弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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            主       文
       被告人を懲役14年に処する。
       未決勾留日数中170日をその刑に算入する。
       押収してある波刃万能ナイフ1丁,果物ナイフ1丁及びカッターナイフ2丁
を没収する。
            理       由
(犯行に至る経緯)
 被告人は,昭和52年12月にA子と結婚し,二子をもうけたが,その後,昭和58年
12月にA子と離婚した。A子は,昭和61年6月にB男と再婚し,昭和62年2月にC
子,昭和63年12月に男子をそれぞれもうけたが,平成2年5月にB男と離婚し,二
人の子供を引き取って生活していた。その後,被告人は,平成9年ころ,A子から連
絡があったことを機に転居し,A子と内縁関係を結び,C子らとも同居し,平成10年1
2月にはA子との間に女子をもうけた。
 被告人は,A子と同居を始めた当初の数年間は,C子らを我が子のようにかわいが
り,C子も,被告人のことを「お父さん」と呼ぶなどして一緒に風呂に入るなど被告人
になついていたが,その後,C子が中学生になり,やがて思春期を迎えて年ごろの女
性になるにつれ,距離をおかれるようになり,そのころから,被告人は,寂しさを感じ
るとともに,C子を一人の女性として見るようになり,やがて性的欲望を抱くようになっ
た。
 被告人は,平成15年8月ころ,C子に対し,裸を見せるよう迫ってその裸を観察し
たり,同年9月6日ころ,C子をホテルに誘ったりした。C子は,かかる被告人の行状
に困惑して学校関係者に相談したことから,このことを知ることとなったA子は,同年
9月12日,C子を被告人から引き離すため,C子の実父であるB男方にC子を預け
た。
 被告人は,C子と別居させられたことに衝撃を受け,その居場所を知るため,A子を
問い詰めたり,C子の通学先の学校でC子を待ち伏せたり,尾行するようになった。A
子は,自らも被告人の行状に愛想を尽かし,同年10月ころ,被告人と別居することと
なった。被告人は,そのころから,C子がアルバイト先の先輩である被害者と交際し
ているのではないかと疑うようになった。そこで,被告人は,A子を通じて,被害者を
喫茶店に呼び出し,C子との肉体関係の有無等を問いただしたが,これを否定され
た。
 被告人は,その後も,被害者とC子の関係が気になり,C子の行動を監視するなど
していたところ,同年11月6日に開かれたA子の誕生日会において,自分をのけ者
にした上,被害者を誕生日会に参加させていたことを知り,これに憤慨し,被害者に
対して憎悪の念を抱くようになり,同月9日,ホームセンターで,波刃万能ナイフを購
入した。
 被告人は,その後,被害者の自動車のタイヤをパンクさせたり,その車体に傷を付
けたりするという嫌がらせを繰り返していたが,同年12月初めころ,A子から,被害
者とC子が交際しているという事実を告げられて以降,仕事を休んで,そのころ知り
合ったD男とともに,毎日のように,被害者とC子の行動を監視するようになった。
 被告人は,同月16日,上記波刃万能ナイフ等4本のナイフを携帯した上,D男とと
もに,被害者とC子の行動を監視していたが,途中で見失い,その後,同日午後6時
過ぎころから,被告人一人で,B男方付近において待ち伏せをしていたところ,約1時
間が経過したころ,同方室内からC子のすすり泣くような声が聞こえてきた。被告人
は,被害者及びC子が在宅しているものと確信し,裏口の無施錠の窓から同方屋内
に立ち入り,上記波刃万能ナイフを抜き身の状態で右手に持って,被害者及びC子
が在室していた部屋に入ったところ,二人が裸で抱き合っている場面を目撃したため
激高し,とっさに被害者を殺害することを決意し,以下の犯行に及んだ。
