弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     原判決を破棄する。
     被告人は無罪。
         理    由
 弁護人中川正夫控訴趣意第一点について。
 原判決の認定するところは、要するに被告人は昭和二十二年六月A及びBとの間
にかねて自己の同人等に賃貸中の二筆の田地についての賃貸借契約を知事の許可を
受けないでそれぞれ合意解約した、というにある。これに対し、論旨は右賃貸借契
約はこれより先昭和十八年中すでに合意解約すみであると主張するのであつて、被
告人の司法警察員に対する供述調書並に原審証人Cの証言の中には論旨に添う資料
がないわけではないけれども原判決の挙げた証拠によれば原判示事実を認めるに足
り、記録を精査しても右認定が誤りであるとはなし難い。
 しかしながら、被告人の原判示行為のなされた時は、昭和二十一年法律第四二号
による改正農地調整法が施行せられていたときに当り、昭和二十二年法律第二四〇
号による改正法の施行前である。しかして、右昭和二十一年法律第四二号による改
正農地調整法によれば、その第九条第三項は単に「農地ノ賃貸借ノ当事者賃貸借ノ
解除若ハ解約ヲ為シ又ハ更新ヲ拒マントスルトキハ命令ノ定ムル所ニ依リ市町村農
地委員会ノ承認ヲ受クペシ」と規定し、附則において右「市町村農地委員会ノ承
認」は勅令で定める時期までは「地方長官ノ許可」と読み替える旨定めていただけ
であつて右「解約」の下に「(合意解約ヲ含ム以下同ジ)」の文字の挿入せられた
のは前記昭和二十二年法律第二四〇号によるものである。
 <要旨>この挿入が従前の律意を明かにしたにすぎないものと解すべきか或は新た
に規制範囲を拡張したものと解すべきかに関して、当裁判所は、従来の用語
の慣例を考えむしろ法的安定を重しとし立法政策的解釈を排して後者の見解を採
る。しからば、原判沢の認定する時点における被告人の本件行為に対しては農地調
整法上これを規制する法規がなかつたものといわねばならない。
 原判決は、その判示事実が農地調整法第九条第三項同法附則第六条同法第十七条
の五罰全等臨時措置法第四条に該当するものとし直ちに刑法第六十六条第七十一条
第六十八条第四号を適用して酌量減軽をした後、同法第四十五条第四十八条第二項
に則り併合罪として所定罰金額を合算した範囲内において被告人を罰金五百円に処
し、なお同法第二十五条を適用してその執行を猶予しているのであるが、右にいわ
ゆる同法附則第六条と覚しきものは前記昭和二十二年法律第二四〇号の附則第六条
以外にない点よりすれば原審適用の農地調整法第九条第三項第十七条の五は本件行
為の後である右昭和二十二年法律第二四〇号による改正法を不当に適用したものと
認めざるを得ず、また若し、右改正より前の法律を適用したものとすれば、それは
前に説明した通り規制外の行為に対し適用すべからざる法律を適用した違法を免れ
ないのである。その他、昭和二十二年の本件行為に対し昭和二十四年にはじめて施
行せられた罰全等臨時措置法第四条を適用し、ために所定罰金の法定刑が二十円以
上五百円以下であるべきを千円以上二千円以下と誤解し、その結果、、特に酌量減
軽を加えてようやくその最低額を本来の罰金額の最高額まで引下げてこれを宣告刑
としたうえ執行猶予の措置をとつてわずかに妥当な量刑に近すかざるを得なかつた
違法及び、併合罪の加重前に酌量減軽をした刑法第七十二条の違背等いずれも判決
に影響を及ぼすこと明かな法令適用の誤があるから、刑事訴訟法第三百九十七条第
三百八十条第四百条但書に則り、原判決を破棄してあらためて次のように判決をす
る。
 原判決認定の事実を法に照してもこれを罰すべき正条がなく被告人の行為は罪と
ならないから刑事訴訟法第四百四条第三百三十六条に則り無罪の言渡をする
 (裁判長判事 荻野益三郎 判事 梶田幸冶 判事 井関照夫)

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