弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     被告人Aの本件控訴を棄却する。
     原判決のうち、被告人B、同C、同Dに関す石部分を破棄する。
     被告人Bを懲役八月に、被告人C、同Dの両名を各懲役四月に処する。
     但し、被告人B、同C、同Dの三名に対し、との裁判確定の日からいず
れも三年間右各刑の執行を猶予する。
     当審の国選弁護人に支給した控訴費用は、被告人A、同C両名の負担と
し、原審における訴訟費用のうち証人Eに支給した分は、被告人B、同D両名の負
担とし、国選弁護人Fに支給した分は被告人Cの負担とする。
         理    由
 弁護人林達也(被告人A、同C関係)、弁護人堤牧太(被告人B、同D関係)の
控訴趣意は、被告人A並びに弁護人林達也、同安東吉郎提出の各控訴趣意書記載の
とおりであるから、これを全部ことに引用する。
 右に対する判断。
 (一) 被告人A、並びに被告人に関する弁護人林達也の控訴趣意のうち、
 (イ) 事実誤認の点について。
 被告人Aに対する原判決摘示の事実殊に原判示第一の(一)各自転車が賍物であ
ることの情を同被告人において察知していた事実は、原判決の挙示引用にかかる関
係部分の証拠によつてこれを認定するのに十分であり、証拠の取捨に関する原審裁
判官の措置証拠の証明力に関する原審裁判官の判断に、経験法則の違背等特に不合
理とすべき事由なく、原判決に所論のような事実誤認の違法があるものとは認めら
れない。
 (ロ) 量刑不当の点について。
 記録並びに原審において取調べた証拠に現わしている諸般の犯情に照らし、被告
人Aに対する原判決の刑の量定は相当であると認められ、特にこれを不相当とすべ
き事情なく、所論の諸点を参酌考量しても、なお原判決の刑の量定が相当でないも
のとは断じ難い。
 その他原判決を破棄すべき事由がないので、刑訴第三九六条により被告人Aの本
件控訴は、これを棄却すべきものとする。
 (ニ) 被告人B、同Dに関する弁護人安東吉郎提出の控訴趣意書のうち、
 (イ) 事実誤認の点について。
 被告人Bに関する原判示第二麻薬譲渡の事実は、原判決拳示の関係証拠によつて
どれを認定するのに十分である。麻薬取締法において、法定の事由ある場合を除
き、麻薬の授受を禁止するゆえんのものは、国民保健その他の国家的要請に基すき
麻薬が国民一般の間に任意に転軛譲渡せられることを禁遏しようとする趣旨に<要
旨>ほかならないであるから、いやしくも麻薬の所持者において、麻薬処分の権限を
相手方に授与する意思をもつて現実にこれを交付する以上、たとえ、その対
価取得の可能性について錯誤があり、約定の対価を取得することができない結果が
発生したとしても、麻薬取締法第三条第五七条第一項所定の麻薬譲渡の罪の成立に
は、何らの消長を及ぼすものでないと解すべきである。
 論旨は、原判示Gは、当初支払の意思がなく、被告人Bとの間に有効な売買契約
が成立していないので、従つて、同被告人麻薬譲渡の事実を認める余地がないもの
であるというのに帰着するのであるが、原判決は、原判示Gに対価支払の意思がな
かつた事実を認定しないのみならず、仮りに、同人に対価支払の意思がなかつたと
しても、原判決拳示の証拠によれば、被告人Bにおいて、処分の権限を授与する意
思をもつて本件麻薬を相手方に交付した事実を認めるのに十分であるから同被告人
の本件麻薬譲渡の罪の成立に何ちの影響はないものというべきであつて、論旨は採
用の限りでない。
 (二) 囮捜査の違法について。
 被告人B、同Dらの原判示犯罪が、直接何ら麻薬取締官の囮によつて行わしたも
のでないことは、原判決が特に証拠を挙げて説示するとおりであり、同被告人らの
原判示犯罪の刑責を免かれしむべき事由があるものとは認められない。
 この点に関する論旨も理由がない。
 (三) 被告人B、同C、同Dに関する各量刑不当の点について。
 記録並びに原審において取調べた証拠に現われている諸般の犯情に照らし、同被
告人らに対しては、いずれも刑の執行猶予の言渡をするのが相当であると認めら
れ、その言渡をしない原判決は刑の量定が相当でないというのほかなく、この点に
関する論旨はいずれも理由があり、原判決は破棄を免れない。
 よつて、刑訴第三九七条集三八一条により原判決のうち、同被告人らに関する部
分を破棄し、刑訴第四〇〇条但書に従い、本件について更に判決する。
 同被告人らに対する犯罪事実は原判決摘示のとおりであつて、法令の適用は次に
示すとおりである。
 被告人Bの麻薬譲渡の点につき、麻薬取締決第三条、第五七条第一項、罰金等臨
時措置法第二条(懲役刑選択)、刑法第二五条。被告人C、同Dの麻薬譲渡幇助の
点につき、麻薬取締法第三条、第五七条第一項、罰金等臨時措置法第二条、刑法第
六二条第一項、第六三条、第六八条第三号第四号(懲役刑選択)、刑法第二五条。
 なお、被告人A、同B、同D、同Cの各訴訟費用の負担につき、刑訴第一八一条
第一項。
 以上の理由により主文のとおり判決する。
 (裁判長裁判官 筒井能彦 裁判官 柳原幸雄 裁判官 岡林次郎)

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