(犯罪事実)
 被告人は,
第1 平成15年12月16日午後7時30分ころ,福井県内のB男方居宅において,殺
意をもって,被害者(当時26歳)に対し,その腹部及び左腰部等を,所携の波
刃万能ナイフ(刃体の長さ約17.8センチメートル)で数回突き刺し,よって,そ
のころ,同所において,同人を腹部刺切創に基づく腹部大動脈切断等による失
血により死亡させて殺害した
第2 業務その他正当な理由による場合でないのに,上記日時場所において,上記
波刃万能ナイフ1丁,刃体の長さ約13.1センチメートルの果物ナイフ1丁,刃
体の長さ約7.6センチメートルのカッターナイフ1丁及び刃体の長さ約7.7セン
チメートルのカッターナイフ1丁を携帯した
ものである。
(事実認定の補足説明)
 弁護人は,判示第1の犯行について,被告人が所携の波刃万能ナイフで被害者を
刺したという外形的な事実は認めるものの,被告人には確定的殺意だけではなく未
必的殺意もなかった旨の主張をし,また,犯行の動機につき,親心からC子を心配し
ていたところ,被害者とC子の性交場面を目撃して頭が真っ白になって犯行に及んだ
旨の主張をし,被告人も当公判廷においてこれらに沿う供述をする。
 そこで,以下,当裁判所が,判示第1の事実のとおり,被告人に確定的殺意がある
と認定したこと,及び犯行の動機が上記認定のとおりであることについて補足的に説
明する。
1 殺意の点について
 (1) 凶器の種類について
   前掲各証拠によれば,本件犯行に使用された凶器は,刃体の長さ約17.8セン
チメートルで刃先が鋭利な波刃万能ナイフ(以下「本件ナイフ」と略称。)であり,
殺傷能力は十分であることが認められる。
 (2) 創傷の部位及び程度について
   前掲各証拠によれば,被害者の身体には(防御創と思われる創傷部分を除  
いて),
  ア 腹部に,①肝臓,十二指腸,腹部大動脈等を切断し,腰椎左側の腰筋に刺切
創を形成する全刺創管の長さ(深さ)約13.3センチメートルの刺切創,及び
②右胸郭第十肋骨,右横隔膜及び肝臓右葉を貫通し,右腰部まで貫通して
いる全刺創管の長さ(深さ)約11.5センチメートルの刺切創
  イ 左腰部に,左腰筋,左胸郭第十二肋骨及び左横隔膜を切断又は貫通し,左
肺下葉に至っている全刺創管の長さ(深さ)約7センチメートルの刺切創
  ウ 両大腿部に貫通刺切創
  等の創傷が認められ,上記各創傷はいずれも身体の枢要部分に重大な損傷を
与えている。
 (3) 上記被害者の負傷状況及び被告人の身体の状況からすると,被害者は一方
的に被告人から攻撃を受けたものであり,これに対して何らの反撃をするいとま
もなく,上記(2)アの傷が致命傷となって受傷直後に現場で失血死したことが認
められる。
 (4) 被告人も,当公判廷において,自ら購入し,持ち歩いていた本件ナイフを抜き
身のまま持って被害者らの在室していた部屋に押し入り,いきなり被害者の腰
の辺りや腹を夢中で刺したこと,被害者から反撃も受けていないしもみ合いにも
なっていないこと,また,犯行後何らの救命措置を取らず,その場から立ち去っ
たことを認めている。
 (5) 以上によれば,被告人は,殺傷能力の十分な本件ナイフを用いて,被害者の
身体の枢要部である腹部及び左腰部等を狙って複数回突き刺して致命傷を含
む重大な損傷を負わせているのであって,被告人の使用した凶器の性状,加え
た攻撃の強さ及びその執拗性等に照らせば,殺意に関する被告人の捜査段階
における自白を検討するまでもなく,被告人には,本件ナイフを使用して被害者
を刺した際に殺意があったことは明らかであり,しかも,未必的殺意に留まら
ず,確定的な殺意があったものと十分推認することができる。
   したがって,殺意がなかった旨述べる被告人の公判供述部分はこれを信用する
ことができない。
2 動機の点について
  被告人は,捜査段階においては,C子に対して性的欲望を募らせていた上,C子
