弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1原告の請求をいずれも棄却する。
2訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1当事者の求めた裁判
1原告
(1)被告が,平成15年6月25日付けでした,平成10年4月1日から平
成11年3月31日まで,平成11年4月1日から平成12年3月31日ま
で及び平成12年4月1日から平成13年3月31日までの各事業年度の法
人税の各更正処分並びに平成13年4月1日から平成14年3月31日まで
の事業年度の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を取り消
す。
(2)訴訟費用は被告の負担とする。
2被告
(1)原告の請求をいずれも棄却する。
(2)訴訟費用は原告の負担とする。
第2事案の概要
本件は,その所有する資産を譲渡し,新たな資産を取得した後に,地方公共
団体から補助金の交付を受けた原告が,取得した資産について,租税特別措置
法65条の8第2項で準用する同法65条の7第1項の圧縮記帳と法人税法4
2条1項の圧縮記帳とを重複適用して確定申告を行った後,圧縮記帳の適用対
象資産を追加変更するとともに,上記圧縮記帳の規定を重複適用して修正申告
したところ,被告から,圧縮記帳の適用対象資産の変更は認められず,また,
原告が主張する方法での圧縮記帳の重複適用は許されないとして,法人税の更
正処分及び同処分に基づく過少申告加算税の賦課決定処分を受けたことから,
上記各処分は違法であると主張して,その取消しを求めているものである。
1法令の定め
(1)租税特別措置法平成10年法律第23号による改正前のもの以下措
(。「
置法」という)の定め

ア措置法65条の7第1項は,法人が,その有する資産で,同条1項の表
の各号の上欄に掲げるものの譲渡をした場合において,当該各号の下欄に
掲げる資産の取得をし,かつ,当該取得の日から1年以内に,当該取得を
した資産を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該法人の事業の用に
供したとき,又は供する見込みであるときは,当該買換資産につき,その
圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じて計算した金額の一定割合に相当する
金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し,又はその帳簿価額
を減額することに代えてその圧縮限度額以下の金額を損金経理により引当
金勘定に繰り入れる方法により経理したときに限り,その減額し,又は経
理した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金
の額に算入する旨規定している。
イ措置法65条の8第1項は,法人が,昭和45年4月1日から平成13
年3月31日までの間に,その有する資産で,同法65条の7第1項の表
の各号の上欄に掲げるものの譲渡をした場合において,当該譲渡をした日
を含む事業年度終了日の翌日から一定期間を経過するまでの期間(以下,
この期間を「取得指定期間」という)内に当該各号の下欄に掲げる資産

の取得をする見込みであり,かつ,当該取得の日から1年以内に当該取得
をした資産を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該法人の事業の用
に供する見込みであるときは,当該譲渡をした資産の譲渡に係る対価の額
のうち,当該譲渡をした資産に係る同表の各号の下欄に掲げる資産の取得
に充てようとする額に差益割合を乗じて計算した金額の一定割合に相当す
る金額を当該譲渡日を含む事業年度の確定した決算において特別勘定とし
て経理した場合に限り,その経理した金額に相当する金額は,当該事業年
度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定している。
,,
ウ措置法65条の8第2項は同条1項の特別勘定を設定している法人が
取得指定期間内に同項の特別勘定に係る同法65条の7第1項の表の各号
の下欄に掲げる資産の取得をした場合において,当該取得の日から1年以
内に,当該買換資産を当該各号の下欄に規定する地域内にある当該法人の
事業の用に供したとき,又は供する見込みであるときは,同条1項の規定
を準用し,当該買換資産につき,その圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じ
て計算した金額の一定割合に相当する金額の範囲内で,同法65条の8第
1項の特別勘定に相当するものについて,その帳簿価額を損金経理により
減額し,又はその帳簿価額を減額することに代えて,その圧縮限度額以下
の金額を損金経理により引当金勘定に繰り入れる方法により経理したとき
に限り,その減額し,又は経理した金額に相当する金額は,当該買換資産
の取得の日を含む事業年度の所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨
規定している。
(2)租税特別措置法関係通達(以下「措置法通達」という)の定め

措置法通達65の7(3)−3は,同一事業年度において措置法65条の7
第1項の表のいずれか一の号の規定の適用を受ける買換資産が2以上ある場
合には,譲渡資産の対価の額は,それらの買換資産のうち一の買換資産の取
得価額に達するまでその取得に充てられたものとし,次にその残額について
他の買換資産の取得価額に達するまで順次に充てられたものとして計算する
ことに留意する。この場合において,当該対価の額がいずれの買換資産から
まず充てられたものとするかは,法人の計算によるものとする旨規定する。
(。「」
(3)法人税法平成13年法律第6号による改正前のもの以下法人税法
という)の定め

法人税法42条1項は,内国法人が,各事業年度において固定資産の取得
又は改良に充てるための国又は地方公共団体の補助金その他政令で定めるこ
れに準ずるもの(以下「国庫補助金等」という)の交付を受け,当該事業

