弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決中被告人A同Bに関する部分を破棄する
     被告人Aを懲役二年六月に、被告人Bを懲役一年に処する。
     第一審に於ける未決勾留日数中被告人Aに対し九十日を、被告人Bに対
し三十日を右各本刑に算入する。
     訴訟費用中第一審証人C同Dに支給した部分は被告人A同Bと原審相被
告人E同Fの連帯負担とし、第一審証人Gに支給した部分は被告人Bの負担とし、
其の余の訴訟費用中第一、二審証人H同I同J同K同L同M第一審証人N同O同P
第二審証人Q、同Rに支給した分を除く其の余は第一、二審を通じ全部被告人Aの
負担とする。
     被告人Aに対する公訴事実中、昭和二十五年十二月二十六日附起訴状記
載第一、第二(原判決判示第一(一)(イ)(ロ)に該当)の詐欺の点については
同被告人は無罪。
     被告人Bに対する公訴事実中昭和二十五年十二月二十八日附追起訴状記
載の公文書偽造同行使の点(原判決判示第二に該当)については同被告人は無罪。
         理    由
 本件控訴の趣意は被告人Aの弁護人丸三郎同瀬崎憲三郎同野村雅温並に被告人B
の弁護人和光米房同佐藤操の各提出した控訴趣意書に記載された通りである。之に
対し当裁判所は左の通り判断する。
 弁護人佐藤操趣意書第一点について
 論旨は被告人Bに対する原判決第二第三(一)(二)の事実はいづれも事実誤認
に基くものであると主張するのであるが、右論旨に付判断を加えるに先立ち職権を
以て按ずるに、被告人Bに対する本件公文書偽造同行使の事実は昭和廿五年十二月
二十八日附追起訴状の記載によれば「被告人Bは相被告人A、原審相被告人E、同
Fと共謀の上東京地方検察庁の庁印を押捺した検察庁用紙を入手し昭和廿四年十月
下旬東京都千代田区霞ケ関一丁目法務府内S労働組合厚生部売店等に於て行使の目
的を以て擅に右用紙に同検察庁がT株式会社に対し抄織一万三千三百十反(一反二
十五碼もの)を代金三千九百九十三万円にて註文する旨記載し以て同検察庁名義の
註文書一通を偽造し之を真正に成立したものの様に装い同月下旬東京都港区a町b
丁目c番地旅館Uに於てV株式会社社長Wに交付して行使したものである」という
のであり、被告人Bは原審公判冒頭に於て右公訴事実を認め、そのことについては
被告人Aも承知していたと陳述したが其の後の公判に至り地方検察庁名義の註文書
は正当のものと考えていたといい右公訴事実を全面<要旨>的に否認する態度を示し
たのである。而して原審は右起訴状記載の訴因に対し、何等訴因変更等の手続を経
ことなく「被告人BはAを除く他二名(E、F)共謀して判示文書偽造を
遂げた上(之を訴因に記載された柊末吉に対し行使したものではなく、却つて)偽
造の情を知らない相被告人Aに交付して行使したもの」と認定したのであつて、右
訴因と原判決の認定との間には、被告人が判示註文書の偽造を遂げた上之を行使し
たという公訴事実についての同一性は保持されていると見得るであろうが、何等の
訴因変更の手続を経ないで原審の如き認定をすることは文書偽造の点は別として偽
造文書行使の点について、被告人をして防禦権の行使を全うせしめなかつたとの非
難を免れないであろう。
 蓋し防禦権の行使とか之に対し如何なる保障を与えるべきかの如きは必しも訴訟
の全段階を通じて一定不変のものとみるべきではなく、訴訟の実態に応じて変化し
得べきものと謂うべく、本件に於ては前記の通り被告人の当初の態度と其の後のそ
れとは対蹠的の差がある丈でなく、訴訟の具体的経過に鑑みても被告人が相被告人
Aに対し偽造文書を行使したという事実の如きは特に審理の対象となつたものとは
認め難いのであるから、原審の前記認定は唐突の感あるを免れず、原審は結局此の
点に於て訴因変更に関し訴訟手続上の違法を冒したものといはなければならない。
 更に進んで原判決認定の事実に付て論旨主張の如き誤認の有無を按ずるに、記録
並に原審、当審で取調べた証拠を検討すると、被告人Bが本件公文書偽造並に行使
に付共同正犯の責任ありという原判決認定の事実は誤認であるとの疑いがあるか
ら、論旨も結局理由があることになり、原判決中被告人Bに関する部分も亦以上各
点に基き破棄を免れない。但し原判示第三(一)(二)の事実は原判決挙示の証拠
により其の証明があり記録を精査しても事実誤認とするに足りないので此の点につ
いての事実誤認の主張は理由がない。
 (その他の判決理由は省略する。)
 (裁判長判事 藤嶋利郎 判事 飯田一郎 判事 井波七郎)

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