弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 被告人両名の弁護人堀切真一郎の上告趣意第一点、同弁護人鈴木義男、河野太郎
の上告趣意第三点について所論は、共犯の成立または共謀者間における選挙運動資
金等の授受に関する判例を挙げて判例違反を主張するけれども、第一審判決は被告
人Aが被告人Bと共謀して同人をして金員を各特定の選挙運動者に供与せしめた事
実を認定しているものではなく、また同判決の判示事実自体が右両名の共同正犯の
成立を示しているものとなすに足りないのであるから、所論は原判示に副わない事
実を前提として判例違反を主張するものというべきであつて、上告適法の理由とな
らない。
 堀切弁護人の上告趣意第二点について
 所論は、買収資金等の交付を受けた者がその金員を他に供与した場合の判例を挙
げて、判例違反を主張するけれども、原判決は、被告人Bの八回にわたる受交付金
と三三回にわたる供与金との関係については、そのいずれの受交付金をもつていず
れの供与金に使用したものか判明しないと認めているのであり、受交付罪や供与罪
は受交付または供与のなされた度毎に各一罪が成立するものであるから、所論のよ
うに数次にわたつて交付を受けた総計金額の中から供与金の全部が支弁されたとい
うような漠然たる事実関係では、犯罪の成否につき影響するところはないのである。
所論は原判示に副わない事実を前提として判例違反を主張するものに外ならないか
ら、上告適法の理由とならない。
 堀切弁護人の上告趣意第三点について
 所論は、被告人両名間の授受金額(合計二二五万円)の中には合法的な選挙費用
八〇余万円を含んでいるにかかわらず、これを区別しないで全部を違法な金員の授
受と認定したことは、判例の趣旨に違反すると主張する。しかし原判決は、被告人
両名間の毎回の授受金員は選挙運動実費、報酬その他と分別することなく包括して
授受されたものと認定し、その合法的な部分を区別し得ないことを判示している。
のみならず所論引用の判例は、投票買収費並に選挙運動報酬のごときいずれも違法
な金員を包括的に供与を受けた場合に関するものであつて、本件と具体的事実関係
を異にし、本件に適切でないものといわなければならない。
 堀切弁護人の上告趣意第四点、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第一点について
 所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴
四〇五条の上告理由に当らない(公職選挙法二二一条一項一号の供与罪の起訴に対
し、訴因および罰条の変更手続をとらないで、同項五号の交付罪を認定しても違法
でないことについては、昭和二八年(あ)第四六一六号、同二九年五月二〇日第一
小法廷決定参照)。
 鈴木、河野両弁護人の上告趣意第二点について
 所論は違憲をいうけれども、その実質は単なる訴訟法違反の主張であつて、刑訴
四〇五条の上告理由に当らない(原判決が所論指摘の各弁護人の控訴趣意に対し判
断を示していないことは、まことに所論のとおりであるが、右各控訴趣意は、原判
決が判断を明示している鈴木弁護人の控訴趣意第一点の論旨と同旨であるから、右
判断遺脱は形式上違法であるといわざるを得ないとしても、その違法は判決に影響
を及ぼさないものであることは明らかである)。
 その余の上告趣意について
堀切弁護人の上告趣意第五点、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第五点は量刑不当の
主張、鈴木、河野両弁護人の上告趣意第四点は事実誤認の主張であつて、いずれも
刑訴四〇五条の上告理由に当らない。
 記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて刑訴四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三〇年七月二二日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    栗   山       茂
            裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    谷   村   唯 一 郎
            裁判官    池   田       克

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