年度においてその国庫補助金等をもってその交付の目的に適合した固定資産
の取得又は改良をした場合において,その固定資産につき,当該事業年度に
おいて,その取得又は改良に充てた国庫補助金等の額に相当する金額(以下
「」。
),
圧縮限度額というの範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額し
又はその圧縮限度額以下の金額を法人税法施行令で定める方法により経理し
たときは,その減額し又は経理した金額に相当する金額は,当該事業年度の
所得の金額の計算上,損金の額に算入する旨規定する。
(4)法人税法基本通達(以下「基本通達」という)の定め

基本通達10−2−2は,法人が国庫補助金等の交付を受けた日の属する
事業年度前の事業年度においてその交付の目的に適合する固定資産の取得等
をしている場合には,その交付を受けた事業年度において当該固定資産につ
き法人税法42条1項の規定を適用することができる。この場合における圧
縮限度額は,同項の規定にかかわらず,法人税法施行令82条の規定に準じ
て計算した金額による旨規定している。
2争いのない事実等
(1)原告は,平成9年6月11日,所有する愛媛県今治市α7番2及び同7
番7の土地及びその土地上の建物を9952万0957円で譲渡した。上記
土地及び建物の譲渡直前の帳簿価額は7523万9341円であった。
(2)原告は,平成10年6月1日,被告に対し,平成9年4月1日から平成
10年3月31日までの事業年度(以下「平成10年3月期」という)の

法人税につき,措置法65条の8第1項に規定する特別勘定として経理した
金額1456万8969円を損金の額に算入して,確定申告書を提出した。
,,,(,
(3)原告は平成11年2月28日下記の金額により下記の資産以下
アないしウを併せて「本件目的資産」という)を取得した。


ア愛媛県宇和島市β102−1所在のA(以下「本件建物」という)

6411万3107円
イ本件建物に係る電気設備,衛生設備及び空調設備(以下「本件建物付属
設備」という)1811万6893円

ウ機械装置(以下「本件機械装置」という)4920万円

エ岸壁204万5020円
オ駐車場外溝503万4440円
総合計1億3850万9460円
(4)原告は,平成11年4月27日,愛媛県宇和島市から平成10年度沿岸
(「」
漁業活性化構造改善事業費補助金5257万2000円以下本件補助金
という)の交付を受けた。

(5)原告は,平成11年6月30日,被告に対し,平成10年4月1日から
(「」。

平成11年3月31日までの事業年度以下平成11年3月期という
の法人税につき,下記の内容を記載した「特定の資産の買換えにより取得し
た資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書(22号該当(甲10号証。


以下「別表十三(五」という)を添付し,別紙1の「確定申告」欄記載
)。
のとおり記載して,確定申告書を提出した。

ア差益割合(10)欄0.243984952
イ取得した買換資産の種類(11)欄建物他
ウ買換資産の取得価額(14)欄138,509,460円
エ買換資産の帳簿価額を減額し,若しくは引当金又は積立金に経理した金
額(18)欄14,568,969円
オ圧縮基礎取得価額(20)欄99,520,957円
カ圧縮限度額(24)欄14,568,969円
(6)原告は,平成12年6月30日,被告に対し,平成11年4月1日から
(「」。

平成12年3月31日までの事業年度以下平成12年3月期という
の法人税につき,本件補助金によって本件目的資産を取得したものとして,
法人税法42条1項に規定する圧縮記帳を適用し,別紙1の「確定申告」欄
記載のとおり記載して,確定申告書を提出した。
(7)原告は,被告に対し,平成12年4月1日から平成13年3月31日ま
で及び平成13年4月1日から平成14年3月31日までの各事業年度(以
下,それぞれ「平成13年3月期「平成14年3月期」という)の法人

,。
税につき,別紙1の「確定申告」欄記載のとおり記載して,法定申告期限ま
でに各確定申告書を提出した。
(8)原告は,平成15年5月19日,被告に対し,別紙1の「修正申告」欄
記載のとおり記載して,平成12年3月期,平成13年3月期及び平成14
年3月期の法人税の各修正申告書を提出した。
また,原告は,被告が原告に対して行う法人税等調査を担当していた特別
国税調査官に対し,別紙2のとおり記載した「特定の資産の買換えにより取
得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書(22号該当(甲4号


証。以下「別表十三(五)訂正分」という)を提出した。

(9)被告は,平成15年6月25日付けで,別紙1の「更正処分等」欄記載
のとおりの平成11年3月期,平成12年3月期,平成13年3月期及び平
成14年3月期の法人税の更正処分(以下「本件各更正処分」という)並

びに平成14年3月期の法人税の過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本
件賦課決定処分」という)を行った(以下,本件各更正処分及び本件賦課

決定処分を併せて「本件更正処分等」という。


(10)原告は,平成15年8月12日,本件更正処分等を不服として異議申立
てを行ったが,被告は,同年11月10日付けでこれを棄却する旨の異議決
定を行った。
(11)原告は,平成15年12月9日,国税不服審判所長に対し,上記異議決
定に不服があるとして審査請求を行ったが,国税不服審判所長は,平成16
年7月2日付けでこれを棄却する旨の裁決を行った。
(12)原告は,上記裁決に不服があるとして,本件訴訟を提起した。
3争点及び争点に関する当事者の主張
(1)本件建物以外の本件目的資産について,措置法65条の8第2項で準用
する同法65条の7(以下「措置法65条の7」という場合,措置法65条
の8第2項で準用する場合をも含む)第1項に規定する圧縮記帳を適用す

