弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人桑嶋一、同前田進の上告理由について
 一 原審の適法に確定した事実関係及び記録によって明らかな本件訴訟の経緯等
は、次のとおりである。
 1 上告人は、本件建物の賃借人であったDとの間で、昭和五七年一一月四日、
本件建物の改修、改装工事を代金合計五一八〇万円で施工する旨の請負契約を締結
し、大部分の工事を下請業者を使用して施工し、同年一二月初旬、右工事を完成し
てDに引き渡した。
 2 被上告人は、本件建物の所有者であるが、Dに対し、昭和五七年二月一日、
賃料月額五〇万円、期間三年の約で本件建物を賃貸した。Dは、改修、改装工事を
施して本件建物をレストラン、ブティック等の営業施設を有するビルにすることを
計画しており、被上告人とDは、本件賃貸借契約において、Dが権利金を支払わな
いことの代償として、本件建物に対してする修繕、造作の新設・変更等の工事はす
べてDの負担とし、Dは本件建物返還時に金銭的請求を一切しないとの特約を結ん
だ。
 3 Dが被上告人の承諾を受けずに本件建物中の店舗を転貸したため、被上告人
は、Dに対し、昭和五七年一二月二四日、本件賃貸借契約を解除する旨の意思表示
をした上、本件建物の明渡し及び同月二五日から本件建物の明渡し済みまで月額五
〇万円の賃料相当損害金の支払を求める訴訟を提起し、昭和五九年五月二八日、勝
訴判決を得、右判決はそのころ確定した。
 4 Dは、上告人に対し、本件工事代金中二四三〇万円を支払ったが、残代金二
七五〇万円を支払っていないところ、昭和五八年三月ころ以来所在不明であり、同
人の財産も判明せず、右残代金は回収不能の状態にある。また、上告人は、昭和五
七年一二月末ころ、事実上倒産した。
 5 そこで、本件工事は上告人にこれに要した財産及び労務の提供に相当する損
失を生ぜしめ、他方、被上告人に右に相当する利益を生ぜしめたとして、上告人は、
被上告人に対し、昭和五九年三月、不当利得返還請求権に基づき、右残代金相当額
と遅延損害金の支払を求めて本件訴訟を提起した。
 二 甲が建物賃借人乙との間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、
その後乙が無資力になったため、甲の乙に対する請負代金債権の全部又は一部が無
価値である場合において、右建物の所有者丙が法律上の原因なくして右修繕工事に
要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、丙と
乙との間の賃貸借契約を全体としてみて、丙が対価関係なしに右利益を受けたとき
に限られるものと解するのが相当である。けだし、丙が乙との間の賃貸借契約にお
いて何らかの形で右利益に相応する出捐ないし負担をしたときは、丙の受けた右利
益は法律上の原因に基づくものというべきであり、甲が丙に対して右利益につき不
当利得としてその返還を請求することができるとするのは、丙に二重の負担を強い
る結果となるからである。
 前記一の2によれば、本件建物の所有者である被上告人が上告人のした本件工事
により受けた利益は、本件建物を営業用建物として賃貸するに際し通常であれば賃
借人であるDから得ることができた権利金の支払を免除したという負担に相応する
ものというべきであって、法律上の原因なくして受けたものということはできず、
これは、前記一の3のように本件賃貸借契約がDの債務不履行を理由に解除された
ことによっても異なるものではない。
 そうすると、上告人に損失が発生したことを認めるに足りないとした原審の判断
は相当ではないが、上告人の不当利得返還請求を棄却すべきものとした原審の判断
は、結論において是認することができる。論旨は採用することができない。
よって、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    大   野   正   男
            裁判官    園   部   逸   夫
            裁判官    可   部   恒   雄
            裁判官    千   種   秀   夫
            裁判官    尾   崎   行   信

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