と交際していた被害者に対する嫉妬及び憎悪から本件犯行に及んだという旨の供
述をしていたが,当公判廷において,C子に対して性的欲望は持っておらず,親心
からC子を心配していたところ,被害者とC子との性交場面を目撃して頭が真っ白
になって犯行に及んだ旨供述を変遷させているので,この点について以下検討す
る。
 (1) 被告人の言動等
  ア 関係証拠によれば,被告人は,C子が平成15年に高校に入学後,同女の交
際相手と会って交際内容を聞き出したり,C子に対して帰宅時間が遅いなど
と文句を言うようになり,同年8月ころ,被告人方において,C子に対して裸を
見せるよう迫って,C子の裸を観察したり,同年9月6日ころ,C子と映画を一
緒に見に行った帰りに,車の中でC子に対してホテルに行かないかと誘った
が,断られたこと,このことが原因でC子は被告人に内緒で実父の元に転居
したこと,被告人は,C子の居所を知るため,A子を問い詰めたり,C子の通
学先の学校でC子を待ち伏せたり,尾行するようになったことが認められる。
    被告人のこのような言動は,被告人が,C子に対して強い性的関心を持ってい
たことを強く推認させるものである。
  イ 加えて,関係証拠によれば,被告人は,その後C子やその交際相手である被
害者の勤務先に対して執拗に電話をかけ又はメールを送信したり,被害者の
車のタイヤをパンクさせたり,車体に傷を付ける行為を繰り返し,さらに,仕事
を休んでまでD男とともに,しかも本件ナイフ等を携帯した上でC子と被害者
の行動を監視するなどしていたことが認められる。
    かかる被告人の行動自体,被告人のC子に対する執着心及び被害者に対す
る嫉妬心を強く推認させるものである。
 (2) C子の供述調書の証拠能力・信用性について
   C子は,上記各調書において,被告人が同女を一人の女として見るようになり,
裸を見せろと言われて実際に見せたことや,ホテルに行こうと誘われたこともあ
ること,犯されるのではないかという身の危険を感じて母親らに相談して被告人
から離れ実父宅に引っ越したこと,その後も,C子や被害者につきまとって嫌が
らせをしてきたこと,本件犯行後,被告人に連れ回されるなどされた際,被告人
から胸を触られたり,最後だからセックスさせろと言われてわいせつなことをさ
れた旨の供述をしている。
   弁護人は,上記各調書は,刑事訴訟法321条1項3号のうち,供述不能の要件
については特に争わないものの,不可欠性の要件及び(絶対的)特信性の要件
を充たさず,証拠能力を欠くから証拠排除されるべきである旨の主張をするの
で,以下検討する。
  ア 不可欠性について
    本件において,犯行の動機を判断するに当たっては,犯行前後のC子及びC
子の交際相手である被害者に対する被告人の態度が重要となるのであっ
て,これを判断する上ではC子の供述が最も重要であることは明らかであり,
他に実母であるA子の公判供述が存在するが,同女の供述は伝聞証言であ
ることからすれば,その証拠価値はおのずと異なり,その存在が,直ちにC子
の上記各調書の不可欠性の評価を損なわせるものではない。
  イ 特信性について
    本件においては,上記各調書が作成されたのは,本件事件の翌日及び5日後
であり,比較的記憶が鮮明な状態で供述されたものと認められること,その
供述内容は,供述者であるC子にとってもおよそ他人に知られたくないもので
あることに加え,被告人の犯行後に関するC子の供述が,A子の公判供述と
良く符合していること,その他の関係者の供述とも矛盾がないこと等に照らす
と,その供述は高度に信用することができる情況の下になされたものといえ
る。
  ウ そして,関係証拠によれば供述不能の要件を充たすことは明らかであるの
で,以上より,C子の上記各調書は,いずれも刑事訴訟法321条1項3号の
要件を満たすので,証拠能力が認められる。
    そして,その供述内容は,上記で検討したように信用性が高いものというべき
