弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
         理    由
 弁護人四方田保の上告趣意第一について。
 本件第一審判決には、原判決と同じく、被告人が昭和二二年四月一三日頃から同
年一二月九日頃迄の間拳銃一挺を所持した旨の記載がある。原審公判廷に於て検事
は第一審判決記載の犯罪事実を述べて審判を求め、裁判長が検事の陳述と同じ被告
事件を告げて、「この事実はどうか」と問うたのに対して、被告人は「事実は其の
通り相違ありません」と答えている。してみれば被告人は、原判決摘示の事実と同
趣旨の供述をしたものということができる。従つて原判決が、原審公判廷における
被告人の「関係部分につきその旨の供述」を証拠として判示事実を認定したのは、
所論のように虚無の証拠を以て事実を認定したものではない。論旨は、審理の冒頭
における概括的な犯罪事実の承認によつて、犯罪事実の内容に亘り全部を認めたも
のとすることはできないと主張する。なるほど、被告人が概括的の問答では犯罪事
実を認めても、個々の点についてはこれに反する供述をしたような場合には、冒頭
の答えだけで細部に亘る悉くの事実を認めたものとは云い難いこともあろう。しか
しその何れの供述が真実に合するか、従つて何れを証拠として採用するかは、裁判
官が自由な心証によつて決し得るところである。のみならず本件に於ては、所論の、
被告人が拳銃をAに渡したという供述と冒頭の供述とは必ずしも矛盾するものでは
ない。被告人は、拳銃をAに渡しても、それは保管を託しただけで引き続き所持を
継続していたものと考え得られるからである。(警察における被疑者訊問調書によ
れば、被告人は、拳銃を厳封したまま内容が何であるかを秘して、自家に同居して
いた実弟Aに渡し、その勤務先きであるB小学校に保管するよう依頼したのだと供
述している。そうして第一審公判に於て被告人は、右の供述内容について「その通
りであります」と述べ、第一審判決は、この公判廷の供述を証拠として、被告人が
四月一三日頃より一二月九日頃迄自宅及びB小学校において拳銃を所持していたと
いう事実を認定したのである。)それ故に論旨は採用することができない。
 同上第二について。
 しかし所論の諸点は前掲の警察における被疑者訊問調書に明かに記載されている。
原審公判調書によれば「本件記録編綴の各訊問調書」について証拠調がなされてい
るから、右の警察における訊問調書についても証拠調がなされたことが明かである。
裁判長は、是等の訊問調書の要旨を告げ、被告人に対し意見弁解の有無を問い、他
に利益の証拠があれば提出することができる旨を述べたと記載されているから、裁
判所は所論の諸点についても審理を尽したことが窺われる。それ故に原判決には、
所論のような審理不尽の違法は存しない。論旨は理由がない。
 同上第三について。
 原判決には審理不尽の違法もなく、虚無の証拠を断罪の資料とした違法もないこ
と、上述の通りであるから、論旨何れの点も採用することができない。
 以上の理由により旧刑訴法第四四六条に従い主文の通り判決する。
 この判決は裁判官全員一致の意見によるものである。
 検察官 竹原精太郎関与
  昭和二五年一月一〇日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    長 谷 川   太 一 郎
            裁判官    井   上       登
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    穂   積   重   遠

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