪とする判決を宣告
した。この判決に対し,原告aは,控訴して係争中である。(甲50,乙1
〔枝番号があるのに個別に掲記しない場合その全てを含む。以下同じ。〕,1
7)
イ原告bは,以前,株式会社新潮社(以下「新潮社」という。)に勤務し,「週
刊新潮」等の記者を務めたことがあり,現在は,株式会社ヒルダ(以下「ヒルダ」
という。)の代表者である。原告bないしヒルダは,平成13年4月頃から,医
療法人徳洲会に係る広報誌である「徳洲新聞」の編集発行を行っていた。(後段
につき甲58,弁論の全趣旨)
ヒルダは,新聞業等を目的とする平成12年に設立された株式会社であり,代
表取締役が原告b,取締役が原告bの妻c1及び原告bの娘c2である。(乙7,
弁論の全趣旨)
ウ被告は,「週刊文春」を始めとする雑誌,書籍等を発行する出版社である。
⑵アd1は,医療法人徳洲会を設立してその理事長となっているほか,数々のグ
ループ法人(以下,これらを総称して「徳洲会」ないし「徳洲会グループ」と
いう。)を設立した,元衆議院議員である。d1は,平成14年頃,難病であ
る筋萎縮性側索硬化症(以下「ALS」という。)を発症した。
d2は,d1の息子であり,元衆議院議員である。
イIHSは,徳洲会グループの一社で,不動産賃貸や医療機器販売等を業とす
る。主要な取引先は徳洲会グループの病院であり,平成27年3月に徳洲会グル
ープの一社である株式会社徳洲会に吸収合併された。(甲1,39,乙17の3,
弁論の全趣旨)
また,インターナショナル・メディカル・リース株式会社(以下「IML」と
いう。)も徳洲会グループの一社で,医療機器リース等を業とし,主要な取引先
は徳洲会グループの病院である。(甲1,39,弁論の全趣旨)
ウ自由連合は,d1が平成2年頃に発足させた政治団体であり,平成6年頃に政
党となって法人格を取得した。自由連合には,d1を含む複数の衆議院議員及び
参議院議員が所属していたが,平成18年11月以降,所属する国会議員がいな
くなり,平成19年7月に政党要件を失った。そして,自由連合は,平成22年
8月7日に任意解散し,その後清算した。(甲1,39,乙5,弁論の全趣旨)
エ徳洲会は,平成25年9月17日,公職選挙法違反被疑事件につき,その東京
本部等が東京地方検察庁特別捜査部(以下「東京地検特捜部」という。)による
捜索差押えを受けた。
そして,d1の娘であるd3,d1の妻であるd4,徳洲会グループ幹部のe
等徳洲会の関係者6人は,平成25年12月24日,平成24年に実施された衆
議院議員選挙に係る公職選挙法違反の罪により起訴された。(甲1,7,乙1の
2)
⑶被告は,平成25年10月2日,その発行する本件雑誌1において,別紙3の
とおりの「徳洲会マネー100億円を貪る『わるいやつら』」と題する本件記事
1を公表し,同月9日,同じく被告が発行する本件雑誌2において,別紙4のと
おりの「徳洲会マネーに群がった政治家の実名」と題する本件記事2を公表した。
本件記事1には,別表1「原告aの請求原因に係る整理表」の「番号」欄1か
ら4までに対応する「記事」欄に記載の各記述及び別表2「原告bの請求原因に
係る整理表」の「記事」欄に記載の各記述が含まれ,本件記事2には,上記別表
1の「番号」欄5から7までに対応する「記事」欄に記載の各記述が含まれてい
る。
3争点及びこれに関する当事者の主張の要旨
⑴本件各記事による原告aの社会的評価低下の有無
【原告aの主張】
本件各記事のうち,別表1「原告aの請求原因に係る整理表」の「記事」欄に記
載の各記述は,当該欄に対応する「原告aの主張」欄に記載のとおりの各事実を摘
示するものであって,これにより,原告aの社会的評価が低下した。
【被告の主張】
別表1「原告aの請求原因に係る整理表」の「被告の主張」欄に記載のとおり,
本件各記事には,一部,原告aの社会的評価を低下させるものがあるものの,原告
aの主張するとおりの事実を摘示するものではないし,原告aの主張するとおりに
原告aの社会的評価を低下させるものではない。
⑵本件各記事による原告bの社会的評価低下の有無
【原告bの主張】
本件記事1のうち,別表2「原告bの請求原因に係る整理表」の「記事」欄に記
載の各記述は,当該欄に対応する「原告bの主張」欄に記載のとおりの各事実を摘
示するものであり,これにより,原告bの社会的評価が低下した。
【被告の主張】
別表2「原告bの請求原因に係る整理表」の「被告の主張」欄に記載のとおり,
本件記事1の掲載は,原告bの主張するとおりの事実を摘示するものではなく,原
告bの社会的評価を低下させない。
⑶原告aに対する名誉毀損の違法性阻却事由及び故意過失の有無
【被告の主張】
本件各記事は,これらが掲載された当時,徳洲会及びその関係者が公職選挙法違
反の疑いで家宅捜査を受ける等しており,市民が徳洲会に関連する金の動きに関心
を寄せていた中で,公訴提起に至っていない人の犯罪行為に関する事実に関連し
て,徳洲会の要職にあった原告らの情報を含む徳洲会の金の動きという公共の利害
に関する事実を報道するもので,公衆の正当な関心に応えることになるものである
から,その目的は,専ら公益を図る目的に出たものである。そして,本件記述①か
ら⑦までの各記述が摘示する事実は真実である。このことは,別表3「原告aに
対する被告の抗弁に係る整理表」の「被告の主張」欄に記載の各事実から明らか
である。
また,仮に当該各記述が摘示する事実が真実であると認められなかったとして
も,上記別表3の「被告の主張」欄に記載の各事実からすれば,被告がこれらの事
実が真実であると信じたことについて相当の理由があるから,被告に名誉毀損につ
いての故意過失は認められない。
【原告aの主張】
本件記述①から⑦までの各記述が摘示する事実は,いずれも真実ではないし,被
告がこれらの事実が真実であると信じたことについて相当の理由があるものではな
い。具体的には,別表3「原告aに対する被告の抗弁に係る整理表」の「原告a
の主張」欄に記載のとおりである。
⑷原告bに対する名誉毀損の違法性阻却事由及び故意過失の有無
【被告の主張】
本件記事1は,上述のとおり,公共の利害に関する事実を報道するもので,その
目的は,専ら公益を図る目的に出たものである。そして,本件記述⑧から⑫までの
各記述が摘示する事実は真実である。このことは,別表4「原告bに対する被告
の抗弁に係る整理表」の「被告の主張」欄に記載の事実から明らかである。
また,仮に当該各記述が摘示する事実が真実であると認められなかったとして
も,被告がこれらの事実が真実であると信じたことについて相当の理由があるから,
被告に名誉毀損についての故意過失は認められない。
【原告bの主張】
本件記述⑧から⑫までの各記述が摘示する事実は,いずれも真実ではないし,被
告がこれらの事実が真実であると信じたことについて相当の理由があるものではな
い。具体的には,別表4「原告bに対する被告の抗弁に係る整理表」の「原告b
の主張」欄に記載のとおりである。
⑸原告aに対するプライバシー権侵害による不法行為の成否
【原告aの主張】
本件記事1の記載のうち,①原告aが英國屋で高級スーツを仕立てている旨,
②原告aがA公園近くのマンションに住んでいて家賃が月額100万円近くする
旨,③原告aが競馬などのギャンブルをする旨,④原告aがギャンブルに1日
当たり数百万円賭けたことがあり,万馬券が当たって最高で240万円の配当を受
けた旨の記載は,一般人に未だ知られておらず,公表されれば私生活上の事実又は
それらしく受け取られるおそれのある事項で,一般人の感受性を基準にして,当該
私人なら公開を欲しないであろうと認められる事項について述べるものであるか
ら,原告aのプライバシー権を侵害するものである。また,上記①から④までの記
載は,事実と全く異なることが述べられているものであるから,これらを報じる意
義も必要性も認められず,違法である。
【被告の主張】
本件記事1は,d1が設立し,その後,政党化して原告aが会計責任者を務
めた自由連合の資金27億円及び原告aが社長を務めたIHSの資金7億55
00万円が使途不明となっていること等を前提事実として,原告らが徳洲会の
お金を飽きることなく欲しがる悪行を行っていたことを報じたものである。こ
れらを報じるに当たって,原告aが使途不明金をどのような事柄に費消したの
かという情報を報じることは,公共の利害に関連する原告らの行動について,
読者がより深く,より正確に知るために必要かつ有益な情報である。そして,
本件記事1が掲載された当時,徳洲会及びその関係者が公職選挙法違反の疑い
で家宅捜索を受けるなどしており,市民は徳洲会に関連する金の動きに関心を
寄せていた。このように,公共の関心事である徳洲会に関連する金の動きとし
て,原告aの金遣いについての情報を報じることは,公共の関心に応える有益