るように修正することができるか(争点1。

(原告の主張)
,,
原告が措置法65条の7第1項に規定する圧縮記帳の対象とする資産は
本件目的資産全てであったが,原告は,法人税の確定申告書に添付した別表
十三(五)の「取得した買換資産の種類(11」欄に「建物他」と記載し

たこともあり,誤って,本件建物の帳簿価額から,本件目的資産それぞれに
おいて計算される圧縮限度額を合計した1456万8969円を減額してし
まった。
しかし,上記経理処理は誤りであったので,措置法通達65の7(3)−3
の規定により,従来計上していた圧縮限度額1456万8969円の範囲内
で,別表十三(五)を別紙2のとおり記載して修正した(別表十三(五)訂
正分。

そして,上記の誤りは,事実の認識の違いや公正妥当な会計処理の基準に
よらなかった等のため,当期の決算で計算した損益の内容について誤りがあ
る場合に該当し,このような場合は,法人の経理処理に関係なく所得計算に
含める,いわゆる申告調整事項と呼ばれる事項に該当するから,確定申告後
においても,修正することは可能である。
(被告の主張)
ア特定資産の買換えの場合の圧縮記帳は,国,地方公共団体の土地政策,
環境政策等の遂行の円滑化等を図るため,課税の特例として設けられたも
のであり,措置法65条の7第1項により,圧縮記帳の適用対象資産の帳
簿価額を損金経理により減額し,又は,その帳簿価額を直接減額すること
に代えて,その圧縮限度額以下の金額を損金経理により引当金勘定に繰り
入れる方法により経理したときに限り,その減額し,又は経理した金額に
相当する金額を,当該事業年度の所得の計算上,損金の額に算入すること
ができるとされている。そして,ここにいう損金経理とは,法人がその確
定した決算において費用又は損失として経理することをいう(措置法2条
2項10号,法人税法2条26号)から,上記特例の適用を受けるために
は,確定した決算において所定の経理処理を行うことが要件となる。
,,,,
これに対し原告は確定した決算において本件建物の帳簿価額から
本件建物の取得価額の合計額に基づき算定した圧縮限度額の合計額相当額
を損金経理により減額したものの,本件建物付属設備及び本件機械装置に
ついては,所定の経理処理を行っていない。
したがって,本件建物付属設備及び本件機械装置について上記特例の適
用を受けることはできず,別紙2のように訂正することはできない。
イまた,原告は,措置法通達65の7(3)−3の規定を根拠に,本件建物
付属設備及び本件機械装置についても圧縮記帳の対象となる旨主張する
が,上記通達は,買換資産が2以上ある場合に,それら買換資産の圧縮記
帳後の帳簿価額を算定するに当たり,譲渡資産の対価の額をどの買換資産
にいくら充てたと算定すべきかを規定したものであり,確定決算において
所定の経理処理を行うことを前提とする規定であって,確定申告後の修正
により,適用対象資産を追加変更できることを定めたものではない。
(2)本件目的資産全てについて法人税法42条1項に定める圧縮記帳を適用
するように修正申告することができるか(争点2。

(原告の主張)
上記(1)のとおり,本件建物以外の本件目的資産にも特別措置法65条の
7第1項による圧縮記帳を適用したから,それとのバランスからして法人税
法42条1項の圧縮記帳も本件目的資産全てについて適用する必要がある。
(被告の主張)
,,
法人税法42条1項は国庫補助金等で取得した資産の圧縮記帳について
「圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額したときは,その減
額した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の計算上,損金の
額に算入する」と規定しており,同条の適用を受けるためには,確定した

決算において所定の経理処理を行うことが要件となる。
これに対し,原告は,確定した決算において,本件建物及び本件建物付属
設備の一部については所定の経理処理を行いながら,本件機械装置について
は,所定の経理処理を行っていない。
したがって,本件補助金で取得した資産の圧縮記帳について,修正申告に
より,適用対象資産を本件目的資産全てとするよう追加変更することは許さ
れない。
(3)本件建物について法人税法42条1項の圧縮記帳と措置法65条の7第
1項の圧縮記帳とを重複適用することができるか(争点3。

