弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人堀川嘉夫及び上告人指定代理人Dの上告理由第一点の一について
 原制決の確定するところによれば、本件附帯買収を共同で申請した四〇名のうち
一七名が無資格者であつたというのである。論旨は、一七名の申請者が無資格者で
あつても、二三名は資格者であり、本件附帯買収申請は右二三名の申請として適法
である旨を主張するのである。
 しかし、原判決の認定するところによれば、地区農地委員会は右二三名の申請と
して審理を尽した事実は認められず、却つて、申請人の適格について何等検討する
ところなく漫然買収計画を樹立したというのであるから、本件買収計画が違法であ
ることは極めて明白である。自作農創設特別措置法一五条によつて農地委員会が買
収申請を相当と認めるかどうかについては、申請人の買受農地の耕作上の必要性及
びその程度を考えなければならないのであつて、その必要性の度合が申請者の数に
よつて異ることも極めて明らかである。しかるに、上述のように、本件申請に対し
て農地委員会は申請者の適格についてさえ何等審理していないのであつて、論旨は
到底これを採用することができない。
 同第一点の二について。論旨は本件土地は農業用施設である旨を主張するのであ
る。
 しかし、原判決の認定するところによれば、本件土地はE麦酒株式会社が、F工
場の建設に際し、地盛のための土を採取する目的で買い受け、表土を堀り取つたた
め自然に池になつた土地であり、その後部落の所有に帰したこともあつたが、結局
被上告会社が石炭ガラ捨場として買い取つたものであり、地勢上、満水時でも自然
流出する水量は僅かで揚水するとしても灌漑し得る農地の反別は僅少であり、早旱
時を除いて平常は灌漑用水として使用されることも少かつたというのである。その
他原判決の認定するところによれば、本件土地は、農業の目的のため池に造成され
たものでもなく、地勢上からいつても、過去の使用状況からいつても、到底これを
農業用施設ということはできない。
 論旨は、原判決は、本件池が灌漑用池でないと認定しただけで直ちに農業用施設
でないとしたのは違法であるというのであるが、若し所論のように他の目的で農業
用施設とすべきものであるならば、上告人はこの点を主張、立証すべきであるにか
かわらず、かかる主張立証はなく、原審ではもつぱら灌漑用池であるかないかが争
われたのであるから灌漑用池でないという認定に基いて農業用施設でない旨を判示
したのは当然である。
 同第二点について。
 論旨は、原判決は違法性判断の時点を誤つた違法があるというのである。
 しかし、原判決が昭和二五年本件池の一部が埋立てられた事実を認定しているの
は、この埋立によつて本件池が灌漑用池でないと認定するためではなく、この事実
によつて、本件買収処分当時における灌漑用池としての必要性を推測するためであ
つて、所論のように、買収処分以後の事実によつて本件買収処分を違法としたので
はない。論旨は理由がない。
 同第三点について。
 本件買収処分には原判決一、二及び三に判示されているような瑕疵が集積してい
ること右に述べたところによつて明らかである。それ故瑕疵の集積が無いことを前
提とする論旨(二)及び(三)の理由のないことはいうまでもない。次にその瑕疵
の一つ一つについてみれば、買収処分を当然無効とする程の事由にはならないもの
であるとしても、本件のような瑕疵が相集積している場合には、これを全体として
みれば瑕疵は重大明白であつて、かかる重大明白な瑕疵ある買収処分が、出訴期間
の徒過の故をもつて行政処分として有効となり、所有権移転の効果を生ずるものと
することはゆるされない。原判決は相当であつて論旨(三)もまた理由がない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    河   村   又   介
            裁判官    島           保
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一

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