かつ必要な報道であることは明らかである。他方,被告は,原告aのギャンブ
ルの態様,住居の家賃,スーツを仕立てている店,原告bの自宅の価値等につ
いて報じたにすぎず,通常の感受性を有する一般人が,公開されることによっ
て過度の心理的な負担,不安を覚えるであろうと認められるような事柄ではな
く,そもそも,プライバシーとして保護に値する事実とはいえない。
したがって,本件記事1の掲載当時,社会の関心の対象となっていた徳洲会
の理事長であったd1を長年支えていた原告aに関して,これらの情報が報道
されることは,原告aにとって受忍の範囲内であり,これを報道されない原告
aの利益が,公共の関心事である徳洲会に関連する金の動きに関する有益かつ
必要な報道に優先するものでないことは明らかであって,原告aが問題とする
各記述は,原告aのプライバシー権を侵害するものではない。
⑹原告bに対するプライバシー権侵害による不法行為の成否
【原告bの主張】
本件記事1の記載のうち,①原告bが年間数億円の収入を得ている旨,②原
告bが千葉県船橋市内の閑静な住宅地で娘夫婦と暮らしている旨,③原告bが自
宅の土地購入価格が1億円を下らない旨,④原告bに愛人がいて,原告bがその
愛人に購入価格が1億円以上するマンションを買い与えた旨の記載は,一般人に未
だ知られておらず,公表されれば私生活上の事実又はそれらしく受け取られるおそ
れのある事項で,一般人の感受性を基準にして,当該私人なら公開を欲しないであ
ろうと認められる事項について述べるものであるから,原告bのプライバシー権を
侵害するものである。また,上記①から④までの記載は,事実と全く異なることが
述べられているものであるから,これらを報じる意義も必要性も認められず,違法
である。
【被告の主張】
本件記事1には,原告bの設立した会社の受領した金銭についての記載は存在す
るが,原告b個人の収入に関する記載は存在せず,原告bに愛人がいるとの断定的
な記載もない。
また,本件記事1は,原告aの設立した会社(株式会社徳洲出版社。以下「徳洲
出版社」という。)から徳洲新聞の編集業務を請け負っていた,原告bの設立した
会社(ヒルダ)が,徳洲会から年間6億円を受領していたこと等を前提事実として
原告らが徳洲会のお金を飽きることなく欲しがる(貪る)悪行を行っていたことを
報じたものであり,これらを報じるに当たって,原告bが徳洲新聞の編集業務の請
負によって上げた利益を何に使ったのかという情報を報じることは,公共の利害に
関連する原告らの行動について,読者がより深く,より正確に知るために必要かつ
有益な情報である。そして,上述のとおり,本件記事1の掲載当時に公共の関心事
であった徳洲会に関連する金の動きに関して,原告bのこれらの情報を報じること
は,公共の関心に応える有益かつ必要な報道であることは明らかである。他方,こ
れらの情報は,原告bの自宅の価値等について報じたにすぎず,通常の感受性を有
する一般人が,公開されることによって過度の心理的な負担,不安を覚えるであろ
うと認められるような事柄ではなく,そもそも,プライバシーとして保護に値する
といえない。
したがって,本件記事1の掲載当時,社会の関心の対象となっていた徳洲会の徳
洲新聞の編集業務を請け負っていた会社の設立者である原告bに関して,これらの
情報が報道されることは,原告bにとって受忍の範囲内であり,これを報道されな
い原告bの利益が,公共の関心事である徳洲会に関連する金の動きに関する有益か
つ必要な報道に優先するものでないことは明らかであって,原告bが問題とする
各記述は,原告bのプライバシー権を侵害するものではない。
⑺損害額
【原告らの主張】
被告の原告らに対する不法行為によって原告らが被った精神的苦痛の慰謝料
は,それぞれ3000万円を下らない。また,原告らは,当該損害の賠償を求
めて本訴の提起及び追行を代理人弁護士に委任せざるを得なかったから,原告
らそれぞれにつき,その弁護士費用のうち少なくとも損害額3000万円の1
割に当たる300万円については,被告による不法行為との相当因果関係があ
る損害である。
【被告の主張】
争う。
⑻謝罪広告の要否
【原告らの主張】
原告aは,本件記事1が掲載された本件雑誌1及び本件記事2が掲載された本件
雑誌2が広く販売されたことによってその名誉を著しく毀損され,また,原告bは,
本件記事1が掲載された本件雑誌1が広く販売されたことによってその名誉を著し
く毀損されたものであり,原告らそれぞれの損害を回復するためには,損害賠償の
みでは足りず,被告に対し,原告らそれぞれの名誉を回復するのに適当な処分とし
て,被告の発行する「週刊文春」,被告のウェブサイト「週刊文春WEB」及び主
要全国紙朝刊紙上に,別紙1記載の謝罪広告を,別紙2記載の掲載要領により掲
載させる必要がある。
【被告の主張】
争う。
第3当裁判所の判断
1本件各記事による原告aの社会的評価低下の有無(争点⑴)について
⑴ア本件記事1を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば,原告aの
社会的評価を低下させるとして原告aが主張する事実のうち,①原告aが
徳洲会グループの資金のうちの数十億円の金員を不正に取得して自己のため
に費消し着服した(本件記述①及び②による摘示事実。以下「本件摘示事実
①」という。),②原告aが犯罪行為である文書偽造を行って徳洲会グル
ープに対する支配権を奪おうとした(本件記述③による摘示事実。以下「本
件摘示事実②」という。),③原告aが徳洲会の内部資料を東京地検特捜
部に持ち込んだ動機が自らの悪事を隠すためであった(本件記述④による摘
示事実。以下「本件摘示事実③」という。),④原告aが政治家に対して
巨額の資金を提供していた(本件記述①及び②による摘示事実。以下「本件
摘示事実④」という。),⑤原告aは,家賃が百万円近くするマンション
に住み,高額の洋服を購入するなどといった,年俸千数百万円の給与では足
りないほどの豪奢な暮らしをし,さらに,競馬に1日数百万円をつぎ込み,
ブルガリア出張中にはホテルのカジノに入り浸った(本件記述①による摘示
事実。以下「本件摘示事実⑤」という。)との事実の摘示があるものと認め
るのが相当である。
また,本件記事2を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば,原
告aの社会的評価を低下させるとして原告aが主張する事実のうち,⑥原
告aは,徳洲会グループの会長であるd1の了承なく独断で徳洲会グループ
の資金を差配していて,民主党所属の衆議院議員であったgとの間で15億
8000万円もの業務委託契約を結び,何の業務もしていないgに2億41
40万円もの金額を支払い,このことや,自らも徳洲会グループの資金を着
服したことなどを理由として徳洲会を懲戒解雇された(本件記述⑤及び⑦に
よる摘示事実。以下「本件摘示事実⑥」という。),⑦原告aが,徳洲会
の利益のために民主党を利用して,これを実現した(本件記述⑥による摘示
事実。以下「本件摘示事実⑦」という。)との事実の摘示があるものと認め
るのが相当である。
イ本件摘示事実①は,一般の読者に対し,原告aが利己的な目的で,数十億
円以上という巨額の資金の横領という犯罪を行って,私服を肥やしていたと
いう印象を与えるものであり,本件摘示事実②は,一般の読者に対し,原告
aが犯罪を行って徳洲会の支配権を奪い取ってほしいままにしようとしてい
たという印象を与えるものであって,いずれも,原告aの社会的評価を低下
させるものであることが明らかである。また,本件摘示事実③は,一般の読
者に対し,原告aが,横領等の犯罪をしただけにとどまらず,自らの悪事の
発覚を隠そうとして他者を陥れたという印象を与えるものであって,原告a
の社会的評価を低下させるものであると認められる。そして,本件摘示事実
⑥を含む本件記事2は,本件摘示事実①を含む本件記事1が掲載された本件
雑誌1とは別の本件雑誌2に掲載されたもので,本件摘示事実⑥により,一
般の読者に対し,本件摘示事実①とは別に,原告aが徳洲会グループの資金
を横領したほか,徳洲会グループの会長であるd1の了承を得ることなく多
額の金員を衆議院議員に合理的理由なく支払い,そのために懲戒解雇された
との印象を与えるものであって,原告aの社会的評価を新たに低下させるも
のと認められる。
ウ一方,本件摘示事実④は,原告aが巨額の資金を政治家に提供していたと
いうものであるが,民間人が政治家に資金を提供すること自体が直ちに違法
不当なものとはいえず,本件摘示事実④のみにより,原告aの社会的評価が
低下するとは認められない。本件摘示事実④に関する記述は,本件記事1の
その余の記述と相まって,本件摘示事実①を摘示するものであるが,本件摘
示事実①とは別個に原告aの社会的評価を低下させるものということはでき