(原告の主張)
ア法人税法42条1項及び措置法65条の7第1項の重複適用を禁止した
法令はなく,またこれら2つの圧縮記帳を重複適用しても,課税上の弊害
はない。
また,法人税法基本通達10−2−2は,法人が,国庫補助金等の交付
を受けた日の属する事業年度前の事業年度において,その交付の目的に適
合する固定資産の取得等をしている場合には,その交付を受けた事業年度
において当該固定資産につき法人税法42条1項の適用をすることができ
ると定めており,国庫補助金等に先行して目的資産を取得した場合にも,
同条項の適用は妨げられない。
本件において,原告は,平成9年6月11日に土地建物を売却し,平成
11年2月28日までに本件目的資産を取得したから,措置法65条の7
第1項により圧縮記帳を行うことが可能である。加えて,本件目的資産の
取得が平成11年2月28日であり,本件補助金の交付を受けたのが同年
4月27日であるから,国庫補助金等の交付に先行して目的資産を取得し
た場合に該当し,法人税法42条1項及び基本通達10−2−2により圧
縮記帳を行うことが可能である。
イ被告は,措置法65条の7第1項に規定する圧縮記帳と法人税法42条
1項に規定する圧縮記帳とをともに適用するのであれば,取得した目的資
産の取得価額を,買換資産の譲渡対価額で支払われたとされる部分(措置
法65条の7第1項により圧縮記帳がされるべき部分)と,国庫補助金等
の交付金のうちから支払われたとされる部分(法人税法42条1項により
圧縮記帳がされるべき部分)とに区分しなければならないと主張する。
この点,同一事業年度において,譲渡対価額と国庫補助金等とを資金と
して目的資産を取得した場合には,被告が主張するような区分を行う必要
があるが,国庫補助金等の交付に先行して,譲渡対価額を資金として目的
資産を取得した場合には,目的資産を取得した事業年度において,既に措
置法の規定により圧縮記帳を行っているため,国庫補助金等の返還を要し
ないこととなった日における当該資産の帳簿価額は,措置法の規定による
圧縮限度額及び減価償却費額を減額したものとなっている。
したがって,国庫補助金等の交付を受けた日を含む事業年度に法人税法
42条1項の圧縮記帳を適用する場合には,上記のとおり帳簿価額が減額
され,圧縮限度額超過額として取り戻されているので,目的資産の額を区
分する必要はないのである。
(被告の主張)
ア内国法人が国庫補助金等の交付を受けた場合には,課税所得の計算上,
益金の額に算入されるのが本来であるが,国庫補助金等の受入れに伴い課
税利益が生ずるものとした場合には,その国庫補助金等によって取得を予
定された資産の取得資金が税の額だけ不足することとなり,その取得がで
きなくなる可能性があるため,これを調整する手段として,法人税法42
条1項に圧縮記帳の制度が設けられている。
そして,法人税法42条1項は,国庫補助金等の交付と資産の取得等を
同一事業年度に行うことを原則としているのであるが,基本通達10−2
−2は,国庫補助金等による取得に係る目的資産を補助金交付に先行して
取得した場合にも圧縮記帳ができることを明らかにしている。しかし,同
通達は,先行取得された資産には,既往事業年度において減価償却費の計
上等がされている場合があるため,それらとの関係において,同一事業年
度に資産を取得した場合との整合性を保つために,先行取得した資産を国
庫補助金等により取得したものとみなし,既往の減価償却額等を取り戻す
ための規定にすぎず,買換資産とは無関係の規定であって,法人税法の圧
縮記帳と措置法の圧縮記帳の重複適用を認める規定ではない。
なお,ある資産の取得について,措置法65条の7第1項に規定する圧
縮記帳と法人税法42条1項に規定する圧縮記帳とがともに適用されるケ
ースはあるが,これは,その資産の取得価額を,譲渡対価額で支払われた
()
とされる部分措置法65条の7第1項により圧縮記帳がされるべき部分
と交付金のうちから支払われたとされる価格(法人税法42条1項により
圧縮記帳がされるべき部分)とに区分して,上記両規定を個別に適用する
場合であり,重複適用というよりも,同時適用というのが適当である。
イ本件において,原告は,平成11年3月期に,その所有する愛媛県今治
市α7番2及び同7番7の土地及びその土地上の建物を9952万095
7円で譲渡して,本件建物を6411万3107円で取得したとして,措
置法65条の7第1項に規定する特定資産の買換えの圧縮記帳を適用し
た。そうすると,原告は,上記譲渡代金をもって本件建物を取得したので
あって,愛媛県宇和島市から交付を受けた本件補助金5257万2000
円を本件建物の取得に充てることはあり得ない。このことは,本件目的資
産の取得が,補助金の交付の目的に適合するものであったとしても左右さ
れるものではない。
したがって,原告の本件目的資産取得は,法人税法42条に規定する国
庫補助金等をもって資産を取得した場合には該当しないのであって,同条
に規定する圧縮記帳の適用をすることもできない。
第3当裁判所の判断
1争点に対する判断
(1)争点1(本件建物以外の本件目的資産について,措置法65条の8第2
項で準用する同法65条の7第1項に規定する圧縮記帳を適用するように修
正することができるか)について

ア措置法65条の7第1項は,法人が資産を買い換えた場合につき,その
圧縮基礎取得価額に差益割合を乗じて計算した金額の一定割合に相当する
金額の範囲内でその帳簿価額を損金経理により減額したときに限り,その
減額した金額に相当する金額を,当該事業年度の所得の金額の計算上,損
金の額に算入することを認めている。
そして,ここにいう損金経理とは,法人がその確定した決算において費
用又は損失として経理することをいい(同法2条2項10号,法人税法2
条26号,法人税の確定申告書に添付する「特定の資産の買換えにより

