弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人和田吉三郎の上告理由第一点について。
 本件記録によれば、原審の第一回口頭弁論期日(昭和三六年九月二一日)におい
て、当事者双方は、第一審判決の事実摘示のとおり第一審の口頭弁論の結果を陳述
した後、同第二回口頭弁論期日(同年一一月二日)において上告人(控訴人)は、
昭和三六年一〇月三〇目附準備書面の通り陳述し、同第三回口頭弁論期日(同三七
年二月一日)において被上告人(被控訴人)は、これと関連して、本件土地の賃借
権は第一審の昭和三五年三月一六日附準備書面第三項以下に主張した事実にもとづ
くものである旨主張したことを認め得る。而して右第二回口頭弁論期日において陳
述した昭和三六年一〇月三〇日附準備書面二(2)により、上告人は住家を全部解
体した旨を主張したほか、同準備書面一(3)において「この点につき第一審の昭
和三五年五月二六日附準備書面による主張をここに引用する。」旨記載されている
から、同日附準備書面に記載されている主張事実は第二審において主張せられたも
のとするの外なく、第一審における右準備書面二(ト)には、上告人は、「被告(
被上告人)は、右Dの不在を奇貨として何等権限にもとづかずして勝手に右土地を
起耕し畑として使用し或は桐など植付けて宅地の経済的価値を減じたものである」
旨の記載があるから、上告人は、右記載部分をも二審の口頭弁論において陳述した
ものと解すべきである。また、原審において陳述されたとされる第一審で被上告人
の提出した昭和三五年三月一六日附準備書面第三項(ロ)には「本訴土地にあつた
建物を他に売却収去させた為……本訴土地全部を畑地として被告が耕作して今日に
至つた」旨記載されていることも認められる。
 したがつて、原審が上告人(控訴人)の主張を、所論のように、事実摘示をなし、
かつ、本件土地上の住家が解体されたこと、被控訴人が右土地を耕作したことは、
当事者間に争ない旨判示したことは、もとより当然であつて、原判決には、所論の
違法はない。
 論旨は、原判決に対する誤解にもとづくものであつて、到底、採用しがたい。
 同上告理由第二点について。
 原判決挙示の証拠によれば、原判決の認定した事実は、十分首肯し得られる。而
して、右認定事実によれば、原判決認定の経緯のもとに、昭和一四年以来秋田地方
裁判所湯沢支部昭和三五年(ヨ)第二号立入禁止等仮処分決定が本件土地に対し執
行されるまで、その全域を畑とし、被上告人方において主として野菜、菜種などを
栽培し、副次的に桐苗の育成、桐木の栽植をなし肥培管理を施して来ており、かつ
Dの後見人であるEの承認のもとに本件土地が畑として耕作せられること前後約二
〇年にわたつており、しかも復帰居住の意思を喪失したDが披上告人方による本件
土地の農地としての利用を承認してからでさえ、一〇年余の長期にわたり、本件土
地に畑作が継続されて来たものというべきである。右事実関係の下においては、本
件土地は、長期にわたり肥培管理が施され、客観的状態において農地法第二条にい
う「耕作の目的に供される土地」たる農地に該当するものと認めるのが相当である。
したがつて、本件土地を農地と判断した原判決は、正当として是認すべきものであ
る。本件土地の地目が宅地であること或は仮処分の執行の結果本件土地について現
在肥培管理がされておらないことは右認定の結果を左右するものではない。
 論旨は、結局、原審の専権に属する証拠の取捨選択、事実の認定を非難するに帰
するものであつて、採用しがたい。
 同第三点及び第四点について。
 農地法第二条の「耕作の目的に供される土地」が即ち農地であるかどうかは、そ
の土地の客観的事実状態によつて決すべきものであり、本件土地の客観的事実状態
が農地であることは、上告理由第二点において判示した通りであつて、知事の公認
を経ることまたはこれを経なければ第三者に農地であることを対抗しえないとする
論旨は、独自の見解であつて、採用することができない。原判決には、所論の違法
はない。
 論旨は、採用し得ない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    石   坂   修   一
            裁判官    横   田   正   俊
            裁判官    柏   原   語   六
            裁判官    田   中   二   郎

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