ない。
また,本件摘示事実⑤は,一般の読者に,原告aが年俸千数百万円の給与
では足りないほどの豪奢な生活を送り,極度のギャンブル好きで高額のギャ
ンブルを行っていたという印象を与えるものといえる。しかし,原告aは民
間人であって,本件全証拠を精査しても,質素な生活や給与収入に見合った
生活をしていることが評価されていたとは認められず,豪奢な生活をしてい
ることが原告aの社会的評価を低下させるものとはいえないし,国内の競馬
や外国でのギャンブルはそれ自体として直ちに違法不当なものとはいえず,
本件摘示事実⑤のみにより原告aの社会的評価が低下するものとはいえない。
本件摘示事実⑤は,本件記事1のその余の記述と相まって,本件摘示事実①
を摘示するものであるが,本件摘示事実①とは別個に原告aの社会的評価を
低下させるものということはできない。
さらに,本件摘示事実⑦は,原告aが,民間団体である徳洲会の利益のた
めに政党を利用し,これを実現したというものであるが,政党ないしその所
属の政治家を通じて利益の実現を図ること自体は,民間団体として直ちに非
難されるべきことではなく,本件摘示事実⑦は,原告aの社会的評価を低下
させるものとはいえない。本件摘示事実⑦は,本件記述⑤及び⑦により摘示
された本件摘示事実⑥に関連するものではあるが,本件摘示事実⑥とは別個
に原告aの社会的評価を低下させるものとはいえない。
⑵ア被告は,本件記述①につき,一般の読者は,原告aが巨額の横領をしたと
理解することはあっても,その横領の金額が数十億円とは理解しない旨主張
する。
しかし,本件記述①には,「自由連合は,」,「約百億円の負債を抱えて
解散しましたが,」,「このうち約二十七億円は原告aが勝手に引き出し,
全く使途不明です。」,「原告aが引き出した仮払金七億五千五百万円も,
同様に使途不明。これだけで三十五億円近くにも上る。他の事案も含めると,
さらに途方もない金額になるはずです。」と記載され,原告aが自由連合の
預金口座から引き出すなどした数十億が使途不明になっている旨が述べられ
た上で,「巨額のカネはいったいどこに消えたのだろう。」との記載に引き
続き,原告aが給料では賄えないような生活をし,ギャンブルに多額の金銭
をつぎ込んでいた旨を記載している。これらの記載について一般の読者は,
上記数十億円が上記のような原告aの生活やギャンブルの資金に使われたと
理解するものと認められる。また,本件記述①には,「しかし,一日に数百
万円ものギャンブル資金を,どうやって捻出したのか。」,「その答えは,
自由連合の預金通帳が物語っている。」と記載された上,金曜日や休前日に
300万円から1000万円の資金が引き出されている旨が記載されており,
これらの記載について一般の読者は,原告aが,自由連合の口座から引き出
した使途不明金を,1日当たり数百万円ずつ競馬につぎ込んだと理解するも
のと認められる。
そうすると,本件記述①につき,一般の読者は,原告aが横領した金額が
数十億円であると理解すると認めるべきものといえ,被告の上記主張は失当
である。
イ被告は,本件記述③につき,原告aが徳洲会を乗っ取ろうとしたとの記載
は,原告aが徳洲会グループに属する企業の株を取得しようとしたこと,有
力院長を担いで理事長の後釜に据えようとしたこと,原告aが平成25年2
月に徳洲会グループを解雇されるとともに原告bも追放されたこと等を前提
事実として,原告らが徳洲会を乗っ取ろうとしていたのではないかという推
測を表明したもので,論評であって事実を摘示したものではないし,かかる
論評は社会的評価を低下させるものではなく,上記前提事実は原告らの徳洲
会の内部における動きを論じるものにすぎないから,原告らの社会的評価を
低下させるものではない旨主張する。
しかし,企業の支配権を奪おうとしたか否かは,証拠等をもってその存否
を決することが可能な他人に関する特定の事項といえるし,本件記述③等の
「残された資料から判断すると,二人が徳洲会を乗っ取ろうとしていたとし
か思えません。」,「グループ法人を支配できるからです。」,「クーデタ
ーに誘い込もうとした。が,理事長に見破られて失敗した。」,「本誌もこ
れらの疑惑を裏付ける資料を入手している。」との記載を総合すると,一般
の読者は,本件記述③の執筆者の推測としてではなく,原告らが徳洲会グル
ープの支配権を奪おうとした事実があったと読み取るのが普通であると認め
られる。また,穏当な手段で企業の支配権を譲り受けようとしたのではなく,
奪おうとしたとの事実に対し,一般の読者が悪印象を抱くことは明らかであ
って,そのような原告らの悪行が徳洲会という組織の内部で行われたもので
あっても,原告aの社会的評価を低下させるものと認められる。
したがって,被告の上記主張は失当である。
ウ被告は,本件記述④は,原告らが徳洲会の内部資料を東京地検特捜部に持
ち込んだ行為について,悪事を隠すために仕掛けたテロのようなものである
と論評したにすぎず,原告らが徳洲会の内部資料を東京地検特捜部に持ち込
んだ動機が「自分たちの悪事を隠すため」であると断定したものではないし,
仮に,原告らが悪事を隠すために徳洲会の内部資料を東京地検特捜部に持ち
込んだと理解する読者がいるとしても,原告aの横領行為等による社会的評
価の低下と別に原告らの社会的評価を低下させるものではない旨主張する。
しかし,本件記述④のうち,「今回の事件は,自分たちの悪事を覆い隠す
ために二人が仕掛けたテロのようなものです」との部分における「のような
もの」という表現は,「テロ」が比ゆである旨を示すもので,「自分たちの
悪事を覆い隠すために二人が仕掛けた」という部分は事実として断定的に摘
示されていると認められるのであって,この部分が論評であるということは
できない。また,本件記述④において,原告らによる内部資料の提供は,原
告aの横領行為等の発覚を免れるための更なる悪行として記述されていると
認められるのであって,本件摘示事実①及び②とは別に,原告aの社会的評
価を低下させると認めるべきものといえる。
したがって,被告の上記主張は失当である。
⑶小括
上記⑴及び⑵のとおり,本件摘示事実①から③まで及び⑥は,原告aの社会
的評価を低下させるものと認められるが,本件摘示事実④,⑤及び⑦について
は,原告aの社会的評価を低下させるものとは認められない。
2本件各記事による原告bの社会的評価低下の有無(争点⑵)について
⑴ア本件記事1を一般の読者の普通の注意と読み方によって読めば,原告bの
社会的評価を低下させるとして原告bが主張する事実のうち,①原告bが
fら政治家と深く結びついていた(本件記述⑧による摘示事実。以下「本件
摘示事実⑧」という。),②原告bが,自分の設立した会社を通じて徳洲
会から年間数億円の不当な利益を得て,これにより,土地だけで1億円以上
する自宅を購入したほか,不貞関係にある女性のために1億円を超えるマン
ションを購入するなどした(本件記述⑨及び⑩による摘示事実。以下「本件
摘示事実⑨」という。),③原告bが原告aと共に徳洲会グループに対す
る支配権を奪おうとした(本件記述⑪による摘示事実。以下「本件摘示事実
⑩」という。),④原告bが,原告aが東京地検特捜部に徳洲会の内部資
料を持ち込むのに協力したのは,自らの悪事を隠すためであった(本件記述
⑫による摘示事実。以下「本件摘示事実⑪」という。)との事実の摘示があ
るものと認めるのが相当である。
イ本件摘示事実⑨は,一般の読者に対し,原告bが,年間数億円もの不当な
利益を得ていわゆる私服を肥やしていた上,これにより,不貞行為という道
義的に非難される関係を継続させていたとの印象を与えるものであって,原
告bの社会的評価を低下させるものであることが明らかである。また,本件
摘示事実⑩は,一般の読者に対し,原告bが徳洲会の支配権を奪い取ってほ
しいままにしようとしていたという印象を与えるもので,原告bの社会的評
価を低下させるものであることが明らかである。さらに,本件摘示事実⑪は,
一般の読者に対し,原告bが,自ら悪事を行ったにとどまらず,これを隠す
ために他者を陥れたとの印象を与えるものであって,原告bの社会的評価を
低下させるものであると認められる。
ウしかし,本件摘示事実⑧は,一般の読者に対し,原告bが政治家と親交が
深く,親密であったとの印象を与えるにすぎず,原告bの社会的評価を低下
させるものとはいえない。本件記述⑧において,原告bとfとの関係につき
「癒着」と表現されているところ,「癒着」という語には否定的なニュアン
スがあるといえるが,本件記述⑧を含む本件記事1には,fと原告bとの関
係において不正が行われたなど,その関係が不適切であることを示す内容は
ないし,原告bがfに違法不当な依頼をしたという趣旨の内容もない。そう
すると,本件記述⑧について,原告bの社会的評価を低下させるものという