取得した資産の圧縮額等の損金算入に関する明細書22号該当の1
()
」「
8」欄にも,買換資産の帳簿価額を減額した金額を記入するよう書式が整
えられている。
したがって,資産の買換えによる圧縮記帳の適用を受けるためには,確
定した決算において,措置法65条の7第1項に規定する経理処理を行う
ことが要件となっているといえる。
イ本件においては,前記争いのない事実等に加え,証拠(乙1号証,15
号証,16号証,17号証の1及び2)及び弁論の全趣旨によれば,原告
が,平成11年3月期に,特定資産買換えの圧縮処理として,6411万
3107円で取得した本件建物のみについて帳簿価額を損金経理によって
減額(圧縮損額1456万8969円)しており,本件建物付属設備及び
本件機械装置の各帳簿価額を損金経理によって減額していないことが認め
られる。
したがって,本件において,資産の買換えによる圧縮記帳の適用対象と
することができるのは,本件建物のみであって,本件建物以外の本件目的
資産についても圧縮記帳の適用を受けうるものとして,別表十三(五)を
別紙2のとおり修正することは許されないというべきである。
ウ原告は,措置法65条の7第1項に規定する圧縮記帳の対象とする資産
は,本件目的資産全てであったが,誤って,本件建物の帳簿価額から,本
件目的資産それぞれにおいて計算される圧縮限度額を合計した1456万
8969円を減額したにすぎず,事実の認識の違いや公正妥当な会計処理
の基準によらなかった等のため,当期の決算で計算した損益の内容につい
て誤りがある,いわゆる申告調整事項と呼ばれる事項に該当するから,確
定申告後においても,修正することは可能であると主張する。
原告自身は,法人税の申告をするに当たり,本件目的資産全てを圧縮処
理の対象とする認識の下,別表十三(五)を作成したと考えられる。
しかしながら,圧縮記帳の処理については,上記判断のとおり,会計上
損金経理により減額していることが重要な適用要件であるところ,本件建
物付属設備及び本件機械装置については,平成11年3月期の決算におい
て,帳簿価額の減額という損金経理を行っておらず,その決算と異なる記
載は,事実の認識違いや単なる計算違いなどとは評価し得ず,原告の上記
主張を採用することはできない。
なお,原告は,措置法基本通達65の7(3)−3の規定を根拠に,本件
建物以外の本件目的資産について,措置法65条の7第1項に規定する圧
縮記帳を適用するよう別表十三(五)を修正したと主張するが,上記通達
は,同条の7第1項の表のいずれか一の号の適用を受ける買換資産が2以
上ある場合に,それら買換資産の圧縮記帳後の帳簿価額を算定するに当た
り,譲渡資産の対価の額をどの買換資産にいくら充てたと算定すべきかを
規定したものにすぎず,確定申告後の修正により,適用対象資産を追加変
更できることを定めたものではない。
(2)争点2(本件目的資産全てについて法人税法42条1項の圧縮記帳を適
用するように修正申告することができるか)について

ア法人税法42条1項は,内国法人が国庫補助金等で取得した資産の圧縮
記帳につき,圧縮限度額の範囲内で帳簿価額を損金経理により減額したと
きは,その減額した金額に相当する金額は,当該事業年度の所得の金額の
計算上,損金の額に算入すると規定し,ここにいう損金経理とは,法人が
その確定した決算において費用又は損失として経理することをいう(同法
2条26号。また,法人税の確定申告書に添付する「国庫補助金等,工

事負担金及び賦課金で取得した固定資産等の圧縮額等の損金算入に関する
明細書」の「6」欄にも,固定資産の帳簿価額を減額した金額を記入する
よう書式が整えられている。
したがって,法人税法42条の適用を受けるためには,確定した決算に
おいて所定の経理処理を行うことが要件となっているといえる。
イ本件においては,前記争いのない事実等に加え,証拠(甲7号証,乙1
6号証)及び弁論の全趣旨によれば,原告が,平成12年3月期に,本件
補助金で取得したとして,本件建物の帳簿価額を4954万4137円減
額し,本件建物付属設備の帳簿価額を302万7863円減額して,損金
経理をしたことが認められるが,本件機械装置について,帳簿価額を損金
経理によって減額したことを認めるに足りる証拠はない。
したがって,本件において,法人税法42条に規定する圧縮記帳の適用
対象とすることができるのは,本件建物及び本件建物付属設備のみであっ
て,本件機械装置について,圧縮記帳の適用対象とすることはできない。
(3)争点3(本件建物について法人税法42条1項の圧縮記帳と措置法65
条の7第1項の圧縮記帳とを重複適用することができるか)について

