弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人に関する部分を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 弁護人村田利雄の陳述した控訴趣意は記録に編綴されている同弁護人並びに弁護
人柴田健太郎から各提出の控訴趣意書記載のとおりであるからこれを引用する。
 論旨は原判決が採用した証拠のうち、各鑑定書について、刑事訴訟法第三百二十
六条の同意がないのに、各鑑定人を公判期日に証人として尋問し、その真正に作成
されたものであることの供述を得ていないから、証拠能力がないというにあるが、
原審第三回公判調書の記載によると、裁判官は訴訟関係人の異議なき旨の意見を得
て、各鑑定人作成提出の鑑定書につき証拠調をなす旨告げた旨の記載があり、その
措辞簡略のきらいがないでもないが、その訴訟関係人の同意を得てとの記載は、同
公判調書の検察官及び弁護人はそれぞれその請求部分の鑑定書を証拠に援用する旨
述べた記載と相俟つて、被告人及び弁護人がこれを証拠とすることに同意した趣旨
と解し得られ、証拠とすることに同意しない旨述べていないことは自ら明かであ
り、証拠とすることに反対する趣旨は記録上他にこれを発見することができないの
で、被告人及び弁護人はこれに同意したものと認めることができる。次に検証調書
に本件爆発現場である当時の左三片払を検証することができない旨明示され、Aの
予め用意していた青写真六葉、及び見取図二葉を検証の結果を明確にするため調書
末尾に添付するとして、その指示説明を記載しているが、該図面を一括検証調書に
対する証拠手続を以て証拠調をなしておりその作成者を証人として尋問せず、刑事
訴訟法第三百二十六条の同意もないので、証拠能力がないと非難するけれども、所
論の青写真及び見取図は原審裁判官の検証現場において、立会人Aが本件B炭鉱備
付のものを、検証事項を明確にするため必要な状態を任意に指示陳述するについ
て、これを補足したものであつて、前記鑑定書と同様に原審第三回公判期日におい
て被告人及び弁護人において、これを証拠とすることに同意したことが認められる
ので、検証調書と一括して刑事訴訟法第三百二十一条第二項により証拠能力を有す
るもの<要旨>といわなければならない。また検察官の実況見分調書二通が刑事訴訟
法第三百二十六条の同意がない上に、同調書中各立会人の現場における指示
説明を録取した部分は、一般の供述調書としての証拠調手続が履践されていないか
ら、証拠能力がないと非難するが、前同条の同意は明示の意思表示であることを原
則とするも、検察官から或る証拠の取調請求があつたとき、被告人及び弁護人がそ
の証拠調の請求及び証拠調実施に、裁判官から意見を問われた際、別に意見はない
と述べた場合には、同条に所謂被告人及び弁護人が証拠とすることに同意したもの
と認めるに妨げないと解するを相当とするところ、記録を調査するに、右実況見分
調書中に立会人の任意の指示陳述を録取した部分があるとはいえ、その指示は検察
官が見分により事物の状態を認識するための手段としてなされたものと認め得ら
れ、且つ原審第三回公判期日において、検察官は弁護人の同意済である前記実況見
分調書二通の取調請求をなし、裁判官は弁護人に対し検察官の右証拠調請求につい
て意見を求めたところ、弁護人は右請求については異議はないと述べておるばかり
でなく、第四回公判期日において、裁判官は、証拠につき反証の取調請求等により
証拠の証明力を争うことができる旨告げたところ、弁護人は別に争はない旨述べた
ことも明かであつて、被告人並びに弁護人において、該実況見分調書を証拠とする
ことに同意があつたものというべきであること前に説示するとおりであるので、そ
の証拠能力を否定するに由ない。さらに検察官作成のC、Aに対する各供述調書の
証拠能力を否定する所論については、右各供述調書が前掲検察官の実況見分調書と
同時に、原審公判廷において、被告人並びに弁護人がこれを証拠とすることに同意
したものと認め得られ、Cの供述調書の末尾に添付された其の供述内容の一部をな
す図面について、これを証拠とすることに同意があつたものと認めることができる
から、右所論を容認し難い。なお原判決が弁護人の主張を排斥する資料とした検分
調書添付のガス測定図なるものは存在せず該図面は前掲Cの供述調書末尾添付の図
面を指称するものと推測されるが、該供述調書と別個にこれに関する証拠調手続が
履践されていないことを非難する所論も、該ガス測定図は所論のように検察官に対
するCの供述調書の末尾に添付のガス停滞図と題する図面であること記録上明白で
あり、その証拠調手続が適法になされたことも前に説示のとおりであるから、その
名称を誤記したこと並びにこれを別個に証拠調手続を履践しないことを以つて違法
というは当らない。従つて原判決に所論のような採証法則の違背があるというを得
ないので、論旨は採用することができない。
 (裁判長裁判官 筒井義彦 裁判官 柳原幸雄 裁判官 岡本次郎)

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