弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告人代理人高木千尋の上告理由第一点について。
 論旨は、国が使用している財産は、行政財産たると普通財産たるとを問わず、す
べて、自作農創設特別措置法(以下自創法という)五条一号にいう国が公用に供し
ている財産と解すべきであるのに、原審が行政財産と普通財産とを区別して、本件
農地に対する日本国有鉄道(以下国鉄という)の賃借権は普通財産の目的となつて
いる財産であるが故に、同号の場合にあたらないと解したのは失当である、という
に帰する。
 国鉄は日本国有鉄道法六三条にいう法律の別段の定めがないため同条により自創
法五条一号の関係においては国とみなされる。日本国有鉄道法(昭和二三年法律七
三号。以下国鉄法ともいう)が昭和二四年六月一日から施行された当初は国有財産
法およびその附属法令の適用の関係では国鉄の事業は国の企業として取り扱われて
いたけれども、昭和二四年法律二六二号日本国有鉄道法の一部を改正する法律によ
り国鉄法自体の中に国鉄の会計及び財務に関する規定が新設されると同時に旧三六
条は削除され六三条が現行のとおりに改正されこの改正法律が昭和二五年四月一日
施行されて以来は、国有財産法及びその附属法令の適用の関係においては、国鉄の
事業は「国の企業に該る」とも「国の企業に準じて考えることができる」ともいえ
なく、また、国鉄の財産に行政財産、普通財産の区別もなくなつた訳である。本件
においては、買収計画が定められたのは昭和二七年七月三〇日、買収令書が交付さ
れたのは同二八年一月一九日であつたという事実関係であるから、その当時、すで
に国有財産法は国鉄に適用なく、その財産に行政財産、普通財産の区別もなかつた
ことは明らかである。しかしながら、原判決が結論として判示するところは、国鉄
が本件農地を使用している関係は、国についていえば、いわば国が農地を普通財産
として使用している場合に相当するものであつて、かような関係で使用されている
農地は、自創法五条一号にいう「公共用又は公用に供している農地」に当らない、
という趣旨であると解され、原判決のこの結論は是認されるべきである。すなわち、
原判決は、国鉄は現行国鉄法六三条により自創法五条一号の関係においては国とみ
なされる、従つて、国とみなされる国鉄が「公共用又は公用に供している農地」と
いううちに本件のように国鉄が職員の食糧確保のための厚生施設として農地を利用
している場合を含まない、との趣旨を判示したものであり、この結論的部分は相当
である。その余の原判示は畢竟無用の説示に帰し原判決の結論に影響を及ぼさない。
論旨は理由がない。
 同第二点について。
 国鉄がその事業(附帯事業を含む)としていかなる範囲のことをなしうるかは法
令によつて定まつており、国鉄は、法令により認められた以外のことをその事業と
してすることはできないけれども、法令により認められた事業の範囲内で私法上の
行為によつて事業を遂行することはその自由である。従つて、原審の認定した事実
関係の下で、本件農地が国鉄の「公用」に供されているといえないのは、その使用
について準拠すべき法令がないためでもなく、また、その使用関係が私法上の使用
収益であるためでもなく、もつぱら、職員の食糧確保のための土地の使用というこ
とが法令で認められた国鉄の事業の範囲内の行為と認められないこと、換言すれば、
国鉄の事業の遂行上直接必要のものと認められないことに基くのである。してみれ
ば、原判決が、本件農地の使用は法令の根拠に基くものではないから公用とはいい
えないとの趣旨を判示した点は当をえないけれども、しかし、第一点において説示
した原判決の結論は維持されるべきであり、また、その認定したように国鉄が職員
の食糧確保のための厚生施設として利用している本件農地は、自創法五条一号の関
係では国鉄が「公共用又は公用に供している農地」とはいいえないこと第一点で説
示したとおりであるから、原判決は結局相当であり、論旨は理由なきに帰する。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    高   橋       潔

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