ことはできない。
⑵ア被告は,本件記述⑨及び⑩は,原告bが徳洲会から不当な利益を得ていた
事実を摘示するものではなく,原告bの設立したヒルダが利益を上げていた
という印象を与えるものにすぎず,原告bの社会的評価を低下させるもので
はない旨主張する。
しかし,本件記述⑨及び⑩には,原告bの設立したヒルダが,徳洲会から,
年間2億円の報酬で十分である業務に対して年間6億円の報酬を得ていた旨
の記載があるにとどまらず,「年間数億の剰余金があるはずだが,いったい
どこに消えたのか」との記載に引き続き,原告bが,土地だけで1億円をく
だらない自宅を借入金なしで購入し,更に1億円を超えるマンションを購入
していた旨が記載されており,これらの記載を読めば,一般の読者は,原告
bが,自己の設立した会社が徳洲会から得た異常に高額の利益を自らのもの
として,高額な自宅やマンションを購入していると理解するものといえる。
そして,このような利益の由来,規模及び使途を考慮すれば,たとえこの利
益が徳洲会との契約に基づく報酬として得たものであったとしても,一般の
読者が,不当な利益を収受したものという印象を抱くことは当然といえ,本
件記述⑨及び⑩による本件摘示事実⑨が原告bの社会的評価を低下させるこ
とは明らかであるといえる。
したがって,被告の上記主張は失当である。
イ被告は,本件記述⑩は,Kが「原告bさんの愛人」と言われているという
事実を摘示するものであり,本件記事1には,Kに関して「独身の熟女」と
婚姻関係にないことが明示され,原告bに関しても婚姻関係にあることをう
かがわせる記載はないから,原告bがKと不貞関係にあるとの事実の摘示は
読み取れず,原告bの社会的評価を低下させるものではない旨主張する。
しかし,本件記事1には,原告bが独身であることをうかがわせる記載は
ない一方,あえて,婚姻関係にある者が婚姻外で性的関係を有する相手(情
婦,情夫)という意味を有する「愛人」という語が用いられていることから
すると,一般の読者の普通の注意と読み方によれば,原告bがKと不貞関係
にあると理解するものと認められる。
したがって,被告の上記主張は失当である。
⑶小括
上記⑴及び⑵のとおり,本件摘示事実⑨から⑪までは,原告bの社会的評価
を低下させるものと認められるが,本件摘示事実⑧については,原告bの社会
的評価を低下させるものとは認められない。
3原告aに対する名誉毀損の違法性阻却事由及び故意過失の有無(争点⑶)について
⑴本件各記事の内容によれば,本件各記事が公共の利害に関する事実を報道するも
ので,その目的が専ら公益を図る目的に出たものであると認めることができる。
⑵証拠(甲1,11~14,25,29~35,37~43,45,46,50,
乙2~5,12~14,18,証人h,原告a本人)及び弁論の全趣旨によれば,
次のとおり認めることができる。
ア解雇について
原告a(昭和31年9月23日生)は,昭和54年4月に医療法人徳洲会に就
職した後,徳洲会グループの要職を歴任し,平成20年には,一般社団法人徳洲
会の専務理事兼事務総長に就任していたが,平成25年2月13日,同法人か
ら,懲戒解雇する旨の通知を受けた。この通知において懲戒解雇の理由とされた
のは,反社会的勢力に属する者らによる詐欺に協力したことのみであった。(甲
14,50)
他方,上記通知に先立ち,一般社団法人徳洲会では,d1の特命によるものと
して懲罰委員会(以下「本件懲罰委員会」という。)が組織され,原告aの懲戒
処分原因の有無等についての調査が行われ,原告aに対する聴聞も行われたとこ
ろ,この調査においては,IMLに対する自由連合の債務に係るd1の保証に関
する問題,IHSの仮払金名目の資金使途の問題,gに係る契約関係や支払の問
題等の12項目が問題とされていた。なお,同処分の無効を前提に地位確認等を
求めて原告aが提起した民事訴訟(東京地方裁判所平成25年(ワ)第7050
号)において,一般社団法人徳洲会は,懲戒解雇理由として上記通知に記載した
理由以外の理由も追加している。(乙3,4,原告a本人,弁論の全趣旨)
イ刑事告訴について
原告a及びgに対しては,徳洲会グループにおいて約2億4000万円を着服
したという業務上横領容疑で刑事告訴がされたが,平成26年4月頃,嫌疑不十
分を理由に不起訴処分となった。(甲11,乙1の1,弁論の全趣旨)
ウ自由連合の預金口座からの引き出しについて
自由連合の預金口座からは,次のとおり資金が引き出されている。(乙12)
平成18年10月27日(金曜日)300万円
平成18年11月22日(祝前日・水曜日)500万円
平成18年12月28日(木曜日)1000万円
平成18年12月28日(木曜日)100万円
平成19年1月5日(金曜日)200万円
平成19年1月19日(金曜日)100万円
平成19年2月9日(金曜日)100万円
平成19年6月29日(金曜日)100万円
平成19年7月27日(金曜日)50万円
平成19年8月3日(金曜日)100万円
エIHSの仮払金勘定について
被告が入手した「IHS仮払金一覧」と題する平成24年12月27日付け書
面(乙13)には,IHSの会計上仮払金として計上されている資金について,
その発生日,金額,出金方法などが時系列に沿って記載され,当該時系列と対照
できるように,衆議院議員選挙,参議院議員選挙及び国民新党の動きが記載され
ていたが,資金使途が不明か否かについては明記されていなかった。(乙13)
他方,原告aは,平成24年9月5日頃までの間に,i財務部長等にIHSの
仮払金の使途について説明した。その中で,原告aは,平成19年6月6日の2
00万円及び平成20年7月1日の1200万円については不明としたが,その
他は,鹿児島での選挙における陣中見舞費用や平成21年8月に実施された衆
議院議員選挙などの選挙その他の徳洲会の政治活動ないし選挙活動に使用した
旨の説明をし,預金口座からの出金手続の担当者が誰であるかも説明した。上記
平成24年12月27日付け書面(乙13)に原告aの上記説明内容を付加した
同年9月5日付け書面(甲25)が作成されている。(甲25,甲50,原告a
本人,弁論の全趣旨)
もっとも,上記仮払金のうち平成19年9月及び平成20年1月の合計300
0万円分について,東京地方裁判所は,平成28年10月12日,原告aによる
業務上横領に当たる旨認定し,有罪判決を宣告した。この判決に対し原告aは控
訴し,無罪を主張している。(乙1,弁論の全趣旨)
オ原告a等の年収について
原告aの収入は給与収入のみで,平成15年の収入額は1765万7669円
(申告上の所得額は1507万4785円),平成16年の収入額は1850万
2744円(申告上の所得額は1587万7606円)であった。また,原告a
の妻は,原告aにおいて配偶者控除の適用が受けられる額までの収入しか得てい
なかった。(甲29,原告a本人)
カ原告aの居住マンションについて
原告aは,平成16年1月頃,神奈川県川崎市内のBの自宅マンションを売却
し,A公園近くにある東京都港区Cの賃貸マンションに転居した。その賃料は月
額58万円であったが,原告aが個人で負担していた。(甲29,50,原告a
本人)
キ競馬について
原告aは,少なくとも,平成6年2月6日,同年3月6日,同月19日,同年
4月10日,同年5月8日,同月15日,同年6月12日,同月26日,同年7
月2日,同月9日,同月24日,同年8月13日,同月27日,同年11月20
日,平成7年5月14日及び同年11月12日の各日,1日当たり数万円から1
0万円の勝馬投票券を主としていわゆる馬番連勝の方式で購入した。これらのう
ち,少なくとも最後の4日を除く日において購入した勝馬投票券は,いずれもい
わゆる万馬券となり,最高払戻額は240万円(平成6年7月9日の購入合計額
5万円のうち1万円分の払戻額)であった。そして,原告aは,これらの勝馬投
票券の写しを勤務先の机の引出し内で保管していた。(甲1,乙2)
ク徳洲会の選挙等について
平成8年に実施された衆議院議員選挙には,徳洲会グループが擁立した88名
の者が自由連合から立候補し,その後も,平成10年の参議院議員選挙,平成1
2年の衆議院議員選挙,平成13年の参議院議員選挙にも,それぞれ,徳洲会グ
ループが擁立した者が立候補したため,これらの選挙活動に多額の資金が必要で
あった。(甲50,原告a本人)
また,医療法人徳洲会の開設する病院に勤務するj医師は,d1の指示を受け
て,自由連合から衆議院議員選挙に3回,参議院議員選挙に2回立候補し,自由
連合解散後の平成17年には,国民新党から衆議院議員選挙に立候補したが,こ
れらの選挙や国民新党への参加に当たっても,多額の資金が必要であった。(甲
30~34)
さらに,平成17年の衆議院議員選挙にはd2も立候補し,平成18年に自民
