弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 主任弁護人松村鉄男の控訴趣意は弁護人松村鉄男、同柴田武、同花岡隆治の作成
名義と、弁護人松村鉄男の作成名義の各控訴趣意書に記載したとおりである。
 弁護人松村鉄男、同柴田武、田花岡隆治名義の控訴趣意第一点について、
 よつて本件記録並びに原審で取調べた証拠を検討するに本件公訴事実は被告人は
鹿児島市a町b番地所在のA会社B支社の支社長として勤務中のものであるが保険
募集文書には保険会社の将来における利益の配当についての予想に関する事項を記
載してはならないのに拘らず同会社締結の生命保険契約においては契約者に対し養
老保険給付の際掛金に一定の配当率による配当金を加算支払うべき旨を記載した文
書三百枚を印刷せしめ昭和二四年七月頃鹿児島市a町の右支社に於いて之を外務員
C外六十名位に頒布し同人等をして保険加入の勧誘に使用せしめたものであるとい
さのに対して、原判決では被告人はA会社D支社長であるが鹿児島市a町b番地所
在の同会社B支社長として勤務中昭和二四年七月頃右支社において外務員に対する
保険募集教育用教材として同会社締結の養老保険契約においては掛金中止の場合に
おいても満期の際掛金に一定の配当金を加算支払うべき旨を記載した保険付短期貯
蓄と題する文書三百部を印刷し外務員等数十名に頒布したものであると認め保険募
集の取締に関する法律第一五条第二項、第二条第五号、第二二条を適用処断してい
るものであるところ右の印刷頒布した印刷物が同法第一五条第二項にいわゆる保険
会社の将来における利益の配当についての予想に関する事項を記載した文書である
ことは<要旨>その記載内容に照し容易に肯認し得られるのであるけれども、右各条
の募集文書図画とは募集のため又は募集を容易ならしめるために募集の相手
方を対象として作成使用せられた文書図画のみを指称するものと解する。
 けだし保険の募集に際して前各条にいわゆる会社の将来における利益の配当又は
剰余金の分配についての予想に関する事項を記載した文書図画を使用するときは文
書図画により表現せられた事項に対する特殊の信頼から募集の相手方をして不当に
射倖的混迷に陥らせひいては正常な判断を失わしめる虞があるから募集に際して相
手方に対してかかる文書図書の使用を禁止した法意と考えられるからである。従つ
て右のような文書図画であつても募集の相手方を対象とせず単に保倹募集人に対す
る保険募集の教育用教材として頒布したにすぎない場合は前記のような虞がないの
であるから同条項のいわゆる募集文書図画に該らないものといわねばならない。
 しかるに原判決においては外務員(保険募集人)に対する保険募集教育用教材と
して印刷した該文書な外務員数十名に頒布した事実をもつてこれを同法の募集文書
図画に該当すると認定したのであるから原判決には同法条の解釈を誤つた不法があ
るものといわなければならない。しかして右の不法は判決に影響を及ぼすことが明
らかであるから論旨は結局理由があり、原判決は破棄を免れない。
 よつてその余の控訴趣意に対する判断はすべてこれを省略し刑事訴訟法第三九七
条第四〇〇条但書により原判決を破棄し、当裁判所において被告事件につき更に次
のとおり判決する。
 本件公訴事実は原判決で認定した事実の外冒頭に掲記したとおり同文書を外務員
に頒布し同人等をして保険加入の勧誘に使用せしめたものであるというにあるが外
務員等をして同文書を保険加入の勧誘に使用せしめた事実はこれを認めるに足る証
拠がなく原判示の事実は罪とならないのであるから結局本件公訴事実はその証明が
ないことに帰着するので同法第三三六条により無罪の言渡をする。
 よつて、主文のとおり判決する。
 (裁判長判事 甲斐寿雄 判事 二見虎雄 判事 長友文士)

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