弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 本件上告理由は別紙のとおりである。
 上告理由第一点について。
 論旨は、原判決は公職選挙法三四条六項五号の「七日前」の解釈を誤つた違法が
あるというのである。
 原判決の確定するところによれば、本件選挙の期日は昭和三三年一月一三日であ
り、選挙期日の告示は同月六日に行われているのである。公職選挙法三条六項五号
の「少くとも七日前に」の意味は、選挙期日の前日を第一日として逆算して七日目
に当る四日以前を指すものと解すべく、原判決の解釈も結局これと同趣旨に帰し、
本件選挙期日の告示に違法がないとしたのは正当であつて論旨は理由がない。論旨
は、株主総会招集通知に関する大審院の判例を援用するのであるが、選挙期日の告
示とは場合を異にしただちにこれを先例とすることはできない。
 同第二点について。
 論旨は、選挙管理委員及び同補充員については、その職務の性質上、指名推薦の
方法によつて選任することを許さない旨を主張するのであるが、地方自治法一一八
条は、広く議会において行う選挙について指名推薦の方法を用いることができる旨
を規定しているのであつて、選挙管理委員及び同補充員なるが故に指名推薦による
選任を違法とすべき理由はない。論旨はまた、右選挙管理委員等の選任は、議会会
議規則に反し、会議延長の議決をしないで午後五時過ぎ行われた違法がある旨を主
張するのであるが、右選任が午後五時以後に行われた事実は原判決の認定していな
いところである。論旨はさらに、選挙管理委員会委員長に選任されたDは地方教育
公務員であつて、その就任について許可を受けていないから右Dの関与した本件選
挙は無効である旨を主張するのであるが、所論のように許可を受けなかつたことに
よつて、地方公務員法に違反し、同法上の責任を負うことがあるのは格別、ために
その就任を無効と解し、同人の関与した本件選挙を無効と解すべき理由はない。論
旨は理由がない。
 同第三点について。
 論旨は、原判決が選挙管理委員選任を取り消す旨の議会の議決は知事の裁定によ
つて取り消されたから、取消議決のあつたことは結論に影響がない旨を判示したの
を非難するのである。
 しかし、知事の裁定によつて取消議決が取り消された以上、取消議決はなかつた
ことに帰するのであつて、当初の選任議決に何等影響のないことは原判示のとおり
である。論旨は村長の当選無効、議会の構成の不適法を理由に裁定の無効を主張す
るのであるが、所論のように村長の当選を無効と解すべき理由もなく、議会の構成
を不適法とする根拠もなく、論旨は理由がない。
 なお、上告理由書提出期間経過後提出された申立書については判断を加えない。
 以上説明のように本件上告は理由がないから、民訴四〇一条、九五条、八九条に
従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    小   谷   勝   重
            裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一

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