党入りしたこと,平成19年に実施された統一地方選挙において,数多くの徳洲
会関係者が立候補したことなどからも,徳洲会では様々な選挙資金を要した。
(甲25,50)
ケgについて
gは,平成18年頃,千葉県市川市の国立病院の払下げが中止になった件に
つき,国会等で問題とする活動に関与したことがあった。上記払下げの中止
は,d1の意向に沿うものであり,gは,原告aを通じてd1の意向を受け,
上記活動に関与した。(甲50,原告a本人)
原告aは,平成22年3月4日,d1の知人であったgを,当時与党であっ
た民主党の実力者につながる人物としてd1に面会させた。この面会でd1と
gは意気投合し,同年5月25日に開催されたd1も参加した徳洲会の会議に
おいて,gが,外国人を健診や治療のため我が国の医療機関に呼び込むという
メディカルツーリズム事業について説明をした。d1は,その場で,原告aに
対し,メディカルツーリズムに関する業務をgと相談して行うよう指示した。
そして,上記会議に引き続いて行われた原告a,g,徳洲会関係者のk及びd
1による打合せにおいて,原告aが,メディカルツーリズムに関する業務につ
いて,初期立上げで8000万円,その後の2年間で場合によっては15億8
000万円程度かかる可能性があるという見通しの下に,gが同業務に取り組
むことに対する許可をd1に求めた。これに対し,d1は,gと原告aが上記
見通しの下に同業務に取り組むことを指示するとともに,上記8000万円に
ついては,徳洲会の本部から支出するよう指示した。(甲13,44,50)
その後,gは,メディカルツーリズムに関するコンサルタント業務について,
報酬を15億8000万円とする業務委託契約書を作成しようとしたが,d1
が,総額15億8000万円については高すぎるなどとしたため,上記契約書
は作成されなかった。そこで,原告aは,平成22年9月4日のd1との面談
において,gに徳洲会関連の名刺を使用させて上記業務に関する作業を行わ
せ,後に実費を精算することについてd1の了承を求め,これを得た。(甲4
3,50)
原告aは,平成22年1月から,gないしその関連会社に,顧問料的な意味
合いで徳洲会から毎月210万円の支払を行うようになり,同年8月からはメ
ディカルツーリズムに関するコンサルタント業務に関する費用として月額10
00万円を追加で支払うようになった。平成24年10月までの支払総額は,
2億4140万円である。gは,同月に行われた徳洲会関係者によるヒアリン
グにおいて,業務内容は明確ではないが,徳洲会が解決困難な案件について何
でも対応し,解決してきた,gと原告aで,d1から出された非常に困難な各
種要求を的確に実現するため,頻繁に協議を行い対策を実施した,徳洲会と当
時与党であった民主党との連携協力による成果を出してきたといった認識を
述べた。
物の販売ルート開拓,東日本大震災における対応,医科大学の買収情報集約・
分析等を挙げた。(甲46,50,原告a本人)
原告a要
旨,民主党政権で徳洲会に必要な存在として契約を結んだ,特に政治的な物事
は日頃からの付き合いがあって初めて成就するものである,いろいろな徳洲会
案件が出てきたときに様々なアドバイスや根回しをしてもらうための契約であ
った,理事長の承認がなかったのは事実であるが,そのような案件で何ら問題
とされていないものは他にもあり,流れの中でそれが必要という判断で行った
ものであるといった説明をした。(乙4)
コ自由連合の債務の連帯保証と原告aのIMLの株式取得について
IMLは,平成8年から平成13年にかけて,自由連合に貸付けを繰り返し
(以下,これらの貸付けを「本件各貸付け」という。),平成23年1月当時,
その残高は約100億円に達するとされていた。これらの貸付けに際して作成
された金銭消費貸借書には,保証人の記載ないし署名押印はなく,保証契約書
が作成されたこともなかった。もっとも,平成20年10月20日付けの朝日
新聞が,本件各貸付けが返済不能となれば事実上の献金と同視でき,政治資金
規正法による政治献金の量的制限の潜脱に当たる旨報道した際,d1は,徳洲
会グループ代表として,「自由連合への関連企業からの貸付は弁護士のアドバ
イスを得て政治資金規正法上違法行為にあたらないものとして実行。借入金の
処理について私は全ての責任は自分個人で取ると常々明言しています。借入先
の関連企業は実質的には私の個人株主の会社であり,私の責任において徳洲
会グループの医療法人や社会には一切の迷惑を掛ける事なく当局と相談の上
処理いたします。」とするコメント(以下「本件コメント」という。)を発表
した。(甲39~42,乙5)
自由連合は,政党交付金の交付を受ける政党等に対する法人格の付与に関
する法律に基づき法人格を付与されていたが,平成22年8月7日に任意解散
し,清算手続が開始されていた。そして,IMLは,自由連合の清算人に対し,
本件各貸付けにつき約100億円の残高がある旨を届け出ていた。しかし,自
由連合自体には何らの資産もなかったため,本件各貸付けは返済不能となり,
自由連合は同法の規定に基づき破産手続開始の申立てをすることになりかね
ない状況であった。仮にそのような状況となった場合,IMLに対してはIM
Sが,IMSに対してはIHSが,それぞれ100億円前後の貸金債権を有し
ているところ,これらが連鎖的に事実上無価値となり,徳洲会グループに対す
る金融機関の信用が失われることが懸念された。そこで,原告aは,本件各貸
付けの際にd1が連帯保証をしていたことを前提として,d1に本件各貸付け
の日を作成日付とする保証契約書を作成させた上で,上記連帯保証債務の履
行として,d1が所有する株式会社徳洲会の株式をIMLに代物弁済させ,こ
れに伴いd1が取得する求償権を放棄して,自由連合の清算を終わらせること
を計画した(以下,この計画を「本件代物弁済スキーム」という。)。そして,
原告aは,l総合法律事務所の弁護士2名に本件代物弁済スキームについて
の意見を求めたところ,上記弁護士らは,平成23年1月14日付けで徳洲会
グループ宛ての意見書を提出した。この意見書には,d1が上記連帯保証の事
実を認めていることのほか,平成13年及び平成14年において実施された国
税庁による税務調査の際に,稟議書に基づきd1の保証の事実を説明し,国税
庁担当者が上記保証があると認識したこと,d1が本件コメント等で保証意思
を公表していることなどを前提に,本件代物弁済スキームを実行すべきである
などと記載されている。また,現在も徳洲会の顧問をしているD弁護士等によ
る同月23日付け意見書においても,d1がかつて連帯保証した旨を表明して
いること,税務当局もd1の連帯保証があるとして扱っていること,金融機関
も連帯保証があると理解していることなどを根拠に,d1が本件各貸付けに連
帯保証したことが認められるとした上,本件代物弁済スキームを選択するか否
かは広く諸事情を検討して判断すべきであるが,d1による連帯保証の存在を
前提とせざるを得ないなどとされた。(甲41,42,乙5,弁論の全趣旨)
一方,m会計事務所の公認会計士兼税理士のm等は,本件代物弁済スキーム
につき,d1個人への課税リスクが避けられるか疑問であること,株式会社徳
洲会の株式を大量に保有することとなるIMLについて,その親会社であるI
MSの株主がd1の親族以外の名義になっていることから危険があること,I
MLの株式の5%をグループ法人税対策のために原告aに移転したという理
由が不明確であることなどの理由を挙げて,これを避けるべきである旨記載し
た平成22年12月26日付け書簡(乙14)を,その頃,d1の長女が代表
取締役である株式会社徳洲会宛てとして作成し,交付した。また,n法律事務
所の弁護士ら3名は,d1の保証債務の存在を証明することは困難であるこ
と,d1に対する課税処分が想定されること,遡及日付による保証契約書の作
成は犯罪行為になること,株式会社徳洲会の株式による代物弁済をする理由
が明確でないこと,同株式のIMLへの譲渡は徳洲会グループ全体の安定した
経営の阻害要因となることなどを理由として,本件代物弁済スキームを採用す
べきではないとする「メモランダム」(乙5)を平成23年2月4日付けで作
成し,株式会社徳洲会に提出した。ただし,このメモランダムにおいては,d
1が本件各貸付けについて保証した覚えがないと述べていることが前提とされ
ている。hは,取材において,上記書簡(乙14)及びメモランダム(乙5)
を入手した。(乙5,14,18,証人h)
サ資金の差配について
原告aは,本件懲罰委員会による聴聞通知書に対する回答(乙3)に,選挙費
用にはIMLの貸付金が充てられたほか,帳簿外の費用も多くあり,また,民主
党立上げ時などに,政治家等に億円単位の資金提供を行った旨を記載した。ま
た,本件懲罰委員会による原告aに対する聴聞会の記録(乙4)には,上記ケ
