弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件上告を棄却する。
     上告費用は上告人の負担とする。
         理    由
 上告代理人佐藤政治郎、同新津貞子の上告理由第一点について。
 所論は債務不履行による契約解除の主張につき民訴法一八六条の違反があるとい
う。しかし、昭和三五年一二月二三日附準備書面には、補修請求をしたが修理して
くれないので解除は有効であるという主張が、瑕疵担保責任の主張とは別に、予備
的になされており、これは、不完全履行を理由としてなされた解除の主張と認める
ことができるから、原判決には所論の違法はない。
 同第二点について。
 所論は、本件機械につきその引渡時において瑕疵がなかつたとし従つて上告人に
債務不履行の責任がないと主張するが、原判決は、本件機械に隠れた瑕疵があつた
ことを認定しており、この認定は挙示の証拠により肯認しうるところ、所論は、ひ
つきよう、右認定を非難するに帰するものであつて、上告適法の理由とならない。
 同第三点について。
 所論の信義誠実則違反・権利濫用の主張は、原審に至るまで提出されず、結局原
判決の確定しなかつた事実を前提とする主張に帰するから、採用できない。
 同第四点について。
 所論は、不特定物の売買においては、売買目的物の受領の前と後とにそれぞれ不
完全履行の責任と瑕疵担保の責任とが対応するという立場から、本件売買では被上
告人が本件機械を受領したことが明らかである以上もはや不完全履行の責任を論ず
る余地なきにかかわらず、原判決が債務不履行による契約解除を認めたのは、法令
の違背であると論じている。
 しかし、不特定物を給付の目的物とする債権において給付せられたものに隠れた
瑕疵があつた場合には、債権者が一旦これを受領したからといつて、それ以後債権
者が右の瑕疵を発見し、既になされた給付が債務の本旨に従わぬ不完全なものであ
ると主張して改めて債務の本旨に従う完全な給付を請求することができなくなるわ
けのものではない。債権者が瑕疵の存在を認識した上でこれを履行として認容し債
務者に対しいわゆる瑕疵担保責任を問うなどの事情が存すれば格別、然らざる限り、
債権者は受領後もなお、取替ないし追完の方法による完全な給付の請求をなす権を
有し、従つてまた、その不完全な給付が債務者の責に帰すべき事由に基づくときは、
債務不履行の一場合として、損害賠償請求権および契約解除権をも有するものと解
すべきである。
 本件においては、放送機械が不特定物として売買せられ、買主たる被上告人会社
は昭和二七年四月頃から同年七月頃までこれを街頭宣伝放送事業に使用していたこ
と、その間雑音および音質不良を来す故障が生じ、上告人会社側の技師が数回修理
したが完全には修復できなかつたこと、被上告人会社は昭和二七年六月初め上告人
会社に対し機械を持ち帰つて完全な修理をなすことを求めたが上告人会社はこれを
放置し修理しなかつたので、被上告人会社は街頭放送のため別の機械を第三者から
借り受け使用するの止むなきに至つたこと、被上告人会社は昭和二七年一〇月二三
日本件売買契約解除の意思表示をしたことが、それぞれ確定されている。右確定事
実によれば、被上告人会杜は、一旦本件放送機械を受領はしたが、隠れた瑕疵ある
ことが判明して後は給付を完全ならしめるよう上告人会社に請求し続けていたもの
であつて瑕疵の存在を知りつつ本件機械の引渡を履行として認容したことはなかつ
たものであるから、不完全履行による契約の解除権を取得したものといらことがで
きる。原判決はこの理に従うものであつて所論の違法はない。
 よつて、民訴三九六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、
主文のとおり判決する。
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    藤   田   八   郎
            裁判官    池   田       克
            裁判官    河   村   大   助
            裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助

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