であり,これに上記(1)の事情等を併せ考慮すれば,被告人はC子に対して強
い性的欲望を有しており,同女と交際していた被害者に強い嫉妬,憎しみを
有していたことが認められる。
 (3) 被告人の捜査段階の供述調書の任意性・信用性について
  ア 任意性について
    弁護人は,被告人を取り調べた警察官が,被告人に対し,嫉妬が動機である
と認めた方が自然であり,裁判官の印象もよくなると述べたこと等を理由とし
て,被告人の捜査段階の供述は,追及的又は理詰めの取調べ若しくは利益
誘導の結果,被告人が絶望,自暴自棄といった状態に追い込まれた結果の
産物であり,任意性を欠く旨の主張をする。
    しかしながら,その供述内容は,C子に対する赤裸々な感情を述べたものであ
り,捜査官が勝手に誘導するような内容のものとは考えられないものである。
また,被告人自身,前科があり,取調べを受けた経験があることからも供述
調書の役割は当然に分かっていたはずであり,当公判廷においても,自発的
に取調官に対して供述をしたことも認めている。
    他に,被告人の取調べに当たって,任意性を疑わせるような事情も認められ
ない。
    したがって,被告人の捜査段階における供述は,任意性について欠けるところ
はない。
  イ 信用性について
    被告人がC子に対して性的欲望を抱き,被害者に対して嫉妬及び憎悪を募ら
せていたという点については,上記のとおり,その供述内容からすれば,捜
査官の作文や誘導とはおよそ考えられないような内容となっている上,A子そ
の他関係者の供述内容と矛盾するところもなく,信用性は高いと認められる
(ただし,C子が中学生のころから寝ている間に姦淫行為をしたという被告人
の供述部分については,C子も否定しているところであって,にわかに信用す
ることは困難である。)。
 (4) 被告人の公判供述の信用性について
   上記(1)ア,イについての被告人の公判廷における弁解は,その内容自体不自
然極まりないもので到底信用できない。被告人は親としてC子のことを心配する
が故に,C子と被害者との交際を危惧していたと縷々述べるが,上記(1)ア,イの
ストーカー行為は,到底,娘を心配する父親の行動とは評価できない。被告人
の公判供述は,被告人が実際にとった行動と全く相容れないものであり,到底
信用できない。
 (5) 以上を総合すると,被告人は,C子に対して性的欲望を抱いており,その結
果,C子の交際相手である被害者に対して異常なまでの嫉妬及び憎悪の念を
募らせていたところ,C子と被害者の性交場面を目撃したため,嫉妬及び憎悪
の念が一気に爆発して激高して,本件犯行に及んだものと認められる。
3 以上の次第であり,殺意及び動機について,判示第1の事実の認定と異なる弁
護人の前記各主張は採用することができない。
(法令の適用)
1 罰      条
    判示第1の行為     刑法199条
    判示第2の行為     包括して銃砲刀剣類所持等取締法32条4号,    
            22条
2 刑種の選択
    判示第1の罪      有期懲役刑を選択
    判示第2の罪      懲役刑を選択
3 併合罪の処理      刑法45条前段,47条本文,10条(重い判示第1の罪の
刑に同法47条ただし書の制限内で法定の
加重)
4 未決勾留日数の算入      刑法21条
5 没      収      いずれも刑法19条1項1号,2項本文
6 訴訟費用の不負担      刑事訴訟法181条1項ただし書
(量刑の事情)
1 本件は,被告人が,内妻の娘の交際相手である被害者を波刃万能ナイフで突き
刺して殺害した事案(判示第1の犯行)及び業務その他正当な理由による場合で
ないのに,上記ナイフを含むナイフ4丁を携帯していた銃砲刀剣類所持等取締法
違反の事案(同第2の犯行)である。
2 殺人事案(判示第1の犯行)について
  被告人は,内妻の娘であり,当時16歳であった少女に対して性的感情を抱き,そ