のとおり,gへの資金提供につきd1の承認がなかった旨を認める発言のほか,
d1が政治家に億円単位の資金提供を行ったとする旨の発言が記載されていた。
hは,取材において,これらの回答ないし記録を入手した。(乙3,4,18)
⑶本件摘示事実①について
ア被告は,原告aが3000万円を横領した旨の事実が認定されて東京地方
裁判所から有罪の判決を宣告されたことをもって,原告aの横領が真実であ
り,又は原告aが横領したと信じるについて相当な理由があったと主張する。
しかし,3000万円の横領と数十億円の横領では,その犯罪事実の同一
性があるといえるものではなく,その摘示により社会的評価に与える影響も
大きく異なるといえることから,原告aが3000万円を横領したとの事実
で有罪となったことは,本件摘示事実①が真実であることの根拠や,被告が
これを真実であると信じたことに相当な理由があることを推認させる事情と
はいえない。もとより,上記有罪とされた事実が真実であれば,IHSの仮
払金に係る原告aの説明が少なくとも一部において虚偽であることとなるが,
だからといって,数十億円の横領の事実が真実である,あるいは,被告にお
いてそう信じるについて相当な理由があるということにはならない。
また,被告は,徳洲会が原告aを約2億4000万円の横領の容疑で刑事
告訴したことも上記主張の根拠として挙げるが,刑事告訴がされたこと自体
が直ちに上記根拠に当たるものとはいえず,金額も数十億円とは大きく異な
っている上,結局,嫌疑不十分を理由として不起訴処分となっているのであ
るから,上記刑事告訴の点も,上記根拠となるものとはいえない。
イ被告は,原告aが政治に対する関心が強いこと,gへの資金提供につきd
1の承認を得ていないことを認めていたことなどをもって,原告aが徳洲会
グループの資金を自己のために費消したことの根拠として主張するが,上記
⑵の認定事実によれば,原告aは,自由連合やIHSの預金口座から引き出
した資金のうちの相当額を,徳洲会グループやd1ないしその親族のための
政治活動や選挙活動に支出したと推認される。原告a自身が政治に対する関
心が強いことをうかがわせる証拠は,証人hの陳述及び証言中にある伝聞部
分しかなく,gに対する資金供与についてd1の明示的承認を得ていなかっ
たとしても,徳洲会の会計手続上は何ら隠匿しておらず,だからこそ,i財
務部長から契約書の作成が求められるようなこともあった(甲45)といえ
ることに加え,下記ウの事情も考慮すれば,少なくとも,原告aが数十億円
に上る徳洲会の資金を自己のために費消したことが真実であるとはいえず,
また,被告がそのように信じるについて相当な理由があるともいえない。
ウ被告は,原告aの生活ぶりや1日数百万円をギャンブルに投じる暮らしぶ
りから,原告aが横領していたことが推認される旨を主張する。しかし,上
記⑵ウ認定の自由連合の口座からの引出日及び引出金額と同キ認定の勝馬投
票券の購入日及び購入金額のほか,平成18年の中央競馬は同年12月24
日が最終日であったこと(甲12,弁論の全趣旨)を併せ考慮すれば,上記
引出金額が原告aの勝馬投票券購入資金に充てられたと認めることはできな
い。そして,上記⑵において認定した原告aの生活ぶりやギャンブルにかか
った費用等を考慮しても,同じく上記⑵において認定した原告aの年収に鑑
みれば,原告aが数十億円の横領をしていなければ説明がつかないようなも
のではなく,そのような横領による資金を必要とするほどの生活ぶりやギャ
ンブルをしていたことを認めるに足りる証拠はない。これに反するhの陳述
及び証言は,的確な裏付けを欠くものであり,採用することができない。
エ被告は,原告aが,本件各貸付けについてd1に保証意思がないのに保証
契約書を作成しようとしたことや,徳洲会グループの資金横領等を理由に懲
戒解雇されたという事情を原告aによる横領の真実性等の根拠として挙げる
が,上記⑵コ認定の事実によれば,本件代物弁済スキームを検討し始めた時
点においては,d1が保証意思を表明していたものと認められ,これを前提
とすれば,本件各貸付け当時からd1に保証意思があったものとみることは
十分に可能であり,むしろ,そのようにみることが自然であったといえる。
そして,徳洲会内部には,本件代物弁済スキームの評価について複数の意見
書等が存在していたのであり,hが「徳洲会の内部事情を知悉している幹部
等」から適切に取材したというのであれば,その存在を認識し得なかったと
は認め難い。もとより,本件各記事が掲載された当時,原告らと徳洲会との
間に対立関係があったということは本件各記事の内容自体からも明らかであ
り,hないし被告としても,そのような状況を認識していたと認められる。
そうであれば,徳洲会の関係者の中には,原告らに有利な事情や徳洲会に不
利な事情についてはあえて明らかにしないことがあり,取材結果の評価につ
いては慎重な検討,分析が必要であったことは容易に想定されたといえると
ころ,hないし被告がこの点に配慮したことをうかがわせる証拠はない。し
たがって,被告が「徳洲会の内部事情を知悉している幹部等」から取材した
からといって,そのことから直ちに,取材内容が真実であると信じる相当な
理由があるといえるものではない。
以上によれば,被告の挙げる上記事情をもって,被告の主張の根拠と認め
ることはできない。
オなお,被告は,原告aが取材を拒絶した旨を主張するが,仮に原告aが被
告の取材を「拒絶した」とみる余地があるとしても,上記エのような被告の
取材の在り方のほか,被告の主張する原告aに対する取材の時期及び方法を
考慮すれば,そのことをもって,被告において本件摘示事実①が真実である
と信じるについての相当な根拠になると認めることはできない。
カ以上によれば,本件摘示事実①は,真実ではないし,被告がこれを真実で
あると信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
⑷本件摘示事実②について
ア被告は,原告aが徳洲会グループの支配権を奪おうとしていた旨を主張す
る。
しかし,原告aが取得した徳洲会グループの株式について,IMLの全株
式のうちの5%の他にあることを認めるに足りる証拠はなく,d1が保証債
務の代物弁済として株式会社徳洲会の株式をIMLに譲渡することによって
も,原告aが徳洲会グループの支配権を奪えるというだけの根拠は見当たら
ない。確かに,上記⑵の認定事実のとおり,弁護士から,本件代物弁済
スキームを採用すると,d1の所持する株式会社徳洲会の株式数が減って,
徳洲会グループの安定した経営が阻害される危険があるという指摘や,原告
aがIMLの全株式の内の5%の株式を取得した理由が不明確であるとの指
摘があるものの,このことをもって,原告aが徳洲会グループの支配権を奪
おうとしていたとまでみることはできない。
イまた,被告は,d1には保証意思がなかったのに,原告aが保証契約書を
偽造しようとしていた旨を主張するが,この主張に理由がないことは,上記
⑶エで説示したとおりである。
ウしたがって,本件摘示事実②は,真実ではないし,被告がこれを真実であ
ると信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
⑸本件摘示事実③について
証拠(甲50,原告a本人)及び弁論の全趣旨によれば,原告aは,一般社
団法人徳洲会を懲戒解雇された後に,東京地検特捜部に徳洲会の内部資料を持
ち込んで,徳洲会に係る公職選挙法違反事件の捜査に協力したことが認められ
るが,その時期に照らし,徳洲会に対する意趣返しの趣旨があったことや懲戒
解雇処分の効力を争う民事裁判への影響を考慮したとみる余地があることは否
定し得ないものの,原告aの「悪事を隠す」という動機があったとまで認める
に足りる証拠はない。もとより,原告aは,後に,IHSの資金3000万円
を横領したとして有罪判決を受けてはいるが,東京地検特捜部に協力すれば横
領に係る捜査に手心を加えてもらえると認識していたことをうかがわせる証拠
はなく,上記有罪判決を受けたことをもって,本件摘示事実③の真実性を認め
ることはできない。
したがって,本件摘示事実③は,真実ではないし,被告がこれを真実である
と信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
⑹本件摘示事実⑥について
ア上記⑵ケ認定のとおり,本件摘示事実⑥のうち,原告aが民主党所属の国
会議員であるgに2億4140万円を徳洲会の資金で支払ったことや,徳洲
会から懲戒解雇されたことは真実である。また,上記認定によれば,原告a
は,gに対する具体的な支払金額の決定自体についてはd1の了承を得てい
なかったこと,原告aが徳洲会グループの資金について一定の差配をしてい
