弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
1申立人A,申立人B,申立人C,申立人Dが被告を補助するために本件
訴訟に参加することを許可する。
2申立人Eにかかる申立てを却下する。
理由
1本件参加の申立の趣旨及び理由は,別紙参加申立書,同補充書及び同補充書
の訂正記載のとおりである。
2行政事件訴訟法22条に基づく参加が許されるためには,参加しようとする
第三者がその訴訟の結果により権利を害される場合であることを要することは
同条1項の規定上明らかであるところ,同条による参加人は,共同訴訟的補助
,,参加人と解されることからすれば「訴訟の結果により権利を害される」とは
取消訴訟に関していえば,被告敗訴の結果,判決の形成効ないし拘束力により,
自己の権利や法律上保護された利益が直接に侵害されることをいうものと解す
るのが相当である。
本件の場合,建築確認を取り消す旨の裁決処分の取消判決がされると,判決
の拘束力により,審査請求を棄却する旨の裁決がなされ,原告の予定する建築
物(本件建築物)が建築されることになるが,このことにより,申立人らの権
利ないし法律上保護された利益が直接に侵害されるかが問題となる。
3建築基準法6条1項は,建築主が同項第1号から第3号までに掲げる建築物
を建築しようとする場合には,当該工事に着手する前に,当該工事の計画が当
該建築物の敷地,構造及び建築設備に関する法律並びにこれに基づく命令及び
条例の規定に適合するものであることについて,確認の申請書を提出して建築
主事の確認を受けなければならない旨を規定し,その具体的基準については,
同法及び同法施行令などに定められている。
法が上記規制を設けている趣旨は,直接には,健全な建築秩序を確保し,一
般的な火災危険の防止,生活環境の保全等という公共の利益の維持増進にその
目的があることは同法1条の規定により明らかであるが,この場合における公
共の利益は,具体的には,建築主または近隣居住者の採光,通風,住居の静謐
という生活環境の保全または火災や建物の倒壊時における安全の保護を離れて
は考えられず,近隣居住者の生命,健康を保護し,火災の危険や建物の倒壊の
危険等から守ることが,とりもなおさず公共の利益に合致するものということ
ができる。そして,上記建築規制法規は,これが近隣居住者の採光,通風,生
活環境の保全,防火に寄与する限度において,公共の利益と同時に近隣居住者
の上記個人的利益をも保障する趣旨と解すべきである。
4そうだとすれば,本来なされるべきでない建築確認処分がなされ,建築物が
建築されることにより,生活環境上の悪影響ないし火災や建物倒壊の危険が生
じうる近隣居住者は,本件裁決取消訴訟の結果により,法律上保護された利益
を害される第三者にあたるというべきである。そして,かかる近隣居住者にあ
たるかの基準としては,本件建築物に適用のある川越市中高層建築物建築紛争
は,建築紛争のの予防及び調整条例が一つの基準となる。すなわち,同条例
予防及び調整を図り,近隣関係及び生活環境の保持に資することを目的とし
建築にあたり,建物の構造,規て,建築主は,近隣住民,周辺住民に対し,
模,用途等を説明しなければならないとし(同条例9条,これらの者と建築)
主との紛争が生じた場合,市長によるあっせんや調停の制度を設けている(同
条例11条ないし14条)ところ,同条例は,中高層建築物の敷地の境界から
15メートル範囲内の土地所有者及び占有者等を近隣住民として,中高層建築
物の外壁又はこれに代わる柱の面からの水平距離が当該中高層建築物の高さの
二倍に相当する長さの範囲内の土地所有者及び占有者等を周辺住民として定め
建築物の倒壊,炎上等による被害が直ている(同条例2条2項。同条例は,)
接的に及ぶことが想定される周辺の一定範囲の地域に土地を所有ないし占有
する者を,予め建築計画につき説明を要する近隣住民ないし周辺住民とした
ものと推認され,同条例2項に定める要件を満たす者については,特段の事
情のない限り,訴訟の結果により,法律上保護された利益を害される第三者
と認めることが相当である。
5これを本件についてみると,申立人A,申立人B,申立人C,申立人Dの所
有地ないし居住地と本件建築物との位置関係は別紙図面記載のとおりであり,
本件建築物は,地上15階建て,最高の高さ45.90メートルの建築物であ
るところ,上記位置関係からすれば,本件建築物の倒壊,炎上等による被害が
申立人らの所有地ないし居住地に直接的に及ぶことが想定され,申立人C,申
立人Dについては,本件建築物により生じる日影により,日照が害される関係
にもある(甲2の1,2。)
よって,申立人A,申立人B,申立人C,申立人Dについては,訴訟の結果
により,法律上保護された利益を害される第三者にあたる。
6これに対し,申立人Eについては,上記条例における近隣住民ないし周辺住
民には当たらず,本件建築物の建築により,生活環境上の悪影響ないし火災や
建物倒壊の危険が生じうることが明らかでなく,訴訟の結果により,具体的に
同申立人の権利ないし利益が害されることの疎明がないと言わざるをえない。
したがって,申立人Eについては,行政事件訴訟法22条所定の参加人適格を
有しない。
なお,申立人Eは,本件裁決の際の審査請求人であるところ,本件裁決が取
り消されることにより,本件裁決によって確認処分が取り消されたことにより
受けていた立場が消滅することとなるから,訴訟の結果により権利を害される
と主張する。
しかし,裁決に対し,不服のある者は,これに対する取消訴訟の提起をする
ことができ,これに理由がある場合,裁判所としては,裁決を取り消す旨の判
決をすることが予定されている以上,審査請求の結果を維持されるべき法律上
の権利ないし利益を観念することはできず,同申立人の主張は採用できない。
7以上によれば,申立人A,申立人B,申立人C,申立人Dの参加申立につい
ては,理由があるから,これを認め,申立人Eの参加申立については,理由が
ないから,これを却下することとし,主文のとおり決定する。
平成20年3月31日
さいたま地方裁判所第4民事部
裁判長裁判官遠山廣直
裁判官富永良朗
裁判官久米玲子

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