の交際相手であった被害者に対し,同女を奪われたことから,嫉妬及び憎悪の念
を募らせて,同女及び被害者に対してその行動を監視したり尾行するというストー
カー行為を繰り返していたところ,その過程の中で,同女と被害者との性交場面を
目撃したことから,嫉妬及び憎悪が一気に爆発して激高した上,本件犯行に及ん
だものである。偶発的な激情犯とはいえ,内妻の娘に対する被告人の一方的な性
的欲望並びに交際相手に対する嫉妬及び憎悪に端を発する身勝手極まりない本
件犯行は,犯行の動機にもそれに至る経緯にも,酌量の余地はないというべきで
ある。
  そして,その犯行態様たるや,裸で全くの無防備であった被害者に対し,殺傷能
力の高い大型で鋭利な波刃万能ナイフ(刃体の長さが約17.8センチメートル)を
選択した上,被害者の身体の枢要部である腹部及び左腰部等を腹部から背部に
かけて貫通する創傷ができる程度の強さで,かつ,当該部分を狙って複数回突き
刺したものであり,しかも,大腿部にも身体を貫通する創傷ができるほどの強さで
突き刺すなどしており,極めて執拗,凶悪かつ残忍な態様であるといわざるを得な
い。
  被害者はいまだ26歳の若さであったにもかかわらず,何物にも代え難い尊い生
命を奪われたもので,その結果は重大である。もとより被害者には被告人から殺さ
れなければならないような落ち度はなく,アルバイト先において正社員として採用さ
れた矢先,これから前途洋々たる未来があったにもかかわらず,突如として本件
凶行に遭い,この世を去らざるを得なかったもので,その無念さは察するに余りあ
る。最愛の息子を失った被害者の母親の処罰感情が極めて強いのも当然である。
  さらに,本件犯行の現場に居合わせ犯行を目撃した当時16歳の少女がその衝
撃により,PTSD及び解離性障害等の深刻な精神障害を発病しているのであっ
て,被害者以外の者に与えた影響も大きい。
  また,犯行後の事情も芳しくない。
  被告人は,当公判廷において,殺意及び動機について,不合理な弁解に終始し
ていることからすれば,本件犯行について真摯に反省しているとも認め難い。 被
告人は,被害者の母親に対して手紙を書いた以外には,慰謝の措置を講じていな
い上,被害弁償は困難である。
3 銃砲刀剣類所持等取締法違反事案(判示第2の犯行)について
  被告人は,本件犯行当時,殺人に用いた殺傷能力の高い大型の波刃万能ナイフ
以外にも,刃体の長さが約13.1センチメートルと相当長い果物ナイフ1丁,並び
に刃体の長さが約7.6センチメートル及び約7.7センチメートルの長さのカッター
ナイフ2丁を,いつでも手に取れる状態で携帯していたものであり,その犯行態様
は危険かつ悪質である。上記4丁のナイフを携帯していた動機についても,上記の
とおり,被害者に対する嫉妬及び憎悪によるものであり,酌量の余地は全くない。
4 以上の諸事情からすれば,被告人の刑事責任は重大であるといわざるを得な
い。したがって,被告人が,殺意や動機の点を除いて判示第1の犯行の外形的事
実及び判示第2の犯行については認めており,反省の言葉を述べていること,被
害者の遺族に対して手紙を書くなど被告人なりに慰謝の態度を示していること,前
刑の服役を終えた後約15年間は罪を犯していなかったこと,職場における被告人
の仕事の評価は高いことなど,被告人に斟酌すべき事情を最大限に考慮しても,
被告人を主文記載の刑に処するのが相当である。
  よって,主文のとおり判決する。
(求刑・懲役15年,ナイフ4丁の没収)
   平成16年9月16日
      福井地方裁判所刑事部
        裁判長裁判官   久   保       豊
           裁判官   中   山   大   行
           裁判官   谷   田   好   史

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