弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
     訴訟費用は被告人Aの負担とする。
         理    由
 被告人B、同Cの弁護人森山鋭一、同平松勇の上告趣意第一点について。
 輸入とは、海上にあつては、船舶から外国貨物を陸揚してわが国内の貨物とする
ことであるから、免許を受けないで外国貨物を輸入するいわゆる密輸入の行為は、
正規の通関手続を経ないで外国貨物をわが国内に陸揚げすることをいうものと解す
べく、従つて、第一審判決が確定したようにa島で入手した砂糖三万斤をb湾内D
浮標所附近まで運航して来た上、同所で他の船に積替え、内一万斤を昭和二四年一
〇月一一日頃、名古屋市c区de丁目f番地E方に、内一万斤を同月一三日頃同市
同区g町h丁目iのj番地、k橋下流のFセメント倉庫内に、残一万斤を同月一五
日頃、四日市市l町m番地先河岸所在のG方小屋内に陸揚した場合には、右陸揚毎
に各別の密輸入の罪が成立すると解するのが正当である。所論引用の判例はいずれ
も本件に適切ではないから、原判決は所論のように判例と相反する判断をしたもの
とはいえない。論旨は理由がない。
 同第二点について。
 所論は原審で主張されず、従つて原判決の判断を経ていない事項であり、且つ刑
訴四〇五条所定の上告理由にあたらない。のみならず、貿易等臨時措置令は、当時
のわが国の経済状態並びに国際的地位に鑑み、特定の場合のほか、民間貿易を禁止
したもので、その法益は、わが国の輸入政策の遂行であり、一方関税法の処罰規定
は、輸入品に対する関税の逋脱を禁遏することを目的としたもので、その法益は関
税徴収の確保にあつて、二者各その法益を異にするものである。故に政府の免許を
受けないで貨物を輸入した場合には、貿易等臨時措置令第一条違反の罪と、関税法
第七六条の罪が共に成立し、想像的競合をなすと解するのを相当とする。従つて原
判決のこの点の判断は正当であり、貿易等臨時措置令の制定により関税法の右規定
は死文化したとの所論は採用できない。
 同第三点について。
 所論も亦刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。ただ、関税法七六条一項の規定
は、同法七四条乃至七五条に該当するものには適用なく、もし本件砂糖に関税が課
せらるべきものであれば、被告人の本件行為は関税法七五条違反の罪を構成し、同
法七六条は適用がないこと所論のとおりである。しかし、昭和二二年法律第一八八
号「食糧輸入税を免除する法律」及びこれを順次改正した、昭和二三年法律第二三
一号、昭和二四年法律第二二三号、昭和二五年法律第二八三号、昭和二六年法律第
一一〇号によれば、砂糖については、昭和二三年一月一日から昭和二六年五月一日
までの間は輸入税を免除されていたのであつて、従つて本件犯行当時の昭和二四年
一〇月頃は、砂糖については輸入税は課せられず、被告人等の本件行為は関税法七
五条には該当しなかつたのである。故に被告人等の本件行為に関税法七六条を適用
した原判決は正当で、何ら所論のような違法はない。
 同第四点について。
 所論は、法令適用の問題に過ぎず、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。しか
も、本件記録に徴すると、被告人等の本件犯行は、被告人等が密輸入した砂糖を他
に処分してしまつた後に被告人B及び同Cの自首によつて発覚したものであつて、
被告人等が密輸入したという砂糖は押収されていないのである。従つて第一審判決
が証拠とした所論H検査官吏作成の犯則物件鑑定書は、捜査の結果、被告人等が密
輸入したと認められる種類、品質、数量の砂糖の原価を鑑定したものと解せられる。
そして第一審公判調書によれば、検察官は、本件犯行にかゝる砂糖の価格の立証と
して、右鑑定書の証拠調を請求するや、被告人両名の弁護人は、これを証拠とする
ことに同意する旨陳述し右鑑定書は適法に証拠調を経ているのである。してみれば
右鑑定書は、被告人等の自白及び関係人の供述等により被告人等が密輸入した砂糖
と認められる種類、品質、数量の砂糖についてその原価(到着価格)を鑑定したも
のと認められる。そして被告人等の密輸入した砂糖には、右鑑定書記載の分蜜白糖
及び黒砂糖以外のものは含まれていないことは、第一審判決挙示の証拠によりうか
がわれるのであつて、被告人等の密輸入した砂糖は右分蜜白糖又は黒砂糖のいずれ
かであつたものというべくしかも被告人等の弁護人等が証拠とすることに同意した
右鑑定書によれば、分蜜白糖も、黒砂糖もその原価は、共に一斤につき二三円、九
七六であつたというのであるから、被告人等が三回に陸揚した砂糖各一万斤の原価
は、二三万九七六〇円であつて、その原価の三倍が六〇万円以上であることは算数
上明らかである。そして第一審判決は右鑑定書を証拠として挙示していることは、
第一審判決に徴し明らかであるから、第一審判決は、被告人等が三回に密輸入した
砂糖の原価の三倍が少くとも二〇万円以上であることを確定判示したものと解する
のを正当とする。してみれば右原価を確定判示しない違法があるとの所論は採用で
きない。
 同第五点について。
 所論は量刑不当の主張にすぎず、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 被告人Bの上告趣意について。
 所論は事実誤認の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。
 被告人Cの上告趣意について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたら
ない。
 被告人Aの弁護人久保文雄の上告趣意について。
 所論は、関税法解釈の問題であつて、刑訴四〇五条の上告理由にあたらない。密
輸入の行為は、海上にあつては、外国貨物をわが国土に陸揚する行為と解すべきこ
と、前に判示したとおりであるから、被告人の行為として第一審判決が確定した事
実は正に関税法七六条にあたるものであつて、これを密輸入貨物を運搬したに過ぎ
ないものということはできない。所論は採用することができない。
 また記録を調べても本件につき刑訴四一一条を適用すべきものと認められない。
 よつて、刑訴四〇八条、一八一条一項により主文のとおり判決する。
 この裁判は裁判官全員一致の意見によるものである。
  昭和三〇年一〇月四日
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    本   村   善 太 郎
            裁判官    島           保
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    小   林   俊   三

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