弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人池田輝孝、同駿河哲男、同谷村正太郎、同根本孔衛、同杉井嚴一の上
告状記載の上告理由及び上告理由書記載の上告理由第一ないし第四について
 原審が確定した事実関係によれば、(一) B村においては、明治一四年四月一八
日施行の島吏職制によつて従来の同村の行政組織である島地役人、地役人、名主、
年寄等に代る職制として東京府知事の任命にかかる地役人、名主一式引受人、年寄
が設けられ、これと従来から存在した村民一同の意思決定機関としての惣代六名か
らなる村寄合とによつて村の行政組織が構成されるに至り、明治二八年五月二一日
には東京府知事の認可を受けて村寄合規約が定められ、村寄合は多数決制をもつて
村有財産の処分又は維持方法を決することとされ、しかも村寄合の構成員たる惣代
の選挙には本戸半戸以外の村民にも選挙権が認められた、(二) 次いで大正一二年
一〇月一日施行の島嶼町村制によつて地役人以下の島吏が廃止され、支所長、村長、
吏員、村会の制度が設けられ、村有財産の管理処分、村費の徴収等は多数決制によ
る村会の議決事項とされ、本戸半戸以外の村民にも選挙権が認められ、更に昭和二
三年の地方自治法施行によつて村長、村議会が設けられて今日に至つている、(三)
 明治一九年九月二四日東京府知事から下渡された本件山林を含む山林原野は、名
主一式引受人によつて管理され、前記村寄合規約施行後はその管理が村寄合の議決
事項とされ、島嶼町村制施行後においては、行政主体たるB村の基本財産としてそ
の管理は村会の議決事項とされ、昭和二九年一〇月一日のa村との合併後は、合併
後のB村の村有地とされて役場備付の帳簿に村有財産又は基本財産として記載され
ている、(四) B村においては、村有財産の管理処分につき、大正年間村有財産管
理規則が、昭和一五年一〇月村財産管理規程が、さらに昭和三四年村有財産条例並
びに契約の締結及び議会の議決を経べき財産又は営造物に関する条例が順次制定施
行されたほか、大正一二年村有椿林貸付規則が、昭和一七年四月B村部分林貸付規
則が、昭和三四年九月B村山林条例が順次制定施行されたが、これらの規則、規程、
条例はいずれも所定の手続を経た有効なものであり、本戸半戸とそれ以外の村民と
の間に何らの取扱上の差別を設けていなかつた、(五) B村においては、本件山林
を含む前記下渡にかかる山林原野につき、明治年間以来、立木を本戸半戸を問わず
すべての村民に払い下げてその代金を村の歳入とし、大正年間以来、村会ないし村
議会の議決に基づき同村内外の団体又は個人に対して山林原野の一部を譲渡するな
どしてその代金等を村の歳入とし、大正一二年には東京府知事の認可を経た前記椿
林貸付規則に基づいて山林原野の一部を部分林として村民に貸し付け、その貸付料
を村の歳入とし、また村会ないし村議会の議決に基づいて右部分林の一部貸付を解
除してこれを村民以外の第三者に貸付けるなどしているほか、前記下渡にかかる山
林原野の一部における造林事業のために、これに要する費用を村の歳出予算から支
出し、前記山林の椿の実や薪の採取等を村当局の管理監督のもとに行つて来ていた、
というのであつて、右認定は原判決挙示の証拠関係に照らして肯認することができ
る。そして、右事実関係から知ることのできる行政主体としてのB村の成立経過や
明治一九年九月二四日の下渡にかかる本件山林を含む山林原野が本戸半戸以外の住
民を含む村民の選挙による代議制をとつた村寄合、村会、村議会等における多数決
による議決に基づいて村有財産として管理処分され、あるいは村当局の監督下にお
いて村民に利用されて来たなど、右山林原野の管理利用について部落による共同体
的統制の存在を認めるに由ない諸事情に照らすときは、右山林原野の所有権が行政
主体たるB村に帰属していて、これに対する共有の性質を有する入会権はもとより、
共有の性質を有しない入会権の存在も認め難いとした原審の認定判断は、結局、こ
れを正当として肯認することができ、その過程に所論の違法があるものとは認めら
れない。論旨は、ひつきよう、原審の専権事項である証拠の取捨判断、事実認定を
非難するか、又は原審の認定にそわない事実あるいは独自の見解に基づいて原判決
を論難するものであつて、採用することができない。
 同上告理由記載の上告理由第五について
 上告人らが本件山林について入会権を有しないとした原審の認定判断を是認する
ことができることは、前項説示のとおりである。してみると、右入会権の存在を前
提とする所論は、所論違憲の主張を含めてその前提を欠くか、又は原判決の結論に
影響のない説示部分を論難するものにすぎない。論旨は、採用することができない。
 よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員一致の意
見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   本   一   夫
            裁判官    木   下   忠   良
            裁判官    鹽   野   宜   慶
            裁判官    宮   崎   梧   一

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