弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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         主    文
     本件各上告を棄却する。
         理    由
 各被告人の弁護人藤本正、同三浦久の上告趣意第一の一について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第一の二について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第二について。
 所論は、事実誤認、量刑不当の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第三について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第四について。
 所論は、事実誤認、単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第五について。
 所論は、原判決に憲法二八条の解釈を誤つた違法がある旨を主張するけれども、
原判決が、一審判決のした判示第二の(二)(甲)の事実の認定をそのまま是認し、
被告人Aの本件監禁行為を不当な有形力の行使であるとし、正当な組合活動の範囲
を逸脱した違法のものであると判断したことは、当裁判所の判例(昭和二三年(れ)
第一〇四九号、同二五年一一月一五日大法廷判決、刑集四巻一一号二二五七頁。昭
和二二年(れ)第三一九号、同二四年五月一八日大法廷判決、刑集三巻六号七七二
頁。)の趣旨に徴して相当であり、原判決にはなんら憲法二八条の解釈を誤つた違
法がないので、論旨は理由がない。
 同第六の第一点について。
 所論は、違憲(三二条)をいうけれども、一審で無罪判決を受けた被告人らに対
し、原審が事実の取調をした結果一審判決を破棄自判して有罪の言渡をしたことが、
なんら憲法三二条に違反するものでないことは、当裁判所の判例(昭和二二年(れ)
第四三号、同二三年三月一〇日大法廷判決、刑集二巻三号一七五頁。昭和二六年(
あ)第二四三六号、同三一年七月一八日大法廷判決、刑集一〇巻七号一一四七頁。
なお昭和三三年(あ)第二〇八二号、同三五年一二月八日第一小法廷判決、刑集一
四巻一三号一八一八頁参照。)の趣旨に徴し明らかであるから、論旨は理由がない。
 同第六の第二点について。
 所論は、事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第七、第八、第九の一について。
 所論は、いずれも事実誤認の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 同第九の二について。
 所論は、原判決に憲法二八条の解釈を誤つた違法がある旨を主張するけれども、
原判決が、一審判決のした判示第二の(四)(甲)の事実の認定をそのまま是認し、
被告人B、同Cの本件住居侵入行為を正当な組合活動でなく違法のものであると判
断したことは、当裁判所の判例(前記昭和二三年(れ)第一〇四九号、同二五年一
一月一五日大法廷判決。同昭和二二年(れ)第三一九号、同二四年五月一八日大法
廷判決。)の趣旨に徴して相当であり、原判決にはなんら憲法二八条の解釈を誤つ
た違法がないので、この点に関する論旨は理由がない。その余の所論は、事実誤認、
単なる法令違反の主張であつて、適法な上告理由に当らない。
 また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。
 よつて同四〇八条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。
  昭和三九年一二月一八日
     最高裁判所第二小法廷
         裁判長裁判官    奥   野   健   一
            裁判官    山   田   作 之 助
            裁判官    草   鹿   浅 之 介
            裁判官    城   戸   芳   彦
            裁判官    石   田   和   外

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