弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     原判決中上告人の訴を却下した部分を破棄下する。
     右部分につき、本件を札幌高等裁判所に差し戻す。
     原判決中上告人の請求を棄却した部分に関する上告を棄却する。
     前項の部分に関する上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告人の上告理由一、二について。
 原判決は、本件(イ)、(ロ)の各建物部分について本件当事者間に締結された
各売買、賃貸借契約の条項中に、「本契約につき紛争を生じたときは双方から一名
宛の仲裁人を選任して当該仲裁人の判断に従う」という条項の存在すること、同条
項は、弁護士である訴外高橋岩雄が民訴法に規定されている仲裁手続を予定してこ
れを作成したものであることおよび前記賃貸借契約の内容は賃貸人にとつて極度に
有利に定められており、同契約に関し債務不履行または契約解除の成否についての
紛争が生じやすいと予測されることを確定したうえ、右仲裁判断条項は民事訴訟法
上の仲裁契約としての効力を有することを前提として、本件(イ)、(ロ)の建物
部分に関する紛争は同条項にいう「紛争」にあたり、右紛争について裁判所の裁判
を求めることはできないと判示している。
 ところで、民事訴訟法七八六条以下の規定による仲裁契約の成立には、当事者が
同法にいわゆる仲裁判断に服する意思を有する必要があることは、叙上規定の趣旨
に照し、明らかである。しかるところ、本件賃貸借契約の条項中に弁護士が民事訴
訟法に規定されている仲裁手続を予定して作成した仲裁判断条項があるからといつ
て、同弁議士が本件当事者の一方の代理人として右契約の成立に関与した場合であ
れば格別、当事者が事実上の仲裁をさせる意思で同条項を黙認する場合もないとは
いえず、直ちに、本件当事者が、同条項に規定する紛争については、民訴法にいわ
ゆる仲裁判断に服する意思を有したものと断定することは困難であり、本件契約に
ついて紛争発生の可能性が大であることからも、必ずしも、右意思の存在を断定し
えないものといわざるをえない。
 してみれば、民事訴訟法にいわゆる仲裁判断に服する意思の存在を推認させる他
の特別の事情の存否についてなんら顧慮することなく、前記確定事実に基づいて、
直ちに、本件当事者間に民事訴訟法上の仲裁契約が成立した旨断定した原判決は、
審理不尽、理由不備の違法を犯したものというのほかなく、この点についての論旨
は理由があり、原判決中上告人の訴を却下した部分は、この点で、破棄を免れない。
 原判決中上告人の請求を棄却した部分に対する上告について。
 上告人の提出に係る上告理由書には、右部分に関する上告の申立についての上告
理由と目すべきものは見当らない。したがつて、右上告の申立は、理由がないもの
として、棄却せざるをえない。
 よつて、その他の論旨に対する判断を省略し、民訴三九六条、三八四条、九五条、
八九条、四〇七条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    横   田   正   俊

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