弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人らの負担とする。
         理    由
 上告代理人平井虎二、植田義昭、佐野徹の上告理由第一、二点について。
 論旨は家屋賃貸人が無断転貸を理由に賃貸借契約を解除するには賃貸人において
賃借人に対し転貸を中止すべき旨催告し、賃借人が催告期間内に転貸を中止しない
場合に限り、右賃貸借契約の解除をなし得るものであるに拘らず原判決がかかる催
告の有無を認定しないで契約解除の効力を認めたのは、法律の解釈を誤つた違法が
あるというのである。
 しかしながら、民法六一二条は賃借人が賃貸人の承諾なくして賃借物を転貸した
ときは、賃貸人は賃貸借契約を解除できる旨規定しているのであり、所論の催告は
必要ではない。原審が無断転貸の事実および賃貸人がそれを理由として賃貸借契約
解除の意思表示をした事実を認定した上、所論の催告の有無を判断することなく賃
貸借契約解除の効力を認めたことには、何等法律の解釈に誤りがなく、所論は畢竟
独自の見解に立つて原判決を非難するに帰する。論旨は採用できない。また原審は
所論の見解を排斥しているものと認められるから、原判決には所論の判断遺脱の誤
りはなく、論旨は採用できない。
 同第三点について。
 原判決の認定は挙示の証拠によつて肯認され、その認定の事実の下においては、
判示無断転貸が背信行為と認めるに足りない特別の事情のある場合に当るとはいえ
ないから、所論はその前提を欠き論旨は採用できない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条、九三条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    松   田   二   郎
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    斎   藤   朔   郎

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