弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


戻る

         主    文
     被告人両名の本件控訴はいずれもこれを棄却する。
     当審における訴訟費用中弁護人久保千里に支給した分は、これを五分
し、その二を被告人A、その三を被告人Bの負担とし、証人C、同Dに支給した分
は被告人両名の平等負担とし、証人Eに支給した分は全部被告人鄭治安の負担とす
る。
         理    由
 被告人両名の本件控訴の趣意は、各被告人作成名義の別紙控訴趣意書と題する書
面、及び被告人両名の弁護人久保千里作成名義の別紙控訴趣意書と認められる書面
記載の通りであるから、いずれもこれを本判決書末尾に添付しその摘録に代え、こ
れに対し次の通り判断する。
 被告人Bの控訴趣意書中量刑不当の論旨、被告人Aの控訴趣意書の論旨、及び弁
護人の控訴趣意書第二点について。
 刑法第四十二条にいわゆる自首シクル者とは、罪を犯した者で、捜査機関にまだ
犯罪が発覚しない場合又は犯罪事実は発覚しているが犯罪人の発覚しない場合に自
ら捜査機関に対し自己の犯罪事実を申告した者をいうものであつて、原審証人Eの
原審公判廷における供述、当審の事実取調における証人Eに対する尋問調書中の供
述記載に依れば、被告人Bは本件犯行につき同条にいわゆる自首シタル者に該当し
ないものと認められるし、記録を精査しこれに現われている被告人両名の年齢、経
歴、境遇、本件犯行の動機、態様、被害者側の事情、その他諸般の事情を斟酌考量
しても原判決が被告人両名を各無期懲役に処したことは科刑過重であると認められ
ない。しこうして記録を調査するに被告人Aは昭和二十四年五月十九日、被告人B
は同年五月二十五日いづれも本件と同一内容の犯罪事実につき、占領軍裁判所であ
るアメリカ合衆国第八軍軍事委員会においてそれぞれ重労働三十年に処する旨の有
罪の裁判を受け、この確定判決の執行としてその頃から昭和二十七年四月二十八日
平和条約発効に至る迄、横須賀刑務所において服役していた事実を認めることがで
きるのであつて、右の占領軍裁判所の裁判は、わが国の裁判権による裁判でないと
同時に刑法第五条の予想した外国の裁判でもないけれども、右占領軍裁判所の裁判
がわが国の裁判所の裁判に準じた取扱を受けず、わが国の裁判に対し一事不再理の
効力を認められていないことから考えると、右占領軍裁判所の裁判は刑法第五条に
いわゆる外国の裁判に準ずる裁判と解すべきであるが、同条但書の趣旨とするとこ
ろは、外国で一旦確定裁判を受け、且つこれに基いて刑の全部又は一部の執行を受
けた者に対し、同一行為につき再びわが国の裁判所において刑の言渡をする場合に
は、彼我の刑の実質を比較し外国で刑の執行を受けたことを考慮して、既に外国で
執行を受けた限度内においてわが国における刑の執行を減軽又は免除すべきものと
したもの<要旨>で、いわば外国で執行された刑の実質上の通算を認めたと同様のこ
ととなるのであるから、わが国の裁判所が本件のように無期懲役刑を宣告す
る場合には、本来その刑期満了に期限のない刑の性質上、外国裁判による刑の執行
を受けたととに基いてその執行を減軽する余地がなく、この場合には刑法第五条但
書は適用のないものと解する外ないのである。従つて被告人両名が前記のように外
国の確定裁判による有期刑の一部の執行を受け終つたとしても、被告両名に対し原
審が無期懲役刑を言渡しているのであるから、右受刑事実に基く刑の執行の減軽を
言渡していないことは相当であつて論旨はいずれも理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 近藤隆蔵 判事 吉田作穂 判事 山岸薫一)

戻る



採用情報


弁護士 求人 採用
弁護士募集(経験者 司法修習生)
激動の時代に
今後の弁護士業界はどうなっていくのでしょうか。 もはや、東京では弁護士が過剰であり、すでに仕事がない弁護士が多数います。
ベテランで優秀な弁護士も、営業が苦手な先生は食べていけない、そういう時代が既に到来しています。
「コツコツ真面目に仕事をすれば、お客が来る。」といった考え方は残念ながら通用しません。
仕事がない弁護士は無力です。
弁護士は仕事がなければ経験もできず、能力も発揮できないからです。
ではどうしたらよいのでしょうか。
答えは、弁護士業もサービス業であるという原点に立ち返ることです。
我々は、クライアントの信頼に応えることが最重要と考え、そのために努力していきたいと思います。 弁護士数の増加、市民のニーズの多様化に応えるべく、従来の法律事務所と違ったアプローチを模索しております。
今まで培ったノウハウを共有し、さらなる発展をともに目指したいと思います。
興味がおありの弁護士の方、司法修習生の方、お気軽にご連絡下さい。 事務所を見学頂き、ゆっくりお話ししましょう。

応募資格
司法修習生
すでに経験を有する弁護士
なお、地方での勤務を希望する先生も歓迎します。
また、勤務弁護士ではなく、経費共同も可能です。

学歴、年齢、性別、成績等で評価はしません。
従いまして、司法試験での成績、司法研修所での成績等の書類は不要です。

詳細は、面談の上、決定させてください。

独立支援
独立を考えている弁護士を支援します。
条件は以下のとおりです。
お気軽にお問い合わせ下さい。
◎1年目の経費無料(場所代、コピー代、ファックス代等)
◎秘書等の支援可能
◎事務所の名称は自由に選択可能
◎業務に関する質問等可能
◎事務所事件の共同受任可

応募方法
メールまたはお電話でご連絡ください。
残り応募人数(2019年5月1日現在)
採用は2名
独立支援は3名

連絡先
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所 採用担当宛
email:[email protected]

71期修習生 72期修習生 求人
修習生の事務所訪問歓迎しております。

ITJではアルバイトを募集しております。
職種 事務職
時給 当社規定による
勤務地 〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
その他 明るく楽しい職場です。
シフトは週40時間以上
ロースクール生歓迎
経験不問です。

応募方法
写真付きの履歴書を以下の住所までお送り下さい。
履歴書の返送はいたしませんのであしからずご了承下さい。
〒108-0023 東京都港区芝浦4-16-23アクアシティ芝浦9階
ITJ法律事務所
[email protected]
採用担当宛