ア措置法65条の7第1項に規定する圧縮記帳の制度は,法人が,設備の
更新又は立地条件の変更等のために資産を処分したときに生ずる所得に法
人税を課税すると,その税負担に相当する分だけ再生産規模を縮小させる
こととなるため,設備更新による産業設備の合理化,工場移転による産業
立地の改善等,企業基盤の強化拡充及び企業資本の有効利用を図るという
趣旨で,上記資産の譲渡に伴う利益に対する課税の特例として設けられた
ものである。
このような制度趣旨に照らせば,設備の更新等が行われた場合であって
も,資産の譲渡利益に相当する部分が設備の更新等に係る資産の取得に充
てられておらず,譲渡利益に対する課税が再生産規模を縮小させることと
ならないような場合には,同制度の適用がないと解すべきである。
したがって,措置法65条の7は,譲渡対価をもって資産を取得したこ
とを明文上要件としていないものの,そのことを当然の前提としていると
いうべきであって,例えば,資産の取得資金の一部に国庫補助金が充てら
れた場合には,その部分を同条の適用対象資産に含めて圧縮額の計算をす
ることはできないと解すべきである。
他方,法人税法42条1項に規定する圧縮記帳の制度は,法人が,国庫
補助金等を受けた場合,課税所得の計算上は益金の額に算入され,原則的
には,これに課税されるべきであるが,国庫補助金の受入れにより課税利
益が生ずるとすると,国庫補助金等によって資産を取得することを予定し
ている場合に,予定された取得資金が税の額だけ不足し,その取得ができ
なくなる結果,補助金の交付の目的を達することができない可能性がある
ので,受贈益の課税を繰り延べてこれを調整する手段として設けられたも
のである。
このような制度趣旨及び同条の「当該事業年度においてその国庫補助金
等をもってその交付の目的に適合した固定資産の取得又は改良をした場
合」という文言からすれば,同条は,資産の取得に国庫補助金等が充てら
れない場合には,適用がないといえる。
以上のことからすると,原告が主張するように,措置法65条の7第1
項に規定する圧縮記帳と,法人税法42条第1項に規定する圧縮記帳とを
併せて適用することを禁止する旨の規定は存在しないものの,これら2つ
の圧縮記帳を併せて適用するに当たっては,少なくとも取得した資産の取
得価額を,譲渡対価額によって取得したとする部分と,国庫補助金等によ
って取得したとする部分とに区分して,圧縮損額の計算をすることが必要
であると解すべきである。
イ本件においては,前記(1)イのとおり,原告が,平成11年3月期に,
特定資産買換えの圧縮処理として,取得価額が6411万3107円であ
る本件建物の帳簿価額を,圧縮損額1456万8969円と算出して損金
処理をしたことが認められるが,これは,愛媛県今治市の土地及び建物を
譲渡した対価額9952万0957円をもって,本件建物を取得したとす
るものにほかならず,本件建物について,併せて本件補助金によって取得
したとする余地はない。
したがって,本件建物の取得につき,本件補助金をその取得に充てたと
いうことはできないから,本件においては,そもそも法人税法42条に規
定する圧縮記帳の適用がないというべきである。
ウまた,原告は,基本通達10−2−2が重複適用の根拠になると主張す
るが,同通達は,国庫補助金等の交付に先行して,目的資産を取得した場
合にも圧縮記帳ができることを明らかにするとともに,先行取得された資
産には,既往事業年度において減価償却費の計上されている場合などがあ
るため,同一事業年度に資産を取得した場合との整合性を保つために,先
行取得した資産を国庫補助金等により取得したものとみなし,既往の減価
償却額等を取り戻すための規定にすぎず,何ら,法人税法上の圧縮記帳と
措置法上の圧縮記帳の重複適用を認めるものではないから,原告の上記主
張を採用することはできない。
エさらに,原告は,同一事業年度において,国庫補助金等と譲渡対価額と
を資金として目的資産を取得した場合には,目的資産の取得価額を区分す
る必要があるが,国庫補助金等の交付に先行して,譲渡対価額を資金とし
て目的資産を取得した場合には,目的資産を取得した事業年度において,
既に,措置法の規定により圧縮記帳を行っているため,国庫補助金等の返
還を要しないこととなった日における当該資産の帳簿価額は,措置法の規
定による圧縮限度額及び減価償却額を減額したものとなっているところ,
国庫補助金等の交付を受けた日を含む事業年度に法人税法上の圧縮記帳を
適用する場合には,上記のとおり帳簿価額が減額され,圧縮限度額超過額
として取り戻されているので,目的資産の額を区分しないと主張する。
この点,確かに,国庫補助金等の交付に先行して目的資産を取得した場
合には,国庫補助金等の交付を受けるまでの間に,目的資産につき実際の
取得価額を基礎として減価償却を行っていることがあり得る。そこで,前
述のとおり,基本通達10−2−2が,圧縮額に対応する既往の減価償却
額を取り戻すために,実際の取得価額に対する国庫補助金等の交付を受け
た時点における当該資産の帳簿価額の割合を当該補助金等の額に乗じて計
算した金額をもって,この場合の圧縮限度額とする旨規定している。
,,,
しかしながら圧縮記帳の重複適用を行うに当たっては前述のとおり
目的資産の取得に,譲渡対価額及び国庫補助金等のいずれをも充てたこと
が必要となるのであって,その場合には,資産の譲渡,国庫補助金等の交
付の先後を問わず,目的資産の取得価額を譲渡対価額にもって充てた部分
と国庫補助金等をもって充てた部分とに区分する必要があるというべきで
ある。
したがって,原告の上記主張を採用することはできない。
2本件更正処分等の適法性
(1)平成11年3月期について
ア証拠(乙2号証の1,16号証)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事
実を認めることができる。
a原告は,平成11年3月期法人税の確定申告書に,欠損金額として2
649万8883円,翌期へ繰り越す欠損金額として8716万539
8円とそれぞれ記載した。
b原告は,平成11年3月期において,本件建物につき,減価償却費と
して18万5790円を計上した。
c平成11年3月期において,原告に対し還付される所得税額は,10
3万0587円であった。
イ原告は,前記認定事実のとおり,平成11年3月期に,特定資産買換え
の圧縮処理として,6411万3107円で取得した本件建物の帳簿価額
を損金経理によって圧縮損額1456万8969円を減額しているが,本
件建物に係る圧縮限度額は,以下の算式のとおり,938万5580円で
あることから,本件建物につき原告が計上した上記固定資産圧縮損145
6万8969円との差額518万3389円は,原告の所得金額に加算す
べきである。
(圧縮基礎取得額)(差益割合)(圧縮限度額)
64,113,107円×24,281,616×0.6=9,385,580円
99,520,957
(円未満切捨て)
また,本件建物は,減価償却資産の耐用年数に関する省令(平成15年
財務省令第38号改正前のもの)によれば,その耐用年数は31年,適用
すべき定額法による償却率は,0.033と認められるので,本件建物に
係る減価償却費は,以下の算式のとおり,13万5450円と算出される
ことから,本件建物につき原告が申告した減価償却費18万5790円と
の差額5万0340円は,減価償却超過額として原告の所得金額に加算す
べき金額である。
(圧縮後取得価額−残存価額(償却率)(償却限度額)

