弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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○ 主文
本件抗告を棄却する。
○ 理由
本件抗告の趣旨及び理由は、別紙抗告状写し記載のとおりであり、要するに、「本
件引渡請求において抗告人が犯したとされる犯罪については、抗告人がその犯罪に
係る行為を行つたことを疑うに足りる相当な理由がなく、しかも、相手方は自国民
たる抗告人の人権保護の責任を有するものであるから、相手方の抗告人に係る本件
引渡についての命令は裁量権の範囲をこえ又はその濫用があつた場合に該当し、取
り消されるべきであり、したがつて、右命令の執行は停止されるべきである。」と
いうにある。
しかしながら、一件記録によれば、抗告人を逃亡犯罪人引渡法にいわゆる逃亡犯罪
人として請求国たるアメリカ合衆国に引き渡すことができる場合に該当すること
は、抗告人が本件引渡請求において犯したとされる犯罪に係る行為を行つたことを
疑うに足りる相当な理由があることをも含めてこれを認めるに十分でおり、他方、
抗告人を前記請求
国に引き渡すことを相当とした相手方の判断にも主張のような違法があると認める
こともできない。結局抗告人の主張及び提出に係る全資料を検討しても、本件執行
停止の申立は「本案について理由がないとみえるとき」に該当するから、失当とし
て却下すべきものとした原審の判断は正当であり、他に、原決定を不相当とすべき
理由を見いだすことはできない。
よつて、本件抗告は理由がないからこれを棄却することとし、主文のとおり決定す
る。
(裁判官 後藤静思 奥平守男 尾方 滋)
抗  告  状
原決走の表示
本件申立てを却下する。
申立費用は申立人の負担とする。
抗告の趣旨
原決定を取消す。
相手方が昭和五九年三月一三付で東京高等検察庁検事長に対」でした逃亡犯罪人引
渡法第一四条一項に基づく抗告人をアメリカ合衆国に引き渡す旨の命令の執行は、
本案判決が確定するまでこれを停止する。
手続費用は全部相手方の負担とする。
抗告の理由
一、原決定
抗告人は相手方が昭和五九年三月一三日付で東京高等検察庁検事長に対してした逃
亡犯罪人引渡法(以下「法」という)第一四条一項に基づく抗告人をアメリカ合衆
国に引渡す旨の命令(以下「本件引渡命令」という)に対して相手方を被告とし、
本件引渡命令の取消を求める行政訴訟を東京地方裁判所に提起し、かつ、右本案判
決確定に至るまで本件引渡命令の執行停止を申立てたところ、同裁判所は昭和五九
年三月一九日申立却下の決定をなし、右決定正本は同月一九日抗告人に送達され
た。
二、原決定の理由
原決定の理由は、抗告人が引渡犯罪にかかる行為を行つたことを疑うに足りる相当
な理由があることが一応認められ、抗告人が犯した疑いのある犯罪の性質、事案等
にかんがみれば、逃亡犯罪人を引き渡すことが相当であると認めた相手方の判断に
裁量権の逸脱ないし濫用の違法があるとは認められないとし、本件申立ては、「本
案について理由がないとみえるとき」に該当するから申立てを却下する、というの
である。
三、原決定の不当性
しかしながら、法は第二条において引渡犯罪に係る行為を行つたことを疑うに足り
る相当な理由がないときは、逃亡犯罪人を引渡してはならず、また、逃亡犯罪人が
日本国民であるときは引渡さないのを原則として自国民の人権を保護しているので
ある。
本件引渡請求にかかる犯罪は、抗告人が、リース契約を締結して借り受けた自動車
二一台を、日本国に輸出したというのであるが、抗告人が本件引渡命令執行停止申
立書で詳細主張したごとく、抗告人はこれらの自動車を含む一〇八台の自動車をす
べて正規の手続に従つて輸出許可を受けて輸出したもので、リース自動車は所有者
であるリース業者が廃車手続をしない限り輸出許可を得ることは不可能であり、本
件引渡請求にかかる犯罪そのものが不能であり、抗告人が引渡犯罪にかかる行為を
行つたことを疑うに足りる相当な理由があるとは、とうてい認められない。
相手方は自国民の人権保護の責任を有するものであり、引渡請求にかかる犯罪が不
能犯である本件の場合、抗告人がリース自動車の輸出許可を得た方法の合理的証明
がない限り、引渡命令を発してはならないのであり、相手方は法第二条の解釈適用
を誤り、裁量権を逸脱し濫用したものと云わざるを得ないのである。
したがつて、原判決は不当であるから抗告の趣旨記載の決定を求める次第である。
(原裁判等の表示)
○ 主文
本件申立てを却下する。
申立費用は申立人の負担とする。
○ 理由
一 本件申立ての趣旨は、相手方が昭和五九年三月一三日付で東京高等検察庁検事
長に対してした逃亡犯罪人引渡法(以下「法」という。)一四条一項に基づく申立
人をアメリカ合衆国に引き渡す旨の命令(以下「本件引渡命令」という。)の執行
は、本案判決が確定するまでこれを停止する、というにある。
二 上つて検討するに、
一件記録によれば、申立人はアメリカ合衆国にあいて不法領得にかかる自動車の国
外運搬の罪を犯し、日本国内に逃亡した逃亡犯罪人であるとしてアメリカ合衆国か
ら日本国に対し、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約八条
に基づいてその引渡しの請求があり、昭和五九年二月八日東京高等検察庁検察官は
法八条により東京高等裁判所に対し審査請求をしたこと、同裁判所は同年三月六日
「本件は、逃亡犯罪人を引き渡すことができる場合に該当する。」旨の決定をした
こと、相手方は同月一三日本件引渡命令を発したこと、申立人が引渡犯罪にかかる
行為を行つたことを疑うに足りる相当な理由があることが一応認められる。
そして申立人が犯した疑いのある犯罪の性質、事案等にかんがみれば、逃亡犯罪人
を引き渡すことが相当であると認めた相手方の判断に裁量権の逸脱ないし濫用の違
法があるとは認められない。
三 以上によれば、本件申立ては、「本案について理由がないとみえるとき」に該
当するから、その余の点について判断するまでもなく失当として却下することと
し、申立費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条を適用して主文
のとおり決定する。

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