弁護士法人ITJ法律事務所

裁判例


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          主    文
    原判決を破棄する。
    被告人を懲役1年2か月に処する。
    原審における未決勾留日数中160日をその刑に算入する。
    原審における訴訟費用は被告人の負担とする。
          理    由
 本件控訴の趣意は,主任弁護人秦清及び弁護人大原貞夫連名作成の控訴趣意書に
記載されているとおりであるから,これを引用する。
 論旨は,要するに,被告人を懲役1年6か月(未決勾留日数中160日算入)の
実刑に処した原判決の量刑は,刑の執行を猶予しなかった点で重きに失して不当で
ある,というのである。
 そこで,原審記録を調査し,当審における事実取調べの結果を加えて検討する。
 本件は,原判示のとおり,被告人が,自己の公職選挙法違反被告事件の控訴審に
おいて,刑事責任を免れるために虚構の不在証明を作出しようと企て,商品先物取
引会社の担当者に依頼して,同人をして虚偽の事実を証言させた,という偽証教唆
の事案である。
 被告人は,平成10年11月15日に施行されたA町長選挙において町長に当選
したが,広島地方裁判所において,当該選挙に関する買収等の公職選挙法違反の罪
で懲役1年6か月,5年間執行猶予の有罪判決を受けたところ,自己の保身を図り
その刑事責任を免れようとして,控訴審において,第三者である商品先物取引会社
の担当者を巻き込んで虚偽の事実を証言させたものであり,全く身勝手で自己中心
的な犯行動機に酌量の余地はない。被告人は,その会社担当者に虚偽の証拠を作出
するように依頼して,営業日誌やダイアリーの記載を改ざんしてもらい,あるいは
自らもその裏付けとなり得る飲食店の虚偽の領収書を入手するなどのアリバイ工作
を整え,綿密な打合せをした上で,事情を知らない自己の弁護人らに上記会社担当
者を引き合わせて偽証させるに至っており,犯行態様は計画的かつ巧妙で悪質であ
る。本件偽証の証言内容は,上記公職選挙法違反事件の審理における重要な事実に
関するものであり,偽証した内容及びこれを裏付けるアリバイ工作に照らすと,上
記会社担当者が,後に自首して証言を翻し,真実を証言することがなければ,裁判
所の適正な判断を誤らせた危険性が非常に高かったものである。それにもかかわら
ず,被告人は,本件偽証教唆の犯行についても重ねて不合理な弁解を繰り返してい
るのであって,反省の態度は全くみられない。
 したがって,本件犯行の犯情はよくなく,被告人の刑事責任は到底軽視すること
ができない。
 そうすると,上記会社担当者が自首して虚偽の証言を撤回したこと,被告人に
は,確定裁判に当たる上記公職選挙法違反事件の執行猶予付き判決と交通関係の罰
金刑を除けば,前科がないこと,町議会議員などとして長年にわたり社会的貢献を
果たしたこと,既に町長を辞職したこと,被告人の年齢や体調,原審における身柄
拘束期間が約10か月間に及んだことなどの被告人にとって酌むべき事情や上記確
定裁判の執行猶予が取り消されて併せて服役することになることを十分考慮してみ
ても,刑の執行を猶予するのは相当でないとして被告人を懲役1年6か月(未決勾
留日数中160日算入)の実刑に処した原判決の量刑は,その言渡しの時点を基準
とする限り,重すぎて不当であるとはいえない。
 しかしながら,当審における事実取調べの結果によれば,原判決後,被告人は,
原審で言い渡された有罪判決を厳粛に受け止め,当審においては事実誤認の主張を
せず,財団法人法律扶助協会に300万円を寄付したこと,被告人の人柄や功績に
ついてよく知っている知人及び被告人の妻が,社会復帰後の被告人の更生に協力す
る旨申し出ていること,被告人は,73歳の高齢に達しており,肝臓等に病気を抱
えていて心身の衰えもみられること,社会復帰後は,人に迷惑を掛けることなく,
少しでも地域社会のために寄与できるよう努めたいと述べていることなどの事情が
認められ,このような原判決後の事情を上記情状に併せて考慮すると,被告人に対
し刑の執行を猶予するのは相当でないが,原判決の刑期をそのまま維持することは
酷に失するというべきであり,これを減ずるのが相当である。
 そこで,刑事訴訟法397条2項により原判決を破棄した上,同法400条ただ
し書を適用して,当裁判所において,本件被告事件について更に判決する。
 原判決が認定した事実(確定裁判の事実を含む。)に法令を適用すると,被告人
の行為は刑法61条1項,169条に該当するが,これは上記確定裁判があった公
職選挙法違反の罪と同法45条後段の併合罪であるから,同法50条によりまだ確
定裁判を経ていない本件偽証教唆の罪について更に処断することとし,その所定刑
期の範囲内で被告人を懲役1年2か月に処し,同法21条を適用して原審における
未決勾留日数中160日をその刑に算入し,原審における訴訟費用については刑事
訴訟法181条1項本文により被告人に負担させることとし,主文のとおり判決す
る。
   平成13年10月18日
     広島高等裁判所第一部
        裁判長裁判官 重 吉 孝一郎
           裁判官 古 賀 輝 郎
           裁判官 島 田   一

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