弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人弁護士勅使河原直三郎の上告理由第一点ないし第三点について。
 しかし、原判決の適法に確定したところによれば、本件控訴人(被上告人)の祖
父Dから被控訴人(上告人)先代亡Eに対しなされた本件山林の売買は、通謀虚偽
表示により無効のものであり、従つて、これに基く所有権移転登記もまた無効であ
るというのであるから、Eを相続した上告人もまた架空の権利を有するに過ぎない
ものといわなければならない。また、他方において、原判決は、控訴人はDの家督
相続人Fの長女Gと婿養子縁組をすると同時にFから本件山林の贈与を受けた事実
を確定しているのであるから、被上告人(控訴人)は、本件山林の実質的所有者と
いわなければならない。そして、かようなある不動産につき実質上所有権を有せず
登記簿上所有者として表示されているに過ぎない架空の権利者は、実体上の権利を
取得した被上告人に対しては、その登記の欠缺を主張し得ないものである(昭和二
四年九月二七日第三小法廷判決、民事判例集三巻一〇号四二四頁以下参照)。され
ば、所論第一点、第二点は採るを得ない。また、不動産の登記簿上の所有名義人は、
真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、
真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうる
ものであり(昭和三〇年七月五日第三小法廷判決、民事判例集九巻九号一〇〇二頁
以下参照)、そして、かかる移転登記を命ずる判決において判決主文に登記原因を
示さなければならないとする理由も認められないのであるから、所論第三点も採る
を得ない。
 同第四点について。
 しかし、本件山林について原判決は、所論の返還請求のほか、控訴人(被上告人)
は、そこでFの命で大正時代に三回ほど、昭和一四、五年頃一回立木を伐採して炭
焼をした事実を認めたのに反し、被控訴人(上告人)A側においてはこれを占有し
使用収益を続けたことを認めるに足る証拠はなく、登記名義が被控訴人側にあるこ
と、これを担保に供したことは占有とは関係ないし、一回の炭焼では占有の継続と
はならない旨判示しているような事情にあつたばかりでなく、上告人は、所論信義
誠実並びに権利濫用の主張は原審でしなかつたのであるから、所論は採ることがで
きない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第一小法廷
         裁判長裁判官    斎   藤   悠   輔
            裁判官    入   江   俊   郎
            裁判官    下 飯 坂   潤   夫
            裁判官    高   木   常   七

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