弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件控訴をいずれも棄却する。
         理    由
 弁護人大家国夫の控訴趣意は、同弁護人提出の控訴趣意書記載のとおりであるか
ら、これを全部ここに引用すゐ。
 右に対する判断
 (一) 事実誤認の点について。
 原判決摘示の事実は、原判決の挙示引用にかかる証拠によつて、すべてこれを認
定するのに十分であり、証拠の取捨に関する原審裁判官の措置、証拠の証明力に関
する原審裁判官の判断に、経験法則の違背等特に不合理とすべき事由があるものと
は認められない。論旨は、原判示第一の事実につき、原判示Aの被告人らに対する
退去の要求は、土木課の部屋より廊下までの退去要求であり、原判示第二の事実に
つき、被告人Bにおいて原判示Cの身体に触れたのは、右Cの自由労務者に対する
就労斡旋中ではなくして、同人の被告人Bに対する侮辱口論中であつたという、い
ずれも原判決の認定しない事実の存在を前提として原判決の事実認定の不法を論難
するのであるが、所論の事実を記録に現われた証拠によつて認定すべきものとする
のは甚だ妥当ではなく、原判決に所論のような事実誤認の違法があるものとは認め
られない
 (二) 団体交渉の正当性の限界について。
 <要旨>労働組合側と使用者側との間における団体交渉が適法であるためには、交
渉が平和的で且つ秩序ある限度内に止まるものであることを要し、交渉にあ
たる者の人数が必要以上の多数に上り、交渉の時間が過度の長時間にわたり、一部
の者において激昂の余り机上を叩いて机上の硝子を破損し、多数の者が暴言を吐い
て喧騒し終始交渉の相手方たる者の身辺につきまとうて食事、用便、電話等一切の
行動を監視する等、交渉の経過において不当の勢威が一方に偏倚するものと認めら
れるような情況がある場合においてはその団体交渉は平和的で且つ秩序あるものと
はいい難い。今、本件についてこれを見るのに、原判決引用の各証拠に徴すれば、
交渉の経緯に関する原判決摘示の情況事実、殊に自由労働者多数が小倉市役所土木
課に到り、そのうち七、八十名の者は土木課の室外の廊下に待機し、被告人ら四名
は、その他の四、五十名の者と共に土木課の室内に立入り、土木課長Aの机の周囲
に参集し同人を相手として交渉し交渉中、次々と同所に参集した自由労働者の数は
一時約四百名以上に達し、交渉の時間は、午前九時頃から午後七時頃に至るまで約
十時間の長時間にわたり、その間、自由労働者の一名Dの如きは激昂の余り労働手
帳の束を振上げ土木課長の机に叩きつけて机上の硝子を破損し、他の多数労働者
は、室の内外で暴言、喧騒を極め、ために、土木課職員の執務は一時不能に陥り、
他方、土木課長周辺の多数の者は終始土木課長の身辺につきまとうて、食事、用
便、電話等一切の行動を監視して威圧を加える等、本件交渉は、その経過におい
て、不当の勢威が一方に偏倚するものと認められるような情況の下に行われ平和的
で且つ秩序あるものではなかつた事実を肯認するに足り右のような情況の下におけ
る交渉は、団体交渉の正当な範囲を逸脱するものであつて、適法な団体交渉とは認
め難く、従つて、被告人等の原判示所為の違法性を阻却するに由ないものと解すべ
く団体交渉の疋当性の限界に関し、右と同一の見解に出た原判決はまことに相当で
あつて、これを不当として論難する論旨には賛同し難い。
 その他原判決を破棄すべき事由がないので、刑訴第三九六条により本件控訴をい
ずれも棄却すべきものとする。
 以上の理由により主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 筒井義彦 裁判官 柳原幸雄 裁判官 岡林次郎)

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