弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
 1 本件訴訟は平成15年11月19日の和解成立により終了した。
 2 控訴人(附帯被控訴人)の平成15年12月9日付け書面による口頭弁論期
日指定申立以後の訴訟費用は,控訴人(附帯被控訴人)の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴人(附帯被控訴人(第1審原告))の申立て
   控訴人(附帯被控訴人(第1審原告)。以下,単に「控訴人」という。)
は,平成15年12月9日付け書面をもって本件訴訟につき口頭弁論期日指定を申
し立て,その理由として,本件訴訟の和解期日(同年11月19日)において成立
した和解(以下「本和解」という。)は控訴人の錯誤によるもので無効であると主
張し,その旨の記載のある控訴人作成の陳述書(甲6)を提出した。
   控訴人の主張は,要するに,控訴人は,本和解の和解条項に基づく支払を被
控訴人(附帯控訴人(第1審被告)。以下,単に「被控訴人」という。)が怠った
場合の期限後の遅延損害金については和解条項に含めない旨を被控訴人との間で合
意したが,既に発生している遅延損害金についてまで放棄する意思はなく,被控訴
人が本和解で支払義務を認めた55万円の他に,被控訴人から控訴人に対し遅延損
害金が別途支払われる旨の認識で和解に応じたとの趣旨に解される。
第2 当裁判所の判断
 1 本件訴訟の平成15年11月19日付け和解調書によれば,本和解の内容は
別紙記載の和解条項のとおりであると認められるところ(なお,同調書正本が同年
12月12日に控訴人に送達されていることは一件記録より明らかである。),同
和解条項によれば,被控訴人が控訴人に対し55万円の支払義務を認め,これを同
年11月28日までに支払うこととする(1項)一方,控訴人は,その余の請求を
放棄すると明確に規定され(2項),控訴人と被控訴人間に他に債権債務が存在し
ないことを相互に確認している(3項)のであるから,本件訴訟において,被控訴
人が控訴人に対し上記55万円の他に何ら支払義務を負わない旨の和解が成立した
ことは明らかである。
   控訴人は,内心では,遅延損害金が別途被控訴人から支払われるとの認識で
あったと主張する。しかし,上記和解条項からすると55万円以外の金員が何ら支
払われないことは文言上明らかであるし,また,和解成立時には,当事者双方立会
いの下,担当裁判官が成立した合意の内容を立会書記官に口述し,当事者双方にも
確認の機会を与えるのが通例であることは職務上顕著な事実というべきであるとこ
ろ,本件においても,当裁判所の受命裁判官が上記和解条項を読み上げ,控訴人に
も和解条項の内容を確認する機会を与えたことが弁論の全趣旨により認められるか
ら,控訴人にその主張のごとき錯誤があったとは認めがたい。控訴人は,55万円
の支払金は敷金返還金であり,遅延損害金は別途支払われるとの認識であったと主
張し,陳述書(甲6
)にもその旨の記載があるが,控訴人は,他方,上記和解条項3項により他に債権
債務がないことを確認していることにつき何ら合理的な説明をなし得ていないこと
に照らすと,控訴人の主張は到底採用することができない。
 2 なお,仮に,控訴人の意思表示に錯誤があるとしても,本件和解条項の文言
が一般人をして誤信させるに足るものではないと認められることからすると,控訴
人の上記錯誤は重大な過失に基づくものであって,控訴人自らが主張することは許
されない。
 3 したがって,本和解が錯誤によって無効である旨の控訴人の主張には,いず
れにせよ理由はなく,本件訴訟は平成15年11月19日の和解期日で成立した本
和解によって終了したことは明らかである。
   よって,主文のとおり判決する。
 神戸地方裁判所第6民事部
 
     裁判長裁判官   田中澄夫
         
        裁判官大藪和男
   裁判官三 宅 知三郎
(別紙)
              和解条項
 1 第1審被告は,第1審原告に対し,本件解決金として金55万円の支払義務
があることを認め,これを平成15年11月28日限り別紙口座目録記載の口座に
振込む方法により支払う。
 2 第1審原告は,その余の請求を放棄する。
 3 当事者双方は,本件につき,本和解条項に定めるほか,何らの債権債務のな
いことを相互に確認する。
 4 訴訟費用は,第1,2審を通じ,各自の負担とする。
                    
 (注:和解条項1項の別紙口座目録は省略する。)

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