(54,727,527円−5,472,752円)×0.033×1=135,450円
(円未満切捨て)
ウ以上のことから,被告がした,平成11年3月期における原告の欠損金
額を2126万5154円,翌期へ繰り越す欠損金額を8193万166
9円,確定申告等による所得税額等の還付金額を103万0587円とす
る更正処分は適法である。
(2)平成12年3月期について
ア証拠(甲6号証,乙4号証,14号証の1,18号証,19号証)及び
弁論の全趣旨によれば,以下の事実を認めることができる。
(ア)原告は,平成12年3月期の修正申告において,本件建物につき,
減価償却不足額79万5221円を計上した。
(イ)原告は,平成12年3月期の修正申告において,本件建物付属設備
につき44万5381円,本件機械装置につき303万3324円の
減価償却超過額が生じていたとして,それぞれ自己否認した。
(ウ)原告は,平成12年3月期の修正申告において,本件建物につき3
06万2032円,本件建物付属設備につき86万5903円,本件
機械装置につき234万6722円の圧縮限度超過額が生じていたと
して,それぞれ自己否認した。
(エ)原告は,平成12年3月期法人税の修正申告書に,欠損金額として
6502万7881円と記載した。
(オ)平成12年3月期において,原告に対し還付される所得税額は,5
6万4519円であった。
イ原告は,前記認定事実のとおり,平成11年3月期に,愛媛県今治市の
土地建物を譲渡した対価額で本件建物を取得したとして,措置法65条の
7第1項に規定する圧縮記帳によって,本件建物の帳簿価額を損金経理に
よって減額していることから,平成12年3月期において,本件建物の帳
簿価額を法人税法42条1項の圧縮記帳によって減額処理することはでき
ず,原告が平成12年3月期に損金に計上した固定資産圧縮損額4954
万4137円は,圧縮限度超過額として,原告の所得金額に加算されるべ
きである。
また,前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対象
とならないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象とす
るよう追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前提とし
た減価償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともできないこ
とから,原告が計上した減価償却不足額79万5221円は,原告の所得
金額に加算されるべきである。
ウ上記イのとおり,本件建物につき圧縮限度超過額が生じたため,本件建
物に係る減価償却費を算出すべきところ,その計算式は,以下のとおりで
ある。
(圧縮後取得価額−残存価額(償却率)(償却限度額)

(54,727,527円−5,472,752円)×0.033=1,625,407円
(円未満切捨て)
したがって,上記162万5407円は,減価償却費として,原告の所
得金額から減算されるべきである。
また,前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対象
とならないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象とす
るよう追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前提とし
た減価償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともできないこ
とから,原告が自己否認した本件建物付属設備に係る減価償却超過額44
万5381円及び本件機械装置に係る減価償却超過額303万3324円
は,それぞれ,原告の所得金額から減算されるべきである。
さらに,前述のとおり,本件建物については,平成11年3月期におい
て既に譲渡対価額によって取得したものとして措置法65条の7第1項に
規定する圧縮記帳の処理が行われているため,法人税法42条1項に規定
する圧縮記帳をする余地がないこと,本件機械装置については,当初の確
定申告において圧縮損を計上しておらず,修正申告によって圧縮記帳を適
用することができないことのほか,本件建物付属設備には圧縮限度超過額
が生じていないことから,原告が自己否認した本件建物に係る圧縮限度超
過額306万2032円,本件建物付属設備に係る圧縮限度超過額86万
5903円及び本件機械装置に係る圧縮限度超過額234万6722円
は,それぞれ,原告の所得金額から減算されるべきである。
エ以上のことから,被告がした,平成12年3月期における原告の欠損金
額を2606万7292円,翌期へ繰り越す欠損金額を1億0799万8
961円,確定申告等による所得税額等の還付金額を56万4519円と
する更正処分は適法である。
(3)平成13年3月期について
(,,),
ア証拠乙5号証14号証の220号証及び弁論の全趣旨によれば
以下の事実を認めることができる。
(ア)原告は,平成13年3月期の修正申告において,本件建物につき,
減価償却不足額79万5221円を計上した。
(イ)原告は,平成13年3月期の修正申告において,本件建物付属設備
につき31万7117円,本件機械装置につき218万3412円の減
価償却超過額が生じていたとして,それぞれ自己否認した。
(ウ)原告は,平成13年3月期法人税の修正申告書に,繰越欠損金の当
期控除額として2324万4110円と記載した。
(エ)平成13年3月期において,原告に対し還付される所得税額は,5
7万7475円であった。
イ前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対象となら
ないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象とするよう
追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前提とした減価
償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともできないから,原
告が計上した減価償却不足額79万5221円は,原告の所得金額に加算
されるべきである。
ウ前記(2)イのとおり,本件建物につき圧縮限度超過額が生じたため,本
件建物に係る減価償却費を算出すべきところ,その計算式は,以下のとお
りである。
(圧縮後取得価額−残存価額(償却率)(償却限度額)