たこと,徳洲会グループが,gに対する支払や原告aによる徳洲会グループ
の資金の差配及び具体的使途について,疑念を抱いて調査していたことは認
められる。
イしかし,上記⑵ケ認定のとおり,原告aは,gに業務を委託することや一
定の報酬を支払うことについて,d1の了承を得ていたものであり,また,
徳洲会としては,gに対する支払を認識していたものである。そして,gへ
の支払の趣旨についての原告aやgの説明内容に照らし,上記支払が徳洲会
にとって合理的理由がないものと直ちに認めることはできず,本件摘示事実
⑥が真実であると認めることはできない。そして,この点に関する取材内容
についてのhの陳述及び証言を考慮しても,本件摘示事実⑥が真実であると
信じるについて相当な理由があると認めることはできない。
ウしたがって,本件摘示事実⑥は,真実ではないし,被告がこれを真実であ
ると信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
⑺小括
以上のとおり,本件摘示事実①から③まで及び⑥のいずれについても,真実
であるとは認められず,被告において真実と信じるに足りる相当な理由がある
と認めることもできない。
4原告bに対する名誉毀損の違法性阻却事由及び故意過失の有無(争点⑷)について
⑴本件記事1の内容によれば,本件記事1が公共の利害に関する事実を報道するも
ので,その目的が専ら公益を図る目的に出たものであると認めることができる。
⑵証拠(甲1,17,19,20~23,26,27,28,58,乙8,9,1
1,15,原告b本人)及び弁論の全趣旨によれば,次のとおり認めることができ
る。
ア原告b(昭和17年5月4日生)は,かつて新潮社に勤務していたが,同
社を退職する頃の平成12年12月9日,新聞業等を目的とするヒルダを設
立した。(甲58,乙7,原告b本人)
イヒルダは,徳洲会の広報の役割を果たしていた徳洲新聞(原則として週1
回発行。1部当たり鹿児島版は16面,鹿児島版以外は8面)について,平
成13年4月頃,医療法人徳洲会から制作の委託を受けた徳洲出版社から,
記事の編集業務を1号当たりの編集費550万円で請け負った。また,ヒル
ダは,平成18年7月頃からは,一般社団法人徳洲会から,徳洲新聞の印刷
業務,梱包業務及び配送業務も併せて請け負い,これらの業務の報酬は,約
16万0500部印刷する1号当たり約430万円(1部当たり約27円)
であり,編集業務と併せた報酬代金額は年間約5億円であった。ヒルダは,
徳洲会から,徳洲新聞に関する上記業務の他に,徳洲会グループのホームペ
ージの管理,医師向け広報誌であるドクターズネットワークの編集印刷業務,
看護師向け広報誌であるVIVOの編集印刷業務等を請け負っていた。(甲
26,58,乙8)
ウ一般社団法人徳洲会の平成18年度の決算報告において,徳洲新聞を1部
74円で販売し,その売上額が5億0544万4420円,徳洲新聞の仕入
額が4億0416万9066円であることが報告された。(甲19)
また,平成21年5月31日に開催された一般社団法人徳洲会の定時社員
総会で報告された平成20年度の決算において,徳洲新聞の売上額は6億7
513万1600円,徳洲新聞の仕入額は5億1581万9680円である
とされ,この決算が上記総会で承認された。また,上記総会においては,平
成21年度の事業計画も報告され,その中で,徳洲新聞について,1部74
円で販売し,その売上額が6億6673万9000円となること,仕入れに
ついては,900万9980部を1部56.46円,総額5億0867万8
000円となる計画であることが報告され,承認された。(甲20,弁論の
全趣旨)
エ被告は,本件記事1の取材の過程で,株式会社徳洲会のoが平成23年1
2月10日頃に作成したとされる「(株)ヒルダに関する徳洲会グループよ
りの支払内容(ご報告)」と題する書面(乙8)を入手した。これには,上
記イの内容を含む徳洲会からヒルダへの支払額がまとめられており,支払総
額は年間約5億8000万円,消費税を含めると年間6億円超となる旨の記
載があるほか,ドクターズネットワーク及びVIVOの印刷費用を見直すこ
とで年間1200万円の経費削減が可能であること,これら2誌や徳洲新聞
の編集作業を自前で行えば,その費用は大きく削減できることなどが記載さ
れていた。(乙8)
オ被告は,本件記事1の取材の過程で,平成25年3月7日付けでpが作成
したとされる「ヒルダ(告訴メモ)」と題するメモ(乙15。以下「本件p
メモ」という。)を入手した。これは,一般社団法人徳洲会が,原告aを,
平成20年4月1日から平成24年3月31日までの間,ヒルダの利益を図
る目的で,ヒルダに徳洲新聞の編集・印刷等の業務委託料名目で,適正価格
を超える合計9億1059万2060円を支払い,一般社団法人徳洲会に6
億5000万円を超える損害を与えたという事実につき,特別背任の罪で告
訴することを見越して作成されたものであった。そして,本件pメモには,
事実経緯として,①一般社団法人徳洲会とヒルダとの間で,平成18年7
月頃に,徳洲新聞の編集,印刷,配送等の業務の委託契約が締結された旨,
②同契約に基づき,一般社団法人徳洲会からヒルダに対し,編集費として
年間2億6798万円ないし2億8050万円が,印刷配送費等として年間
2億0755万円ないし2億3531万9680円がそれぞれ支払われた旨,
③一般社団法人徳洲会の監事が,平成23年3月頃,ヒルダに対する出費
が高すぎる旨の指摘をしたために,同法人において,ヒルダへの業務委託料
について調査することとなった旨,④一般社団法人徳洲会が印刷配送費等
について4社から見積もりをとったところ,その額は,年間3315万円な
いし6369万9000円であった旨,⑤一般社団法人徳洲会は,平成2
4年3月頃,ヒルダとの業務委託契約を解約した旨,⑥上記④の見積額の
うち最高額を前提としても,一般社団法人徳洲会の被った損害は,6億55
79万6060円となる旨などが記載されていた。もっとも,本件pメモは,
作成途上であることが一見して明らかで,その末尾には,「【作業】ダンボ
ール2箱の資料を整理して,引用を正確にする必要がある。」との記載があ
る。(乙15)
カ原告bは,平成14年7月3日,千葉県船橋市EF丁目所在の本件原告b
自宅土地(当時の登記簿上の地積412.54㎡)を妻子と共同で7000
万円で購入し,原告b持分が70分の30の持分を取得し,妻子がその余の
持分を取得した旨の移転登記をした。この移転登記に際し,本件原告b自宅
土地に担保権は設定されなかった。そして,原告bは,平成19年頃,本件
原告b自宅土地上に,原告bの娘夫婦と原告b夫妻との二世帯住宅を,銀行
からの融資を受けて建築した。ただし,本件原告b自宅土地にも建築された
建物にも,抵当権は付されなかった。(甲1,27,58,乙9,原告b本
人)
キ本件記事1において「K」として記載されたqは,新潮社に勤務する者で
あるが,東京都千代田区G所在のマンション(地上14階建て,平成13年
12月新築)のH号室(床面積71.35㎡。以下「本件マンション」とい
う。)につき,平成14年2月16日に購入契約を締結し,同年3月22日,
所有権保存登記をした。本件マンションの購入金額は6320万円であり,
qは,このうち3500万円をみずほ銀行からの住宅ローンによって支払い,
本件マンションには,同日付けで,上記住宅ローンに係る抵当権設定登記が
された。その余の購入代金については,従前居住していたマンションの売却
代金,自己の預金及び父親からの贈与で賄い,原告bからその原資の提供を
受けたことはなかった。(甲28,乙11)
⑶本件摘示事実⑨について
ア被告は,原告bがヒルダを通じて徳洲会から年間数億円の不当な利益を得
ていたことの根拠として,徳洲会がヒルダ以外の会社にヒルダの業務につい
て相見積もりをとったところ,見積額と比してヒルダが受け取っていた報酬
が高額であった旨を主張する。
しかし,被告は,上記見積額について,本件pメモの記載のほかには具体
的な主張立証をしないところ,本件pメモは,作成途中のものであることが
一見して明らかであるほか,その末尾には,資料の引用が正確ではない可能
性について明記されているのであるから,本件pメモの記載が直ちに真実で
あると認めることはできず,また,その記載を真実と信じるに足りるものと
もいえない。平成24年3月でヒルダと徳洲会との契約が打ち切られたこと
は,この認定判断を左右するものではない。
イまた,原告bは,本件原告b自宅土地を妻子と共同で7000万円で購入
したもので,原告bの持分は70分の30にとどまっている上,その購入時
期である平成14年7月においては,ヒルダは徳洲新聞の編集業務のみしか
受託しておらず,本件原告b自宅土地購入時点で上記印刷・配送業務につい
