弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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主文
本件上告を棄却する。
当審における未決勾留日数中450日を第1審判決の懲
役刑に算入する。
理由
1弁護人大内義三の上告趣意のうち,裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
(以下「裁判員法」という。)の憲法違反をいう点について
所論は,裁判員法による裁判員制度には,被告人の権利が十分保障されないなど
多くの問題点があり,裁判員制度は,同制度による審理裁判を受けるか否かについ
て被告人に選択権を認めていない点において,憲法32条,37条に違反する旨主
張する。
しかし,憲法は,刑事裁判における国民の司法参加を許容しており,憲法の定め
る適正な刑事裁判を実現するための諸原則が確保されている限り,その内容を立法
政策に委ねていると解されるところ,裁判員制度においては,公平な裁判所におけ
る法と証拠に基づく適正な裁判が制度的に保障されているなど,上記の諸原則が確
保されている。したがって,裁判員制度による審理裁判を受けるか否かについて被
告人に選択権が認められていないからといって,同制度が憲法32条,37条に違
反するものではない。このように解すべきことは,当裁判所の判例(最高裁平成2
2年(あ)第1196号同23年11月16日大法廷判決・裁判所時報1544号
1頁)の趣旨に徴して明らかである。所論は理由がない。
2弁護人のその余の上告趣意及び被告人本人の上告趣意は,いずれも事実誤認
の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
3よって,刑訴法408条,181条1項ただし書,刑法21条により,裁判
官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官須藤正彦裁判官古田佑紀裁判官竹内行夫裁判官
千葉勝美)

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