弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人重山徳好、同荒谷昇の上告理由第一点一について。
 原判決の昭和二六年九月二五日の上告人宅における状況に関する認定は挙示の証
拠に照らし肯認できるし、この点に関する証拠の取捨、判断も首肯できる。そして
右認定事実からすれば総会は事実上開会可能であつた旨の原判決の判断は正当であ
る。この点につき、所論はるる主張するが、結局原審の適法にした事実の認定、証
拠の取捨、判断を非難するにすぎない。
 次に所論は、総会の招集権者たる組合長は、総会の会日における開会宣言前はそ
の期日の変更、延期、取消の権限を有し、この権限にもとづいてした措置が不当で
あつても無効ではなく、仮に開会が事実上可能の場合でも確定的に効力を生ずるか
ら、組合長の流会宣言により総会は終了したのであり、原判決は権利濫用の法理を
誤解している、というのである。
 しかし、一たん総会招集の通知が発せられた後に、総会招集手続と同様の手続を
経て会日の変更等の通知が出席権者に会日前に到達する場合には、その理由の当否
を問わず、その処置は有効と解されるが、会日当日に至つては、たとえ開会宣言前
であつても、総会の開会が法律上、事実上可能であるかぎり、招集権者の独断で当
日の開会を取止める等の処置をとることは許されず、一応招集された総会にはかつ
て事を決すべきであるから、招集権者の独断でした右のような処置は無効と解すべ
きである。本件においては総会が法律上、事実上開会可能であつたことは原判決の
認定するところであり、加えてたとえ開会しても上告人の意図が通らず勝算がなか
つたので議場が一時混乱したのを奇貨として開会を宣言しなかつたというのである
から、総会を開会しなかつたことは、招集権者たる組合長の権限濫用と解すべく、
従つて流会宣言をしても無効と認むべきである。所論は結局独自の見解に立脚して
所論の違法ありと主張するもので採用できない。
 同二について。
 上告人宅が組合事務所として使用されていたのは単なる事実上の便宜に出でたも
ので、正規の組合事務所は依然として登記簿上の場所にある旨の原判決の認定は挙
示の証拠に照らし肯認できる。所論はひつきよう原審の適法にした事実の認定、証
拠の取捨、判断を非難するものにすぎない。
 同三について。
 原判決の確定するところによれば、被上告組合は水産業協同組合法にもとづく漁
業協同組合であるから、同法第五条により法人である。そして法人たる組合に組合
員として加入する場合における加入の承諾は法人の意思決定機関がなすべきもので、
法人の代表機関が法人を代表してなしうる事項ではないと解するのが相当である。
本件において、原判決は、水産業協同組合法の趣旨並びに被上告組合の定款の規定
に徴し、組合員の新規加入については組合の理事会の決議を要するものと解すべき
であるとしているのであり、右判断は首肯するに足りる。従つて加入の承諾は理事
会が決すべき事項であるにかかわらず、原判決の認定によれば、所論の者について
は理事会の承諾が得られなかつたというのであるから、右の者について組合加入の
効果は発生していないこともちろんである。所論は原判決の判断に反する独自の見
解に立脚して所論の違法ありと主張するものであつて採用できない。
 同第二点について。
 原判決の所論認定は挙示の証拠に照らし肯認できる。所論は原判示にそわない事
実を前提として原判決の違法を主張するもので採用することはできない。
 よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のと
おり判決する。
     最高裁判所第三小法廷
         裁判長裁判官    五 鬼 上   堅   磐
            裁判官    河   村   又   介
            裁判官    垂   水   克   己
            裁判官    石   坂   修   一

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