弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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 主     文
       原判決を破棄する。
       被告人を懲役4年6月及び罰金30万円に処する。
       原審における未決勾留日数中120日を上記懲役刑に算
       入する。
       上記罰金を完納することができないときは,金5000
       円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
           理     由
 東京地方裁判所は,平成17年5月2日,被告人に対する窃盗,出入国管理及び
難民認定法違反,窃盗未遂被告事件について,第1の1ないし4として,窃盗,窃
盗未遂の事実,第2として,「被告人は,中華人民共和国の国籍を有する外国人で
あり,平成15年6月5日,有効な旅券又は乗員手帳を所持しないで,同国から航
空機で千葉県成田市所在の新東京国際空港に到着した者であるが,そのころ同所に
上陸した後引き続き平成16年10月6日まで東京都内に居住するなどし,もって
,本邦に上陸した後引き続き不法に在留したものである。」旨の出入国管理及び難
民認定法違反の事実を認定した上,法令の適用として,第1の1,3,4の各所為
は刑法60条,235条に,第1の2の所為は同法60条,243条,235条に
それぞれ該当し,第2の所為は,行為時においては平成16年法律第73号による
改正前の出入国管理及び難民認定法70条2項(1項1号,3条1項1号)に,裁
判時においてはその改正後の出入国管理及び難民認定法70条2項(1項1号,3
条1項1号)に該当するが,これは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに
当たるから,刑法6条,10条により軽い行為時法の刑によることとし,第2の罪
について所定刑中懲役刑及び罰金刑を選択し,以上は同法45条前段の併合罪であ
るから,懲役刑については同法47条本文,10条により刑及び犯情の最も重い第
1の4の罪の刑に法定の加重をし,罰金刑については同法48条1項によりこれを
その懲役刑と併科し,その刑期及び金額の範囲内で処断すべきものとし,その他関
係法令を適用して,「被告人を懲役4年6か月及び罰金50万円に処する。未決勾
留日数中120日をその懲役刑に算入する。この罰金を完納することができないと
きは,金5000円を1日に換算した期間,被告人を労役場に留置する。」との判
決を言い渡し,同判決は,平成17年5月9日,確定した。
 しかし,上記第2の罪の刑は,刑法6条,10条により,軽い行為時法である上
記改正前の出入国管理及び難民認定法70条2項,1項の刑によることとなるが,
同条項は,その刑について,「3年以下の懲役若しくは禁錮若しくは30万円以下
の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。」と規定していた
から,原判決の罰金刑は法定刑を超過しており,原判決は,法令に違反し,かつ,
被告人のため不利益である。
 よって,刑訴法458条1号により,原判決を破棄し,被告事件について更に判
決することとし,原判決の確定した事実に原判決の適用した各法令を適用し(刑種
の選択を含む。),その刑期及び金額の範囲内で被告人を懲役4年6月及び罰金3
0万円に処し,原審における未決勾留日数の算入につき刑法21条,換刑処分につ
き同法18条,原審における訴訟費用の不負担につき刑訴法181条1項ただし書
をそれぞれ適用し,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
 検察官井内顯策 公判出席
  平成17年12月2日
    最高裁判所第二小法廷
        裁判長裁判官     滝   井   繁   男
           裁判官     津   野      修
           裁判官     今   井       功
           裁判官     中   川   了   滋
           裁判官     古   田   佑   紀

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