ての費用で不当な利益を得ていた余地はない。そして,本件原告b自宅土地
上に二世帯住宅が建築されたのは,ヒルダが徳洲新聞の印刷・配送業務を受
託するようになった平成18年7月頃から間もない平成19年頃であること
をも考慮すれば,原告bの自宅の取得をもって,本件摘示事実⑨が真実であ
ることや,真実であると信じるに足りる相当な理由となるものと認めること
はできない。
ウ被告は,原告bがqに本件マンションを買い与えたもので,そのことは,
徳洲会の幹部から聞き取ったと主張し,hはこれに沿う陳述及び証言をする。
しかし,上記⑵キ認定のとおり,qは,本件マンションを,一部父親から
の援助を受けたものの,基本的には自らを債務者とする住宅ローンを含む自
己資金で購入したものであって,原告bが買い与えたものではない。少なく
とも上記住宅ローンの存在は,本件マンションの登記を確認すれば直ちに明
らかになるところであり,hも同登記(乙11)を確認したとしつつ,上記
住宅ローンの存在を無視したような本件記述⑩の記載をしたことは,理解し
難い。いずれにしろ,hの上記陳述及び証言は採用することができない。
エ原告bとqが不貞関係にある旨の被告の主張については,およそ事実と認
めるに足りる証拠はなく,そのような事実があると信じるに足りる相当な理
由も見出し難い。
オしたがって,本件摘示事実⑨は,真実ではないし,被告がこれを真実であ
ると信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
本件摘示事実⑩について
上記3⑷において説示したとおり,原告aが徳洲会グループに対する支配権
を奪おうとしたとの本件摘示事実②が真実ではなく,被告がこれを真実である
と信じたことについて相当な理由があると認めることはできないことからすれ
ば,本件摘示事実⑩についても,真実ではないし,被告がこれを真実であると
信じたことについて相当な理由があると認めることはできないというべきであ
る。
本件摘示事実⑪について
原告bについては,そもそも原告aが東京地検特捜部に徳洲会の内部資料を
持ち込むに当たりどのような関与をしたかが明らかではないが,仮に何らかの
関与があったとしても,上記⑴からまでの説示に照らせば,自らの悪事を隠
匿しようとした意図があったとは認め難く,被告においてそのような意図があ
ったと信じたことについて相当な理由があると認めることもできない。
したがって,本件摘示事実⑪は,真実ではないし,被告がこれを真実である
と信じたことについて相当な理由があると認めることはできない。
小括
以上のとおり,本件摘示事実⑨から⑪までのいずれについても,真実である
とは認められず,被告において真実と信じるに足りる相当な理由があると認め
ることもできない。
5原告aに対するプライバシー権侵害による不法行為の成否(争点⑸)について
⑴原告aは,本件記事1中の,①原告aが英國屋で高級スーツを仕立てている旨,
②原告aがA公園近くのマンションに住んでいて家賃が月額100万円近くする
旨,③原告aが競馬などのギャンブルをする旨,④原告aがギャンブルに1日
当たり数百万円賭けたことがあり,万馬券が当たって最高で240万円の配当を受
けた旨の記載につき,原告aのプライバシー権を侵害するもので違法である旨主張
する。
しかし,上記記載のうち月額家賃や1日当たりの賭け金額等,プライバシーとし
て保護の対象となり得る部分については,真実ではなく,本件記事1の他の記載と
相まって原告aの名誉を毀損する不法行為が成立するものと認められるのであり,
これらの点に関するプライバシー権の侵害の問題は,上記不法行為に係る評価に含
まれているといえる。
⑵原告aが競馬などの適法なギャンブルをしたことがあること自体など上記⑴のそ
の余の部分については,原告aの私生活上の事実に関するものではあるが,一般人
の感受性を基準とした場合,この記載が公表されたからといって,金銭によって慰
謝すべきほどの精神的苦痛が生ずるものとまでは認められず,上記記載に違法性が
あるとまではいえない。
⑶したがって,本件記事1について,原告aに対するプライバシー権の侵害による
不法行為が成立するものとは認められない。
6原告bに対するプライバシー権侵害による不法行為の成否(争点⑹)について
⑴原告bは,本件記事1中の,①原告bが年間数億円の収入を得ている旨,②
原告bが千葉県船橋市内の閑静な住宅地で娘夫婦と暮らしている旨,③原告bが
自宅の土地購入価格が1億円を下らない旨,④原告bに愛人がいて,原告bがそ
の愛人に購入価格が1億円以上するマンションを買い与えた旨の記載につき,原告
bのプライバシー権を侵害するもので違法である旨主張する。
しかし,上記記載のうち①,③及び④については,その主要部分について真実
ではなく,本件記事1の他の記載と相まって原告bの名誉を毀損する不法行為が成
立するものと認められるのであり,これらの点に関するプライバシー権の侵害の問
題は,上記不法行為に係る評価に含まれているといえる。
⑵上記アの②の記載については,原告bの私生活上の事実に関するものではあるが,
一般人の感受性を基準とした場合,この記載が公表されたからといって,金銭によ
って慰謝すべきほどの精神的苦痛が生ずるものとまでは認められず,上記記載に違
法性があるとまではいえない。
⑶したがって,本件記事1について,原告bに対するプライバシー権の侵害による
不法行為が成立するものとは認められない。
7損害額(争点⑺)について
⑴慰謝料について
本件各記事が掲載された「週刊文春」が我が国で著名な週刊誌であることは
当裁判所に顕著な事実であるところ,証拠(甲5)によれば,「週刊文春」は,
平成25年4月ないし6月当時,1号当たりおよそ70万部発行されていたと
認められ,本件雑誌1及び本件雑誌2が発行された当時も,同程度の部数が発
行されていたと推認される。
そして,原告aについては,本件各記事により,徳洲会の要職を長年務めた
ことにより形成された社会的評価が大きく低下し,相当の精神的苦痛を被った
ことが認められる。また,上記3において説示したとおり,被告は,不十分な
取材により漫然と本件記事1を掲載した上で,原告らから抗議を受けたにもか
かわらず(甲10),1週間後に本件記事2を掲載したもので,本件記事2掲
載に当たり追加取材をしたことの主張立証もない。他方,原告aは,IHSの
資金3000万円を横領したとして第1審で有罪判決を受けているという事情
もある。このほか,原告aの名誉回復措置がとられたことをうかがわせる証拠
はないこと,その他本件に現れた一切の事情を考慮すれば,原告aの上記精神
的苦痛に対する慰謝料額は,180万円が相当と認められる。
また,原告bについては,本件記事1により,徳洲会から多額の不当な利益
を受けた,愛人がいるなどと報じられ,その社会的評価が大きく低下し,相当
の精神的苦痛を被ったことが認められる。そして,本件記事1についての取材
が不十分であったこと,原告bの名誉回復措置がとられたことをうかがわせる
証拠はないこと,その他本件に現れた一切の事情を総合考慮すれば,原告bの
上記精神的苦痛に対する慰謝料額は,150万円が相当と認められる。
⑵弁護士費用
本件における認容額,事案の内容その他一切の事情に照らすと,本件の被告
による不法行為と相当因果関係のある弁護士費用は,原告aにつき18万円,
原告bにつき15万円と認めるのが相当である。
8謝罪広告の要否(争点⑻)について
本件各記事による事実摘示によって原告らの社会的評価が低下した態様及びそ
の内容,本件各記事の掲載から相当程度の期間が経過していること,本判決によ
って被告の損害賠償義務が認められることにより,原告らの名誉が相当程度回復
することが想定されること等に鑑みれば,原告らの名誉を回復するために,金員
による損害賠償のほかに,謝罪広告を掲載する必要があるとまで認めることはで
きない。
第4結論
以上の次第で,原告aの請求は,被告に対し,198万円及びこれに対する最
後の不法行為の日である平成25年10月9日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があり,原告bの請求は,
被告に対し,165万円及びこれに対する不法行為の日である同月2日から支払
済みまで上記年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
よって,原告らの請求を上記の限度で認容し,その余はいずれも理由がないか
ら棄却することとして,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第12部
裁判長裁判官伊藤正晴
裁判官井出弘隆
裁判官村井佳奈

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