弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人原田武彦の上告理由一ないし五について。
 論旨は要するに、原判決が、本件訴状送達をもつて本件賃貸借契約の解約の申入
がなされたものとみるべきであり、昭和三六年三月一〇日の右解約申入により終了
しているからその後の事情は右解約申入につき正当事由が存するか否かの判断に格
別の影響を及ぼさない、と判示した点を捉えて、法令違背、理由不備をいう。
 しかし、被上告人が本訴において、仮に本件賃貸借が家屋の朽廃によつて終了し
ていないとしても、本訴において上告人に対し正当事由による本件賃貸借契約の解
約の意思表示をする旨陳述したことは記録上明らかであるところ、原判決認定の事
情の下では、被上告人の右解約の申入には正当の事由があるものというべく、右解
約申入から六ヶ月を経過した昭和三六年三月一〇日をもつて本件賃貸借は終了した
ものであつて、その後の事情に属する上告人主張の事実は右正当事由の存否につい
て何らの影響を及ぼすものではないとした原判決の認定、判断は正当であつて、そ
の判断の過程において所論の違法は存しない。
 所論は、右と異なる独自の見解に基づき原判決を非難するものであつて、採るを
えない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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