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令和元2156号放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律違
反,毒物及び劇物取締法違反被告事件
主文
被告人を懲役8月に処する。
この裁判確定の日から3年間その刑の執行を猶予する。
公益社団法人Aで保管中のアメリシウム241が密封された容器8個(名古屋地方
検察庁令和2年領第63号符号134-1ないし4,135-1ないし4)及び愛
知県守山警察署で保管中の塩素酸カリウム約157グラム(同符号26)を没収す
る。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は,平成31年4月24日,名古屋市a区b町c丁目d番e号当時の被告人方にお
いて,
第1法定の除外事由がないのに,放射性同位元素であるアメリシウム241が密封さ
れた容器8個(名古屋地方検察庁令和2年領第63号符号134-1ないし4,135
-1ないし4)を所持した
第2業務その他正当な理由がないのに,爆発性のある劇物であって政令で定める塩素
酸塩類である塩素酸カリウム約157グラム(名古屋地方検察庁令和2年領第63号符
号26)を所持した
ものである。
(量刑の理由)
本件は,自宅アパート(当時)において,放射性同位元素であるアメリシウム241
が密封された容器8個を所持し(判示第1),爆発性のある劇物である塩素酸カリウム
約157グラムを所持した(判示第2)事案である。
判示第1の犯行は,それ自体,放射性同位元素の取扱い等につき厳格な規制の下に置
くことにより,放射線障害を防止し,公共の安全を確保するという放射線障害防止法の
目的を害し,社会に不安を与え得る行為である。被告人は,アメリシウム241が密封
された容器をプラスチックケースや段ボール内に無造作に収納していたもので,管理の
方法はずさんであり,放射線障害が生じる可能性も否定できない。被告人は,アメリシ
ウム241が放射性物質であることやその危険性を十分に認識しながら,自己の好奇心
や所有欲を満たすために入手して所持した旨述べており,動機は安易かつ身勝手であ
る。
判示第2の犯行についてみても,強力な酸化剤であり,可燃性物質と爆発性混合物を
形成し得るという塩素酸カリウム相当量を,プラスチック製のバケツの中に無造作に保
管しており,危険性は否定できない。
被告人は,爆薬等を製造,所持した上,激発物を破裂させるなどした前科があるにも
かかわらず,判示各犯行に及んでおり,危険物の所持等に対する規制を軽んじる姿勢は,
厳しい非難に値する。
以上によれば,被告人の刑責は軽視できないが,放射性同位元素や劇物を悪用する意
図があったとまでは認められないこと,前記前科から相当の期間が経過していること,
事実を認めた上で被告人なりに反省の弁を述べ,更生の意欲を示していることなどの情
状を考慮すると,被告人に対しては,主文の刑を定めた上,その執行を猶予するのが相
当である。
(求刑懲役1年,主文同旨の没収)
令和2年3月23日
名古屋地方裁判所刑事第6部
裁判長裁判官田邊三保子
裁判官岩田澄江
裁判官小山大輔

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