(54,727,527円−5,472,752円)×0.033=1,625,407円
(円未満切捨て)
したがって,上記162万5407円は,減価償却費として,原告の所
得金額から減算されるべきである。
また,前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対象
とならないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象とす
るよう追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前提とし
た減価償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともできないこ
とから,原告が自己否認した本件建物付属設備に係る減価償却超過額31
万7117円及び本件機械装置に係る減価償却超過額218万3412円
は,それぞれ,原告の所得金額から減算されるべきである。
エ以上のことから,被告がした,平成13年3月期における原告の所得金
額を0円,翌期へ繰り越す欠損金額を8808万5566円,確定申告等
による所得税額等の還付金額を57万7475円とする更正処分は適法で
ある。
(4)平成14年3月期について
ア更正処分について
(ア)証拠(乙6号証,14号証の3,21号証)及び弁論の全趣旨によ
れば,以下の事実を認めることができる。
a原告は,平成14年3月期の修正申告において,本件建物につき,
減価償却不足額79万5221円を計上した。
b原告は,平成14年3月期の修正申告において,本件建物付属設備
につき20万4285円,本件機械装置につき158万6446円の
減価償却超過額が生じていたとして,それぞれ自己否認した。
c原告は,平成14年3月期法人税の修正申告書に,繰越欠損金の当
期控除額として1億1855万6997円と記載した。
d平成14年3月期において,原告に対し還付される所得税額は,1
67万9198円であった。
(イ)前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対象と
ならないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象とす
るよう追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前提と
した減価償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともできな
いことから,原告が計上した減価償却不足額79万5221円は,原告
の所得金額に加算されるべきである。
,,
(ウ)前記(2)イのとおり本件建物につき圧縮限度超過額が生じたため
本件建物に係る減価償却費を算出すべきところ,その計算式は,以下の
とおりである。
(圧縮後取得価額−残存価額(償却率)(償却限度額)

(54,727,527円−5,472,752円)×0.033=1,625,407円
(円未満切捨て)
したがって,上記162万5407円は,減価償却費として,原告の
所得金額から減算されるべきである。
また,前述のとおり,損金経理を経ていない資産は圧縮記帳の適用対
象とならないことから,これを修正申告等によって圧縮記帳の適用対象
とするよう追加変更することは許されず,追加変更が許されることを前
提とした減価償却費の計算の基礎となる取得価額の修正を行うこともで
きないことから,原告が自己否認した本件建物付属設備に係る減価償却
超過額20万4285円及び本件機械装置に係る減価償却超過額158
万6446円は,原告の所得金額から減算されるべきである。
(エ)以上のことから,平成14年3月期における原告の所得金額は,2
,(「」
785万0514円と算出されるがこれに国税通則法以下通則法
という)118条1項を適用して算定した金額を基に,法人税法66

条3項及び経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人
税の負担軽減措置に関する法律16条に従って算定した法人税額から控
除所得税額等を差し引き,通則法119条1項を適用すると,平成14
年3月期における原告の差引所得に対する税額は,444万7800円
と算出することができる。
そして,上記差引所得に対する税額に原告が確定申告において還付を
受けた所得税額等を加算し,通則法119条1項を適用すると,原告が
差引納付すべき法人税額は,612万6900円と算出することができ
る。
(オ)よって,被告がした,平成14年3月期における原告の所得金額を
2785万0514円,差引所得に対する税額を444万7800円,
差引納付すべき法人税額を612万6900円とする更正処分は適法で
ある。
イ賦課決定処分について
,,
上記のとおり平成14年3月期の法人税の更正処分は適法であるから
これを前提として行われた本件賦課決定処分も適法である。
3結論
よって,原告の請求は,いずれも理由がないからこれを棄却し,訴訟費用の
負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して主文のとおり
判決する。
松山地方裁判所民事第1部
裁判長裁判官澤野芳夫
裁判官竹尾信道
裁判官白石裕子

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