弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件抗告を棄却する。
     抗告費用は抗告人の負担とする。
         理    由
 本件抗告の趣旨ならびに理由は別紙(一)および(二)記載のとおりである。
 東京地方裁判所昭和四三年(ヨ)第一一、四二九号船舶仮差押申請事件、横浜地
方裁判所川崎支部昭和四三年(ヲ)第五〇六号船舶碇泊ならびに監守保存命令申請
事件、同支部昭和四三年(ケ)第七八号、第八二号各船舶先取特権に基づく外国船
舶競売事件、同支部昭和四三年(ヲ)第五二四号船舶監守保存命令申請事件ならび
に本件各記録によれば、
 相手方は、昭和四三年一一月二八日東京地方裁判所において本件船舶(A号)の
仮差押命令(同裁判所昭和四三年(ヨ)第一一、四二九号)をえ、その執行のため
同年一一月二九日横浜地方裁判所川崎支部において右船舶の碇泊命令ならびに監守
保存命令(同支部昭和四三年(ヲ)第五〇六号)をえ、これが執行を了した。そし
て、相手方は、さらに同支部に対し、右船舶につき生じた同船の航海継続のため支
出した費用金一一、〇二八、〇四二円の債権について先取特権を有することを理由
に本件船舶の競売を申し立て、昭和四三年一二月六日同支部において右船舶につき
競売手続を開始し、船長は右船舶を神奈川県川崎港に碇泊せしむべき旨の船舶競売
開始決定(同支部昭和四三年(ケ)第七八号)がなされた。そして、相手方は右競
売開始決定の碇泊命令に基づき同支部において昭和四三年一二月一三日本件船舶を
執行官に保管・監守させる旨の命令(同支部昭和四三年(ヲ)第五二四号)をえ、
同月一六日これが執行を了した。さらに相手方は同年一二月一三日同支部に右船舶
の航海継続費用として支出した費用金二七、四四〇、七八二円の債権につき先取特
権を有するとしてこれに基づき右船舶の競売を申し立て、同支部において前記競売
事件に記録添附手続がとられ(同支部昭和四三年(ケ)第八二号)、また右同日前
記昭和四三年一一月二九日になされた本件船舶の碇泊命令ならびに監守保存命令の
執行処分が相手方の申立により取り消されたことが認められる。
 ところで、原仮処分決定は抗告人の申請により金八〇〇万円の保証を立てること
を条件に右競売手続を停止するとともに、抗告人のその余の申請、すなわち本件船
舶の運行を許す旨の申請を却下したのであるが、これに対し抗告人は原決定が右申
請を却下したのを不服とし本件抗告に及んだものである。そして抗告人は相手方主
張の債権のうち本件船舶に対する先取特権により担保される債権の範囲を争つてい
るわけであるが、そのうち金二四、一七三、〇六二円の債権については相手方が本
件船舶につき先取特権を有することを自認しているのであるから、右競売手続の開
始をもつて違法といいえないことは明らかである。
 <要旨>抗告人は、その自認する右金額に相当する額の保証を立てしめることによ
り運行を許す仮処分がなさるべきであると主張する。しかし、競売法第三九
条により準用される民事訴訟法第七一九条によれば、差押船舶の運行は総ての利害
関係人の申立によつてのみ許されるのであつて、その趣旨は、船舶に一たび航行を
許すとその後の執行は極めて困難となり、執行手続の取消にも等しい結果となるこ
とを慮つてのことと解される。もとより本件は仮処分手続であつて、右規定がその
まま適用されるわけではないが、同条所定の要件を備えない場合に仮処分という手
続を籍りてこれと同じ結果を得ようとするものといわざるをえないから、本件申請
に基づいても軽々に差押船舶の運行を許すべきではなく、かりにこれを許容すると
しても、前記規定の立法趣旨に照すと、少くとも差押の取消事由にも匹敵する特段
の事情がある場合にのみ認められるべきである。そして抗告人の主張するような保
証を立てしめることは右の特段の事情に該当するとは解し難く、他にかような事情
のあることは、冒頭掲記の各記録によるも、これを認めるに足る資料は存しないか
ら、抗告人の本件船舶の運行を許す旨の仮処分申請は理由がない。
 よつて、これと結論を同じくする原決定は相当であつて、本件抗告は理由がない
からこれを棄却することとし、抗告費用につき民事訴訟法第九五条、第八九条を適
用して主文のとおり決定する。
 (裁判長裁判官 青木義人 裁判官 高津環 裁判官 弓削孟)

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